【パロディー・スターウォーズ/ジェダイの復習】

《第22章》 〈秘儀の間〉と魔人・加藤保憲

 静寂の中を降下し続けていた高速エレベーターが突如停止する……。シュッ!と言う音と共に開いた扉の前に広がっている世界。そこが、帝国の闇の世界を象徴する禁断の地……『秘儀の間』だ!
 そして、専用エレベーターから、一歩足を踏み出したエロイカ=ベイダーたちを出迎えた者こそ……。
「お待ち致しておりました。ベイダー様……」
 旧帝国陸軍の軍服に身を包み、邪悪なるオーラを全身から漂わせている長身の男……彼こそが、禁断の秘儀の間の番人、帝都の魔人・加藤保憲だ!加藤が浮かべる不気味な笑みに、一瞬後ずさったエロイカだったが……。はっと自分の目的を思い出したのか、次の瞬間には、如何にもダースベイダーらしい威厳と迫力に満ちた態度で応えた。
「ウ、ウム……。加藤よ、秘儀の間の警護、誠にご苦労である!」
「はっ、ベイダー様にその様なお言葉を頂けますとは、この加藤……誠に恐悦至極にございます。では、どうぞこちらへ……」
 加藤中尉に案内されて、いかにも当然と言った風情で秘儀の間の薄暗い通路を進んで行くエロイカたち……。壁に差し込まれている数本の松明が僅かな明かりとなって、壁に浮き彫りにされた様々な紋章や化け物の絵姿を、次々と写し出して行く!先に進む加藤の後姿をちらと見たルパンが、傍らの次元にそっと話しかけた……。
「どうやら、エロイカの変装がうまくいったと見えて、奴は俺たちの事を、これっぽっちも疑っちゃいねえみたいだな……ええ、次元!?」
「ああ……このままだと、作戦も順調に行きそうだぜ……」
 ストーム・トルーパーズの仮面の上からタバコを吸いながら(?)、そう応える次元。やがて、通路を抜けたエロイカたちの目の前に、約100mにも及ぼうかと言う、巨大な円形の空間が広がった!

 帝国の闇の心臓部とも言うべき「秘儀の間」の全ての壁に刻み込まれた巨大な邪神像は、壁際の松明に照らし出され、祭壇から立ち上る煙によってゆらゆらと揺らめき、不気味な雰囲気をを漂わせている……。そして、ブードゥー教、黒ミサ、〈黄金の夜明け〉教団、暗黒邪神教、フリーメーソン、バアロル教団……と言った、帝国の闇の世界に潜む、様々な秘密結社や邪教・邪宗の祭壇が同心円状に並び、多くの神官や呪術師たちが一心に祈りを捧げる中、ただ一つ雰囲気にそぐわない光景があった。長髪に太った体躯でギターを引きつつ歌っている、ジュピター教団の教祖だ!


 ♪さ〜よなら〜〜、大きな〜友達〜〜。さ〜ようなら〜〜、僕ら〜の仲間〜〜。

 そして、秘儀の間の中心に安置されている巨大な祭壇に奉られている物体こそ、今の銀河帝国の隆盛を支えているとも言われている《失われた聖櫃》……。正に、エロイカたちが狙っていた黄金に輝く秘宝だった!永年の間、追い求めていた聖櫃を目の前にして、思わず声を失ってしまうエロイカ!彼は人目も憚らずに祭壇に近付いて行くや、恐々手を伸ばして行った……。と、突然彼の背後から声が掛かった。思わず振り返るエロイカ=ベイダー。
「ベイダー様には、今更申し上げる必要もございませんが……ここが、我が帝国の霊的防衛の中枢であり、ベイダー様が今触れられている《聖櫃》こそが、その要となっております。はははっ……いや、失礼致しました!私が『霊的防衛』を口にすると言うのも、何か奇妙な感じがしますので……。それはともかく!ベイダー様は、最も効果的な『防衛』とは何だとお考えになられますか?」
 加藤中尉の言葉を上の空で聞き流していたエロイカ=ベイダーは、突然の質問にどぎまぎとなったが、いかにも答えを知っていて、相手を問い質すような口調で尊大に言った。
「あ……うむ!お前の考えはどうだ?……言ってみよ!」
「ははっ!昔からよく言われている事ですが……『攻撃こそ最大の防御』なのです!敵のアジトのありかを突き止め、指導者どもに恐るべき呪いを掛け、その戦力を徹底的に壊滅する……それこそが、最も効果的な防衛政策なのです。フフフッ……みんな壊してやる!」
 凶々しい笑い声を上げて、狂気に満ちた目で虚空を見つめる魔人・加藤の姿に、ゾーッとなるエロイカたち!と、加藤の口調がコロッと変わって穏やかになった。
「ところで、ベイダー様……。突然のこのご視察。我々は、何もお聞きしておりませんでしたが、いかなる御用でございましょうか?」
 加藤中尉の問い正すような質問に、ストーム・トルーパーズの格好をしたルパンが前に進み出るや、全くの嘘八百を喋り出した。

「え〜、オホン!実は、反乱軍との決戦を間近に控えた今、ダースベイダー様は、帝国の至宝である《黄金の聖櫃》を、より安全なる場所に移す為、ここに来られたのです」
 ルパンの言葉に、帝国でも名高い大祭司たちが、一斉にエロイカ=ベイダーの元に詰め寄って来た!
「そのような事……。我らは何一つ聞いてはおりませんぞ!」
 ユダヤの神官の衣装を身に着けた考古学者のベロック教授が激しく抗議する!
「ここで奉られている祭壇を移動されると言うのなら、たとえベイダー様であろうとも、事前に我々に相談があって然るべきじゃろうが!」
 鬼気迫る形相で、髪振り乱して迫って来るのは、暗黒邪神教の魔導師−魔邪利妖念だ!
「何故、今ここから移動せねばならんのか……納得の行く理由を聞かせて貰おうではないか!」
 ベイダーの心臓を抉り取らんばかりの勢いで、恐るべき右手を突き出して来る、古代インドの邪神官モーラ・ラム!
 それに対し、エロイカは正に最高の演技力を発揮し、ダースベイダーに成り切って怒鳴った。
「ええい!黙れ、黙れ、黙れ!偉大なるシスの暗黒卿ダースベイダーに対し、何と言う口の利き方だ!お前たちは、このわしの言葉が嘘だとでも言うつもりか!?この……罰当たりめが!」
「オロカモノメ!」
 塀の上でオロカ面も叫んでいる。
 エロイカ=ベイダーから発せられた凄まじいまでの迫力に、帝国の大祭司たちは、未だに納得は出来ないものの、一斉にへへーっ!…と引き下がった!ただ一人、加藤保憲中尉を除いては……。
「よかろう……納得したのならば、お前たちの手で、直ぐに《聖櫃》を祭壇から降ろすのだ!愚図愚図するでないぞ!もし、これ以上わしの意向に背くならば……その時は、お前たち全員の息の根を止めてやるからな!そう心せよ!」
 その言葉に、神官たちが一斉に飛び上がり、慌てふためいて、《黄金の聖櫃》の移動にかかった!中央祭壇からゆっくりと運び下ろされた聖櫃を、惚れ惚れする様に撫でさすっていたベイダー=エロイカに対し、加藤中尉の鋭い視線が注がれた。

「……ところで、ベイダー様にお伺い致したいのですが……ゼンソクの発作は、どうなされましたか?」
 加藤中尉の突然の言葉にギクリとなったエロイカが、あわてて「ゴホゴホゴホッ!」と、わざとらしい咳をした。
「ゼーッ、ゼーッ!……いや〜〜、暫く体調が良かったんで、持病の喘息も止まってたんだが……」
 何とか誤魔化そうとするエロイカ……。着込んでいるベイダーの黒い鎧の下は、既に冷汗でビッショリだ!だが、帝都の魔人・加藤保憲の冷徹な瞳は、エロイカの心を見通すかのように鋭く光っていた……。
「それに……閣下から、暗黒理力のオーラが全く感じ取れないのですが……。どうなされました?それも、体調が良ろしいせいですか?」
 今や、目の前にいるダースベイダーが、はっきり偽物と感じ取った加藤中尉が、狂気に満ちた笑みを浮かべて、エロイカに迫る!突然の《聖櫃》移動命令に不審を抱いていた帝国の大祭司たちも、加藤中尉後に同調して疑惑の視線を向けた!
「ベイダー……いや!どこの馬の骨とも知れぬ偽者よ!仮面を取って、その馬の如く長い顔を見せるが良い!」
「いくら、私の顔が長いからって、そんなに馬だの何だの、言わなくても良いのに……」
 加藤中尉を先頭に、じわりじわりと詰め寄って来る大祭司たちを前にして、エロイカは一人、そんな事をのんびりと呟いていた……。
「さあ……返答や如何に!?」
 万事窮す!ブードゥー教の魔人・サメディ男爵は踊りながら(?)詰め寄り、デーモン閣下がゴジラの如き雄叫びを上げながら迫る!ある者は目を妖しく光らせ、ある者は両手から火花を散らし、ある者は素早く呪文を唱えた!帝国の恐るべき神官を前にして、絶体絶命の窮地に追い込まれたエロイカたちだったが……。

「あ〜あ、暴れちゃしょうがねえな!ここは、一つ、正直に正体を現わそうや!」
 そう言って、ストーム・トルーパーズの仮面を頭から外したルパンが、ポ〜ン!……と放った!それを思わず受けとめた人物こそ、礼装に身を固めたカリオストロ伯爵だ!
「き……貴様はルパン!」
「おうおう、お久し振りい、カリオストロさんよ!あれから、もう何年になるかなあ……?」
「おのれ〜〜!貴様の……貴様のせいで!」
 ギリギリと歯ぎしりを起こして、ルパンを睨み付けるカリオストロ伯爵!だが、ルパンは伯爵が向けた憎悪の視線を全く気にする事もなく、平気の平座でストーム・トルーパーズのボディー・スーツを脱ぎ捨てた。ルパンに続いて、変装を解くレイク、次元、五右ヱ門!
「ふう……この変装は、熱くて溜まんねえぜ!」
 次元が、帽子をゆっくりと被り直して言う。
 「拙者、このように体の自由を奪う衣服は好まぬ!」と言って、いつものスタイルに戻る五右ヱ門。そして、最後に一人残った偽ダースベイダー=エロイカも、黒い鉄仮面を外した。流れるような美しい金髪が現われ、ふわりと宙に舞う……。
「ほう……あなたは怪盗エロイカ。つまり、ドリアン・レッド・グローリア伯爵だ……」
「私の名前をご存じとは、誠に光栄至極の至り……」
 ダースベイダーの黒い生体強化服を脱ぎ捨てて、いつもの華麗な衣裳に戻ったエロイカは、皮肉っぽく加藤中尉に礼をしてみせた。一方、魔人・加藤もエロイカを誉め称えて言う。
「伯爵、あなたの演技は完璧だった!たとえモフ・ターキン総督その人でさえ、あなたが化けられたダースベイダー卿を目の前にしては、到底偽者だとは気づかれないだろう……。あなたの不運は、他でもないこの私と出会った事だ……」
 そう言いながらも、じわりじわりと歩みを進める加藤中尉。神官たちに次第に取り囲まれ、いつしか聖櫃の前に追い詰められたルパン一行だったが、少しも焦りの様子は見受けられなかった……。
 ワルサーPPKを弄ぶルパン。マグナムに磨きを掛ける次元。無我の境地で目を閉じている五右ヱ門。腕時計を気にするエロイカ。聖櫃を眺めているレイク。
『おかしい……我々、特殊能力を備えた帝国の大祭司たちに周囲を取り囲まれていると言うのに、何故奴らはこのように悠々とした態度でいられるのだ……?』
 彼らの悠々とした態度に、疑念を抱く加藤中尉は、その真意を探るかのように問いを発した。
「伯爵、手に持ったそのささやかな武器で、たとえ我らの囲みを破れたとしても、その巨大な聖櫃を如何にして持ち出されるのかな……?担いで逃げるつもりなら、超人ハルク並の怪力が必要だ。またこの場を逃れられたとしても、デス・スターの内部には、数千人の戦闘員・超能力者が待ち構えている。更に、数百の戦闘艦を相手にして、如何に逃げおおせるのか……?諦めて、大人しく降伏するのが身の為だぞ」
 加藤中尉の言葉に、エロイカはうっすらと笑みを浮かべて応えた。
「ご配慮は大変ありがたいが、私は世界一……いや銀河一の怪盗だ!全ての事は考慮済みさ!」
 エロイカの指先が、電光石火の如く腕時計の蓋を跳ね上げるや、小型通信器に向かって叫んだ!
「今だ!」


               ※

「了解した!」
 七色いんこは通信を受け取ると、ステージ上で髪を振り乱し、激しく熱唱するロックシンガー・ジェリル・クチビの方を見た。事前に多量の興奮剤を与えてあった彼女は、凄じい声援を浴びて精神が高揚。ハイパー化現象を起こして、遂に巨大化した!そして、銀河サーカス団のステージが設けてあった大広間を蹂躙!居並ぶ帝国軍兵士を蹴散らし始めたのだ!更に、別のステージでは、リン・ミンメイの歌声に秘められたサブリミナル効果の為に、数百人の帝国兵士とストーム・トルーパーズが、興奮の極致から狂乱状態に陥り、巨大なスタンピードが発生した!


               ※

「OK!」
 コンピューターの予備制御室に忍び込んでいたコブラは通信を受け取ると、スーパーハッカーの「伯爵」−ボビイ・ニューマークに合図を出した。
「ようし、伯爵。やってくれ!」
「イッツ・ショータ〜〜イム!お楽しみはこれからさ!」
 そう言って、ボビイは電脳空間に侵入するや、デス・スター中のありとあらゆる電子器機を、一瞬にして大混乱に陥れた!
「ようし!……これで、後はハーロックに連絡を入れれば、いよいよ作戦開始だ!」


               ※

「よし!これより、デス・スターに総攻撃を開始する!」
 コブラから『陽動作戦成功!』の通信を受け取るや、デス・スターの眼前に、海賊同盟の大艦隊が超空間から突如出現した!漆黒の戦艦−キャプテン・ハーロックのアルカディア号!真紅の巨艦−クイーン・エメラルダスのクイーン・エメラルダス号!アンタレスとブラック・ジャックの宇宙海賊艦!更に氷の牙ドブスン船長の海賊船団と、宇宙の狼−スター・ウルフの大艦隊だ!
「ミーメ!デス・スターに向け、あらゆる周波数帯域で、通信チャンネルを開いてくれ!」
「了解しました、ハーロック艦長」
 海賊同盟の旗艦アルカディア号のブリッジにすっくと立ったキャプテン・ハーロックが、マイクを手に取った。ブラックジャックの処方戔で、既に悪性の感冒も完治し、元気満々だ!
「我が名は、キャプテン・ハーロック!銀河海賊同盟の盟主として、私は帝国の一方的かつ理由なき非難に対し、断固抗議する!我々、宇宙の海に生きる海賊は、弱者や正しき者たちを襲う事は決してない!襲うのは、常に残虐非道なる帝国軍や、弱き者を虐げる悪党共だけだ!ましてや、帝国元老院議員レイア・オーガナ姫の乗った宇宙船〈ブレード・ランナー号〉を〈アルカディア号〉が襲撃したと言うは、帝国の真っ赤な嘘偽り……我々、栄光ある銀河海賊同盟の名を汚し、泥にまみれ、陥れようとする帝国軍の策略だ!既に帝国のマスコミ各社には、抗議声明文を発送した。これより、我ら海賊同盟は、帝国に対し宣戦布告すると共に、機動要塞デス・スターへの全面攻撃を開始する!攻撃……開始!」
 〈アルカディア号〉のキャプテン・ハーロックから、デス・スターの広報部に向けて「不当報道に対する抗議声明文」がFAX送信されると同時に、デス・スターを取り囲んだ何百と言う海賊船から一斉攻撃が始まった!


               ※

「な、な、な……何事じゃ!?」
 悪役幹部の悪乗りカラオケ大会で酔い潰されて、先に眠っていたモフ・ターキン総督は、けたたましく鳴り渡る警報と響き渡る轟音と震動に、ナイトキャップとパジャマ姿のまま、ベッドから飛び起きた!が、寝ぼけまなこのまま起き上がったターキン総督は、足を踏み外して転倒し、そのまま伸びてしまう……。この事態に、最高責任者を失った(?)デス・スターの指揮系統は混乱を来し、結果として大打撃を被る事となる。


               ※

「まだ途中までしか歌っておらんと言うのに!」
 デス・スターの大カラオケ大会で、「沢田研二メドレー」を乗りに乗って歌いまくっていた、ダースベイダーの第二秘書・天草四郎は、突如起こった大騒動の中で歌を中断され、逃げ惑う帝国兵士の大群に、パラシュートを背負った華麗なステージ衣裳を揉みくちゃにされながらも、やっとの思いで主たるダースベイダー卿の元へ辿り着いた。
「ベイダー様!緊急事態です!」
「分かっておる、天草四郎!我が暗黒理力の導きにより、多くの邪なる者どもがこのデス・スターの内外において、様々な策謀をいたしておる事を今感じ取った!きゃつらを片っ端から叩き延めすのだ!お前もさっさと着替て来い!」
「はっ!ベイダー様!」
 素早く衣裳替えを済ませた天草四郎を引き連れ、ダースベイダーは中央司令室へと赴いた!


               ※

「ちょ、ちょっと!何よ〜、一体!?」
 ミレニアム・ファルコン号で留守番役兼七瀬の看病役を勤めていた砂姫明日香・小松崎蘭・リーザ、それにエイリア・アトレイデの4人は、皆が帰って来るまでの暇潰しに、お互いに相手の心を読みながらのポーカーゲームにふけっていたが、突如として起こったデス・スターの非常警報に肝を潰して、飛び上がった!
「落ち着いて!まだ、状況がはっきりしない内に、あたふた動いちゃだめ!ここを死守するって言うのが、オビ・ワン先生との約束なのよ!」
 エイリアの言葉に真剣に頷くや、女性陣は再びポーカーゲームに戻って行った……。


               ※

「どうしよう、古代君。スクリーンがやたらに点滅して、警報も鳴りっ放しだ!何か悪い事でも起こったんだろうか?」
 第9宇宙船発着場の管制室で、大混乱に陥った制御パネルを見てうろたえるアムロに、古代進は年上の貫禄でもってたしなめた。
「おちつくんだ、アムロ!今、ここで僕たちがあたふたしたからって、事態がどうなるもんでもない!先生やジョミーたち、それにルークやハン・ソロさんを信頼して、待ってるしかないんだから……。せめてできる事と言えば……」
 古代進は、C-3POの方を振り返って言った。
「C-3PO、R2-D2にデス・スターの情報回路にコネクト接続して、一体何が起こっているのか調べてくれるよう言ってくれないか?」
「はい、承知いたしましたです……おい、R2-D2!古代様に言われた通りに、情報ネットワークを調べるんだ!」
 『ビイッ!』と返事(?)をして、素直に情報端末に接続したR2-D2だったが……。いきなり『ピギャー!』と悲鳴を上げて飛び上がるや、様々な接続コネクタや多くの特殊アームを体中から飛び出して、そのままぶっ倒れた!
「大丈夫か、R2-D2!?」
 煙と火花を上げているR2-D2に 古代進・アムロ・C-3POが慌てて駆け寄った。
「ど、どうしたんでしょう?」
「接続端子を間違えて、電気のコンセントで感電したんじゃない?」
 心配気なC-3POとアムロに、古代がR2-D2の体をチェックしながら答える。
「うーん、どうやら情報ネットワークに接続した時に、大量のバグ情報が流れ込んで来て、コンピュ ーター・ウイルスにやられたみたいだ(←「伯爵」の仕業である)」
「ウイルスねえ……?すると、コンピューター風邪を引いたって訳ですか……」
「冗談言ってる場合じゃない、C-3PO!台本に書かれてある通り、後少しでルークたちが廃棄物処理場に落ち込む予定になっているんだから……早くR2-D2を修理しなくっちゃ、救出の時間に間に合わないよ!とにかく、僕が修理してみるから……。C-3PO、R2-D2の設計図とメンテナンス工具を持ってないか?」
「はい、分かりましたです……」
 C-3POが差し出した設計図を睨みながら、頭に日の丸のハチマキを絞めた古代は、床にズラッとメンテナンス工具を並べて、R2-D2の修理に取り掛かった! 果たして、時間まで間に合うか……乞う、御期待(?)


               ※

「一体何事だ、この大騒ぎは!?」
 秘書の天草四郎を引き連れたダースベイダーは、中央司令室に一歩足を踏み入れた途端、デス・スターを揺るがす震動と轟音、かん高い音を立てて響き渡る警戒警報、周囲をあたふたと駆け回る帝国兵士を前にして怒鳴った!
「ああ……ベイダー卿、やっと来られましたな」
 デス・スターの情報担当士官−痩身長身の美青年、キース・アニアンに向かって、次々と命令を出していたデスラー総統が、ベイダーの声を耳にするや、ゆっくりと振り向いた。
「警報が鳴り響いた際、たまたま私が中央司令室の近くを通りかかったので、この事態を収拾する為の指示をアニアン情報部長に出した所だ。卿に断わりなく指揮を取るに至った事は、誠に申し分けない事と思っている。これから後の始末は、卿にお任せする……」
 馬鹿丁寧な態度で、心にもない挙手の礼を取ったデスラー総統は、ダースベイダーに中央司令室の指揮官の場を譲り渡した。
「ベイダー様……デスラー総統は、悪役幹部連のカラオケ大会で飲みすぎて、中途で用を足しに姿を消されました……。その折にたまたま、非常警報に遭遇されたのでは?トイレがこの直ぐ近くですから……」
 小声でそっと、ダースベイダーに耳打ちする天草四郎。ダースベイダーもウムと頷いた。
「キース・アニアン!現在の状況を報告せよ!……それに、ターキン閣下は、この非常時に何をしておられるのだ!?」
 その声に、キース・アニアンが立ち上がって言った。
「はっ、ベイダー閣下!現在、デス・スターの内外において、多数の反乱分子が破壊活動を行なっている模様です!各部所からの報告によりますと……デス・スター内の電子機器内に、どこからか大量のコンピューター・ウィルスがばら巻かれた為、かなりの機器が機能停止、又は機能異常に陥っています!更に、銀河サーカス団会場を中心に、原因不明の暴動が続発!また、帝国最深遠部の立入禁止区域において、謎の大混乱が発生!加えて、レイア姫と反乱軍の捕虜を収容してありました、第十七捕虜収容所が侵入者によって破られました!それに、ターキン総督閣下の個室には、何度も緊急連絡をお入れしたのですが、未だお目覚めになられたご様子がございません!。ですが、何より最大の非常事態は……」
 そこまでキース・アニアンが言った時、デス・スター全体に震動が走り、再び轟音が鳴り響いた!
「何事だ!……先程からずっと鳴り響いている、この震動音と炸烈音は!?」
 苛立って言うダースベイダーに、キース・アニアンも思わず叫んだ!
「それを私は、先程から言おうとしていたんです!実は、キャプテン・ハーロック率いる海賊同盟の大船団が、ブレードランナー号破壊の罪名を背負わされた事に対して、抗議声明文を掲げながら、現在我がデス・スターを集中攻撃しているんです!」
「……何!」(と、ハナ肇の声で)
 驚いて、思わず立ち上がるダースベイダー!
「それで、なぜ応戦せんのだ!そんな事も、私がいちいち言わんと出来んのか!?」
 「しかし……」と、攻撃コンソールに着いている、ロミュランの女司令官セーラが言った。
「先程のアルデラーン大攻防戦で、派手に弾薬を使い過ぎて、未だ補給が済んでおりません……ほとんどの巨大兵器や戦艦、大型空母や自動要塞が、メンテナンスの真っ最中なんです!それに、電子機器に侵入したコンピューター・ウィルスの為に、大半の攻撃部隊が出撃不能に陥っています!只今、技術スタッフと医療陣が、現状回復に向けて、必死に努力している所です!」
 「何てこった!」と、歯噛みするダースベイダー。
「加えて、デス・スターの表層を原因不明の冷気が被っている為、発着口が凍結して使用不能。小型艦を始めとして、各種戦闘機・モビルスーツは、すべて出撃出来ません!現在可能なのは、小型機のタイ・ファイターのみです!」


               ※

「へっへっへっ……わいの超能力の凄さ、とくと見たかい!これで、デス・スターは、手も足も出えへんやろ!……さあ、行け〜!思う存分攻撃や〜〜!いてこましたれ〜〜〜!!」
 関西弁の宇宙海賊−氷の牙のドブスン船長の超能力により、デス・スターの表面全体に、冷気のブリザードが吹き荒れ、艦隊発着口は次々と凍結して行った!


               ※

「それで、他に攻撃可能な兵器はないのか!?」
 頭のてっぺんを、両手で掻きむしる(?)ダースベイダー!
「現在、対空砲座にて応戦しておりますが、効果は少ないものと思われます。各戦闘機部隊、モビルスーツ部隊には、発着口が使用可能になり次第、出撃するよう指令は出してありますが……」
「ダースベイダー卿。艦隊戦が不可能ならば、どうやら私に出番はなさそうだ……。自室で待機しておるので、その時が来ればご連絡頂きたい」
 ダースベイダーが、この大混乱と非常事態を如何に収拾するか……それをとくと見せて頂こうとでも言うべき慇懃無礼な態度を示しつつ、デスラー総統は司令室を出て行った。それを見送りながら、苛立って叫ぶダースベイダー!
「くそっ、デスラー総統め!上手く逃げおって!……キース・アニアン!戦闘が済み次第、直ぐに補給とメンテナンスを終えて、次の戦闘に備えるよういつも言ってあろうが!……とにかく今は、一刻も早く応戦できるよう、ありとあらゆる手段を取るのだ!攻撃準備が整い次第、私に報告せよ!……それから、海賊ギルドの本部に連絡回線を繋げ!」
「分かりました」
 司令部の通信コンソールを受け持っていた、ドクトル・オーヴァーが操作すると、正面のメイン・スクリーに、パッと海賊ギルドの受付が映った。

『こちらは海賊ギルドの本部よ〜。あなたのお名前とご用件をどうぞ〜〜』
 受付嬢は、黒のボンデージ・ファッションもセクシーなキャット・ウーマンだ。
「こちらは帝国機動要塞デス・スター、ダースベイダー閣下だ!緊急の用件につき、海賊ギルドの総統サラマンダー閣下に、至急取り次いで頂きたい!」
『ちょっと待ってね〜〜』
 画面が暫くお待ち下さいのスチールに切り換わり、静かなオルゴール音楽……もとい。派手派手なロック・ミュージックがBGMとしてガンガン流される!
「全く……たかが海賊のくせしおって、この私を待たせるとは!」と、苛立つダースベイダー!
『いいわよ〜〜、どうぞ〜〜』
 キャット・ウーマンの声と共に、画面がパッと切り替わり、スクリーンには海賊ギルドの重鎮・ビッグマーフィーの巨体が映った。
『これは、これは……ダースベイダー様。我が海賊ギルドに、何かご用でございますか……?』
 人を人とも思わぬような傲慢な態度、ふてぶてしい顔付きで、残忍苛烈な海賊として悪名高いビッグマーフィーが、やけに丁寧な言葉使いでもって、ダースベイダーに話しかけて来た。
「ご用……どころではない!たった今、キャプテン・ハーロックを始めとした海賊連中が、このデス・スターに対し大攻撃を加えておるのだぞ!一体、お前たちの所の最高評議会は、何をしておるのだ!?」
 ハーロックの名を聞いた途端、ビッグマーフィーはわざとらしいしかめ面を浮べて、愚痴をこぼした。
『いや……あのハーロックらには、私どももほとほと困っておるのです。ベイダー様もご存じの通り、我が海賊ギルドは、サラマンダー総統閣下を盟主と抱いて一致団結しておるのですが……。ハーロックを始めとする一部の輩は、《海賊同盟》 とやらを名乗って、我々ギルドの手綱から離れ、勝手な行動を取っております。何しろ、奴らは正義の味方ですからねえ……私ども悪役たる海賊ギルドの最高評議会では抑えがきかんのですよ……』
「抑えがきかんで済まされるか!貴様らも同じ海賊なら、もう少し会員の統制に勤めたらどうだ!……まあ、良い!いつまでもこんな事を話していても、ラチが開かん!今後、帝国政府に対し、このような攻撃行為が行なわれた場合には、容赦はせんからな!……そのつもりでおれ!」
 苛立ったダースベイダーが映像通信を切ると、邪悪な雰囲気を漂わせる海賊ギルドの総裁室で、パネルスクリーンの前のビッグマーフィーが、くるりと振り返り床に膝を着いた。

「総統閣下……あのような返事で良ろしゅうございましたでしょうか?」
「うむ。ご苦労、ビッグマーフィー!」
 ビッグマーフィーに背を向けている黒い人影……彼こそ、銀河の暗黒社会を陰から支配している、犯罪帝国・海賊ギルドの総帥。全身を黒い鎧で被った、鉄の巨人サラマンダーだった!
「銀河帝国と海賊ギルドの根は一つ……共に、恐怖によって社会を支配している点では同じだ!違いは僅かに、奴らは国家と言う表の世界で、我々は犯罪と言う裏の世界で活動しているに過ぎん」
「その通りでございます、総統閣下」
 忠実なる臣下ビッグマーフィーの声を聞きながら、サラマンダー総統は、広い部屋の中央に据えられた豪華なイスに腰を降ろして、言葉を続けた。
「帝国と海賊ギルドは表裏一体……。共に相手を利用し利用される存在であり続けて来た。それ故、どちらかが滅ぶ時は、自分が滅ぶ時でもあるのだが……如何せん!余りに帝国が強大になり過ぎると言うのも、我々にとっては非常に都合が悪い事だ」
「ごもっともでございます、閣下!」
「それ故、《海賊同盟》とやらを名乗り、我々の意向に従わぬ一部の連中を上手くけしかけて、帝国の勢力を削っておくのも、引いては我々の将来にも繋がって来ると言うものだ……」
「はっ!……そこで、我々ギルドの秘密工作員が、脳天気で単純極まりないドブスン船団や、非情な海賊を自認している割りには、仲間同士の結託が強くて、意外と義理人情やお涙頂戴に弱いスターウルフらを、陰から大いに煽ってやったのですが……見事にその成果が出たようでございます」
 ビッグマーフィーがニタリと笑った!
「奴らが抱いておる正義感、ヒロイズムは、我々にはとんと理解出来んが、上手く利用してやれば、こちらの目的にも叶ってくれると言う事だ!まあ、せいぜい頑張って、帝国に打撃を与えておいてくれ!後は、我々海賊ギルドがすべてを支配するのだ!」
 サラマンダーの不気味な高笑いが、いつまでもいつまでも海賊ギルドの総裁室に木霊していた……。



《第23章:あっちでもこっちでも大騒動!…へ続く》


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