【パロディー・スターウォーズ/ジェダイの復習】

《第26章》 ボバ・フェットの正体


 話を元に戻そう……。レッドキングの出現で、ルークたちは、命からがら廃棄物処理場を脱出するのに成功した。だが、一体、どこから湧いて出るのか?次から次へと撃ち倒しても、ウジャウジャ現れて、しつこく追って来る帝国軍の兵士たち。

「ルーク……こう大勢で逃げ回ってちゃ、敵兵の良い的になっちまう。ここはひとつ分散して、スピーディーに行動しようぜ!」

 団体旅行のツァー・コンダクターの如く、ゾロゾロと彼の後に連いて来る一行を、煩わしそうな目付きで見つめるソロ。

「でも、僕らは〈ミレニアム・ファルコン〉が係留されてる発着場を知ってるから良いけど……ボンドさんやジェミーさんたちには、場所が分かんないんじゃない?」

 ルークが、追っ手のトプシダー兵を、レーザーガンでなぎ倒しながら、そう言ったところ……。

「心配いらないわ。私は、ターキン総督の秘書をしてたから、デス・スター内の地理は、十分に知り尽くしてるの。それに……もし道に迷っても、ララァさんのニュータイプ能力があるから、大丈夫よ!」

 ジェミーが、どんと胸を叩いて言う。

「よし、それで決った!じゃあ……」

 手打ちをするハン・ソロを、ルークが遮る。

「僕はレイアと一緒に先陣を切るから、ハンはチューバッカと二人で、帝国軍の追撃を防いでよ。それで、〈ミレニアム・ファルコン〉は、第9宇宙船発着場のTHX−1138区画にあるから……。ボンドさんは、ジェミーさんと雪さんとララァさんの三人をお願いします!」

「畜生!勝手に、一人で仕切りやがって……まあ、良いや。このじゃじゃ馬娘を、ルークが面倒見てくれるって言うんなら、俺は大歓迎だぜ!」

 レイアに憎まれ口を叩くソロ。ボンドもにんまりと笑みを浮かべて言う。

「私も、女性は必ず守ってみせるさ!」
「あら……守ってもらうのはどちらかしら?」

 気配を感じさせずに襲って来る暗殺僧−ゾーク・プリーストを、ニュータイプ能力で、見事に叩きのめしながら言うララァ。

「ぐだぐだ言ってる暇はねえぜ……ほら、また来やがった!」

 ハン・ソロの指摘に皆が目を向けると、後方からストーム・トルーパーズの一個中隊が押し寄せて来るのが見えた。「俺とチューバッカは、こいつらを始末してから行くから、お前らは先に行っててくれ!」と、言って不敵に笑うハン・ソロ。「かっこいい〜〜!」と、拍手する雪。次の瞬間、通路に不意に降りてきた隔壁の為に、一行はルークとハン・ソロ、チューバッカ、レイア姫の本家グループと、ボンドにジェミー、ララァと森雪の番外グループとに分断された。

「ウォウォウォーッ!」

 隔壁をドンドン叩くチューバッカ!「だめだよ、チューバッカ!お前の力でもこの壁は破れりゃしねえ。あいつらにゃあ別の道を行って貰うしかないさ」と、肩をすくめて言うハン・ソロ。

『分かりました。では、皆さんもお元気で……長寿と繁栄を!』「長寿と繁栄を!」

 ララァのテレパシーが、ルークとレイア姫の頭の中に響き、二人はバルカン・サインで別れを告げた。「じゃ、早く行きましょ!私は、デス・スターの地理を全部暗記してるから、何も問題ないわ」と、レイアがルークの先に立って突っ走る。

「結局、道に迷う可能性のあるのは、俺たち二人だけって事かよ……」

 ハン・ソロがチューバッカと顔を見合わせて愚痴をこぼしたが……。やがて、襲い来る帝国兵にレーザーガンをぶっ放しながら、言い放った!

「ええい!こうなりゃ、出たとこ任せだ!その内、何とかなるだろうぜ!」


 ♪その内、な〜んとか、な〜〜るだろう〜〜!分かっとるねえ……。分かっとる、分かっとる!分かったら、黙って俺について来〜〜い!(BGM:だまって俺について来い)

 黙ってレイアについて、十字路を左に行くルーク……。が、レイアが不意に立ち止まって言った。

「ちょっと待って、ルーク!この先は、確かY字路になってた筈なんだけど……どっちか一方が、底無しの通風シャフトなの。あ〜ん、思い出せない〜〜!」
「さっき、全部暗記してるって言ってたのに……もうっ!」

 ブツブツと不満を言うルークを無視し、頭の中でデス・スターの地図を思い出そうとするレイア。

「思い出した……右!右に行けば良いんだわ!」

 別れ道に差し掛かった時、レイアが叫んだ……その瞬間、左側から凄じい殺気が伝わって来た!

「……危ない!」「危険よ……!」

 フォースの力で同時に危険を感知したルークとレイアは、襲い来る黒い影を間一髪かわすと、右側の通路へ逃げ込む!

「二人同時に危険を感知するなんて……やっぱり、僕たちは運命の赤い糸で繋がれているんだ!」

 こんな危急の際にも、脳天気な笑顔を見せるルーク。

「そうね……。まあ、私もあなたにはなぜか親しみを感じてるし……。何より、あのガサツな野蛮人の海賊と比べると、天と地……月とスッポンだわ!」

 その言葉に、ルークは内心で『しめた!これで、レイアの心は、もう僕のものだ!……新婚旅行はどこにしようかな?……やっぱり、ヨーロッパかな?それとも、オーストラリアかな?』などと、飛んでもない事を考えていた……。が、次の瞬間、ルークのそんな想いはふっ飛んだ!旧日本軍のような制服にマントを着た巨漢が、仮面の男と共に、二人の後を追って来たのだ!

「待てい、貴様ら!……逃がしはせぬぞ!」

 巨漢が目を閉じて気を込めるや、凄じい勢いのパワーが掌から発射され、超合金の壁をえぐる。紙一重で、それを避けるルークたち!

「あれは……加藤保憲中尉よ!」

 秘儀の間の事件を知らないレイアが叫ぶ。「でも、帝都の魔人にしちゃ、ちょっと肥り過ぎみたいなんだけど……」と、これはルーク。

「私は……私は、加藤保憲ではない!私の名はベガ大佐!国際麻薬組織シャドルーの総帥だ!映画『ストリート・ファイター』では、故ラウル・ジュリアが演じておったが……。私は断じて加藤ではないぞ!」

 そっくり……と言う巷の評判に怒り、むきになって否定するベガ大佐!だが、部下の仮面の暗殺者バルログは、表情には全く現さずに、心の中で呟いた。

『でも、魔人・加藤保憲がモデルになってるって事は、業界内じゃ公然の秘密なんだから、仕方ないのに……』
「ええい、逃げ足の早い奴だ!待てと言うに!」

 「あっかんべ〜〜だ!」と、おちょくるレイア!だが、その先で彼らを待ち構えていたのは、何と直径50m、上下に限りなく伸びている、巨大な底無しの通風シャフトだった!6本の通路がここに繋がっていたが、その前には巨大な落とし穴が待ち構えていたのだ。

「とにかく……何とかしなきゃ!」

 ルークは、ベガ大佐とバルログの追撃を食い止めるべく、シャフト手前の扉を下ろすや、開閉装置をレーザーで焼き切った。行く手を遮られた追跡者の罵りが……凄じいばかりの震動が、扉の向こう側から伝わって来る!

「大佐……この先は底無しの通風シャフトです。どこにも逃げられません!」

 バルログが、トントンと扉をノックする。

「入ってますか?」「入ってます」

 レイアの答えが返って来る。

「馬鹿者!何をしとる!?」

 バルログを押し退けたベガ大佐は、目の前の扉をぶち破らんと、凄じい勢いで拳を叩きつけたが……。扉はびくともせずに、逆にベガ大佐が余りの痛さに、手を押さえて飛び上がった。

「ううむ……私の力でも、この扉を破るには、かなり時間が掛かりそうだ。何か良い手はないか、バルログ?」

 ベガ大佐の問い掛けに、首を捻っていたバルログが、ポンと手を打った。

「そう言えば……確か、この通路を少し戻った壁面に、巨大な給水タンクが設置してあった筈です。あいつをぶち破れば……」
「面白い!巨大な水の力で、この扉を破ろうと言う事のだな? 『インディー・ジョーンズ/魔宮の伝説』のクライマックスの再現か!」

 ニヤリと笑ったベガ大佐とバルログは、ルークとレイアを水責めにすべく、通路を戻って行った。そして、狙われている当の二人と言えば……。


「この扉が破られるのも、もう時間の問題ね……」

 レイアは、通路の反対側に現れた帝国兵を、レーザーで打ち倒しながら呟く。

「君が、こっちの道が正しいって言うから逃げて来たのに……違ったじゃないか!」

 責めるルークに、柳に風のレイア。

「まあ……私だって間違う事もあるわよ。それより、早く何とかしなくちゃ!」

 ブツブツ言いながら、通路の先を見渡していたルークは、やがて決心すると腰から束ねたロープを外した。

「よし……ターザン方式で行くか」

 ルークは、長いロープの先を輪にして、投げ縄を作るや、カウボーイのように大きく振り回す。そして、シャフト上部の出っ張りに、上手く引っかけると、しっかりとレイアを抱き締めた。

「ちょっと!どさくさに紛れて、何すんのよ!?」
「仕方ないだろ?これしかないんだから!」

 二人の背後からは、ゴウッと言う不気味な音が伝わって来た。凄まじい勢いで押し寄せてくる巨大な水流だ!

「分かったわ……でも、今回だけよ!」

 レイアも、ルークの体に手を回して、しっかりと抱き締めた。

「じゃ、行くよ!レイア!」

 真剣な表情のルークの頬に、唇を寄せるレイア。

「おまけよ……幸運のおまじない」「ウオッシャア〜〜!」

 思いもかけないキスに、元気一杯のルークが床を蹴り、レイアと共に宙に舞った瞬間、背後の扉が吹き飛んで、激しい鉄砲水が吹き出して来た!

「ア〜〜ア〜〜ア〜〜!」

 間一髪!ターザンよろしく、ルークとレイアが、ロープ1本で宙を飛ぶ!その途端、他の5本の通路からも、ロープに掴まって宙に舞う5つの人影が現れた……。ジャングルの王者ターザン!黒覆面の怪傑ゾロ!闇の世界に生きる正義の味方バットマン!『オ〜ラ〜!』と叫ぶ怪獣王子!そして、カウボーイハットを粋に被ったインディー・ジョーンズは、ルークと交差するや、ニヤッと笑って『頑張ってるな!』とばかりに、親指をつき立てた!そして、ルークとレイアが反対側の通路に着地した時、果てしなく続く通風シャフトの底に向かって、滝の如く落ちて行く水流の中に、ベガ大佐とバルログの姿があった……。

「馬鹿者〜〜!タンクを破る前に、なぜ自分たちの身の安全を考えんのだ〜〜!?」
「そんな事言ったって〜〜」

 闇の中へと消えて行く二人……。ルークは、間一髪鉄砲水を逃れられた事に、全身冷や汗でビッショリだったが、バイタリティー溢れるレイアが彼の尻を叩く。

「さあさあ……いつまでも休んでちゃダメ!私の記憶が正しければ、この先で皆と再会できる筈だから……さあ、急ぐのよ!」
「はいはい……分かりました!」

 レイアにせかされて、立ち上がるルーク!〈ミレニアム・ファルコン〉は、まだまだ遥か彼方にあった……。


               ※

 一方、ターザンさながらに、見事に通風シャフトを渡り切った、ルークとレイアは、再びハン・ソロ、チューバッカ組と再会した。

「よっ!坊主も、お姫様も無事だったみたいだな……ハァ、ハァ、ハァックショ〜〜〜イ!」

 どこかで水でも被ったのか、濡れネズミになったハン・ソロは、大きくクシャミをしている。

「畜生!どうしてだか、分からねえが……。いきなり物凄い量の水がやって来やがって、もう少しで溺れ死ぬとこだった!折角の男前が台無しだぜ、全く!」

 懐から取り出したタオルで、体を拭っているハン・ソロの言葉に、顔を見合わせるルークとレイア。レイア姫が思わず呟いた。

「あら…水もしたたる良い男って言うじゃない?」
「ほう?……お姫様から頂きました、そのお言葉。このハン・ソロ、ありがたく承っておきます」

 レイアに向かって、わざとらしく礼をするハン・ソロ。その後、遅れて現れたチューバッカも、ビショビショになった長い毛が体中に絡わりつき、みっともない恰好になっていた。追って来る者がいないかどうか振り返るチューバッカ。

「ウオーッ!」

 怒ったように一声吼えたチューバッカが、肩に掛けたガンベルトから、筒状の物体を取り出す。さっと伸ばしたコードを腰のバッテリー・パックに繋ぐや、スイッチを入れた。

「どうしたの?……その武器は何?」

 一瞬にして、真剣な表情になったレイア姫の目の前で、チューバッカの持った物の筒先から、たちまちにして熱風が吹き出し、びしょ濡れになったチューバッカの毛を乾かして行く……ハンド・ドライヤーだ!レイアとルークとハン・ソロが、思わずコケた。「この忙しい時に、身繕いだって?一体、何考えてるんだ!」と、怒鳴るルーク。

「そうよ!私なんか、ほら……折角の白の外交官用ドレスが、廃棄物処理場で泥まみれになって、台無しだって言うのに……あなたは、全身を綺麗にクリーニングして貰ったのよ。贅沢言わないで!」

 レイア姫は、顔をしかめて汚れ切ったドレスの裾を摘み上げる。ルークも思わず頷いた。

「仕方ねえだろ!前にも言った通り、こいつぁ水に濡れるとトリブルが飛び出る体質なんだから、いつも毛繕いしなきゃなんねえんだ。幸い、先の騒動で出尽くしたみたいで、もうタネ切れのようだが……そんな事より、もう行くぜ!いつまでも、こんな所でぐすぐずしてられねえからな!」

 ハン・ソロがそう言った途端、横の通廊から50人以上のストーム・トルーパーズが群れをなして現れた!

「いけねえ!〈特別編〉の追加CGで、数がいっぺんに増えやがった……逃げろ〜〜っ!」

 慌てて逃げ出すルークたち。が、今度は逃げて行った先で、何と『スターウォーズ/帝国の逆襲』出演ギャラ打ち合わせの為に、デス・スターに出張して来ていた賞金稼ぎの一群とバッタリ衝突した!

『ハン・ソロだ!』

 本家の映画版では余り出番のなかった彼ら−ザッカス、デンガー、ボスク、IG−88……その他、名もなき賞金稼ぎたちは、今こそ本領を発揮して見せようと、一斉に銃を構えた!更に、無用ノ介は大刀を抜き放ち、子連れ狼は乳母車型マシンガンを連射し、クリント・イーストウッドはポンチョを跳ね上げ、ゼイラムを倒した凄腕の美女イリアは先頭に立って叫ぶ!

「皆、引っ込んで!あいつは私の獲物よ!」
「こいつぁ、ヤバイぜ!」

 前門の虎、後門の狼−前後を挟まれたハン・ソロたちは、迫りくる危険に逃げ場を失った……と、その時、背後の帝国兵士の一団が、不意にバタバタと倒れ出したかと思うと、遠方から女性の爽やかな声が届いた。

「こっちよ!早く、来て!」
「ええい。これが罠なら、敢えて飛び込むまでだ!行くぜえ〜〜!」

 脱兎の如く、帝国兵士の間に飛び込んで、当るを幸いなぎ倒し、通り抜けて行くルークたち!

「待てい!逃げるとは卑怯なり、いざ尋常に勝負せよ!」

 後を追おうとした無用ノ介たちの前面に、閃光弾が投げ付けられ、彼らは一瞬にして視界を失った!その隙に、誰とも知れぬ声に導かれるまま、細い通路へと駆け込む4人組。やっとの思いで逃げ切ったルークたちは、追っ手が彼らを見失ったのを知ると、やれやれと腰を下ろした。「あーっ!全く、こんな所で奴らと出くわすなんて、ついてなかったぜ!」と、ハン・ソロ。

「『帝国の逆襲』じゃ、前宣伝の割りに、あの人たちあんまり出番がなかったもんね……」
「とにかく、助けてくれた人に感謝しなくちゃ!……ありがとう…ござい…ま……」

 ルークは立ち上がると、救いの神に向かって歩き出した……が、次の瞬間さーっと凍りついたかのように立ち尽くした!

「どうした、ルーク?」

 ルークが後ずさりすると同時に、通路の闇から現れた人物……それは、最強のバウンティハンター、ボバ・フェットだった!

「畜生、やっぱり罠か!」
「そう言えば……さっき賞金稼ぎの一団と出くわした時、あいつだけは姿が見えなかったわ」
「今更そんな事思い出して、どうするんだよ!」

 口々に罵るルークたち。が、それまで一言も口を聞かなかった(本家の映画でも滅多に喋らない)ボバ・フェットが仮面を外すや、そこには長い髪の美女が現れた!そして彼女は、涼やかな声でハン・ソロに向かって喋りかけたのだ!

「私を見忘れたの、ソロ?」
「知らねえなあ?」と、ハン・ソロは首を捻る。
「誰よ?あなた!」

 レイア姫は眉をひそめて、謎の女を見つめた。

「誰って……ボバ・フェットだろ?」
「違うわよ、物分りが悪い坊やね!ボバ・フェットの正体が、誰かって言う事よ!」

 苛立って言うレイア姫に、ムカッとなるルーク。

『坊やで悪かったな!僕の方が年上なんだぞ!』

「私の本当の名はレイチェル……そして、ハン・ソロ。あなたの〈本当の名前〉はリック・デッカードって言うのよ!」

 衝撃の事実!暴かれた〈真の名前〉!だが、ハン・ソロには思い当たるすべが無かった……。

「何のこった……一体?」
「可愛そうに……記憶喪失なのね。ハン・ソロ、あなた両親の顔を覚えてる?」
「俺が育ったのは、血と汗とラム酒の海賊の世界。俺が覚えてるのは、記憶喪失の俺を一人前の海賊に育てて、独立させてくれたおやっさん……海賊ジョン・シルバーの顔だけさ。親の顔なんざ知っちゃいねえ!」
「そうでしょ!覚えていないかも知れないけど……リック、あなたと逃避行に落ちた私は、最新型ネクサス6タイプのレプリカント。つまり寿命は無期限……不死だったの」
「ペリー・ローダンみたい!」と、レイア姫。
「……で、仮にあんたが不死だとしても、この俺は、どうして今まで生きていられたんだ?」と、彼女に皮肉っぽく言うソロ。
「それは、あなたも20世紀の地球で、イエス・キリストの末期の血を受けたと言われている、伝説の聖杯で水を飲んで、不死になったからよ!」

 突如響き渡る『インディー・ジョーンズ/最後の聖戦』のテーマ!再び明かされる衝撃の真実!

「あれはあなたが寝言で喋ったの……俺の本当の名前は、インディー・ジョーンズ。20世紀の地球の考古学者で冒険家。ナチの策謀で、親父と共に聖杯で水を飲み干して不死になっちまった……って」
「俺は寝言で、大事な事をついペラペラと喋っちまう癖があるんだ!」と、苦虫を噛み潰したような表情になるソロ!
「……でも、それから暫くして、あなたは私の元から消えてしまった。あれから私も独自に研究したんだけれど……普通の人間が不死の体質を獲得すると、細胞をリフレッシュする為に、何十年かに一度脳細胞がクリーニングされて、記憶喪失になるみたい。だから、私も記憶喪失になったあなたを捜し求めたの……」
「完璧な辻褄合わせね、本当に感心するわ!」とレイア姫。
「その内、あなたがハン・ソロと言う名前を名乗って海賊になったって耳にしたわ。だから私は、血のにじむような戦いと鍛錬を経て、バウンティーハンターになったの!仮面で顔を隠して、ボバ・フェットと名乗った。あなたを他のバウンティーハンターから救ったのも、リック……私を捨てて逃げたあなたを捕らえて、私自身のこの手で殺す為よ!」

 美貌の死神レイチェルことボバ・フェットは、自動追尾式超小型ミサイルマシンガンのレーザー・サイトを、ハン・ソロの額にピタリと当てた!……と、その前に出てレイチェルをとがめるレイア!

「あなたの言ってる事が本当かどうか、私には分からないけど……今、ここで私たちがデス・スターから逃げ出す邪魔はしてほしくないの!」
「……ははん、分かったわ。あなたがこのプレイボーイの今の恋人なのね?」
「何ですって!」

 早合点したレイチェルに、いきり立つレイア姫!

「おいおい!俺にはあんたの言ってる事は、ちんぷんかんぷんで、さっぱり覚えがないんだが……ただ一つ言っておきたいのは、俺はこのジャジャ馬お姫様とは、一切、これっぽっちも関係がないって事だ!」とむきになって否定するハン・ソロ!
「そうだよ!彼女は、僕と結婚するんだ!」と、これはルーク。
「私は、今は誰とも結婚する気がないわ。皆、勝手な事を言わないで!」と、これはレイア。
「うるさい!彼は私の恋人よ。他の誰にも渡す気はないわ!もしそんなつもりなら……」

 レイチェルの目の輝きが妖しく光り、銃口が再びハン・ソロに向けられる!緊迫した雰囲気の中、静寂が世界を支配した……。

「死ぬのよ、リック!」

 遂に発射された自動追尾式超小型ミサイル!一度発射されると、目標が完全に死亡・破壊されるまで後を追い続け、絶対に逃れられない悪魔の兵器だ。が、突如その死神が目標を外れて反転するや、向きを変えて床に激突。巻き起こった爆風で、レイチェルは吹き飛ばされて床に激突し、気を失った!

「な、な、な、何だ!」

 何が起こったのか分からず、動転するソロたちに、不意に声が掛けられた。

「皆さん……大丈夫でしたか?」

 それは、オビ・ワンに命令されて、死亡したソルジャーを担ぎ、必死の思いで決闘の場から逃れてきたジョミーの傷付いた姿だった!

「ちょうど……この女性がミサイルを、皆さんに向けて……発射するのが見えたので……必死でそらしたんですけど……もう、これが限界……」

 そこまで言って、ジョミーは背中に負ったソルジャー共々床に崩折れた!慌てて駆けつけたハン・ソロがしっかと抱き起こす。

「おい、坊主!傷は……深いな。とにかく、しっかりしろ!」
「ジョミー!先生は……オビ・ワン先生は一緒じゃないけど、一体どこに……?」

 失神しているジョミーの体を激しく揺さぶって、姿の見えないオビ・ワン・ケノービの行方を問い正そうとするルーク。

「だめよ。今彼に何を言っても聞こえないわ……ここじゃ十分な手当てもできないから、早く〈ミレニアム・ファルコン〉に連れて帰らなくちゃ!……オビ・ワンの事は心配しなくても大丈夫。きっと後から追い付いて来るから……」

 レイアの言葉にうなづくハン・ソロ。

「そうだな……あんなに元気なおっさんなら、放っといても大丈夫だろ。チューバッカ、ジョミーとソルジャーの2人を肩に担いでくれ!」

 「ウッキー!」と、OKサインを出すチューバッカ。

「……それとレイア。あいつの具合はどうだ?」

 床に倒れ伏しているレイチェルを指し示すハン・ソロ。彼女の体を簡単に調べて見たレイア姫は、振り返って言った。

「残念だけど……頭を打って失神してるだけ見たいよ。いっその事、くたばってたら良かったのに……」

 ハン・ソロの「恋人」と宣言したレイチェルに対し、知らず知らずの内に嫉妬の炎を燃やすレイア姫。

「おいおい、物騒な事言うなよ!まあ、俺にはさっぱり覚えがねえんだが……。そいつは武装解除して、ロープでしっかり縛っといてくれ。後を追ってくる事のないようにな。じゃあ、先に行ってるからな……」

 何かから逃げ出すような態度で、その場をさっさと後にするハン・ソロ……。後始末を任されたレイアは、呆れ顔をしながらも、ハン・ソロに言われた通りに、レイチェル行くルークたちの後を追った。

『全く、美人に甘いんだから!私に後始末までさせて……一体どう言うつもりなのよ?私は助け出されたのよ……もっと大事に扱ってほしいもんだわ!』

 ふくれっ面のレイア姫は、ぶつぶつ文句を言いながら、彼らの後を追って行く。〈ミレニアム・ファルコン〉が係留されている第9宇宙船発着状は、まだまだ遙か遠くにあった……。



《第27章:再 会…へ続く》


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