中条きよし特別公演「必殺 三味線屋勇次」
(1998年8月1〜25日/大阪・新歌舞伎座)

中条きよし

 「勇次復活!」新・歌舞伎座 観劇記


 1998年8月22日。ニフティーサーブの必殺会議室の面々が、中条きよし特別公演「必殺 三味線屋勇次」を見る為に、東から西から新歌舞伎座前に集合(総勢5名)。先ずは、近くのカラオケで自己紹介をした後、必殺のカラオケを熱唱!そして、いよいよ新・歌舞伎座に向けて出陣する!(笑)

 劇場内で販売している「必殺グッズ」はパンフレットに、勇次のサイン入りうちわ(二種類)と扇子(五種類)。更に別コーナーでは、勇次が出演している最終話シリーズのビデオ「新・仕事人」「仕事人III」「仕事人IV」「仕切人」に、スペシャルの「仕事人大集合」「アヘン戦争へ行く」、映画「必殺!」。更に、必殺シリーズのCD全集から、中条きよしのベスト物CD、サイン色紙付きの「あの日の嘘のつぐないに」まで販売していた。

 「……前口上はさておき!」(by中村主水)いよいよ、本番……三味線屋勇次だ!ストーリーの概略は省くが、全体としてのイメージは非常に良かったと言えるだろう。ストーリー的な部分で二・三の不満(おりくの存在には全く触れられてなかった事や、ストーリー上での必然性が余りないのに殺される、勇次の隣人の老婆と幼な子。頼み料&出陣シーンがなかった事、等々……)はあったものの、それらを吹っ飛ばしてしまったのが、「俺が三味線屋勇次だ!」「俺が必殺の顔(主役)だ!」と言わんばかりの、中条きよしの熱演だと言えるだろう。

 序幕とクライマックスでの、おなじみの三味線の糸による吊り殺しはもちろん。ここぞと言う場面での、登場の見事さと見得の切り方の巧みさ(特に、クライマックス直前。悪党たちの前へ花道のセリから姿を現す場面は絶品!)。刀や傘を使った立ち回りや、出雲のお艶ばりの仕込み三味線を使った殺陣も迫力に満ちていて、藤田まことの「大奥に参上」と比較すると、段違いの熱気と躍動感に溢れていた。
 また、勇次の幼馴染で、元は同じ仕事人仲間(得物は、何と三味線のバチ!これは、確実に「おりく」を意識している)で芸者だったが、今は大店の後妻となっているお園(朝丘雪路)の役回りが、最初の間は悪党と共謀して主人を殺害し、店の乗っ取りを謀らんでいる悪女の様にも思え(この当たり、「商売人」#18の新次とおようの関係を連想した)たが、次第に「勇次との悲恋」と言った方向にストーリーが展開。クライマックスで勇次の腕の中で息絶えるシーンに至るまで、非常に良い味を出していた。
 その他にも、「何でも屋の加代」と似た役回りだが、表と裏の世界の境界ギリギリの場所にいる兵六を演じた、花紀京のひょうひょうとした演技。冒頭いきなり、中村梅之助のオープニング・ナレーションで度肝を抜かれ(確か「必殺仕事人IV」?)てからは、必殺のBGMがバンバン流れていた事も挙げられるだろう。ただ唯一残念だったのは、南座での必殺公演恒例の「映像による連鎖劇」がなかった事である。

 しかし、総じて印象は良く、こう言ったイメージで「必殺仕切人」が作られていたらなあ……と、改めて思ったものだった。最後に……野村サッチーは、6日目だというのに未だ台詞ボロボロで、舞台上で勇次=中条きよしに「座長さん」と呼びかけては、観客席&舞台の上の役者さんからも失笑を買っていた(笑)。

 更に、中条氏の「必殺」に対するこだわりは、後半の「中条きよし・オン・ステージ」でも感じられ、最初着流し姿で和風のセットに登場して歌った歌は、三田村邦彦の「自惚れ」(おおっ!)。続いて、持ち歌の「忘れ草」へと移り、更には「必殺仕切人」のオープニングの口上(ただし、ラストは「……恨みを断ち切る仕事人!」)を自ら語った後、「櫻の花のように」(朝丘雪路の華麗なる舞が素晴らしい)。それから、セット全体がセリで下がり、ローマの廃墟風のセットに変わるや、今度は真っ白なラメ入りタキシード姿の中条氏が、花道のセリから登場!「うそ」等のヒット曲を披露した後、トークを挟んで、締めは映画・三味線屋勇次の主題歌「あの日の嘘のつぐないに」で締め括られた。

【公演データ】
 ◆監修/山内久司  脚本/岡本さとる  演出/田中林輔
 ◆出演/中条きよし・朝丘雪路・清水健太郎・花紀京
       高田次郎・成瀬正孝・菅原謙次・野村沙知代

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