【パロディー・スターウォーズ/帝国の予習】

《第3章》 銀河悪役大会議


 ダースベイダーと、今やその捕虜となったレイア・オーガナ姫を乗せた小型搭載艇《プロメテウス》は、超弩級戦艦《トランター》を離脱するとハイパースペース飛行に入り、一瞬にして、モフ・ターキン総督の支配する帝国機動要塞−デス・スター宙域に出現した。
『こちらはデス・スター管制塔……。発着予定にない、貴艦の艦名・船籍・認識番号とその目的を述べよ……』
 プロメテウス号の通信士官ケムール人が、マイクを手にする。
「こちらは、帝国戦艦《トランター》搭載艇−プロメテウス。船籍は、銀河帝国中央艦隊第一大隊所属。認識番号THX−1138。目的は……」
「ええい、焦れったい!私が話す!」
 イライラしたダースベイダーが、ケムール人から通信機をひったくった。
「偉大なるシスの暗黒卿ダースベイダーたる、この私が、反乱軍の一味であるレイア・オーガナ姫を捕らえて帰って来たのだ!直ぐに着陸許可を出せ!」
「では……合言葉をどうぞ」
「……合言葉?」「合言葉です」
「合言葉は……合言葉は……猫にゃんにゃんにゃん!犬わんわんわん!カエルもアヒルも……」
「ベイダー卿!それは、随分以前のものです!今月は……」
 通信士のケムール人の言葉を遮って、ダースベイダーが怒鳴った!
「分かっておる……余計な口出しはするな!ただ、その……ちょっと、ど忘れしただけだ。では、と……今月の合言葉は『♪ ご飯、おだしに卵に、焼海苔……ぐつぐつ煮えたら〜〜……』」
『♪……おじや。了解!合言葉を確認致しました。どうぞ、E−1ルートから第5宇宙船発着場へ着艦下さい』

「うむ。トプトル艦長!早速、艦をE−1ルートに向けよ。ゴホン!ゴホゴホゴホ……」
「はっ!ダースベイダー様。進路変更36度50分。艦をE−1ルートに向けて、微速前進!」
「ゴホゴホゴホ……ゼーッ、ゼーッ!いかんなあ、また持病のゼンソク発作が出たらしい。ドクター・スミス、薬を頼む!ゼーッ、ゼーッ!」
「はいはいはい、ただ今ただ今」
 《ブレードランナー号》でのスパイの任務を終えて、再び本業の艦医の仕事に戻ったドクター・ザカリー・スミスは、急いでお盆に薬と水の入ったコップを乗せ、ダースベイダーの元へ持って来た。
「ご苦労、ドクター!」


第3章・イラスト(1)
 ダースベイダーは、粉薬の紙包みとコップを受け取ると、鉄仮面の口の部分をパカッと開け、口の中に粉薬を流し込んだ。……と、その途端、プロメテウス号の正面の大スクリーン一杯に映ったのは……デスラー総統!思わず、ブホッと口から粉薬を吹き出して、ダースベイダーは怒鳴った!
「何と言う……何と言う、ど厚かましい登場の仕方をする!おのれは主役のつもりか!?」
 当然だ…と言った表情をするデスラー総統。
「その通りだ……。私は、私が登場する場面においては、常に『主役』だ。私が登場する場面では、私以外の何者も『主役』と認めるつもりはない……ところで、ベイダー卿」
「ふんっ!何だ!」
 ダースベイダーは、スクリーン上のデスラーを睨みつけて怒鳴った!


「つい先程、惑星タトゥーインの衛星軌道上に留まっている帝国戦艦《トランター》から、超空間通信がこちらに届いた。それによると、惑星タトィーインに向けて発射された緊急脱出用ポッドには、やはりデス・スターの極秘情報を持ったスパイ・ロボットが二体乗っていたそうだ。コンピューターが、すっかり泥を吐いたらしい……ただし、半分狂っていたがね」
「それで、その情報を持った二体のロボットの行方は分かったのか?」
「いや、それはまだ調査中だ。だが、あの惑星で砂漠に迷ったロボットの行き先と言えば決っている。スクラップ屋ジャワズのサンド・クローラー以外にはない」
「うむ、分かった、デスラー!直ちに、タトゥーイン惑星政府が営業許可を出している、全てのジャワズ=スクラップ屋を捜索するよう指示を出せ!もし奴らが抵抗するようならば、構わぬ……皆殺しにせよ!」
「承知した……」
 デス・スターとの交信が終わり、大スクリーン上のデスラーの映像がすっと消えた……途端!ダースベイダーは、思いっ切り通信機を睨みつけ、フォースの力で破壊した!
「……おのれ おのれ おのれ、デスラーめ!この私に向かって、何と言う傲慢不遜な態度だ!スペース・オペラの風上にもおけん、たかが下らん日本製アニメのくせしおって!宇宙戦艦ヤマトが何だ!クラッシャージョウが何だ!ペリー・ローダンが何だ!リメンバー・パール・ハーバー!アメリカ万歳!スター・ウォーズに栄光あれ!」
 ジョン・ウィリアムス指揮のオーケストラのもと、勇壮に響き渡る『スター・ウォーズ/メイン・テーマ』!そして、プロメテウス号はデス・スターの第5宇宙船発着場に、ゆっくりと着艦した。


「私はこれから幹部会議に出席せねばならん。私が直々に尋問するまで、レイア姫は反乱軍専用監房−第17捕虜収容所へ収監しておけ!」
「かしこまりました、ベイダー様」
 レイア姫の収監を、地獄大使に命じたダースベイダーはすぐに艦を降りると、一路デス・スター中央第会議場へと足を進めた。しかし、あっと言う間に待ち構えていた報道陣に取り囲まれる。
「ベイダー卿。今日の幹部会議は、帝国の上級幹部全員が、全員出席されるそうですが……。何か重要な議題でも?」
「ノー・コメント」
「銀河上院議会が、つい先程解散させられましたが、何か圧力を加えられたのでは?」
「記憶にありません」
「宇宙海賊キャプテン・ハーロックの《アルカディア号》が、元老院議員のレイア・オーガナ姫が乗艦されていた《ブレード・ランナー号》を拿捕・破壊したとの情報が流れておりますが……」
「ほう、そうですか?」
「ねえ……何か言って下さいよ〜〜!」
「何も言えません」
「SFマガジン編集部です。ぜひ、今日の幹部会の議事録の独占掲載権を……」
「何を言うんです。我が奇想天外編集部こそ!」
「SFアドベンチャー編集部が……」「SF宝石編集部が……」
「四横綱揃い踏みですか」
「いえ、我がスターログ編集部を忘れてもらっては!」
「とにかく、今は何も言えません」
 ダースベイダーはそう言って、エレベーターに乗り込んだ。次から次へと押し寄せる報道陣を、ストーム・トルーパーズが遮って叫ぶ!
「報道陣は入れません!報道陣は入れません!……これ以上、押さないで下さい!」
「ダースベイダー卿!最後に、何か一言!」
 エレベーターの扉が閉まる瞬間、一人の記者が叫んだ!
「……ピップ・エレキバン!」
 シュッと扉が閉まり、ダースベイダーの姿はエレベーターの中に消えた。


 デス・スターの第15階層A−1地区に、直径50m・高さ100mの大会議室があった。その四つの壁面には、〈黒い幽霊〉魔神像・大暗黒死夜邪来像・ポセイドン大神像・彌勒菩薩像の巨大な神像が浮き彫りにされ、直径25mの巨大な円卓には、数百人の悪役たちが腰を下ろして、ダースベイダーの到着を、今か今かと待ち構えていた……。そして今、シスの暗黒卿ダースベイダーがマントを翻しながら、悠然と会議場の入口に姿を現わした。会議場のざわめきが一瞬にして消え失せ、ダースベイダーはゆっくりと自分の席に腰を下ろした。それを横目で見たモフ・ターキン総督が立ち上がり、大会議場に響き渡るような声を発した。
「ウオッホン!……それでは、我が親愛なる悪役諸君!まもなく皇帝陛下が入場されるが、その後直ちに銀河悪役大会議を始める事に……」
 火星の魔術師ウル・クォルンが口を挟んだ。
「まだ、あちこちに空席が目立つようだが……?」
「ああ……ドメル将軍とベルクカッツェは、惑星タトゥーインの周回軌道上にある帝国戦艦《トランター》に残っておって欠席だし、プリンス・シャーキン、トニー・ハーケン、プリンス・ハイネル、ガルーダ、リヒテル提督のサンライズ美形五人衆は、悪役を名乗るのは嫌だと言って、会議への出席を拒否しておる。ナゾーは四つの目の内、三つがトラホームにかかっており、ブロッケン伯爵は酷い頭痛がするとかで、頭を病院に預けてあるらしく欠席だ」
「しかし、それで九人でしょう。空席は十個ありますが、後一人は……」と、キース・アニアンが言った瞬間、ターキン総督の顔が見る見る内に渋くなった!
「言うな!あいつは恥だ!大阪の……いや、我が誇りある悪役の恥さらしだ!」
 その時、大会議場の大扉がシュッと開き、警備係のストーム・トルーパーズを掻き分けながら、全裸の美女を二人小脇に抱えた、変態怪人アッカーマンがにたにた笑いながら入って来た!そして、周囲の冷たい視線を物ともせずに、堂々と自分の席にふんぞり返った。
「いやあ〜〜、すんまへんなあ〜〜!遅なってしもうて……。わても、もっと早う来ようと思たんやけど、この子らがどうしても離してくれへんかったさかい……。へっ、へっ、へっ。いやー、ほんま!色男ちゅうのも、辛いもんや……」
「アッカーマン君……」
 デスラー総統が微笑みを浮かべながら、ポツリと言う。
「へ?」と、問い返す怪人アッカーマン。
「デス・スターに下品な男は不要だ……」
 デスラーがテーブルの上のボタンを押すや、アッカーマンは足元に突如出現した暗黒の穴の中へ、ヒュッと落ち込んで行った……。会議場が静かになる。やがて、帝国放送局のスピーカーから艦内放送が流れて来た。

『只今から、皇帝陛下の入場式であります。入場式に先立ちまして、国歌斉唱であります。皆様、ご起立下さい』
 モフ・ターキン総督、ダースベイダーを始めとして、数百人の悪役たちが席から立ち上がる。
『前奏に引き続き、ご唱和下さい』
 まもなく、スピーカーから銀河帝国国歌が流れ、全員が厳粛に歌い始めた。
 ♪君ヶ世はー、千代にー、八千代にーー、星雲ガスのー、巌となーりてー、ブラックホールにー、なーるまーーでーーー……
 国歌斉唱が終わるや、会議場の全員が、床から1mばかり高い皇帝の玉座に向かって頭を下げた。
『皇帝陛下ロクセイア12世のご入場です』
 ♪ジャン!ジャーン、ジャーン、ジャーン、ジャンジャカジャカジャン、ジャンジャンジャン!ジャン!ジャーン……
 宇宙空母ギャラクティカの勇壮なメイン・テーマが流れ、スポットライトが玉座をパッと照らし出す!そして、そこにセリ上がって来たのは……K畿大のT田氏と、D通大のO田氏!
「どこや、ここは!」「何や、関係のない場所に出て来たてもたみたいやで?」
 やがて二人は、目前にズラリと並んだ悪役連の冷たい視線に気づいた。
「お呼びでない?お呼びでないね!こらまた、失礼致しやした!」
 関西芸人の二人の姿が、瞬間的にパッと消える。
「帝国機械局……何をしとる!」
 マイクを掴んで怒鳴るダースベイダー!
『はっ!……どうやら、皇帝陛下のセリ空間が、次元の歪みに巻き込まれて、20世紀末の日本の大阪に連結してしまったようです。暫くお待ち下さい……あっ!今直りました!』
 「スター・ウォーズ/エンド・テーマ」の荘重なる響きと共に、黄金の玉座に座った皇帝ロクセイア12世が、ゆっくりと姿を現わした……。
「皇帝陛下におかれましてはご機嫌うるわしく、我ら陛下の忠実なる臣民と致しましても、誠に喜ばしい限りにございます」
 頭を下げたモフ・ターキン総督が、敬々しく言葉を並べる。
「うむ……。直ちに銀河悪役大会議を始め給え、ターキン総督」
「……ははっ!」
 ターキン総督は皇帝に一礼すると、皆の方に振り返った。

「宜しい、諸君。腰を下ろしてくれ給え」
 悪役連全員が腰を下ろすや、総督が再び口を開く。
「諸君も、既によく承知していられる事と思うが……銀河帝国上院議会は、我らが皇帝陛下の名により、つい先程解散させられ、議長のガンダルフも解任された。尚、総選挙は行なわれん」
 会議場に。おーっと歓声が上がる!
「加えて、つい先程上院議員レイア・オーガナ姫の外交使節団を乗せた宇宙船《ブレード・ランナー号》を拿捕した。レイア姫は、どうやら反乱軍の一味と思われる為、只今このデス・スターの第十七捕虜収容所に収監してある。まあ、全星系の惑星政府を掌握した今、反乱軍など、我が帝国宇宙艦隊とこの機動要塞デス・スターの前には、何程の事もないが……」
「しかし、総督……」と、ダースベイダーが口を挟む。
「このデス・スターの構造設計図が盗まれた今となっては、そう安心ばかりもしていられますまい。あれには、この機動要塞の全てが……弱点も含めて、あらゆる情報が記載されておるのです。もし万一、反乱軍の手に渡った時には、どのような事態が起こるやも知れません。是非とも、あの情報を取り戻さねば!」
「分かっておる、ダースベイダー!」
 苦虫を噛み潰したような表情を見せるターキン総督。
「如何に強力な存在であろうと、機動要塞デス・スターも、所詮は当てにならん機械に過ぎん。弱点もあれば、欠点もあるのだ。総督、今こそフォースに頼るのですぞ!」
「フォース……?そんな物が何だ!」
 機械伯爵が、ダースベイダーを睨んで言う。
「人は年を取り、老い、やがて死に絶える。機械こそは永遠不滅の存在なのだ!フォースなどと言う怪しげな人間の精神力に、一体どれ程の価値があると言うのだ!?」
 ダースベイダーの鋼鉄の仮面の奥で、その目がギラリと光る……。
「伯爵、フォースを馬鹿にすると……」
 途端に、機械伯爵が喉を押さえて悶え始めた!
「ウッ!エ、エネルギー・パイブが……く、苦しいっ!……」
「やめんか、ダースベイダー!」
 モフ・ターキン総督が、ダースベイダーに向かってピシリと言う。
「仲間内のギャグ……いや、仲間内で殺し合いなぞして何になる!」
 ターキン総督の叱責に、ダースベイダーが渋々手(?)を引っ込める。

「……それでは、諸君!諸君らに、反乱軍に対する対応策を伺う事としよう」
「先ず、反乱軍の基地に怪獣を送り込むのだ!」と、宇宙猿人ゴリ。
「それも、一週間毎に一匹だ!」と、ゴア。
「ウルトラマンのおらぬ反乱軍など、石のタヌキに過ぎん……。さすれば、反乱軍の基地など一捻りだ!」と、ギロチン帝王。
「怪獣などと、何を古臭い事を……!?送り込むならば、最新鋭の科学技術の粋を集めたロボットだ!」と力説するのはビッグファイア博士。
「ロボット……!?二十一世紀は、もうレイバーの時代ですよ」と、こちらはヘラヘラ笑いを絶やさない内海課長だ。
「ロボットもレイバーも前世紀の遺物に過ぎん……。真に畏怖すべき対象とは〈使徒〉だ!」と、いつもの如く、両手を顔の前で組み合わせて話す碇ゲンドウ。
「手温い!」と、スペクターの首領エルンスト・スタブロ・ブロフェルドが、禿頭を光らせながらビシッと言う!
「そんな生易しい事では、余りに手温過ぎる!反乱軍の基地があると思われる惑星には、どんな小さな場所であろうと、連日大艦隊を派遣し……」
「そして、徹底的に叩き潰すのだ!」と、レックス・ルーサーが言って、机をバシッと叩いた!
「焼き尽くし……」と、ブロフェルド。「殺し尽くし……」と、レックス・ルーサー。
「……そして、奪い尽くす。これを三光作戦と言うのよ〜〜ん!ニョホホホホ〜〜!!」
 緊張感を削ぐような、奇妙な笑い声を上げたDr.イーブルが、禿頭をピカッと光らせる!
「だが、ターキン総督……その、肝腎の反乱軍の基地の有りかは分かっておるのか?」と、言ったのは、ウラディミール・ハルコンネン男爵。途端に、モフ・ターキン総督の表情が不機嫌になった。
「それが何一つ分からんのだ!反乱軍は、最近すっかり姿を隠しており、我が優秀なる帝国秘密情報部も、何一つ手懸かりを掴んでおらん!」
 帝国秘密情報部の統括者−ブンドル長官を睨みつけるターキン総督!だが、当のブンドル長官はどこ吹く風の知らん顔だ……。
「だから、総督。私が言ったでしょう……情報部など当てにしてはならぬと!」
 ダースベイダーとブンドル長官の視線が、空中で絡み合い、激しく火花を散らす!それを見て、デスラー総統が悠然と構えて言った。
「諸君、落ち着き給え……。放っておいても、敵は必ず辛抱し切れなくなって、向こうから顔を出して来る。それを、何故わざわざこちらから、焦って打って出る必要があるのだ?こうるさいネズミが耐え切れずに顔を出した瞬間、我々は一撃の下に奴らを叩き潰す!ターキン総督……デス・スターは、本来その目的で建造されたのではなかったのかな?」
 我が意を得たりと言う風に頷くターキン総督。
「その通りだ、デスラー総統!だが、最近我が陣営には、反乱軍側のスパイが潜入しておる形跡がある。そやつが帝国の最高機密情報である、このデス・スターの構造設計図を盗みおったのだ!幾ら無敵を誇るデス・スターとは言え、あらゆる細部を調べ上げられ、我々とて知らぬ弱点を攻撃されれば、ガバナス要塞や白色彗星帝国の如く吹っ飛ばされてしまう可能性もある。まあ……現在の所は幸いにも、設計図面を持って逃げた奴の行き先は分かっているし、我が軍が全力を上げて捜索している最中だから、何とか取り戻せるだろう。だが、それよりも重大なのは、この中に裏切り者がいると言う事だ!」
 モフ・ターキン総督は、テーブルをバシッと叩いて、居並ぶ悪役連を睨みつけた!
「最高機密文書であるデス・スターの構造設計図に近付けるのは、この会議場にいる諸君らだけだ!お前たちの中の一人が裏切り者なのだ!」
 一瞬にして、し〜んと静まり返る大会議場……。ターキン総督が更に続ける。
「獅子心中の虫である裏切り者をあぶり出す為……その目的も兼ねて、私はこの銀河悪役大会議を召集したのだ!」

第3章・イラスト(2) 裏切り者はどいつだ!?…と言わんばかりに、周囲を見回すターキン総督!と、その時会議場の扉が開き、総督の美しい個人秘書が入って来た。
「総督、お茶が入りました」「いや、いつも済まんねえ……」
 激昂から覚めたターキン総督が、彼女から湯呑み茶碗を受け取るや、ズズーッと音を立ててすすり始めた。
「ああ……ミス・ワグナー。今日はもう自室へ帰ってよろしい。たぶん、この会議は徹夜で続くだろうからな……」
「……かしこまりました、総督」
 総督に一礼して、会議場を出て行こうとするワグナー秘書。が、そんな彼女をダースベイダーが呼び止めた。
「ちょっと待て!車は急に……いや、違った!お前のその声、そのスタイル、その曲線美。確かにどこかで見た覚えがある。顔には全く見覚えがないのだが……おい、こっちを向くんだ!」
 ミス・ワグナーは、ダースベイダーのフォースに縛られて、凍り付いた様にゆっくりと振り向いた。
「ダースベイダー!お前は、私の秘書に一体何を……?」
「静かに、総督!静かに、静かに……」

 ダースベイダーは、憤慨して立ち上がったターキン総督を遮るや、恐怖の余りに身動き出来ないワグナー秘書の顔をじっと覗き込む……。
「なるほど……そうか!」
 頷いたダースベイダーは、いきなりワグナー秘書の顔に両手を押し当てるや、その皮膚をベリベリッと剥ぎ取った!
「きゃあ〜〜〜っ!」
 会議場に響き渡る彼女の悲鳴!だが、次の瞬間、それよりも遥かに大きなどよめきが、悪役連の口から沸き起こった!
「……バイオニック・ジェミーだ!」
 変装用のバイオマスクを剥ぎ取られた顔は、OSIの秘密情報員バイオニック・ジェミーこと、ジェミー・ソマーズだった!ダースベイダーはピクリとも動けないジェミーの顎を掴むや、むりやり顔を上げさせた。
「貴様がスパイだったのか……ええ?それにしても、ターキン総督の秘書として潜り込んでおったとはな……。総督、あなたは今まで一体何を捜査されておったのです?他人ばかり疑っていて、自分の一番身近にいた人物を忘れていたとは!恥を知りなさい、恥を!」
 それまで呆気に取られていて何も言えなかったターキン総督は、ダースベイダーの譴るような視線にしどろもどろになった。
「いや、ダースベイダー……わしは…その……ご免ちゃい!」
「まあ……いいでしょう。それより、ミス・ソマーズ。あなたとは、もう一度ゆっくりと話をする事に致しましょうか……尋問室でね!ストーム・トルーパーズ、彼女を第十七捕虜収容所に……」
 そこまで言ったダースベイダーが、はっと予兆を感じて振り向いた瞬間!電光石火の如く、ゲルサドラがダースベイダーに向かってレーザーガンを発射した!自分を縛っていたフォースから解放されて、瞬時に身を翻すバイオニック・ジェミー!
「ゲルサドラ、貴様あ〜〜!」
 ダースベイダーは、間一髪レーザーの射線から身をかわして床に伏せた!次の瞬間、超巨漢のゴールドフィンガーが素早く立ち上がるや、顔に装着したバイオ・マスクをさっと剥ぎ取った!その下から現われたのは、IMFの作戦実行班リーダー、イーサン・ハントの若々しい顔だ!彼はミス・ワグナーを庇うや、床に向かって暗黒爆弾を投げつけた!一瞬にして大会議場は暗黒の闇に包まれ、怒号と喧騒が周囲に響き渡った!(BGM:「ミッション・インポッシブル」のテーマ)
「逃がすな!ジェミー・ソマーズとイーサン・ハント、それに裏切り者のゲルサドラを、一歩たりともこの部屋から逃がすでないぞ!」
 フォースによって、暗闇をも見通す事の出来るダースベイダーが叫んだ!
「畜生め!私は、ゲルサドラの紹介だから、あの娘を秘書にしたのだぞ!」
「私は総裁Xを……このデス・スターの中枢コンピューターの一つである総裁Xを倒す為、地獄から甦って来た!ダースベイダーとターキン総督の信頼を得る為、あえて再び悪役を演じながら、私はチャンスを伺っていたのだ!母の仇−総裁Xを倒す為に、私は反乱軍と手を結んだ!私の手引きでデス・スターに潜入した007とIMFチーム、それにバイオニック・ジェミーが、このデス・スター中に爆弾を仕掛けて回った筈だ!間もなく総裁Xもろとも、デス・スターは吹っ飛ぶだろう。私の恨みを思い知ったか、総裁X!」

 暗闇の中に響き渡るゲルサドラの哄笑が、次第に遠ざかって行く……。そして、怒鳴りまくるターキン総督の背後に、全く気配を感じさせない人影が忍び寄った……。黒づくめの殺し衣装に身を包んだ、闇の仕事人・かんざしの秀だ!ターキン総督が彼の殺気を感じ取った時には、既に遅かった!秀の鋭い簪が、ターキン総督の首筋にブスリと突き刺さった!
「ぐふっ……!」
 呻き声を上げて絶命したターキン総督が、床に崩折れる!慌てて振り返ったダースベイダーの目に映ったのは、玉座から立ち上がってうろたえている皇帝に、音もなく忍び寄る刺客……闇の仕事人・中村主水の姿だった!
「些か場違いだとは俺も承知してるが……作者から、特別出演を頼まれたんでね!世の為、人の為にならねえ奴は、あの世に行って貰おうか!」
「ま、待て!待ってくれ……うおっ!」
 主水に命請いをするロクセイア12世!が、その瞬間、ロクセイア12世の脇腹に、主水の太刀が深々と喰い込んだ!ダースベイダーは一声叫んで、皇帝の玉座へ走ったが、既に遅かった……。
「あった!暗黒爆弾を見つけたぞ!」
 暗闇の中、ドク・タイガーが暗黒爆弾を踏み潰した瞬間、会議場全体にパッと光が溢れた!が、そこで皆が目にしたのは、命のない骸と化して横たわっている銀河帝国皇帝ロクセイア12世とモフ・ターキン総督の無残な姿だった……。ジェミーとハント、ゲルサドラ、それに仕事人たちの姿は既に消え失せ、会議場入口で警護に着いていたストーム・トルーパーズは、全員が叩きのめされて床に伸びていた!
「くその役にも立たん奴らめ!」
 怒りに身を震わせているダースベイダーが、手近なマイクを掴んで怒鳴る!
「緊急事態だ!反乱軍のスパイが多数潜入して、デス・スター各所に爆弾を仕掛けた!直ちに発見して破壊せよ!敵のスパイは、発見しだい射殺せよ!繰り返す……反乱軍のスパイが多数潜入して、デス・スター各所に爆弾を仕掛けた!直ちに発見して破壊せよ!敵のスパイは、発見しだい射殺せよ!……尚、ゲルサドラは我々を裏切った!敵のスパイ同様、射殺せよ!」
「ベイダー卿……」「何だ、デスラー!?」
 激昂するダースベイダーに、ターキン総督が口にした湯呑みを、不安げな表情で指し示すデスラー総統。
「この湯呑み茶碗だが……。注意して耳を清ましてみると、何かコチコチ言っているような気がするんだが……」
 ダースベイダーの目が、ぐっと湯呑み茶碗に引き寄せられる。と、彼が思わず叫んだ!
「こ、これは……超小型時限爆弾!」

「何だって!」と、思わずデスラーが立ち上がる!ダースベイダーが発した言葉に、居並んでいた悪役連が一斉に浮き足立ち、争って大会議場の入口に殺到した!我を忘れ、先頭切って走ったのは、何と碇ゲンドウだ!全員、恥も外聞も振り捨てて、パニック状態に陥った!
「俺だ!」「わしが先に出るんだ!」「いや、私だ!」
「どけっ、どくんだ!」「下がれっ!邪魔だ!」「私が先よ!」
「私は死にたくない!」「てめーこのー!」「くたばりやがれえ〜〜!」
「へっへっへっ……怪人アッカーマンは不死身やでえ!」
「早くっ!」「助けて!」「お願いだから!」
 醜態を晒け出した悪役たちを尻目に、ダースベイダーは目の前の湯呑み茶碗−超小型核爆弾に思念を凝らした!ベイダーの強力なフォースによって、核爆弾はきらきら光ったかと思うと、すっと異次元へとワープした。ほっと一安心するダースベイダー。と、次の瞬間、デス・スターを揺るがすが如き大爆発が起こり、ダースベイダーは床に叩き付けられた!
「どうした、何事だ!?」
 マイクを掴んで怒鳴るダースベイダー!
『たった今、中央エネルギードームと中枢コンピューターが大爆発を起こしました!第1〜8までの武器庫にも、火が回っている様子です!』
「おのれー!007の仕業だなー!……どうなんだ、爆弾は処理出来ないのか!?」
『駄目です!あちこちで誘爆が始まっていて、どうにも手が着けられません!デス・スター全体が吹っ飛ぶのも、もう時間の問題です!う、うわーっ!……』
 マイクの向こうでも爆発が起こり、ダースベイダーの耳にも、何も聞こえなくなった……。
「おのれ、おのれ、おのれ〜〜!本家の映画版とは違うが故に、今度はこちらが勝つ気でおったのに!あの憎っくき作者めえ〜!話をこんな形で終わらせる気かあ〜〜!天は、天は我を見放した〜〜〜!!」
 ダースベイダーは、自らの傍らに横たわるターキン総督とロクセイア12世の遺体を見つめながら、両の拳を握り締めて絶叫した!

第3章・イラスト(3)
 大会議場から脱出したジェミーとイーサン、ゲルサドラたちは、出くわす敵を片っ端から撃ち倒しながら、ジェームズ・ボンドとのランデブー地点へと向かった!(BGM:007のテーマ)
「ジェミー!無事だったか!」
 レーザーガン片手に現われたのは、誰あろうOO7ジェームズ・ボンド!更にその後から、IMFメンバーのジム・フェルプスやイリヤ・クリヤキンたちも姿を見せた!
「ああ、ジェームズ!」
 人目も憚らず、恋人のジェームズ・ボンドに抱きつくジェミー!皆の視線を感じたボンドは、照れながらジェミーの体を引き離した。
「それは、事件がすべて片付いてからだ。今は、早くここから脱出しなきゃ!」
 そう言ってジェミーに軽くキスするボンド。デス・スターの緊急脱出ルームに向かって、一行はひた走った!

「それでジェームズ……あなたの方は上手く行ったの?」
「ああ、バッチリだ、ジェミー!ジムやイリヤのお蔭で、予定より早く爆弾を仕掛け終えた。デス・スターは、後15分くらいでドッカーン!……大爆発さ!もはや、何者もそれを防ぐ事は出来ないさ!」
 ボンドの大仰な仕草に、感極まったゲルサドラが呟く……。
「そうか。それじゃあ、総裁Xも……」
「もう、風前の灯し火よ……。良かったわね、ゲルサドラさん!これで、あなたもお母さんの仇が打てたって訳ね……」と、ジェミーが喜んで言う。
「とにかく、これで無事にデス・スターを脱出出来れば万々歳だ!もう、デス・スター砲も牽引ビームも艦隊格納庫も、すべてお陀仏さ!」
「私……何か、大事な事を、一つ忘れてる気ががするのよ。ついさっき、ターキン総督が言った……」
 走りながらも、額に手を当てて、「何か」を思い出そうとするジェミー。それを打ち消すかのように、陽気な笑顔を見せるボンド!
「気のせいだよ、気のせい!それよりも、今は一刻でも早く、ここから脱出する事だ大事だ!」

 (挿入ショット)第十七捕虜収容所に監禁されたままになっているレイア姫の憂い顔……。

 共和国軍にとって、最重要人物である筈のレイア姫の事を、ころっと忘れたまま、ボンドたちが緊急脱出ルームに辿り着いた時、既にそこにも火が迫りつつあった……。イーサンたちIMFのメンバーが乗り込んだ一機目の緊急脱出ポッドが発射され、続いて二機目のポッドにジェミーが乗り込んだ……。その瞬間、煙が渦巻いている通路の奥から、業火の中を一人生き延びたデスラー総統が現われた!
 体中に、深い打撲傷と火傷を負っていたデスラー総統は、ゲラサドラの姿を認めるや、瞬時にして手にしたレーザーを発射した!
「……うぐっ!」
 ゲルサドラの胸をレーザーが貫く!そのまま、ゆっくりと床に崩折れるゲルサドラ……。
「ゲルサドラ!」
 そう叫んでボンドが放った一撃は、デスラー総統の背後にあった緊急エア・ロックのスイッチに命中!その回路を焼き切った!
「うわ〜〜っ!」
 デスラー総統は、しゅっと背後で開いたエア・ロックから、真空の宇宙空間へと吸い出されて行った……『さらば宇宙戦艦ヤマト』のクライマックスのように。その後、自動的に予備の緊急扉が閉まった。胸を血に染めて倒れているゲルサドラに駆け寄るジェームズ・ボンド!
「ゲルサドラ、しっかりしろ!」
「ボン…ド……私…はもう死ぬ……その事は…私自身…が…良く知っている。胸……を、まともに…撃ち抜かれ……た…し…な……」
「ゲルサドラ!」
 ボンドが、ゲルサドラを抱きながら叫んだ!
「早く……ジェ…ミーと二人……で、逃げる…んだ。デス…スターが……爆発す…る…ぞ。私は…総…裁Xを……倒せれ…ば、それ……で……満…足だ。さあ……早く…逃げ…ろ、早く!ああ……お母さ…ん……お…か……あ…さ……」
 ゲルサドラの頭ががくりと傾く。ボンドは暫く黙っていたが、やがてゲルサドラの遺体を整えるや、立ち上がってピシリと言う!
「勇者に向かって敬礼!」
 通路の端から、ごうっと猛火が押し寄せた瞬間、ボンドはジェミーの待つ脱出ポッドに飛び込み、発進のスイッチを押した!バシューッと言う轟音と共に、最後の緊急脱出ポッドはボンドとジェミーを乗せたまま、デス・スターから宇宙空間へと飛び出した!後に、「あ〜〜!思い出した〜〜!姫が〜〜レイア姫が〜〜!!」と言うジェミーの絶叫を響かせながら……。


 そして、クライマックス……。『エンドテーマ/ジェームズ・ボンドのテーマ』が、爆発・炎上するデス・スター全体に響き渡る。次々と起こる大爆発の為に、デス・スターの存在する空間さえも歪む程だ!そして、猛火と轟音と震動の中、ダースベイダーは、ただ一人大会議場に立ち尽くしていた。作者の悪辣な陰謀により、いよいよ最期の時を向かえようとするデス・スター……。だが、自らの運命を拒否するダースベイダーは、ぐっと拳を握って叫んだ!
「だが、エンドマークは。エンドマークだけは絶対に出させんぞ!見よ……ご都合主義の権化『スペース1999』真っ蒼、開いた口が塞がらない『スーパーマン』顔負けの必殺技を!私の最後の秘密兵器を!」
 歪みつつある空間のエネルギーさえも吸収したダースベイダーの体がぴかーっと光るや、そのままふわっと宙に浮かび上がった!そして、大爆発を続けるデス・スターの外に飛び出すと、自転と反対の方向へ凄まじいスピードで回り始めた!
「エクセレント・スペシャル・フォース……!超光速逆回転!!」
 キーンと言う音を立てて、デス・スターの周囲を飛ぶダースベイダー!その速度が、遂に超光速に達するや、時間が逆行し、デス・スターは逆回転し始めた!過去へ……過去へ……過去へ……!
第3章・イラスト(4)

 時を遡り、遂にデス・スターは甦った!そしてダースベイダーは輝く光体のまま、今まさに会議場へ入ろうとする過去のダースベイダーと合体し、瞬時に命令を下した!
「ストーム・トルーパーズ!直ちに総督秘書ミス・ワグナーとゲルサドラ、並びにゴールドフィンガーを逮捕せよ!それからデス・スター中を捜索して、潜入している007とIMFチーム・闇の仕事人一味を発見せよ!」
「ベ、ベイダー!一体、お前は何を……」
 モフ・ターキン総督は、ダースベイダーが突然下した命令に、目を白黒させながら言葉を発した。が、ダースベイダーは総督を制するや、どさっと床に座り込んで、大きく肩で息をし始めた。
「ちょ、ちょっと…待って……下さい。後で……後ですべて……説明します。ゼーッ、ゼーッ!今は…フォースの……限……りを尽くし…ました……ので……ゼーッ、ゼーッ!もう…あんな……事は…二度と出来ん…でしょう……ゼーッ、ゼーッ!」
 反乱軍側のスパイを悉く捕らえたとの報告を受けたダースベイダーは、一安心とばかりに安堵の溜め息をついた……。やがて、ゴールドフィンガーの変装を剥ぎ取られたイーサン・ハントとゲルサドラが、ストーム・トルーパーズにがっちりと両腕を拘束されて、大会議場から連れ出されて行く……。その光景を目にしたターキン総督が、首を捻りながら言った。
「あやつらが、どうやら反乱軍のスパイらしい事は分かったが、つい先程までここを離れていたお前が、なぜそれを知り得たのだ?それに、そんなに精も根も使い果たした様子をしておるとは……ベイダーよ!帝国戦艦《トランター》で、一体何をしておったのだ?まさか……ベルクカッツェといちゃついておったのではあるまいな?」
 ターキン総督のからかうような言葉に、ダースベイダーは激昂して立ち上がった!
「総督!あなたは……あなたと言う人は!私は、デス・スターを破滅の運命から救おうと必死で……よろしい!もう、よろしい!私はもう何も言わん!今日の会議は欠席させて貰う!後は、皆で勝手にやってくれ!」
 激昂したダースベイダーは黒いマントをばさっと翻すや、ターキン総督と居並ぶ悪役連を後にして、足速に大会議場を出て行った!
「私の秘書は……ソルダム四世ドリカスはどこにいる!?」
「はい、ベイダー様。私は、ここにおります!」
 大会議場の入口横で控えていた四世(フォース)が言った。
「私は、これからレイア・オーガナ姫の尋問に行く!ついて来るのだ!
may the 『forth』 be wite me! (四世よ、我と共にあれ!)」
 シスの暗黒卿ダースベイダーと、その第一秘書・ソルダム四世ドリカスは、一路第十七捕虜収容所へと向かって行った……。
第3章・イラスト(5)


《第4章:ヒーロー登場!…へ続く》


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