10P/Tempel 2 structures

Dust Trail ?

> 2010 07 20.43UT NEW

2010 07 14.44UT

2010 07 14.44UT

0.25-m f/3.4 reflector + CCD (SBIG ST-10XME)
remotely with a telescope near Mayhill, NM, U.S.A (H06)
stacked 12 frames (each60 second exposure)
Pixel Size: 1.66" x 1.66", Field of View: 60.6' x 40.8'

a jet toward p.a. 20 degree is 1' in length.

 

High contrast image


Line of Dust Trail ?  p.a.74 - 253 deg
 


Simulated orbit  line (blue) and tail (gray)
CG by StellaNavigator ver8 / AstroArts Inc.
 

]

 

 (解説)

 10P/Tempel 2(テンペル第2彗星)は、1873年7月25日にドイツのエルンスト・テンペルによって発見された彗星です。太陽の周りを約5.4年かけて公転する周期彗星で、これまで2 0回以上もの回帰が確認されている「由緒」ある彗星です。

 この彗星の絶対光度は7.2ですので大型の彗星ではありませんが、地球との位置関係によっては9等程度まで明るくなることがあり、今回もかなり良い観測条件で回帰していました。近日点通過前には予報を上回るペースで明るくなり、 最近の眼視観測では10等から9等台の報告があります。

 この彗星の「異変」に最初に気づいたのは、フランスのFrancois.Kugel(A77) でした。彼が2010年7月14日 3時UT頃に撮影した 画像では、上の私の画像よりも明瞭に軌道に沿った細く長い淡い線状の光が写っていました。このことは海外の彗星メーリングリストに投稿され、それを受けて私も、Kugelの7時間後に 、米国ニューメキシコ州のメイヒルの望遠鏡を遠隔操作して撮影しました。それが上の写真です。また、同じ14日と15日にブルガリアのFilip Fratev(A79)によっても、捉えられています。

 この線状の光は、彗星のダストトレイルと思われます。判断は専門家に仰ぎたいのですが、線状の光の分布は、ほぼ正確に彗星軌道面と一致しておりますので、その可能性は非常に高いものと思われます。 上の写真は、地球が彗星の軌道平面を横切る6日前であり、地球からの視線方向と、テンペル第2彗星の軌道の方向とがほぼ一致し、ダストトレイルが重なっているために濃くなって、検出しやすくなったものと考えられます。 

 ダストトレイルは、彗星の軌道に沿ってチューブ状に集まっているチリの雲のことで、比較的サイズの大きいチリが太陽光の輻射圧によって吹き飛ばれずに母彗星の軌道付近に残っているものです。 これが地球と遭遇することによって、流星群がおこります。ダストトレールは、しし座流星群の出現予想で有名なデイヴィッド・アッシャーとロバート・マックノートによって、流星群のもとになる流星物質の集団として1999年に提唱されました。1983年 に赤外線天文衛星IRASによって発見されていたものの、2001年のしし座流星雨の出現が的中したことでようやく脚光を浴びることになります。
 そしてついに2002年、2P/コップ彗星のダストトレイルが東京大学の木曽観測所の105cmシュミット望遠鏡で撮影されました。可視光では世界初の検出成功例でした。木曽観測所では、それ以外にも数々の周期彗星のダストトレイルの観測に成功しています。さらには、スピッツァー赤外線宇宙望遠鏡が、2005年の48P/ジョンソン彗星以降、ダストトレイルの撮影で 数々の成果をあげています。

 アマチュアとしては、2009年秋に和歌山市の津村光則さんが22P/コップ彗星の見事なダストトレイルの撮影に成功し、注目を浴びました。
 今回の観測がダストトレイルの検出ということになれば、アマチュアとしては2例目ということになるのかもしれません。

 

 

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Toru Yusa, Osaki, Japan
yusastar77@ybb.ne.jp