【パロディー・スターウォーズ/ジェダイの復習】

《第25章》 死闘!オビ・ワン対ベイダー!!


 デス・スターの牽引ビームを切る事にまんまと成功した(本当は、一度帝国兵の手で元に戻されており、マンディがセットし直したお蔭なのだが……)オビ・ワンとジョミー、ソルジャーの三人は、〈ミレニアム・ファルコン〉が係留してある第9宇宙船発着場へと向かっていた。途中で出くわした相手に、片っ端からフォースで催眠暗示を掛けている為、彼ら三人の素性を疑う者は一人もいなかった。
「先生。この調子だと、もう直ぐ〈ミレニアム・ファルコン〉まで辿り着けそうですね!」
 ソルジャーがマントを翻しながら言う。
「ああ、そうじゃな。ルークらが、無事に姫を救出しとると良いんじゃが……」
「大丈夫ですよ、先生。彼らに任せとけば!」
 ジョミーの言葉に頷くオビ・ワン。だが、その表情は心配げだ……。
「本当は、わしが自分が行きたかったのじゃが、何分この年じゃ。アクションとドンパチは敬遠して、こっちの仕事を選んだのじゃが……むっ!」
 突如、オビ・ワンが立ち止まり、後にいたジョミーとソルジャーが衝突。転倒した!
「あ痛っ!」「酷いよ、先生!」
「静かにするんじゃ、二人共。いるな……そこに。出て来るんじゃ、ベイダー!わしは逃げも隠れもせんぞ!」

 真剣な眼差しのオビ・ワンが、薄暗い通路の奥に向かって声を掛ける。そこから現われ出たる者こそ誰あろう!かつては、ジェダイ騎士団の一員にして、オビ・ワン・ケノービの愛弟子アナキン・スカイウォーカー。だが現在は、残虐無比なる帝国の親衛隊長で、独裁者ターキン総督の側近。邪悪なる暗黒理力の使い手ダースベイダーだ!
「久し振りじゃな、ベイダー……。我が不肖の弟子よ!」
 ベイダーを前にして、なぜか嬉しそうに言うオビ・ワン。
「あなたの微かな精神波動を感知したので、もしやと思って司令室から出て来たのだが……。正にドンピシャリだったな、オビ・ワン・ケノービよ。あなたとの溶岩台地の決闘で敗れて以来、私はこのような鉄の鎧を着けなければならなくなってしまった。だが、逆にこれで悪役の貫禄が増したと言うものだ。礼を言わねばならん」
「それは、それは……実にありがたい言葉だ。だが、ここで会ったが百年目。あの時、お前を仕留め損なったのは、わしの生涯の不覚であった。わしが見出し、一人前のジェダイの騎士として育て上げたお前だったが……ベイダーよ。今度こそ地獄に行くが良い!」
「いつまでも、過去の栄光とプライドに浸っているおいぼれが何をぬかす!私がお前に敗れたのは、昔の事だ。時は巡り、時代も変わった……」


 ♪時は巡り〜、また夏が来て〜、あの日と同じ〜七夕祭り〜〜。

「違う、違う……!私が言いたいのは、今ではこの私こそが銀河に並ぶ者なき存在、第一人者だと言う事だ!もはや、お前の時代ではないのだよ、オビ・ワン!」
「その言葉……真実かどうか、このわしが確かめてやろう!」
 そう言って、オビ・ワンは懐からライト・セーバーを取り出した。光り輝いて伸びる光剣!そして、ダースベイダーの掌の中に握られたライトセーバーからも、光の剣が現われた!瞬時にして、戦闘体勢に入る二人。その巨体を物ともせず、スピーディーに斬りかかって来るダースベイダー!それを、軽快なフットワークで見事にかわしたオビ・ワンだったが……。二人の間に、突如ソルジャーが割って入った!
「貴様!先生に乱暴するな!」
「あっ、馬鹿っ!お前の叶う相手ではない!」
 師の前に立ち塞がり、両手から強烈な電撃波を発して、ダースベイダーに立ち向かったソルジャーだったが……。
「……未熟!」
 傲慢に言い放ったダースベイダーが、ライトセイバーを一閃!瞬時に張ったバリヤーごと、ソルジャーはぶった斬られた!血しぶきを上げて、そのまま床に叩き付けられるソルジャー!ピクリとも動かない彼の体から、見る見る内に真っ赤な血溜まりが広がって行く……。
「ソルジャー!」
 絶叫したジョミーが、血にまみれたソルジャーの体を抱き起こす!だが、ダースベイダーの豪剣をまともに受けたソルジャーは、既に虫の息だった……。
「何と言う事をするんじゃ……」
 沈痛な表情を示すオビ・ワンが、ダースベイダーと相対峙しながら呟く。
「ソルジャー!しっかりして!」
 ソルジャーの手をぎゅっと握り締めるジョミー!
「ジョ……ミー……‥」
 血の気が無く、青ざめたソルジャーの唇が、切れ切れに言葉を呟く。
「か……環ろう……テ…ラへ……。僕……たちの……故…郷……へ……」
 ソルジャーの手がゆっくりと床に落ちる……。大いなる憬れ−遥か彼方の故郷テラの姿を目をする事なく、ソルジャーは息絶えた……。その亡き殻を抱いて嗚咽するジョミー!

「どうやら、あなたの弟子だったようだな。ろくな鍛錬もせずに、私に立ち向かおうとするから、このような羽目になるのだ。まあ……自業自得と言うものだな!」
「貴様!よくも……」
 ダースベイダーの嘲るような言葉に、オビ・ワンが怒りを露わにして進み出た……その時!
「ソルジャーの仇だ!」
 ソルジャーの死の悲しみと、それを嘲笑したダースベイダーへの怒りで、胸の中がいっぱいになっているジョミーは、無鉄砲にもダースベイダーに向かって、真正面から戦いを挑んだ!宙に浮かび上がり、強烈なエネルギー波をベイダーの頭上から浴びせかけるジョミー。ベイダーの体が目映いばかりに光輝く!だが……。
「ああ〜〜、良い気持ちだ!暫く肩が凝ってたのが、これですっきりした!」
 ジョミーの渾身の攻撃を、蚊に刺された程にも感じないダースベイダーは、肩をコキコキと左右に動かして、気持ち良さそうに呟いた。
「僕の……僕のエネルギーを吸い取ってる!」
 驚愕するジョミー。……と、ダースベイダーの目がギラッと光った!
「……では、これが私からのお礼だ!」
「いかん!逃げろ、ジョミー!」
 ダースベイダーの掌から発射された強烈なエネルギー波を防がんと、オビ・ワンが宙に舞う!激突する三人のエネルギーに、ジョミーとオビ・ワンが弾き飛ばされた!大きくバウンドして、床に横たわるジョミー。素早く駆け寄ったオビ・ワンが、ジョミーの傷の具合を見て取る。
「致命傷ではないが……ちゃんとした所で、早く治療をせんと危険じゃ。とりあえず、応急処置でもしておくか……。ベイダーよ、今わしに手出しをすれば、只では済まんと思え!」
 オビ・ワンの突き刺すような視線に、肩をすくめるダースベイダー。そしてオビ・ワンは、深手を負ったジョミーの傷口に手を当てて念を込めた。血に濡れた肩先がかすかに光るや、出血が止まる。オビ・ワンは、衣服を裂いて包帯にすると、強く絞め上げた。
「これで良し……と。とりあえずの手当ては済んだ。この場は、わしに任せるが良い。負傷しておるお前には少し酷だろうが、ソルジャーの遺体と共に、一刻も早く〈ミレニアム・ファルコン〉へ戻るのじゃ……。分かったな!」
 オビ・ワンの目の光に圧倒されて、ジョミーは慌てて答えた。
「……は、はい」
 ソルジャーを肩に担いで、この場を離れて行くジョミーの後姿を見送ると、オビ・ワンはゆっくりと振り返った。

「さてと……ベイダーよ。やっと二人きりになれたな……」
「これで、誰にも邪魔されずに、心行くまま思いのままに戦う事が出来ると言うものだ」
「……それにしてもベイダーよ。私がジョミーの手当てをしている間にも、斬り掛かって来ようと思えば幾らでもできたのに、じっと待っていてくれたとはな……。悪の権化に変貌したとは言え、やはり元は誇り高きジェダイの騎士アナキン・スカイウォーカー。フェアプレイの精神を忘れてはいなかったと見える……」
「言うな、その名前は!『ジェダイの復讐』までは、口にしてはならぬ筈だ!……とにかく、私はただ正々堂々とあなたを打ち破って、この銀河で最高の騎士だと言う事を証明したいだけだ!」
「私の言っとる事と、大して変わらんではないか……?」
 オビ・ワンは呆れ顔で呟いた。
「何か言ったか、オビ・ワン?」
「いやいや、何も言っとらんよ……では!」
 オビ・ワンとダースベイダーは口を閉ざし、じっと向かい合った。ライト・セイバーを構え、ぐるぐると円を描きながら、共に相手の隙を伺っていた。一瞬、ベイダーの姿が闇に隠れ、再び現われた瞬間、オビ・ワンが呼び掛けた。
「ベイダーよ」「何だ!」
「お前は既に死んでいる……もとい、お前はわしに倒される運命にあるのだ」
「何を言う!」
「知らんのか?ジョージ・ルーカス監督は、私を元々三船敏郎のイメージで描いていたのだ。と、言うことはだ。ダースベイダー、お前は仲代達矢であり、このシーンは『椿三十郎』のクライマックス……つまり、こうだ!」
 一瞬の内に間合いを詰めたオビ・ワンのライト・セイバーが一閃!ぶった斬られたダースベイダーの体から、血が噴水のように迸った!
「お前の負けだ!ダースベイダー!」
 オビ・ワンは、カメラ目線できっと見えを切ると、決めのセリフを発して笑みを浮かべた。
『よし、決った!一発OKじゃ!』
「果たしてそうかな?」「……何!?」

 オビ・ワンは闇の中から現われたもう一人のダースベイダーを唖然と見つめ、床の上に血に染まって倒れているダースベイダーの方を振り返った。
「お、お前は一体……?」
 ダースベイダーが、血にまみれて倒れている、もう一人のダースベイダーの鼻の先端を押す。すると、突然その姿がぶれ始めるや、見る見る内に目も鼻も口も……何にもない、ノッペラボウの人形になってしまった!
「くそっ!コピー・ロボットか!」
 じだんだ踏んで悔しがるオビ・ワン!
「フフフ……!あなたの方こそ忘れていたようだな。私が仲代達矢だと言うのなら、『影武者』の一人や二人用意しているのは当然の事だろうが……ハッハッハッ!」
「たばかったな、信玄!いつの間に摺り替わりおった!」
「私が、さっき闇の中に一時姿を消した時さ……。♪誰のせいでもありゃしない〜、瞞されたお前が悪いのさ〜〜!」
 次の瞬間、オビ・ワンとダースベイダーのライト・セイバーが、閃光と共に再び激突した!
「諸羽流正眼崩し、受けてみるか!」
「お前こそ、私の柳生新蔭流・秘伝の太刀を、体で知るがよい!」

 飛び散る火花!ライト・セイバーが、相手の一瞬の隙を狙って、必殺の一撃を加えるべく、電光石火激しく交差する!肌を掠めただけで、血がにじみ皮膚が焼ける!突き、躱し、払い、討つ!殺陣監督の指示する中、かつてジェダイの騎士として、最高の技量を誇った師弟は、今や敵同士として、その雌雄を決せんとしていた!
 全く同等だった二人は、戦いの中で永遠とも言える、長い長い時間が過ぎて行くかのように思えた……。が、いかんせん、二人の体力が違っていた。既に引退していたオビ・ワンに対し、戦いの中に常に身を置いていたダースベイダーでは、明らかに持久力に差があり過ぎた。いつしかオビ・ワンは押されぎみになり、次第次第に受け太刀に回っていた……。
『いかん!このままでは、生きて帰って、クライマックスのヤヴィン基地で、レイア姫から勲章を貰う事もできん……』
「そうか!反乱軍の基地は、惑星ヤヴィンにあるのだな?」
 焦ったオビ・ワンが、思わず洩らした思考を読み取って、ダース・ベイダーが叫んだ。
「強情なレイア姫からは、情報は得られなかったが……自ら提供してくれるとは、実にありがたい事だ!ハハハハハハ……」
 高笑いを上げるダース・ベイダー。オビ・ワンは唇を噛み締めて呟いた。
「しまった!こうなっては、ますますお前を生かしてはおけん……見よ!」
 鍔競合いで相対しているダースベイダーに、オビ・ワンはギョロリと目を剥いた!
「必殺!眼光崩し!」
 惑星タトゥーインで、全てのトップ・エージェントたちを、一瞬にして倒した必殺技だ!が、ダースベイダーはぴくりともしない。
「おかしい、私の必殺技がきかぬとは……?」
「ゼーハーゼーハー、催眠術なぞ掛かるか!」
「何だと!」
「私は既に死んでいる……いや、違った。私は既に眠っているのだ。寝ている者に、催眠術がかかる訳がない……ゼーハーゼーハー」
「しかし、おまえは喋っているではないか!?」
「これは寝言だ……これぞ、暗黒理力の秘技。必殺のドリーム・ファイトだ!」
 眠りながら戦うダースベイダーに対し、オビ・ワンは呆れて物が言えなかった。
「すると、その先程から、ゼーハーゼーハー言ってるのは……?」
「私の寝息だ。ゼーハーゼーハー」
『くそっ!こうなれば、隙を見て逃げ出すしか手がなさそうじゃな……』
 逃走……もとい、戦略的撤退にかかったオビ・ワンは、〈ミレニアム・ファルコン〉が係留してある第9宇宙船発着場に向けて、巧みに戦いの場を移動させて行った……。果たして、オビ・ワンの計略は効を奏するか?



《第26章:ボバ・フェットの正体…へ続く》


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