【パロディー・スターウォーズ/ジェダイの復習】

《第28章》 一億に一つの偶然


「するりのジムか?何だって?999に乗ってる?どう言う事情か良く分からないが……俺たちも、直ぐにここから出るからな!」

 第9宇宙船発着場。ドクター・ノオの指揮するクリンゴン兵の攻撃を受けながら、バリケードの陰で無線機に話し掛けていたコブラが、傍らのハン・ソロに声を掛けた。

「ソロ……この急場を脱するのに、一つ共同作戦と行かないか?」

 ソロも、帝国軍に向かってレーザーの光条を浴びせながら答える。

「そうだな。このままじゃ、いつまで経っても。ラチが開きそうにねえからな……。で、どうしようってんだ?」
「そうだな……こんなのはどうだい?」

 コブラは、懐から取り出した葉巻に火を付けると、大きく振りかぶって、敵の陣地へ放り投げた!帝国軍の真っ只中にポトリと落ちる葉巻……。クリンゴンのコル大佐が、『何だこれは?』と拾い上げた……瞬間!轟音と共に、葉巻が大爆発を起こし、陣取っていたクリンゴン兵の一個師団を、物の見事に吹っ飛ばした!

「よし……行くぜ!」「おう〜〜!!」

 ツーと言えばカー。コブラの合図に全員が鬨の声を上げるや、帝国軍の攻撃が途絶えた一瞬の隙を狙って、一斉にバリケードを飛び出した!

「命が惜しくば、引き下がるが良い!」

 先頭切って飛び出した五右エ門の斬鉄剣が、唸りを上げて敵を薙ぎ倒し、コブラのサイコガンが、物陰に身を潜めた敵を屠って行く!レーザーガンを乱射するハン・ソロ、ルーク、ボンド、森雪、レイア姫、古代、エロイカ!ワルサーを百発百中命中させるルパン!マグナムをぶっ放す次元!ソルジャーの遺体とジョミーを両肩に担ぎ上げたチューバッカは、体当たりで敵を吹っ飛ばし、その後にR2-D2とアタフタしているC-3P0、呑気に口笛を吹きながらスキップしているボビイが続く。スーパーパワーを発揮して、襲い来る巨漢のクリンゴン兵を次々と吹っ飛ばすバイオニック・ジェミー!ララァの超能力で同士討ちをする帝国軍!

「おのれえ〜〜!貴様ら〜〜!!」

 配下の兵士を悉く倒され、たった一人となったドクター・ノオが猛り狂って飛び出すや、鋼鉄の義手を振りかざした。一瞬にして、それを斬り飛ばす五右エ門!だが、ニヤリと笑ったノオ博士の義手の付け根から、猛炎が噴き出した!

「食らえっ!……私の必殺技を!!」

 火炎の舞いを見せながら、すっくと立ち塞がるドクター・ノオの姿に呆れるコブラ!

「義手から火を出すなんて、『ケンタッキー・フライド・ムービー』じゃあるまいし……。レディー、頼むぜ!」
『了解、コブラ!』

 コブラからの連絡に答えたレディーが一つのスイッチを押すや、タートル号の外部ハッチから猛烈な水流が噴出した。

「うわあ〜〜!体が解ける。解けるう〜〜!!」

 オズの国の魔女の如く、ドクター・ノオは、水を浴びせかけられて、見る見る内に解けて行った……。後に残されたのは、黒の詰襟の中国服と、デス・スターの床に突き立った鋼鉄の義手だけだった……。(BGM:燃えよドラゴン/エンド・テーマ)


               ※

「よ〜し、開けてくれ!」『……OK!』

 コブラからの連絡に、一瞬にしてオンボロ宇宙船の偽装を解除したタートル号が、〈ミレニアム・ファルコン〉の真横に出現。エロイカやルパンたちが、船内へと駆け込む。それを目にして、思わず叫ぶハン・ソロ!

「畜生。お前ェの宇宙船が、こんなに俺の船の近くにあったなんて……全然気がつかなかったぜ!」
「俺だって、まさかここでお前と再会するなんて、思いも掛けてなかったからな。これでおあいこさ!」

 コブラが、ハン・ソロの目をじっと見つめる……。二人の手がガッチリと結び合わされ……そして!

「バロ〜〜ム!」「……クロス!」
「変身……バカヤロ!俺たちに何をさす気だ!」

 横からチャチャを入れたアムロを、思いっ切り張り倒すソロ。ドーッとコケるコブラ!

「だって……早くここから脱出しなくちゃ!」

 赤くなった頬をさすりながら、アムロが〈ミレニアム・ファルコン〉を指さした。レイア姫やC-3P0・R2-D2、ソルジャーとジョミーを背負ったチューバッカ、オビ・ワンの弟子たちも、次々と船内へと駆け込んでいたのだ。

「分かった……じゃあな、コブラ!《失われた聖櫃》作戦の成功、祈ってるぜ。また、宇宙のどっかで会おう!」

「ああ。それまで、お前もくたばるなよ、ソロ!」 コブラとソロは軽く掌を打ち合わせるや、相手にくるりと背を向け、それぞれの宇宙船へ……そして、自分の生きる世界へと向かって行った。


               ※

 帝国軍の更なる攻撃が来る前に脱出しようと、必死に発進の準備を整えるチューバッカ。だが……。ただ一人、未だに外でぐずぐずとしている者がいた。ルークだ!

「おい……一体そこで何してんだ、坊主!早くここから脱出しなきゃ、ヤバイんだぜ!」

 一足先に発進したタートル号を見て、焦ったソロが顔を出して言う。

「でも……ケノビ先生が!」

 ダースベイダーと一進一退の攻防を繰り広げているオビ・ワン・ケノービを指さすルーク。

「先生を、放ったらかしにしたまま、ここから脱出するなんて出来ないよ!」
「だったら、どうしろってんだ!?」
「そ、それは……」

 ルークが口ごもったとき、彼の頭の中に、オビ・ワンのテレパシーが響いた!

『ラン!ローラ、ラン!』
「ケノビ先生、それ、違う映画のタイトルです!僕はルークですよう〜〜!!」

 あっさりやられてしまった映画版とは違い、しぶとく頑張っているオビ・ワンは、ルークの顔をちらと見るや、強がりの微笑みを浮かべた……。

『わしの事なら大丈夫じゃ、ルーク。行け!行くのじゃ!』
「何だか、早く行けって言われてるような気がする……さあ、行くぜ!」
「先生〜〜!!」

 オビ・ワンのテレパシーを微かに感じ取ったハン・ソロは、嫌がるルークの襟元をむんずと掴むや、〈ミレニアム・ファルコン〉へ無理矢理引きずり込んだ!次の瞬間、ふわりと浮き上がった〈ミレニアム・ファルコン〉は、遮るものとてない宇宙船発着口から、真空の宇宙空間へと飛び出した!


               ※

 時間は少し戻り……ここは、第10宇宙船発着場。混沌の真っ只中のデス・スターにおいて、ここだけは奇妙な静けさがあたりを支配していた……。

「久しぶりだな、了……」

 血にまみれたデビルマンから、一瞬にして、ラフなTシャツとジーンズ姿の不動 明が、姿を現した飛鳥了…サタンの元へと近づいて行く……。

「ああ……。『デビルマンレディー』の最終話以来だ」

 宿命の間柄であるデビルマンとサタンは、何事もない様な表情のまま、間近に腰を降ろした。二人の視線がじっと絡み合う……。そこには、親しく語り合う友人同士の姿しか存在していなかった。

「明。僕は……」

 了がそう言った時、『ピシャ〜〜ア!』と言う凄まじい雄叫びと共に、第10宇宙船発着場の巨大な隔壁がぶち破られ、冷凍怪獣ペギラがなだれ込んで来た。ムッとなる了!

「……君に言いたい事があったんだ。実は、僕は……」

 再び、『ピシャ〜〜ア!』と雄叫びを上げるペギラ!

「……うるさいな、もう!僕の邪魔をしないでくれ!!」

 了がわずらわしげに、片手を軽く振った瞬間!冷凍怪獣ペギラは、何者かによって弾き飛ばされたかの如く、天井まで吹っ飛び、更に床に叩き付けられた!完全にノック・アウトされてしまったベギラを見て、ぶち破られた隔壁から、にせウルトラマンが顔を現わした。低姿勢のにせウルトラマンは、ペギラを担ぎ上げるや、了にへこへこと愛想を振りまきながら姿を消した……。

「明……僕は、君がデーモン族のアモンだった頃から、君を愛してたんだ……。それなのに、君は僕の事なんか振り向きもせずに、シレーヌや牧村美樹なんて奴らばかり追いかけてる。だから、僕は『バイオレンス・ジャック』で、美樹を君から奪い取って、僕の恋人にしたんだ!『デビルマンレディー』の最終回じゃ、何とかうまく行きそうだったのに、結局、君は僕の元から逃げてった!」

 いつの間にか、了はヒステリックになって、明を罵り始めた。呆れたような表情の明が、はーっとため息を吐くや、了を慰めるようにして言った。

「分かったよ、了。君が俺の事をそんなに想っててくれたなんて……今まで考えた事もなかったんだ。分かったから、そんなに落ち込まないで……。ところで、君に聞きたい事があるんだ、了!この世界に大いなる混沌をもたらしているのは……君のせいなのか?」

 明の率直な言葉に、冷静さを取り戻した了は、思わず苦笑して言った。

「クククッ……さすがは明だ。答えにくい質問を、いきなり僕にぶつけて来るとはね。他でもない、君と僕の間だ。教えて上げよう……この世界、大いなる邪悪と恐怖に支配されたこの宇宙は、僕のせい……じゃないんだよ、実は!そうだったら良かったんだけどね……。僕がこの次元に来た時は、既に別の存在が潜んでたんだ」
「誰なんだ、それは……了?」と叫ぶ不動明!
「さあ、誰だろうね?まあ……僕に非常によく似た存在だって事だけは確かさ。彼の大いなる邪気のせいで、失われた僕の力が復活したんだから、ある意味では感謝しなくっちゃ!……そんな事より、明!こんな、他人に支配された世界じゃなく、僕と君の二人で作る新しい世界へ行こう!」

 飛鳥了が、不動明の両肩に手を置き、同意を求めるように熱く訴えかけた。その途端、明の目に怒りの炎が燃え上がり、一瞬にしてサタンの仇敵−デビルマンの姿へ変身した!

「駄目だ……。もう、これで終わりにするんだ!」

 デビルマンの叫びが響き渡った瞬間、飛鳥了はニヤリと笑って、堕天使サタンに変身!二人の絶大なるパワーが激突し、彼らを取り巻く空間がピカーッと光るや、異様に歪み始めた!


               ※

 一方、ここは、未だに大祭司同士の派手な呪文合戦が続いている秘儀の間……。中央祭壇から降ろされたまま、放ったらかしにされている《聖櫃》に、一つの〈影〉が張り付いている……。カメレオン・スーツを着用して、暗黒の闇に溶け込み、無念無想の境地で精神集中を図っている高飛びレイクだ!じっと目を閉じたレイクが、心の中で呟く……。

『エナジー・イコール(E=)……』

 周囲の全てから意識を遮断して行くレイクが、全ての精神エネルギーを解放させるキー・ワードを完結させた!

『エム・シー・スクエア(MC2)!』

 その「言葉」と共に、彼の脳髄の奥に刻み込まれた、精神集中の為の半自動的なメカニズムが、連鎖反応的に作動を開始した!……心の各層が次々と研ぎ澄まされ、あたかもドミノ倒しを見るが如く、精神集中の段階が深化する……眼識・耳識・鼻識・舌識・身識の前五識から、意識である第六識までの表層六識が、次第に透明と化し、レイクを取り囲んでいた暗黒の闇までもが消滅して行った……。更に、彼の心的シークエンスは作動を続け、表層六識に次いで末那識が……そして、最後には全ての力の源泉である阿頼耶識までもが一つになった……。阿頼耶八識の完全なる統一……大円鏡智の完成である!

「……見えた!」

 レイクがパッと目を開いた。彼の心の視界には、灰色の亜空間を通して、コブラのタートル号に繋がっている光の道が見えたのだ!次の瞬間、レイクは《黄金の聖櫃》を抱きしめたまま、タートル号に向かって亜空間跳躍を敢行した!


               ※

「貴……様だけ…は、逃さ……ぬ!」

 《聖櫃》もろとも亜空間へ消滅するレイクを目にした魔人・加藤は、死の世界へ引きずり込まれつつある、己の最後の精神力を振り絞って叫ぶ!

「く…らえ!……我が力の……全…て…を……!」


               ※

「な、何だ!今の大震動は!?」

 デビルマンとサタンの莫大なパワーの激突によって、デス・スター全体が激しく揺さぶられ、ダースベイダーがそれに気を取られた瞬間!

「……今じゃ!」

 オビ・ワンがライト・セイバーを立てて精神を統一し、〈ミレニアム・ファルコン〉へのテレポートを計る。眼前で消えて行く宿敵の姿を目にしたダースベイダーは、怒り心頭に達するや、凄まじいまでの暗黒理力をオビ・ワンに向かって放った!

「おのれえ〜!逃してなるものかあ〜〜!!」


               ※

「さあ、行こう……明。僕と君だけの世界へ」
「……いいだろう。君がそう望むなら、俺は地獄の果てまで、君に付いて行ってやる!」

 異次元に向かって跳躍するデビルマンとサタン!


               ※

「私の…勝ちだ!……ははっ!ははははっ!!」

 残された精神力の全てを振り絞り、レイクに向かって、強大なる魔力を放った魔人・加藤が哄笑を残しながら、亜空間の渦の中に消えて行く……。そして、オビ・ワン・ケノービを追って放たれた、ダースベイダーの超絶の暗黒理力が、亜空間の真っ只中で激突!凄まじい超次元震動の中で、デス・スターの存在する空間が、カクテルシェイカーの如く、激しく揺り動かされた!


               ※

 ……亜空間。長距離ワープ中のヤマトII世号の艦内に、非常警報が鳴り響く!北野航海長が、島艦長の方を振り返って叫んだ。

「艦長!進行方向の亜空間に、異常震動発生!ワープが……ワープ機関が停止します!」
「馬鹿な!亜空間航行中の戦艦のワープが勝手に止まるなんて……そんな話、聞いた事がないぞ!」

 だが、百万に一つ、一千万に一つ……いや、一億に一つの偶然が、今起こったのだ! 前方で激しく渦巻いている亜空間に向かって、ヤマト 世号は為す術もなく引きずり込まれて行った!



《第29章:「久し振りだな、ヤマトの諸君!」…へ続く》


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