惨殺浪人・夢死郎《タイトル》

「惨殺浪人・夢死郎」

【大研究】




《 作品解説 》

 「影同心」「長崎犯科張」「十手無用」「世直し順庵!人情剣」「天罰屋くれない/闇の始末帖」「京極夏彦−怪−」……果ては「志村けんの必殺パロディー」まで、必殺シリーズに影響され、そのイメージ・雰囲気を受け継ぎ、あるいはパロった時代劇作品は、今までに数多く存在している。だが、必殺シリーズの成立過程……その誕生から、一応の終焉に至るまでを描いた(メイキング)ドラマは、これまで一度も描かれた事がなかった。例えるなら、「ウルトラマン」の誕生を描いたドラマ−実相寺監督原作による「星の林に月の船」のような作品だ。

 だが、2000年10月〜2001年3月に放映された、NHK朝の連続テレビ小説「オードリー」では、京都の太秦において、戦前から多くの時代劇映画を撮って来た(架空の)映画会社−「大京映画」(モデルは大映と思われる)が、映画産業の衰退・TV媒体の繁栄を受け、大ヒットとなったTV時代劇「木枯し紋次郎」に対抗し、起死回生の勝負を挑んだ初めての《TV作品》として、「惨殺浪人・夢死郎」と言うTV時代劇が登場する。

 同ドラマは、必殺シリーズが誕生した時代を背景とし、リアルなドラマと残酷描写・生と死の重み(痛み)を感じる殺陣を志向。キャスト・スタッフとも若手を大胆に起用し、予算不足のセットをカバーする為に、光と闇の陰影を強調した《映像技法》を創造。主人公とその仲間は、表と裏の二つの顔を持ち、法で裁けぬ悪を始末する「闇の処刑人」であり、毎回大物ゲストが悪役として登場する。……等々、様々な点において、「もう一つの必殺シリーズ」「必殺シリーズ・第0弾(?)」を描いていた(尚、「必殺シリーズ」自体に関しては、「オードリー」#47で、黒田社長が「松竹が紋次郎に対抗する作品を製作中」と言っているだけで、直接の描写はされていない)。

 だが……(これまでの文を否定するようなので、少し奇妙に感じられるかも知れないが)「夢死郎」は、設定・成立(〜終焉)過程こそ「必殺シリーズ」を丹念になぞっているが、作品内容それ自体を分析すると、必ずしもそうではない面もある。「仕置き(=殺し)の依頼」「頼み料の有無」と言った、必殺シリーズ特有の設定は、画面上では描かれてはいないが、それ以外にも……。
◎悪に対峙する時に名乗りを上げる
◎多人数相手の殺陣
◎暗殺剣ではなく、一対一の決闘で倒す
 これら三つの要素は、「大江戸捜査網」や従来タイプの時代劇でよく見られ、「必殺」でも時折登場するものの(「必殺4」「剣劇人」等)、どちらかと言えば例外的である。
 これは、「オードリー」のドラマガイド本や、本編での主人公・佐々木美月の口を借りて語っている、「オードリー」の脚本家・大石静氏の「必殺」(または「時代劇」)に対する考え方の相違だと思われる。大石氏(または、主人公の佐々木美月)は「時代劇は殺しの美学の追求なのか?」「時代劇だからこそ、人殺しも許されると言う考え方には賛同できない」と語っている。だが、必殺シリーズは、必ずしも「殺しの美学の追求」だけでは決してない!(もっとも、後期〜末期は、ほとんどその通りになってしまいましたが……トホホ!)そこには、悪党に泣かされる弱き者、恨みを飲んで、無念の心で死んで行った者の涙と怒り……そして、その悲痛な想いを受け継いだ闇の仕事師たちの喜怒哀楽が、ドラマの中に確固として存在している。
 また「必殺シリーズ完全闇知識」の座談会で、京極夏彦氏も「…悪い奴を殺すのはいいことなのか悪いことなのかって言ったら、それは悪いことでしょうよ(笑)。悪いことだけど、これは哀しいわとか、これは辛いわとか、こんな目に遭ったら生きていけないわって言うような話は、現代劇でやったら辛いだけなのよ。それを、そこまで見せて、でも最後にスッキリ終わらせるって言うことが出来るのは、時代劇だけですよね」と語られている。

 この辺り大石氏は、雑誌「TVステラ」の「さようならオードリー特集」のインタビューで……「〈惨殺浪人・夢死郎〉では「必殺仕事人」にない殺し方はないか、とかいろいろ資料を見たりして調べて」と語られているように、「必殺シリーズ」の設定・成立過程にはかなり迫られたものの、「必殺シリーズの本質的な概念」については、遂に理解されなかったのではなかろうか?(暴言妄言、多謝!)
 ……とは言っても、「惨殺浪人・夢死郎」が秀逸な必殺パロディー(良い意味での)である事には間違いがなく、脚本家の意向がどうであれ、結果的に「必殺テイスト」を感じさせる要素が、「オードリー」の中であちこちに見受けられるのも、また事実である。では、これからは、「惨殺浪人・夢死郎」がどのような【作品】であるか……その内容に詳しく迫ってみよう(尚、この研究で使用している画像は、当初は必殺シリーズ研究誌「殺した奴をまた殺す」に掲載予定だった為、全て「モノクロ化」されている事をご了承下さい)。


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