【パロディー・スターウォーズ/ジェダイの復習】

《第20章》 驚異の銀河サーカス!

 ここは、デス・スターの第1ホロ・ステージ……「史上最大のサーカス」「華麗なる歌と踊りの祭典」「神秘と幻影のイリュージョン」「素人のど自慢」(?)の四つの舞台に分けられた広大なスペースに、(むりやり当直を押し付けられた一部の者たちを除く)デス・スター中のあらゆる帝国幹部・兵士たちが所狭しと居並び、今か今かと開幕のベルを待ち恋がれていた。やがて、天井の照明が次第に薄暗くなり、闇の中にドロドロドロ…と言う、ドラムの音が響き渡る……。突如、一筋の光が空中を照らし出すや、そこにサーカス団の団長・魔王ジャレスがぽっかりと浮かんでいるではないか?
「それでは、皆様お待ち兼ね!華麗なる歌と踊り、神秘と驚異のスーパーテクニックの世界を、どうぞ心行くまでお楽しみ下さいませ……。イッツ・ショー・タイム!」
 その言葉が発せられた途端、デス・スター全体を揺り動かすが如き、大音量のBGMが鳴り響き、七色のレーザー光線が乱舞!星空をシミュレーションした天井部分に、何十発もの巨大な花火の映像が映し出され、四つのステージの前面からは、数十本もの輝く光の奔流が立ち上がった!

 先ず、「史上最大のサーカス」スペースでは、先ず十数頭もの巨大なるマンモスと、獰猛なサーベルタイガーが出現!鞭を巧みに振り回し、恐るべき猛獣たちを、物の見事に操る黒のレザー・スーツのセクシーな美女・峰不二子の姿に、帝国幹部のお歴々が歓声を浴びせ掛ける!だが、小声で口惜しそうに呟く彼女の声を間近で耳にする者は、誰一人としていない……。
「……全くもう、ルパンたら!いくら、今度の仕事が男だけでやる計画だからって……。どうして、か弱い乙女の私にこんな事させるのよ。酷いわ!あんまりよ〜〜!」
 ルパンに、むりやり陽動作戦の方を押し付けられ、すっかり頭に来た峰不二子は、ルパンへの恨みつらみを、目の前の猛獣たちに振り替えた!凄じい勢いで飛んでくる鞭の一撃に、縮み上がるマンモス&サーベルサイガー!怖ろしきもの……汝の名は女なり!

 また、サーカス・スペースの第二ステージでは、「無重力の魔術士」の異名を持つグレイソン一家による空中ブランコが登場!末息子のディック・グレイソンこと、ロビンが華麗に宙を舞う!
 それと同時に地上では、パレードでも活躍したピエロ&クラウンの一団がコミカルに登場!しっとりとした雰囲気で音楽を演奏し始めたミュールの楽器を、美少年の狂阿彌が取り上げて宙に放るや、パン!……と破裂し、紙テープに変化する!電光石火の早業を披露し、旋風の如く当たりを駆け回るマスク!それが瞬時にしてリドラーに変化するや、今度は観客に謎々を出題し、答えられないと知ると、けたたましく嘲笑する!

 一方、何百人もの帝国兵士やストームトルーパーズがひしめき合い、大歓声を送っているのは、「華麗なる歌と踊りの祭典」のステージ!舞台の上で繰り広げられるのは、ゼントラーディー人の巨大なバックバンドを後に従え、次々に姿を変える十数人ものシェイプ・シフターのダンサーたちを率いた、銀河系最大の人気歌手リン・ミンメイの大コンサートだ!
 観客席からは、「ミンメイちゃ〜ん!」だの「好きだ〜〜!」だの「愛してる〜〜!」……と言った嬌声が飛び、一番前で警備しているストーム・トルーパーズの人の鎖を、今にも突破せんばかりの激しい圧力で押し込んでいた!

 また、第二ステージでは、銀河で名高いロック・グループの競演!ハード・ロックシンガーのジェリル・クチビが、髪降り乱して歌い、聖飢魔IIが妖しくも華麗にロックを激奏する!そして観客席に、「悪魔教」の教えが記された聖典を、普及の為に配り回る信者たち!
 第三ステージは、華麗なるダンスの世界だ!「スターウォーズ・特別編」からの出張組−ジャバ・ザ・ロックバンドが演奏する「スリラー」&「ゴーストバスターズ」の曲に乗って、華麗に踊りまくるマイケル・ジャクソン!彼の周囲で、同じ様に踊るは、ドラキュラ伯爵・狼男・フランケンシュタインの怪物・透明人間・アマゾンの半魚人・ゾンビ・ミイラ人間・コウモリ男・骸骨兵士・ミノタウルス・マタンゴ・ケロニア・オペラ座の怪人・ノートルダムの鐘つき男……その他、ありとあらゆる「本物の」モンスターたち!観客席からは、興奮した「13日の金曜日」ジェイソンと、「エルム街の悪夢」フレディまでもが、飛入り参加している!

 一方、喧騒とは裏腹に、完全なる防音壁で他のスペースと遮断され、物静かで妖しげなBGMが、静寂の中にかすかに流れているのが、「神秘と幻影のイリュージョン」……マジックの世界だ!
 そこでは観客は物音一つ立てる事なく、舞台の上の「奇蹟」に見入っている。黒のタキシードに身を包み、美女の胴切り&空中浮遊を演出するタキシード仮面。肩まで伸びた総髪にゆったりとした着物……純和風の出立ちで、派手派手なイリュージョンを見せる甲賀幻妖斎!そして、クローズアップ・マジック−カードの妙技を、笑いながら披露するジョーカー!

 だが、何よりも一番賑やかだったのが、「素人のど自慢」のコーナー。帝国有数の「かくし芸自慢」「のど自慢」の大幹部たちが、自ら参加して繰り広げる視聴者参加型イベントだ。と、言っても生半可な物ではない!衣裳は本格的な品を使用。自動音声調節式のマイクを使用する事によって、歌声も実際より遥かにグレードアップ!バックにはフルバンドのオーケストラが待機!立体ホログラフを装備したステージには、「ザ・ベストテン」か「夜のヒットスタジオ」か……と言ったような豪華なセットが瞬時にして出現する!
 先ずトップバッターは、動物アトラクション。数十匹のペンギンと一緒になって戯れ、その言葉を理解しつつ、芸をさせようとするドリトル先生……ならぬ怪人ペンギン!
「はいはいはい。良い子、良い子、良い子!」
 だが……。観客席から「くだらね〜〜!」だの「引っ込め〜〜!」と言った罵声が浴びせ掛けられ、生卵が雨あられと飛んで来る!卵でハラ一杯になったペンギンたちと共に、楽屋裏へ逃げ出す怪人ペンギン!
 続いて登場したのは、一人でコーラスを披露する三面怪人ダダ。見事な輪唱に、観客席から始めて拍手が起こる!かくして、新春かくし芸大会のノリで、ステージも観客席も次第に盛り上がって来る!

「え〜〜、おせんにキャラメル。ポップコーンにチョコレート。ビールにウイスキー。ボワ・ジュースにリクヴィティフ……」
「おい!ポップコーン三つに、ビール五本。そうだな……ボワ・ジュースも一本貰おうか!」
「旦那!ボワ・ジュースより、ペプシ・コーラはいかがですかい?」
 売り子のペプシマンに、液体人間が言い返す。
「俺はペプシなんかより、ボワ・ジュースが飲みたいんだ!」
「おいおい……ボワ・ジュースは体に悪いぜ。どうせ飲むんなら、リクヴィティフだ。あいつは俺が開発したんだからな。一度飲んだら止められんぞ!」と忠告するのは、トマス・カーディフ。
「心配しなくても、大丈夫だって!」
 不満気なペプシマンから、ボワ・ジュースを受け取りラッパ飲みした液体人間だったが……。
「うわぁ……。体が溶ける……溶けるう……!」
 すっかり溶けてしまって、ただの水溜まりになってしまった液体人間の姿(?)を見て、舌打ちするトマス・カーディフ。が、隣に座っていた黒ずくめの美女・クリプトン人のサラが安心させるように言った。
「大丈夫よ。こうやって……スポンジで綺麗に拭き取って、冷蔵庫に入れておけば、後でキチンと再生するんだから。まあ、ちょっと体積は増えるかも知れないけど……」

 既にアルコールがたっぷりと回っている観客席は、拍手と歓声と冷やかしとヤジが飛びかい、次第に手の着けられない状態になり始めていた。モフ・ターキン総督は、サーカス団で接待係の担当であるバーバレラや三人のチャーリーズ・エンジェルを始めとする、肌も露わな美女たちにわんさと取り囲まれて、キスの跡を顔中に着けられていた。スケベッたらしく、鼻の下を長く伸ばし、次から次へとアルコールを飲まされて、ヘベレケになり、もうどうにもならない状態に陥っているターキン総督。
「ベイダー様。総督閣下は、もうそろそろ自室へお送り致した方が宜しいのでは?あの状態では、いつ何時、この場でお眠りになられてしまうか、分かりませんが?」
 ターキン総督の横で控えながらも、一切のアルコ ールに手を着けないでいたダースベイダーに向かって、秘書の天草四郎が言った。
「うむ……そうだな。総督閣下の余りに不様な姿は些か考えものだ。四郎、閣下を自室に送り届ける役目はお前に任せる……それにしても、何と言う馬鹿騒ぎだ!いくら娯楽に飢えておると言って、これはちと騒ぎ過ぎだぞ?……ここでまともなのは、わしとお前くらいしかおらんのか?」
 大騒ぎの周囲を見回して、はーっ!……と溜め息をつくダース・ベイダー。天草四郎の指図によって、もはや完全に意識を失っているターキン総督の体が、4人のムキムキマンに担ぎ上げられた。先導役のクリンゴンのクルーゲ艦長、後に看護婦のヴァンピレラを従え、そのままジーザス・クライスト・スーパー・スターの如く、しずしずと運ばれて行くターキン総督。それを見届けた天草四郎は、反対方向へすたすたと歩き出した。

「天草四郎!どこへ行く?ターキン閣下を自室までお送りしろと言っただろうが!」
 訝しげに尋ねるダース・ベイダーに、天草四郎が答える。
「いえ……私は、これから出番がありますので……。誠に申し訳ないのですが、総督閣下をお送りする役目は、クルーゲ艦長が責任を持って行なう筈です。では、失礼致します」
 ペコリと頭を下げた天草四郎が、ステージの袖に消える。と、舞台に鳴り響く音楽が、笙・笛・琴・尺八の荘厳な調べに代り、バックが静かな竹林のホログラムとなる。シーンと静まり返る観客席。そして舞台に現れたのは、能面を着け、華麗なる衣裳に身を包んだ天草四郎!
「出番と言うのは、この事か!」
 思わずムッとなるダース・ベイダー。

 『いょ〜〜お』と言う合いの手と共に、鼓が打ち鳴らされ、舞台の両袖から天草四郎と同じような華麗な衣裳を身に着けた妖艶なる人物……奥田右京亮と疋田素藤の二人が、太刀と薙刀を持って現れた。魔界三人衆の揃い踏みだ。雅びやかに奏でられる古代日本の楽器。優雅に、かつ幽幻に舞う天草四郎・奥田右京亮・疋田素藤……。と、舞台の正面に進み出た天草四郎が、パッと能面を取り、笑みを見せた……その瞬間!
 三人の華麗な衣裳が左右にサッと引き抜かれ、体にピッタリと密着する現代風のハードなファッションに変化!竹林のホログラムも消滅して、その代りに出現したのはギンギンのロック・バンドと、目も幻惑されるような強烈な照明!そして、強烈なロックが響き渡る!
「キャ〜〜〜、ジュリ〜〜〜!」
 帝国親衛隊のけたたましい嬌声が、ステージに響き渡った!マドロス帽を斜めに被り、素肌が透けて見えるアミのシャツに、黒革のスラックス、金銀のアクセサリーで、バッチリ極めたジュリー……いや、天草四郎が絶叫する!
「♪壁際で寝返り打って〜、背中で感じてる〜〜!!」
 実に楽しそうに歌いまくる天草四郎を見て、ダースベイダーが立ち上がった!
「……天草四郎め!あいつだけは、ギャグ・キャラでないと思っておったのに!もう、この馬鹿騒ぎには、私は到底我慢できん!ここから出て行かせて貰う!」
 怒り心頭に達したダースベイダーが、ホロ・ステージから立ち去ろうとした時、その背中に向かって、天草四郎の歌声が追い打ちをかけた。
「……出て行ってくれえ〜〜、ああ〜〜、ああ〜〜、ああ〜〜……♪」
「お前に言われなくとも、出て行くわい!」
 捨てセリフを後に残し、異常なまでに盛り上がっている場を離れて、一人自室へと向かうダースベイダー。デス・スターのドンチャン騒ぎは、尚も続いていた。その背後に隠された、「ある意図」に気づく者もなく……。


               ※

 一方、レイア姫が閉じ込められている第17捕虜収容所を目指したルークとハン・ソロ、チューバッカの三人は、広大なデス・スターの中で道を迷い、どこを歩いているのかさっぱり分からなくなっていた。
「おい、ルーク!ここは一体どこなんだ!?」
 左右にどこまでも伸びる無人の通路。そして目の前には、いずこへ続くかも分からぬエレベーターがあった。
「そんな事言われたって、僕も分かんないよ!」
 R2-D2がプリントアウトした地図を食い入るようにして見つめていたハン・ソロが、ハーッ!…と溜め息をつく……。
「くそっ!仕方ねえ。通信機で、もう一度古代に聞いてみるか……」

 懐から小型通信機を取り出し、管制室に陣取っていた古代に呼び掛けたハン・ソロだったが……。
「こちら、ハン・ソロ、古代か?第17捕虜収容所に繋がってる道に迷っちまったんだ!目の前のエレベーターの表示板にゃ、『AR−56D7』て、表示が出てるんだが……ここからどう行けば良いのか教えてくれ!」
『……ハリソン君、ツーカーや』
「何?」と、ハリソン君……いや、ハン・ソロが眉をひそめた。
『……001番、KDD!』
「おい……何だ、こりゃ!?混信してるぜ!!」
 ソロが手の中の通信機を見つめる。
『……関西だけでは、話にならん!』
「畜生!てめえの方が、よっぽど話にならねえや!この役立たずのポンコツめ!」
 腹を立てたハン・ソロは、使い物にならない通信機を、思いっ切り床に叩き付けた!
「こんな事なら、事前にもっと情報に目を通して、勉強しとくんだったぜ!」
 ソロが吐き捨てるように言った瞬間、エレベーターの扉がさっと開いた!慌てて、レーザー・ガンを構えるルークとソロ!と、彼らの前に現れたのは……。
「♪ベンキョウしま〜っせ、引っ越しのサカイ〜〜!」
「♪ほんま〜かいな、そ〜かいな〜〜ハイッ!」
 派手派手の衣装を着けた、謎の漫才コンビの阿呆陀羅経(?)に、呆気に取られるソロ!
「♪ベンキョウしま〜っせ、引っ越しのサカイ〜〜!」
「♪この人〜嘘は申しません……ハイッ!」
「♪ベンキョウしま〜っせ、引っ越しのサカイ〜〜!」
「♪殺生だっせ、わやだっせ〜〜ハイッ!」
「♪……それでは皆様!さ〜よう〜な〜ら〜〜〜!!」
 三人の目の前で、エレベーターの扉がピシャリと閉まる。顔を見合わすルークとソロ、それにチューバッカ。
「な、何だったんだ?……今のは?」
 呆然とするソロに、ルークが不安げに問いかけた。
「ねえ……これからどうする、ソロ?」
 思案投げ首のソロ。と、彼の目が通路の彼方に現れた一組のグループに注がれた。
「しめたっ!あっちから、誰かやって来るぜ!適当な事言って、道を聞き出してやろう」
 顔を見合わせて頷き合うハン・ソロとルーク、チューバッカ。いかにも、帝国の忠実なる臣民の振りをしたルークたちは、近付いて来る人影に向かって、丁寧に言葉を掛けた……。
「お急ぎのところ、誠に申し訳ございません。私共は、ここにいる帝国への反逆者を、第17捕虜収容所まで連行するように命じられたのですが……。生憎、ここに今月配属されたばかりですので、迷ってしまいまして……。ご迷惑かと存じますが、道をお教え頂けませんでしょうか?」

 へりくだって、ハン・ソロが低姿勢に尋ねた相手……それは何と、黒い鎧で全身を包んだシスの暗黒卿ダースベイダーだった!『スターウォーズ/帝国の逆襲』までは出会う筈のない二人……ルークとダースベイダーがじっと見つめ合う。両者の間に緊張感が走り、ジョン・ウィリアムズ作曲の『帝国マーチ』が高らかに響き渡る!
 『スター・ウォーズ』の絵コンテには描かれたものの、実現しなかったルークとベイダーの決闘が、今ここで繰り広げられるのか!……と思いきや、ダースベイダーがくるりと後を向くや、傍らのストーム・トルーパーズにこそこそと話し掛けた。
「第17捕虜収容所だって言ってるんだが……どうする、ルパン?」

 実は、彼はダースベイダーではなく、ベイダーに変装したエロイカと、ストーム・トルーパーズに扮したルパン一行だったのだ。秘儀の間を一路目指していたエロイカたちは、厄介な奴に出会っちまった……とばかりに、顔を見合わせた。初顔合わせで、お互いの正体も知りえないエロイカとルークたち。
「伯爵は、黙って偉そうにふんぞり返ってたらいいんだ……何てったって、偉大なるシスの暗黒卿ダースベイダーなんだからな!……と言っても、どうやらこいつらはベイダーの顔も知らない新入りのようだが……。俺が上手い事言って、追っ払ってやるから任せとけ!」
 そう言って、エロイカ=ベイダーの前に出たルパンは、いかにも偉そうにふんぞり返って、ルークたちに声を掛けた。
「お前たち!このお方を誰と心得おる!かしこくも、先の副将軍……」
「バカヤロー!何言ってんだ、ルパン!」
 次元の言葉に、慌てて言い直すルパン!
「……いや、その。ええと……このお方こそ、誰あろう、偉大なるシスの暗黒卿ダースベイダー閣下であらせられるぞ!ええい!頭が高い〜!控えい、控えい〜!」
「結局、これがやりたかったんじゃね〜か!」
 そう言って、次元が頭を押さえる。一方、ルークは父の仇−ダースベイダーの名を耳にしてはっとなったが……何も知らぬハン・ソロは、相手がかなりの偉いさんらしいと知って、臣従の礼を取った。
「我ら新入り故、閣下のお顔を存じ上げておらず失礼を致しました。誠に申し訳ありません」
 ルークの丁寧な謝罪の言葉に、ウムと偉そうに 頷くエロイカ=ベイダー。

「そなた……名は何と言う?」
「え?僕ですか?マーク・ハミ……」
 うっかり〈本名〉を名乗り掛けたルークを、ソロが小声で叱責する!
「馬鹿野郎!実際の〈本名〉を言ってどうするんだ!?」
「え〜〜っと、そのう、私は……そう、スターキラー!ルーク・スターキラーと言います!」
 スターウォーズの初期設定で没になった、もう一つの名前を口にするルーク。
「ウム。悪役にふさわしい、良い響きの名だ。これからも、帝国の一員として、悪事に精進するのだぞ!それで……第17捕虜収容所とか言ったな?この者が道順を説明する。早く捕虜を連行するが良い!」
 エロイカの言葉に、ストーム・トルーパーズに化けたルパンが、目の前のエレベーターを指し示して言った。
「第17捕虜収容所は、この高速エレベーターで3層下がって直進し、最初に出くわした曲り角から、左・まっ直ぐ・右・右・左と進んだ場所がそうだ」
 ルパンの出鱈目な説明を、一心に聞き入って復誦しているハン・ソロ。
「え〜と……2、いや3つ下がって、まっ直ぐ行き、最初の交差点を……」
「ソロ……。間違うといけないから、マッピングした方がいいんじゃない?」
 心配げにハン・ソロを見つめるルーク。
「大丈夫だ……任せとけって!俺様は、学校の授業で、世界史の年代暗記だけは得意中の得意だったんだから……え〜と、それからどこまで行ったっけな?……左……まっ直ぐ、右、右……左。よし、これで完璧だ!行くぜ、ルーク!」
「ちょっ……ちょっと待ってよ、ソロ!あの……私たちは、これで失礼します!」
 捕虜役のチューバッカを追い立てて、エレベーターに飛び乗ったハン・ソロを追ったルークは、ダースベイダー(実は偽者なのだが……)の顔をしっかりと脳裏に焼き付けるや、彼の後を追った。

「やったな、ルパン!」と、次元がパチリと指を鳴らす。
「ああ……スターキラーとか言ったな、あの新入り。まんまと、俺の口から出任せを信じ込みやがった。あれだけ言っときゃ、余計に迷っちまうのは、目に見えてるぜ!」
 ヒヒヒ……と、ほくそ笑むルパン。
「全く……冷や汗モンだ!」
 と、ストーム・トルーパーズの仮面を取って、汗を拭うレイク。
「余計な事で時間を喰ったな……それでは、私たちも行くとするか……。ルパン、このエレベーターで4層降りれば良かったんだな?」
「え〜と、4層……いや、3層だったかな?……いけね!今の奴らに出任せを喋ってる内に、俺も何が何だか分からなくなっちまった!」と、焦るルパン。
「何だってえ〜〜?」
 と、頭から湯気を出して怒るエロイカ!次元に五右ヱ門、レイクの三人もルパンに詰め寄った!
「ちょ、ちょっと待った!今、地図を見るから、ちょっと待ってくれ!」
 ルパンが懐からデス・スターの地図を取り出すや、次元が横から覗き込んで言った。
「秘儀の間に通じてる専用エレベーターに辿り着くには……これだ!これだぜ!このエレベーターで3層下がって、直っすぐ進み、最初の曲り角を左、直進・右……右・右だって?何てこった!」
 次元はそこまでルートを辿るや、飛び上がった!
「こりゃ……さっき、ルパンが奴らに言ったのと、ほとんど同じルートじゃねえか!違うのは、最後で右に行くか左に行くかだけだぜ……ルパン、貴様!言うに事欠いて、自分が覚えてた道順を、そのまま言いやがったな!」
「あ痛たたたた!……勘弁してくれ、次元!」
 次元の必殺のコブラツイストで、ギリギリと体を締め付けられるルパン!
「いいや、勘弁出来ねえ!てめえの馬鹿さ加減にゃ、俺もほとほと呆れ果てたぜ!もう、くたばっちまえ!!」
「ウギャー!死ぬ死ぬ死ぬ!」
 更に続く次元の逆海老固めに、マットをバンバン叩くルパン!
「おい、いつまでじゃれあってるんだ!?いい加減にしないか!」
 と、二人を譴るレイク。五右ヱ門も無言のまま、付き合い切れんと言った表情を示す。
「言ってしまった事は仕方がない。もしあいつらに出くわした時は、もう一度上手く言い包めるだけだ!さあ、行くぞ!……シュゴーパー、シュゴーパー……」
 ベイダー=エロイカは、二人を放ったらかしにしたまま、レイクと五右ヱ門を引き連れて、さっさとエレベーターに乗り込む。その後をルパンと次元が慌てて追っかけて行った……。


               ※

 さてこの間、ルークたちと別行動を取ったオビ・ワン、ジョミー、ソルジャーの3人組はと言うと……。帝国軍の厳しい警戒網を潛りながら、牽引ビーム制御システムがある空中回廊への扉の前に立っていた。
「ジョミー、ソルジャー。お前たち二人は、誰も入って来ぬよう、ここで監視しておれ」
「はい、先生!」「分かりました、先生!」
 ソルジャーとジョミーの返事を背に受けると、オビ・ワンは一人、暗い回廊を静かに進んで行った……。
「抜き足、さし足……」
 オビ・ワンは足音を消しつつ、歩みを進める。
「……忍び足」
 と、オビ・ワンの背後から静かな声が掛かる。
「むっ?」
 振り返ったオビ・ワンの目に、レーザーガンを構えて、彼に狙いを付けていたストーム・トルーパーズの姿が映った。
「この私に、全く気配を感じさせぬとは……貴様、一体何者じゃ?」
「私……?私は、ダースベイダー卿直属のストーム・トルーパーズ特殊部隊の一員だよ」
 そう言って、ストーム・トルーパーズの白い仮面を外し、オビ・ワンに狙いを付けたまま進み出たのは、誰あろう……ウルトラセブンことモロボシ・ダン!。


 ♪セブン、セブン、セブン!セブン、セブン、セブン!遥かな星が〜〜故〜郷〜だ〜〜!

「ほほう……ウルトラセブンじゃな?」
「言うな!今の私は、ウルトラセブンじゃない……円盤生物の為にMAC基地が全滅した時、私は一度死んだ。そしてダースベイダーの力によって復活した時に、私の頭の中には電波式コンデンサーが埋め込まれていた……今の私の生命は、ダースベイダーの手に握られているんだ。ストーム・トルーパーズ特殊部隊?……所詮は、その超能力を利用されるだけの哀れな兵隊さ!」
 吐き捨てるように呟いたモロボシ・ダンを見て、オビ・ワンはゆっくりと近づいて行った。
「モロボシ・ダンよ……。なぜ、お主はウルトラセブンに変身しようとせんのだ?」
「あなたは、『ウルトラマンレオ』を見られていないのか?私は第1話で重傷を負って以来、変身する事ができないんだ!……それにウルトラアイもない」
「ウルトラアイ?ならば聞こう……おお主はモロボシ・ダンか?それともウルトラセブンか?」
「私は……モロボシ・ダンであり、ウルトラセブンだ。どちらか一つと言う事はありえない……」
 弱々しく答えるモロボシ・ダン。
「その通り!モロボシ・ダンとウルトラセブンは同一存在であり、一時的にその形態を変えているに過ぎない……。ならば、何故ウルトラアイなどと言う、変身の為の小道具が必要なのだ?」
 オビ・ワンに返答できないダン。いつしか、レーザーガンの銃口も地に向いていた……。
「変身するのに、小道具は必要ない!帰ってきたウルトラマンを見よ!彼は意志の力だけで変身しているではないか?要は、余計な雑念を払い、如何に精神を集中させるかが大事なのだ……」
 オビ・ワンは、立ち尽くすダンの頭に右手を伸ばすと、理力を集中させた!ダンの額がボウーッと青く光り、やがてオビ・ワンが手を引いた時、その掌には小さな物体が残されていた。
「これが、お主の頭の中に埋め込まれていた殺人コンデンサーだ」
 オビ・ワンはそう言うと、コンデンサーをバキッと握り潰す。モロボシ・ダンは額を押さえるや、今までにない爽やかな表情で、オビ・ワンに感謝の念を示した。
「これで、お主を束縛していた存在は消滅した。後は、如何に精神を集中させるかで、ウルトラセブンに変身……いや、ウルトラセブンの姿となる事が出来るのだ。お主は既にわしの弟子となった……これは、わしから弟子たるお主への贈り物だ」
 ローブのポケットの中から何かを取り出すオビ・ワン。受け取ったダンが、パッと目に当てると……。
「デュワッ!……変だな?変身しませんよ」
 オビ・ワンから手渡されたサングラスを、不思議そうに見つめるダン。それを見るや、オビ・ワンが慌ててもう一方のポケットを探った。
「す、すまん!間違えた。それは、わしが農作業の時に使うサングラスじゃ!お前に渡したかったのは、これじゃ!」
 オビ・ワンの手の平の上には、5つのカプセルが収納されたカプセルケースがあった。
「これは……カプセル怪獣!」
「当座の間、何かの役には立つだろう。レギュラーのウィンダムとミクラス・アギラーの他に、人気怪獣のペギラとレッドキングが入っておる。では、わしはこれからデス・スター防御シールドの中枢回路をカットせねばならん……ダンよ、お前も一緒にファルコン号でここを脱出するか?」
 ダンは笑顔で「いえ、老師!」と応えると、ストーム・トルーパーズの装甲服を脱ぎ捨て、懐かしのウルトラ警備隊の制服姿に戻った!
「その必要はありません。私はこれから暫く、帝国の連中から身を隠して、ウルトラセブンに戻れるよう、精神集中してみます。自分一人の力で成し遂げてこそ、修業の意味がありますから!」
「ウム、分かった!……では、達者でな」

 オビ・ワンはすがすがしい表情で去っていくモロボシ・ダンの後姿をじっと見つめていた……。そして、空中回廊のシステム・パネルにぴったり身を寄せると、警報装置を巧みに回避するや、牽引ビームの回路をやっとの思いで遮断した。
「やれやれ。こんなに苦労するんじゃったら、モロボシ・ダンに代わりにやって貰うんじゃった……とにかく、これで完了と。後は、ファルコン号へ帰って、ルークとハン・ソロたちが姫を連れて帰って来るのを待つだけじゃ!」
 オビ・ワンはにっこり笑うと手を払い、ジョミーとソルジャーが待っている扉へと向かった。その先に、かつての愛弟子ダースベイダーとの死闘が待っている事も知らずに……。だが、オビ・ワンが姿を消した後、たまたま通り掛かった警備中の帝国兵士が、牽引ビームが切られているのを発見してしまった!
「ははあ……警備会社の連中だな?あれほど、メンテナンスが済んだ後は、きちんとスイッチを元に戻しておくよう言い渡してあるのに……」
 そう言うと、兵士はビームの回路を繋ぎ、再び元の状態に戻すと、その場を去って行った。……ああ、オビ・ワンたちの運命や、如何に!……と、その時、カメレオン・スーツに身を包んだ謎の人影が、牽引ビームの制御回路へと音もなく近づいて行った。

「チョチョイのチョイ……と。へっ、俺様に掛かりゃ、こんな回路なんざ、赤児の手をひねるようなもんだ……〈するりのジム〉か?こちら、アレックス・マンディだ。予定通り、デス・スターの牽引ビーム・システムは、リモコンでいつでも解除可能だ」
『分かった。そろそろ作戦開始だ。陽動作戦も始まるので、すぐに戻って来てくれ』
「……了解!」
 無線器の連絡を切るマンディ。だが、何か不満そうな表情が伺える。
「ああ……。俺の出番が、たったこれだけって事が残念なのさ!」
 ……私は泥棒。名前はマンディ。CIAの長官ベイン部長に見出され、情け無用のスパイ稼業!……私はアレックス・マンディ。プロ・スパイ!
 ……と、一人ポーズを決めるマンディ。かくして、誰一人知らない事だが、デス・スターの牽引ビームはオビ・ワンによって一度切られ、帝国兵士の手で再び復旧され、アレックス・マンディによって三度カット・オフされたのだった……。



《第21章:《極秘作戦》進行中!…へ続く》


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