【パロディー・スターウォーズ/帝国の予習】

《第5章》 オビ・ワン来たりて 笛を吹く


 荘厳なパイプオルガンの音色が、教会に鳴り響いていた……。純白のタキシードに身を包み、祭檀の前に佇むルーク・スカイウォーカーは、ゆっくりと花嫁の方を振り返った。そこには、ルークと同じように純白のウェディングドレスに身を包んだ、美しきレイア・オーガナ姫がいた!(BGM:「スターウォーズ・エンドテーマ)彼女の燃えるような瞳も幸せそうに微笑み、二人して祭檀の方に向き直ると、何故か牧師になって いるC-3POが厳かな声で問い掛ける。
「汝ルーク・スカイウォーカーは、レイア・オーガナを、汝の妻として生涯愛し続ける事を誓いますか?」
「誓います」
 ルークはきっぱりと答えた。
「よろしい……では、汝レイア・オーガナは、ルーク・スカイウォーカーを、汝の夫として生涯愛 し続ける事を誓いますか?」
「誓います……」 レイアは顔を赤らめながら答えた。
「よろしい!では、神と子と精霊の御名において、汝ら二人を、ここに夫婦と認める。神よ、彼らに幸せのあらん事を……では、誓いの口づけを」
「はい!」
 ルークは勢いよく答えると、レイアの方を振り返った。彼女の顔は、恥ずかしさに伏せられたままだった。ルークは、彼女の体をそっと抱き締めて呟いた。
「さあ、顔をお上げ……僕のスイート・ハート」
「ルーク……」 レイアが顔を上げながら言う……。
「どう?私……きれい?」

 ルークの目の前に現れたレイアの口は耳まで裂け、真っ赤な舌がちろちろと蠢いていた!
「うわーっ!」
 ルークは悲鳴を上げて逃げようとしたが、レイアの腕の力は万力のように強く、ルークを締め上げて放さなかった!
「嫌だー!口裂け女は嫌だーっ!」
 暴れるルークを両手で押さえ込んだレイアの大きく裂けた口が、ルークの喉笛に近付いて来た。
「さあ……おとなしくするのよ、ルーク」
 必死に抵抗するルーク!その内、彼の目に映るレイアの怖ろしい姿が次第にぼやけ始め、いつしかC-3POに変わって行った!
「ルーク様!ルーク様!……何を寝呆けているんですか!……起きて下さい、ルーク様!」
「C……3P…O?」
 C-3POの鋼鉄の腕に揺すぶられて、寝呆け眼のルークがやっと目を覚ました。
「ルーク様……やっとお目覚めになられましたか!大変な事が……」
 そこまでC-3POが言った時、ルークは時計を一目見るや、カッとなって叫んだ!
「今、何時だと思ってるんだ、C-3PO!……まだ、朝の5時半じゃないか!?せっかく……せっかく良い夢を見てたのに……お前のせいで〜〜〜!!」
 レイア姫との華麗な結婚式の夢を、C-3POの鋼鉄の腕に掴まれて揺すぶられた為に、悪夢へと変えられてしまったルークは、無理矢理起こされた事も重なって、怒り心頭に達していた!
「申し訳ございません、ルーク様。ですが、大変な事が起こりましたので、一刻も早くお伝えしようと思いまして……」
「それで!……何だよ、その大変な事って!」
 すっかり目が覚めてしまったルークは、仕方なく ベッドから起き上がって、C-3POに問い正した。
「実は……R2-D2が、今朝から行方不明なのです!」
「何だって!」
 ルークの怒りが一気に消し飛んだ!彼の脳裏に、買ったばかりのロボットをもう失ったと聞いて、 怒りの形相凄じく、ルークをカナディアン・バックブリーカーでギリギリと絞めつけるオーエン伯父の姿が浮かび上がり、体中に冷汗が流れた……。
「それで、C-3PO!R2-D2がどこに姿をく らましたのか、想像つかないのか?」
「いいえ、ルーク様。私が目を覚ました……いえ、自動タイマーの起動スイッチが入った時には、もうR2-D2は影も形もありませんでした。ど うやら、自分で勝手にドアロックを解除して、夜の内に出て行ったようです」
「うーん。昨日、行動規制ボルトを解除しちゃったからなあ。釜飯……いや釜ゆでにしたのが利きすぎて、夜逃げしたのかなあ?」
「もしかしたら、ルーク様。昨日R2-D2がうっかり口を滑らした……ええと、誰でしたか……そうそう、オビ・ワン・ケノービとか言う人の家へ行ったと考えられませんか?」
「オビ・ワンねえ……ベン・ケノービなら知ってるんだけど……もしかしたら、彼の親戚かな?」
「ベン・ケノービと言うのはどなたですか?」
「ああ、クラーケン台地の奥の方に住んでる風変わりな老人なんだけど……。仙人みたいな、隠居暮らしをしてるらしいんだ。皆、彼の事を乞食のベン、又はネズミのベンって呼んでる。僕も小さい頃に二・三度、何の用事か分からなかったけど、オーエン伯父さんに連れられて行った事もあるんだ」
「ふーむ。そいつが怪しいですな」
「君もそう思うかね、ワトソン君」「ええ……」
「何、初歩的な推理だよ、ワトソン君」
「"私"がそう推理したんです!あなたじゃありませんよ!」
「そう言う事か……」「そう言う事です」
「では、そう言う事で……違う、違う!こんな漫才をしてる暇はないんだ!」
「冗談を、言ってる内に、時は過ぎ……お粗末」
「C-3PO、バラバラに分解されたくなかったら、今直ぐ車庫からランドスピーダーを取ってこい!」
「ひえ〜〜〜い!」
 C-3POが姿を消すいなや、ルークは素早く空手着に着替えると、玄関に飛び出した。が……。

「は、早い!」(アムロの声で)
 玄関には、既にC-3POがランドスピーダーを停車させて、キセルで一服着けていた。
「遅いぞ、武蔵!」
 C-3POは、ルークをギロリと睨みつけ、彼が飛び乗るやいなや、ランドスピーダーを急発進させた!
「ひゃーっ!」
 ルークは、その仰りを喰って危うく転落しかけたが、辛うじて振り落とされずに済んだ。
「お、おい……C-3PO。急ぐのはいいんだけど、もうちょっと安全運転でやってくれないか?スピード違反で捕まるのは、僕もご免だ!」
「なあに……こんな砂漠じゃ、横断歩道も、信号も、白バイも……それに制限速度もないんだ。思いっ切り飛ばさせてもらいますよ!うーっ、このスピード!このスリル!この快感!畜生、久し振りに体中の血が沸いてきやがったぜ!ゾクゾクさせやがる!……いいですかい、お客さん!しっかりとシートベルトを締めていて下さいよ!」
「C-3PO……確か君は、第1章で『私には、血も涙もありませんからねー!』って言ってなかった?」
「そんな昔の事は覚えちゃいないね!」と言って、更にスピードを上げるC-3PO!見る見るスピード計の針が回り、時速200キロにまで加速した!
「うわっ〜〜、こんなに無茶苦茶なスピードを出して!ベンの家がどこかも知らないくせに……一体どこへ行く積もりなんだよ〜!」
「そんな先の事は分からない!」
 目が血走っているC-3PO!突然彼らの背後から、パーポーパーポーと言う、お馴染みのサイレンが響いた!
『あーあー……そこのランドスピーダー。直ちにスピードを落として止まりなさい!』
 余りのスピードに振り落とされそうなルークが、後を振り返って、思わず叫ぶ。
「ああ〜〜、噂をすれば影……やっぱりタトゥ ーイン警察だ!嫌だ〜〜!スピード違反で捕まって免停になるなんて、絶対に嫌だ〜〜!」
 頭を抱えるルーク。C-3POがぶっ飛ばすランドスピーダーを、タトゥーイン惑星警察・交通課のエアバイクとパトカーが、猛速で追尾して来たのだ!
「なーに。あと少しでアビス渓谷だ!あの複雑な岩場の間に入り込んで隠れちまえば、見付かりっこねえ。それまでの辛抱、辛抱……行きますよーー!」
 C-3POの脚が、アクセルを限界一杯まで踏み込むと、一気にランドスピーダーは加速し、レッドゾーンぎりぎりにまで達した!
 ♪風も〜震〜える〜ヘアピンカーブ〜〜!怖〜いものかと、GO〜!GO〜!GO〜〜!!
『……なお、警告にも係わらず停止しない場合は、公務執行妨害と見なして、直ちに攻撃する!』
 その言葉が終わるか終わらぬかの間に、エアパトカーは攻撃モードに変形し、無制限に速度を上昇させるや、ルークたちに超高速迫撃砲を連射して来た!それを猛スピードで、ジグザクに回避するラン ドスピーダー!火柱が上がり、地面が轟音と共に炸烈!灼熱の砂漠を舞台に繰り広げられる、究極のカー・チェイスだ!

 ……と、突如砂漠のど真ん中に踏切りが現れた。C-3POは、キキーッと音を立ててランドスピーダーを急停車させるや、素早く左右を確認し急発進した!
「C-3PO!どうして、あんな遮断機だけで、線路もない踏切りで止まったんだ?パトカーに追 い付かれるじゃないか!」
 後を振り返って、心配げにパトカーを見るルーク。彼の言葉通り、離されていたパトカーと白バイが一気に距離を詰め、同じように踏切りまで差し掛かった!彼らの目の前で、『カーン、カーン、カ ーン』と警笛が鳴り、遮断機が降り始める……。
「ええい、構わん!行け〜!」
 ツルピカ頭にサングラスのコジャック警部が、銃とペロペロキャンデーを振り回しながら、踏切りの手前でスピードを落とし始めたドライバーに向かって、怒鳴りつけた!そして、パトカーが再びスピードを増して、下がりつつある遮断機の下をくぐった瞬間……。何百とも知れぬ、巨大な王蟲の大群がもうもうとした砂煙を立てながら、一瞬にしてパトカーの上 を通り抜けた!その先頭にすっくと立つは、青き衣に身を包んだ、風の谷のナウシカ!一瞬の轟音と共に、王蟲が去った後には、ペチャンコになったパトカーが残されていた……。
「あ〜あ、だから止まった方が良かったのに……。知〜らないっ……と!」
 鉄クズと化したパトカーの横に停車するエアバイク。ヒラリと飛び降りた白バイ野郎ことジョンが、コジャックを残骸の下から引っ張り出した。
「全く……ここに踏切りがあるのは、砂漠の獣道になってるからって、ちゃんとした訳があるんだから……」
 もう一人の白バイ野郎パンチも、バイクから降りるや、ドライバーの巡査を救い出す。二人とも、ヨレヨレの埃まみれになっていたが、奇跡的にも怪我一つなかった。
「うるせェ!俺は逃亡犯人の逮捕に、ここに寄っただけで、この惑星の地理なんざ知っちゃいねえ!」
 と、尚も意気盛んにガラガラ声で、ジョン&パンチに向かって毒づく刑事コジャック!踏切りを飛び出るや、ルークのランドスピーダーを指差して怒鳴った!
「そんな事より、お前ら早くあいつらを追うんだ!逃げちまうぞ!」
「大丈夫ですよ、警部。俺たち白バイのベテランに任せておけば、あんなスピード違反野郎なんか ……」
 パンチがそこまで自信満々に言い切った時、再び踏切りの警笛が鳴り始めた!
「いけねえ!……今度は下りだ!!」
 ジョン&パンチがはっとなって立ち上がった……その瞬間!今度は反対方向から、何百とも知れぬ、巨大な砂虫の群れが、轟音と共に踏切りを通り抜けた!その先頭にすっくと立つは、ムアドディブことポウル・アトレイデ!暫くして、砂煙が収まった後には、ペチャンコになった2台のエアバイクと、粉微塵になったパトカーの残骸。そして、ズタボロになったジョン&パンチの情けない姿があった……。そして、彼らの目の届かない、遥か彼方へと去って行くランドスピーダー。
「畜生〜〜!」と、ヘルメットを地面に叩き付けるジョン!
「あいつらめ〜〜、今度会ったら只じゃ済まさんからな〜〜!覚えてろ〜〜!」
 パンチもじだんだ踏んで口惜しがる!二人のとめどない悪口・罵詈雑言は、いつまでもいつまでも木霊して、灼熱の砂漠に響き渡っていた……。


「ふ〜〜、寿命が1年縮まったよ!」
 アビス渓谷に停車して、パトカーと白バイが後を追って来れないのを確かめているルークとC-3PO。冷汗でグッショリになっているルークを見て、C-3POが自慢げに言った。
「まるで恐怖新聞ですね……言ったでしょ?私の腕を信じなさい!このC-3POを信じなさいって!」
 ♪あんたの息子を信じなさい〜〜。ホレ信じない〜〜!ホレ信じなさい〜〜!
「分かったよ!分かったから、早く行こう!」
『本当はC-3POの腕でも何でもなくて、王蟲と砂虫が偶然現れたせいだって言うのに……』
 自慢たらたらのC-3POを横目で見ながら、内心でブチブチと愚痴をこぼすルーク。ルークとC-3POは、無人のアビス渓谷を通り過ぎて、一路ベン・ケノービの住居を目指していたが……。
「いた!あそこだ!」
 ルークは、軽やかに口笛を吹きつつ、岩山の間の小路を進んで行くR2-D2の姿に、はっと気づいた。ランドスピーダーが急ブレーキを切って、先を行くR2-D2の前に回り込むと、そのまま……派手に横転して止まった!
「あ、痛たたたた……」
 体中打ち身だらけ。頭にはコブを作り、腰を押さえたルークが、ほうほうの態で出て来る。
「全く……何て荒っぽい運転なんだ!」
 だが、C-3POは全く気にも留めずに降車すると、R2-D2に向かって呼び掛けた。
「R2-D2、ご主人様の所へ帰るんだ!」
 ルークも愛想を浮かべて謝る。
「昨日の事は、本当に悪かったよ。僕もかっとなって、つい手荒な事をしてしまって……」
 R2-D2は暫く2人の顔をじっと見つめていたが、突如大声で喚き出し始めた!
「私には、果たさねばならぬ使命がある!たった一つの命を捨てて、R2-D2がやらねば、誰がやる?では、そう言う事で……」
 R2-D2は向きを変えると、再び進み始めた。
「R2-D2!」
 堪忍袋の尾が切れたルークが怒鳴りつけた時、C-3POがそっと静かに耳打ちした。
「ルーク様、お気をつけ下さい。何者かが周囲を取り囲んでいる様子です……」
「何だって?だから言っただろう、あんな無茶な運転をするから、とっ捕まるんだって……」
「これで免停まで、あと……何言わせるんです!?違いますよ。取り囲んでるのは警察じゃありません!」
「じゃ、何だ。一体!」「分かりません」
「ちぇっ!仕方ないなあ……」
 ルークは自動焦点式双眼鏡を抱えると、近くの岩場に登って、周囲を見渡した。
「何も見えないけど……ん?」
 ルークの双眼鏡の片隅に、巨大な熊猫のような生物が写った。
「熊猫って……パンダですか?」
「パンダじゃない……バンサだ!」
 その瞬間、ルークは何かの気配を察して、双眼鏡を下ろした!何と、彼の目の前には、手斧を振り上げたタスケンレイダーが立っていたのだ!
「……ジャンケンポン!」
 とっさにルークはそう叫ぶや、タスケンレイダーの目の前にグーを出した。思わずつられて、はっとハサミを出してしまうタスケンレイダー。
「あっち向いてホイ!」
 パッとタスケンレイダーが横を向いた瞬間、その横顔にルークのグー……つまり、拳固が飛んで来て大きく殴り飛ばされた!
「極真空手は、敵に後は見せん!」
 極真会館の通信教育生ルークは、初段の腕も凄じく岩場の間から雲蚊の如く飛び出してくるショッカーの怪人……もとい、タスケンレイダースを次から次へとなぎ倒して行く!(BGM:ドラゴン怒りの鉄拳)
「一人!……二人、三人!四人!さあ、命が惜しくない奴は、かかって来い!」
 ルークの雄姿に刺激されて、C-3POも燃え上がるような闘志を昂める!
「波動拳!太陽拳!百烈旋風脚!スペシャル・ローリング・サンダー!……」
 古今東西、過去から現代に渡るあらゆる格闘技の必殺技・究極奥儀の名が、次々とC-3POの口から発せられる!が……。
「ルーク様!ど、どうしたんでしょう……これだけ必殺技を繰り出してるのに、相手はちっとも倒れてくれません!」と、焦るC-3PO!
「馬鹿!お前は、必殺技の『名前』を口にしてるだけじゃないか!……必殺技って言うのは、こう言う風に繰り出すんだ!あたたたたたた……!」
 ルークは、目の前のタスケンレイダーの秘孔を、 一瞬の内に突き巻くり、ニヒルにふっと笑った。
「お前は既に死んでいる!」(ここのところ、神谷明の声で)
 タスケンレイダーも自分の体を見るや、ニッと笑って返事を返した。
『残念だな、俺たちはゾンビだ……。お前の言う通り、確かに俺たちは既に死んでいる』
 ♪ゾンビがくるりと輪を書いた。ホ〜イのホイ〜〜!
「あたたっ!」
 ルークはコケた。如何にルークが強かろうとも、ゾンビが相手ではどうにもならない。その言葉通り、ルークが撃ち倒した奴も、次々と地面から起き上がって来た!マイケル・ジャクスンの『スリ ラー』に乗って踊り狂い、襲い来るゾンビの群れ!鉄の爪を着けた奴……。アイスホッケーのマスクを着けた奴……。中には、白塗りメイクの派手な恰好で、『肉の蝋人形』を歌いながら、雄叫びを上げて迫って来る奴もいる!
「ルーク様、このままではじり貧です!私は、死霊を調伏する呪文を知っております!今こそ、それを唱える時です!」
「分かった!頼む、C-3PO!」
「いいですか?行きますよ……エロイム・エッサイム、エロイム・エッサイム……。我は求め訴えたり!」
 ♪エロイム・エッサイム、ハッ!エロイム・エッサイム、ハッ!回れ、地獄の魔法陣〜〜!
「それは悪魔くんじゃないか!おまけに、悪魔を呼び出す呪文だぞ!?」
「いえ、魔界転生です!」
「何言ってるんだ!同じ事だよ……どっちにしても!それより、悪魔から身を守る呪文と言えば…… あれだよ、あれ……」
「♪神様〜、お願〜い〜だ〜〜!」
「違う!」と言いつつ、敵を撃ち倒すルーク。
「♪ロマンスの神様、どうもありがとう〜〜!」
「違うだろ、全く……早くしろ!」
「あ、そうそう……思い出しました!何しろ、私の記憶回路には、何万と言うメモリーが入っておりますので、ちょっと混線したみたいです。では……」
 C-3POは、両手で素早く九字印を結んだ。
「臨・兵・闘・者・皆・陳・烈・在・前!……オンマリシエイソワカ、愛の力もて……わっ!」
 C-3POが念を唱えるのに気を取られ、ルークと体が離れて、防御が留守になった一瞬の隙に、タスケンレイダーがC-3POの頭をガッチリと抱え込んだ!と、ニヤリと笑った(?)C-3POは反射的に、そいつを後向けに抱えると、空中高くバックドロップを放った!
「えーい、受けてみるか!ルー・テーズ直伝フライング・バックドロップ!」
 C-3POとタスケンレイダーは、そのまま天高く舞った!
「馬鹿!C-3PO、そっちは崖だ!」「わ〜〜っ!地面がない〜〜!」
 後も見ずに飛び上がったC-3POは、抱え上げた相手もろとも、遥かな崖下へ転落して行った……!
「あの唐変木!何を……」
 そこまで言った時、C-3POに気を取られていたルークの頭めがけて、タスケンレイダースの杖が見事に炸烈!ルークは物も言わずに昏倒した。 勝利の凱歌を上げるタスケンレイダースは、ルークをランドスピーダーの元まで引っ張って来ると、 手当たり次第に略奪を始めようとした。すると突然、周囲を取り囲む岩場の何処からか、華麗な……そして凄絶なフルートのメロディー−『悪魔が来たりて笛を吹く』が流れて来た。ぎょっとなって浮足立つタスケンレイダー!やがて、岩場のありとあらゆる透き間から、ドドドッと言う巨大な音と共に、何千匹とも知れぬ砂漠ネズミが、山津波のように現れた!
『ギャーッ!』
 ゾンビの群れ−タスケンレイダースは飛び上がって驚くと、バンサを肩に担ぎ上げて、一目散に逃げ去って行った……。

 やがて鼠の大群は、ルークが倒れている所まで来ると、ピタリと静止し、グルッと彼の周囲を取り囲んだ。ピイピイ、チューチューと鳴き声を上げながら、じっとルークを見つめる鼠たち。その大群が二つに別れたかと思うと、そこに出来た道を、みすぼらしい衣服に身を包んだ、一人の老人が黄金のフルートを吹きながら、パイドパイパーの如く鼠たちを随えて現れた。一見風采の上がらぬ老人の体からは、目に見えぬオーラが漂っていた。彼は鼠たちを操っていた黄金のフルートを口から外すと、回りの鼠たちをよしよし……と言う風に見渡してフードを外す。そこに現れたのは、誰あろうオビ・ワン・ケノービの姿だった!彼は、失神したまま地面に倒れているルークの体を揺さぶった。
「♪これこれ、杉の子起きなさい〜〜」
『♪オ〜ビさ〜ま〜、に〜こに〜こ、声掛けた〜あ、声掛けた〜〜』と、合唱する鼠たち。
「う、うん……レイア。愛してる……」
「これこれ!何を寝呆けとるのだ……起きなさい、これ!起きなさいと言うに!」
 ケノビに激しく揺すぶられて、やっと目を覚ますルーク!
「う、うん?あなたは……ベン!そうだ、タスケンレイダースが!奴らは……一体どこにいったんです!?」
 ルークの矢継ぎ早の質問に、ケノビはよっこらしょっと腰を下ろした。
「まあ、落ち着きたまえ。レイダースは、この可愛い私の鼠たちが追っ払ってくれた。しばらくは 安全じゃ!今頃は奴らも、自分たちのテリトリーの砂漠に戻って、『聖櫃』でも掘っとるじゃろう!タスケンレイダース・オブ・ザ・ロストアーク ……ってな!」
 ケノビの寒いダジャレに、やっと我に返ったルークは、周囲を取り巻いている鼠の大群を見て、真っ蒼になった!
「いや……何!心配せんでよろしい!こいつらは、故なくして人に危害は与えんよ。皆、私の可愛い動物たちじゃ。私の言う事なら、何でも聞いてくれる……まあ、大船に乗った気でいたまえ!」
「は、はあ……」
 鼠たちは、今度は『ベンのテーマ』を合唱した。
『♪ベンは僕の友達〜〜、ベンは可愛い奴さ〜〜』(by マイケル・ジャクソン)
 ルークは蒼ざめたまま、完全には納得していなかったが、ケノビを信じて腰を下ろした。
「紹介しよう、ルーク!この白い奴が、鼠連のリーダー・ソクラテス。そして隣にいるのが、チュー隊長として全群を指揮したサブ・リーダーのアルジャーノンだ。唐突だが、アルジャーノンに花束を上げてやってくれんか?」
 ルークはアルジャーノンに花束を手渡し、鼠たちの間からパチパチと大きな拍手が起こった。と、 ルークははっと思い出した!
「そ、そうだ……こんなギャグをしてる暇なんかない!C-3POは、R2-D2は!二人は、一体 どこへ行ったんだ!」
 ……と、崖っ縁の洞窟から、R2-D2がこそこそと姿を現わした。
「R2-D2!無事だったのか!」『君子怪うきに近寄らず……逃げるが勝ち!』
 R2-D2は得意げにグルグル回った。ルークはその態度にカッとなって言った。
「このーっ!お前は、僕達が戦ってる間、隠れてたんだな!?この卑怯者!C-3POは……そうだ!C-3POは?」
「ルーク様〜〜!」
 弱くか細げな声が、崖の向うから聞こえて来る……。
「助けて下さい〜〜!」
 ルークとオビ・ワンは、その声のする方向へ急いだ。
「何て恰好だ……全く!」
 ルークは渋い顔をして呆れ果てた。C-3POは、犬神佐清の如く、真っ逆様になって地面に腰まで潜り込んでしまい、2本の足でバタバタと宙を蹴っていた……。そして、地面の下から助けを求める声が聞こえていた。ルークはベンの力を借りて、やっとの思いでC- 3POの体を引き抜いた。C-3POは片腕が取れ、体中がボコボコになって、酷い有様だった!
「こりゃ酷い!直ぐに修理しなくちゃ……でも、この当たりに修理工場なんてないし……」
 ルークは再び、修理工場から送られてきたC-3POの、高額の修理代請求書を見て、怒りの形相も凄じく、自分を卍固めでギリギリと絞め上げて いる、オウエン伯父の姿を想像して、ぞっと身震いした!ルークのその内なる心を察したのか、オビ ・ワンが言う。
「何なら、わしの家で修理してみちゃどうだ?ちょっとした道具なら揃っとるし……それにランドスピーダーなら、ここから直ぐじゃよ」
 ルークはその提案に飛び付いた。
「すいません、ベン!地獄に仏……渡りに船!ご好意に感謝します!」
「いや、何……わしもただとは言っとらん。ま、お安くしとくからのう」
 ルークは渋い顔になったが納得した。
「ここまで来たのも、何か胸騒ぎがしたからじゃが……結果として、良い所で会ったわい。いずれは顔を会わせねばならん身……いやいや、何でもない!何でもない!」
 思わず発した一人言を、慌てて自分で打ち消すオビ・ワンに、首を傾げながらR2-D2をランドスピーダーへと追いやるルーク。やがて、全員が乗り込むと、オビ・ワンは周囲を取り囲んでいる鼠達の大群に向かって言った。
「ウイラードが来た〜〜!」
 かつての過酷な飼い主ウイラードを思い浮かべた鼠達は、恐怖の余り一瞬にして蜘蛛の子を散らすように姿を消した!
「私に会いたくなったら、口笛を鳴らすが良いぞ!」
 オビ・ワンが鼠達に別れを告げ、ルークが操縦するランドスピーダーは、一路オビ・ワンの家を目指して発進した。




《第6章:スパイだョ、全員集合!…へ続く》


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