【パロディー・スターウォーズ/帝国の予習】


《第15章》 アルデラーン大攻防戦 =PART2=


◎ A.T.2:30/デス・スター艦隊
 デス・スターから発進した帝国の〈無敵艦隊〉と、アルデラーン宇宙艦隊が対峙する。永遠とも思える時間が経過する中、帝国艦隊の中から、一筋の光跡がアルデラーンに向けて飛び出した。
               ※
「何だ、あれは?……ミサイルか?それともレーザービームか?」
 戦艦デファイアントの艦長席で、ウォーフ少佐が立ち上がって言う。
「いいえ、戦闘用の武器ではなさそうです。どうやら、銀色に光る生命体が……何かサーフボードのような物に乗ってるみたいですが……。ただ今、通信回線を繋ぎます」
「もしかして、シルバー・サーファーか?」
 ウォーフがそう呟き、通信士官が周波数を合わせた途端、デファイアントの艦内に大音量の音楽が響いて来た!ワーグナーの『ワルキューレの騎行』だ!
「こ、これは超音波兵器か!早く止めろ〜〜!」
「駄目です!あらゆる周波数帯で、このBGMが流されています!」

               ※
 アルデラーン宇宙艦隊の真只中を擦り抜けた「謎のサーファー」が、大気圏内に突入する!スペース ・ボードに乗ったペブシマンだ!
 ♪ ペプシマ〜〜ン!シュワ〜〜〜!!
 大気圏で燃え上がり、消滅するペプシマン!

               ※
「……全艦、攻撃開始!」
 ペプシマンの炎上が、戦闘開始の合図となったかのように、アルデラーンの宇宙艦隊が一斉に攻撃を開始した!艦隊司令室の大スクリーンで、その光景を目にしながら、不敵な笑みを洩らすデスラー総統。
「蚊トンボめら……。我が華麗なる戦争交響曲の調べを、思う存分聞くが良い!」
 デスラー総統が、パイプ・オルガン風の戦闘コンソール・パネルに両掌を押し当てるや否や、天井の超振動スピーカーから、荘厳なる調べが鳴り響く!それと同時に、帝国の〈無敵艦隊〉が一斉に砲撃を開始した!主砲から発射されるエネルギー流が、砲弾が、波動爆雷が敵艦を破壊する!幾千幾万ものミサイルが、爆弾が、光子魚雷が轟音と共に炸裂する!暗黒の宇宙空間をバックに、レーザー光線が乱舞し、粒子ビームが駆逐艦を切り裂く!戦闘機が、爆撃機が、モビル・スーツがドッグ・ファイトを繰り広げ、真空の宇宙空間が熱く燃え上がる!

               ※
「行くぞ、ハック!ジョー!……キャプテン・フューチャーのパッチもんだなんて、言わせてたまるかあ!」
「ソウソウ、ソノ通リ!ホンニョコニョ〜ン!」
 スター・デストロイヤーから発進する戦闘機隊をターゲットに、シルバー・スターから発進し、3機に分裂して猛攻をかけるキャプテン・ウルトラ!
 ♪ 月も火星も遥かに越えて〜〜宇宙に飛び出すシュピーゲル〜〜!(BGM:キャプテン・ウルトラのテーマ)
「白兵戦だ〜!敵艦に乗り移れ〜〜!」
 光子帆船スターライトの舷側に横付けして、次々と切り込んで行く金星大魔艦の宇宙海賊!巨艦バルバロッサの体当りで撃沈するエメラリーダ号!アンドロメダの拡散波動砲の直撃を受けて、雲散霧消するマーズ・アタック艦隊!スター・デストロイヤーの攻撃で消滅するイーグルの編隊!ガミラス三段空母から発進した、モビル・スーツ部隊の攻撃で炎上するサンダーバード3号!真っ正面から自慢の大衝角を激突させ、共に宇宙の藻屑と消える轟天と大帝山!
「どけ、どけ、どけ〜〜い!邪魔する奴は、宇宙の塵にしてやる!」
 ドズル・ザビが操る巨大モビル・アーマー、ビグ・ザムがアルデラーン軍の戦闘機とインターセプターを握り潰し、戦艦デファイアントに迫る!
「高速回避!遮蔽装置作動!」
 ウォーフ艦長の指示で、宇宙空間に溶け込むように消失するデファイアント!
「くそ〜〜!姿を隠しおったな〜〜!この臆病者め〜〜〜!」
 狙っていた獲物に、まんまと逃げられたビグ・ザムが、腹立ち紛れにギャラクティカ艦隊に襲いかかる!……が、突如その周囲に光る粒子が渦巻き、華麗なるバラの花が出現するや、一瞬にして巨大なる怪獣の姿に変化した!
「ビ……ビオランテ!」
 叫ぶドズル・ザビ!ほんの一瞬、動きが停止したビグ・ザムが、あっと言う間にビオランテの巨大な牙の餌食となる!グシャグシャグシャと噛み砕かれ、ビオランテに消化されてしまうビグ・ザム!ゲップと言う音を発したビオランテは、ビグ・ザムの爪をツマヨウジ代わりに使うと、新たなる標的−巨艦・威海洋に向かって、怒濤の如く迫って行った!
「ソーラー・システム配置完了。これより攻撃します!」
 宇宙ステーションV3を中心に、360度展開するソーラー・システム!恒星の光を収束した、何万度のエネルギー・ビームが、暗黒星団帝国の自動要塞ゴルバを焼き尽くす!
「暑い!もっと冷房を利かせろ!」
 艦内は60℃!艦の外は300℃!蒸し風呂にでも入っているような暑さに、暗黒星団帝国の聖総統スカルダートがカツラを外して、汗を拭い、ランニングにバンツいっちょの恰好で命令を下す!そして、帝国艦隊の中で最大の脅威たる旗艦パイラル・ジンには、巨艦エクセリオンから発進した数百体のバスター・マシンが総攻撃を開始する!

               ※
 煌めく閃光!轟く轟音!幾千幾万ものエネルギー流と砲弾が交差する中、不思議にも静かに向かい合ったままの艦隊があった……。ID4とビジターの円盤艦隊だ。
               ※
「どうした、ダイアナ艦長……。なぜ、あの恥知らずな鳥ガラエイリアンどもを攻撃せんのだ!?あいつらは、我らを『人の皮を被った冷血動物』だと侮辱しおったのだぞ!……なぜ答えん!」
 ビジターの艦隊を指揮する、女司令官ダイアナに向かって命令を下すジョン提督。だが、相変わらず彼女からの応答はない……。提督がしびれを切らした時、ようやくビジター艦隊が、ID4の巨大円盤群に向けて進撃し始める!……が、銀色に輝くビジターの艦隊は、そのまま一発の砲弾を撃つ事もなく直進!ID4の漆黒の巨大円盤艦隊と交差して一列になるや、オセロの様にくるりと裏返り、真っ黒に変化した!

               ※
『ダイアナ……貴様、裏切ったな!』
「裏切ったんじゃないわ。表返ったのよ!」
 ムーンベースζから、映像通信で怒鳴り付けて来るジョン提督に、反旗を翻したダイアナ司令官が反駁する!
「ID4のエイリアンが言っている通り、私達は血も涙もない『冷血動物』なのよ!侵略者は侵略者らしくするのが、一番似合ってるんだから!」
『ダイアナめ〜〜!こうなれば、慰藉料なんぞは、一銭も払ってやらんからな〜〜〜!』
 チャールズ……いや、ジョン提督が未練たらしく叫ぶ!そして、どちらの司令官の命令に従ったら良いか分からず、ウロチョロしていた残存部隊に、パイラル・ジンから発進した巨大なヤカンUFOが、お湯攻撃を掛ける!

               ※
「ハッハッハ……。世界中のヤカンは、私の物だあ〜〜!」
 雄叫びを上げる、宇宙のヤカン怪人ケトラー!お湯を注がれたビジターの円盤が、次々とアルデラーンの大気圏に墜落して行く!

               ※
「卑怯だぞ、ケトラー!」
 歯噛みして悔しがる、船長のUFO仮面ヤキソバン!

               ※
 今や、阪神タイガースの如く、「一丸」となったID4とビジターの大円盤艦隊は、油断していたアンドロメダ艦隊を、側面から雪崩込むようにして攻撃した!
「おのれ〜〜小早川秀秋……いや、ビジターのトカゲどもめ、裏切りおったなあ〜〜!?」
 爆発炎上する旗艦アンドロメダと運命を共にする土方艦長が、ビジターに罵声を浴びせかける!

               ※
「行け〜!突撃だ〜〜!」
 宇宙ステーションV3の周囲に展開しているソーラー・システム目掛けて、ピン・ポイント攻撃をかけて来る、帝国のモビル・スーツ部隊!
「C−6命中!」「T−13破壊!」「N−37突破!」「X−9消滅!」エトセトラ、エトセトラ……。
 穴だらけにされたソーラー・システムが、お絵かきロジックのようになり、鏡面に『アホ!』と言う巨大文字が浮かび上がった。

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「……『アホ!』とは何だ!『アホ!』とは!」
 宇宙ステーションV3で、ヘルメットを叩き付けて怒るクラタ隊長!更に、攻勢に出たモビル・スーツ隊が、今度はダース・ベイダーの顔を描き出す!遂には、帝国軍の生物兵器−すべてのエネルギーを吸収するバルンガに襲われ、すべてのエネルギーを失って消滅するV3!更に、帝国側に寝返ったヒューゴ・ドラックス卿の宇宙ステーション・ムーンレイカーが、アルデラーン艦隊目掛けて、レーザー・ビームを乱射!まぐれ当りで命中した、透明偽装中の戦艦デファイアントが、宇宙の閃光と化して四散する!かくして、ダイアナ司令官率いるビジター艦隊の裏切りが切っかけとなって、拮抗していた両艦隊の戦力バランスが崩れ、アルデラーン艦隊は次第に劣勢へと追い込まれて行く……。

◎ A.T.3:35/〈I.T.C.〉戦闘ブリッジ
「……第一次防衛ライン、突破されました!帝国軍が、惑星大気圏内に侵入!」
 紫色の鬘を着けたレイク大佐が叫ぶ!
「……分かった。クラウドベースのキャプテン・スカーレット、並びに空中要塞ラピュタのレプカ司令官に連絡。迎撃機隊の発進だ!それから原潜艦隊、レッド・オクトーバー号のラミウス艦長、シービュー号のネルソン提督、ノーチラス号のネモ船長に、非常警戒体勢で待機せよと伝えよ!」
「了解しました」
 そう、返事したレイク大佐だったが……。
「……空中要塞ラピュタ、応答ありません!」
「くそっ、こいつも裏切ったな!?」
 怒り心頭に達しつつあったストレイカー司令官だったが、何とか気を取り直すと、『朝生』のスタジオに向けて呼び掛けた!

◎ A.T.3:40/『朝生』スタジオ
 悪神亜久馬の大騒動から、ようやく落ち着いた朝生のスタジオに、ストレイカー司令官の映像が入って来る。
『官房長官。戦闘は、間もなく第二段階……地上戦に入ると思われます。今の間に、大統領官邸は地下に避難して下さい』
「うむ、分かった。司令官」
 オーガナ大統領がそう言って頷いた途端、『朝生』の特設スタジオがある大統領官邸を皮切りに、政府の重要施設が、軽快なマーチに乗って一斉に地下へと沈み込み始めた!スタジオ内から上がる歓声と拍手!(BGM:サンダーバードのテーマ)

               ※
『……それで、麻生司令官。ゾッド将軍の指揮下にあった地上軍が、余り当てには出来ませんので、Gフォースの出動をお願いします!』
「……なるほど。いよいよ、私の出番と言う訳ですな!」
 ニタリと笑った麻生司令官が、手元のパネルを操作するや、正面のスクリーンが切り替わり、パッと画面にGフォースのメイン・ドックが映った。居並ぶ黒木特佐1号・2号が、司令官に答える。
『……特殊攻撃機ガルーダ、並びにスーパーX編隊は出動準備完了!また、メーサー部隊も発進可能です!』
 そう言って、さっと敬礼を返す二人の黒木特佐!バックで、イェ〜イ!と年甲斐もなくVサインを決めているのは、どうやら精神開発センターの高島忠夫所長のようだ。
 ♪ フジカラー、写ルンです!
 「……では、大統領。私も、これから前線司令部に参りますので、スタジオ出演はここまでにさせて頂きたいと思います」
 そう言って立ち上がった麻生司令官に、天馬博士が問い掛けた。
「司令官。退席される前に、ちょっと聞きたい事がある。確か、Gフォースは以前に、メカゴジラやモゲラと言った巨大兵器を開発していた筈だが……。聞いた所では、今やそれらは帝国が所有しているらしい。一体、どう言う事なのか説明して頂きたい!」
 天馬博士の詰問に、ムッとなった麻生司令官が、吐き捨てるようにして言った。
「それを言うならば……我がGフォースを『用済み』『過去の遺物』と見なして、予算削減に踏み切った財務省に言いたい事がある。リストラを断行され、規模縮小に追い込まれた我がGフォースは、莫大な維持費を食うメカゴジラやモゲラを処分して、やっと採算が成り立っているのだ。購入者が、帝国軍に売ろうとどうしようと、そんな事は私の知った事ではない!……では、失礼する!」
 席を立って出て行く麻生司令官。苦り切った表情の天馬博士。大島監督がポツリと呟く。
「まるで、食うに困って、ミサイルや核爆弾をこっそりと売り払った、20世紀末のどこぞやの共産主義国家のようですな……。どう思われます、大統領?」
 オーガナ大統領が、平腹して謝罪する。
「♪誠に〜遺憾に〜〜存じ〜ます〜〜!!」
 朝生の画面が揺れ、ヒラホロヒレハレ……と、倒れる一同!

◎ A.T.3:45/クラウドベース
『エンジェル編隊、発進します!』
『こちら、プッシー・ガロア・フライング・サーカス部隊、離陸OK!』
 次々とクラウドベースを発進し、侵入してくる帝国軍に立ち向かって行く女性パイロットたち。
『女に遅れを取ってたまるかあ〜〜!行くぜえ〜〜!オラオラオラ〜〜〜!!』
 宇宙暴走族上がりのパイロット、シロー・ホンゴーが、先頭を切って小型宇宙艦で発進!更に、『デンジャー・ゾーン』をバンバン流しながら、あっさりと追い抜いて行くトム・クルーズ&ヴァル・キルマーのファントム戦闘機隊!それに続く、オチャラケ部隊のトッパー・ハーレー・チーム!
「頼んだぞ!君達が頼りなんだ……」
 キャプテン・スカーレットが、飛び立って行く戦闘機隊を、じっと司令室で見つめていた……。

◎ A.T.3:55/首都メトロポリスの一角
「待て〜い、待て待て待て〜い!」
 逃げる悪神亜久馬と影美を追う、仮面ライダーV3。……と、突然二人が立ち止まった。草木も眠る丑三ツ時。周囲は、無人の高層ビル街だ。
「観念しろ!もう逃げられないぞ!」
「……馬鹿め。逃げられないのは、貴様の方だ……出でよ!サタンローズ!」
 悪神亜久馬が両手を広げて叫んだ途端、大地が大きく揺れ始めた!思わず地面に這いつくばるV3!そして、地面がひび割れ、ビルが崩れ落ち、その中から巨大なる植物怪獣サタンローズが姿を現わす!

◎ A.T.3:57/『朝生』スタジオ
『こちら城塞都市カーレ!マンモス・フラワーの出現により壊滅!』
『サン・アンゼルス!突如出現した巨大植物オーブリーIIが、次々と人間を襲っています!』
『テルミナス、巨大ケロニアの攻撃により、地上軍が壊滅しました!』
『グリーンモンスの出現により、ポート・ブラックサンドの原子力空母艦隊、全滅です!』
 朝生のスタジオに入って来る衛星画像……次々と出現した植物怪獣に、アルデラーンの主要都市が蹂躙される光景を目にして、言葉を失う大田原官房長官!

◎ A.T.3:58/再び、メトロポリスの一角
 深夜の高層ビル群を次々と破壊するサタンローズをバックに、勝ち誇る悪神亜久馬!
「私は、この惑星に潜入した際に、彼ら植物怪獣の種を、ひそかにアルデラーン中に巻いておいたのだ。戦いに備えて、あらかじめスパイを潜り込ませておく……これを、兵術用語で『草の者』と言うのだよ」
「なるほど……それで、植物怪獣と言う訳か?」
 変に納得したV3が、慌てて頭を振って言う。
「だが、たかが数匹の植物怪獣が暴れ回った所で、我がアルデラーンはビクともせんぞ!」
「これで終わりだなんて、一体誰が言ったの……?」
 自信満々の影美が、妖しい笑みを浮かべた。
「そう……。最大最強の本命は、これから出現するのだよ!映画では、たった一匹しか登場しなかったが、パロディーにおいては、何十匹もの出現が可能なのだ!」
「ま、まさか、それは……!」と、叫ぶV3!
「そうだ!出でよ……レギオン!」

 =我が名はレギオン……。我々は大勢であるが故に=
 そのテレパシーと共に、アルデラーン全土で一斉に、何十体ものレギオン草体が大地を割って出現し、数え切れない程大勢の巨大レギオンが、アルデラーン全土を荒し回る!そして、恒星の曙光が、アルデラーンの首都メトロポリスに夜明けをもたらした……午前4時ジャスト。急成長したレギオン草体が、一斉に種子を発射!核爆発を受けたが如く、アルデラーンの主要都市が次々と消滅して行く。

◎ A.T.4:02/アルデラーン大気圏内
「地上から、巨大質量物体、急速に接近中!激突しま……」
 対策を立てる間もなく、轟音と共に飛来したレギオン種子が、クラウドベースを一瞬の内に破壊した!更に、誘導されたレギオン種子が、衛星軌道上の宇宙ステーション、シルバースター、サンダーバード5号、ディープ・スペース・ナインを直撃!同じ植物怪獣のビオランテは、高速で飛来して来た種子を、ガッキ!と口で食わえるが、そのまま宇宙の花火となって散って行った……。

◎ A.T.4:03/デス・スター中央司令室
 ビオランテの種子攻撃を、一早く感知したキース・アニアンが、ダースベイダーに向かって言った。
「ベイダー閣下。地上の悪神亜久馬指揮官より合図がありました。『草の者』たちが、一斉に攻撃を開始した模様です」
「うむ……。制空権は、デスラー総統の指揮により、ほぼ掌握した。スペース・オペラは、もう終わりだ。これより地上戦……怪獣映画に移る!」
「では、我々の出番だな!」
 そう言って、姿を現したのは、猿の軍団を引き連れた宇宙猿人ゴリ、ギロチン帝王、そしてゴアの三人怪人だ。だが……。
「ロートルは引っ込んでいて貰おう!」
 彼ら三人の後ろから姿を現した、派手派手な衣装の宇宙人こそ、誰あろう……「トップをねらえ!」CD版にのみ登場する、宇宙怪獣軍団の指揮官−グレート・アトラクターだった!
「何を言う、貴様!」「新参者のくせに!」「その思い上がり、後悔させてやる!」
 迫って来た宇宙猿人ゴリとギロチン帝王・ゴアを、あっと言う間に叩き伏せるグレート・アトラクター!
「ウーキー族の裏切者は黙っとれい!ベイダー閣下、アルデラーンの地上攻略には、『大演出家』−グレート・アトラクターの名を持つ、私こそがもっとも適任かと存じますが……」
 叩き延めされた三大怪人を一目見て、ダースベイダーが頷く。
「宜しい、グレート・アトラクターよ。お前に任そう!東宝・大映・東映・松竹、円谷プロに、Pプロ……全ての宇宙怪獣を使用する許可を与える!著作権は、気にする必要はない!」
「畏まりましてございます……。作戦開始予定時間は、4・30時。それから4時間で、アルデラーン全土を掌握して見せます!」
 不気味に笑うグレート・アトラクター!(だが、影で、ダースベイダーが『大演出家なら、グレート・ディレクターだろうが?』と、ポツリ呟く)とにもかくにも、アルデラーン敗北の時間まで、あと4時間と25分と迫った!

◎ A.T.4:10/『朝生』スタジオ
 アルデラーン全土に広がったレギオンの為に、各地からの衛星電波が途絶し、既に通信途絶状態に陥っている朝生のスタジオ。沈みがちになっているスタジオの雰囲気を、何とか盛り返そうと頑張る司会の大田原官房長官!
「え〜〜。それではここで、スタジオの一般参加者のご意見を伺いたいと思います」
 官房長官の合図で、インタビュアーが参加者にマイクを向ける。
「何か、帝国軍を撃退するのに、これは!…と言ったご意見がおありですか?」
 車椅子に乗ったノリスお婆ちゃんが答える。
「そうだねえ……。あたしの経験から言うと、侵略者って言うのは、ジャズとかロックなんかを嫌ってたと思うんだけど……。そうそう!トム・ジョーンズなんかも、良いんじゃないかねえ?」
「……次、行きましょう」
 ……と、老婆を無視したインタビュアーが、ムキムキのマッチョマンにマイクを向ける。
「俺に言わせりゃあ、最後に頼りになるのは、この肉体……鍛え上げた拳だぜ!なあ、お前ら!」
 元世界ヘビー級チャンピオン、アポロ・グリードの言葉に、背後に並んだ筋肉マンたちが、一斉に「おう〜!」と声を合わせる!チャック・ノリス、ジャン・クロード・バンダム、ドルフ・ラングレン!いずれも、腕に覚えのある強者たちばかりだ!
「E.T.どもなんざ、この拳で叩き延めしてやりゃあいいんだ!」
 威勢良くブチ上げる彼らにビビって、思わず尻込みするインタビュアー!
「……貴重なご意見、ありがとうございました。では……あなたのご意見は、如何でしょうか?」
 今度は、メガネを掛けた神経質そうなインテリ技術者にマイクを向けるインタビュアー。
「そうですねえ……。あ、失礼!僕はケーブルTVの修理マンなんですが……。ハエ男や恐竜や異星人を相手にしてきた、僕の豊富な経験から言うと、敵のコンピューターにインターネットで潜り込んで、内側から攪乱してやるのが一番じゃないですか?」
 そう言って立ち上がった天才コンピューター技師のデイビッドが、ノートブック・パソコンを会議テーブルの端末に接続する。それを目にして、不機嫌そうな顔になる敷島博士。
「これだから素人は……!いいかね?言語も規格も構造も、すべてが違う異星人のコンピューターに、どうやってハッキング出来るんだ!ましてや、インターネットでだと?これは『インデペンデンス・デイ』じゃないんだ!御都合主義もいい加減にしたまえ……馬鹿馬鹿しい!」
「しかし……」と、尚も反駁しようとするデイビッドを、何と天馬博士が擁護する。
「敷島君!やりもしない内から、出来ないと決めてかかるのは早計じゃないか?万に一つでも可能性があれば試みる……それが科学者のポリシーの筈だぞ」
 スタジオのスクリーンに映し出されたコンピューター画面に向かって、高速でデータ処理をしているデイビッドを放ったらかしにしたまま、激論を繰り返す天馬博士と敷島博士。
「あの二人は、どうしてこう仲が悪いのかね?」
 戦争状態に突入してから、出番のなくなったケスラー教授が、隣席のジョー・エル大臣に尋ねる。
「ああ……何しろ『鉄腕アトム』と『鉄人28号』と言えば、昭和30年代の少年マンガ界における『最大のライバル的存在』でしたからな……。その開発者としては、仲が悪くなって当然ですよ」
 バイプを加えながら、フムフムと頷くケスラー教授……。そして口論の末、二人の博士が遂に席を蹴って立ち上がった!
「……よ〜し、敷島君。君がそれほど言うなら、我が科学技術庁が開発したロボットと、君の超兵器開発局が作ったロボットの、どちらが役に立つか勝負だ!」
「望む所だ、天馬君!」
「ちょ、ちょっと待って下さい!どちらへ行かれるんですか?」
 制止する官房長官の言葉を気にも止めずに、スタジオを一方的に出て行く天馬博士と敷島博士!と、その時……。「やった!敵のコンピューターに繋がったぞ!」 と、デイビッドが操作していた画面が、ぱっと鮮明になった!だが、スクリーンに現れたのは、帝国の極秘データ・バンクではなく、最凶最悪のバーチャル生命体・芝刈り男のジョーブだ!画面に釘付けになるスタジオの出演者たち!
『クククッ……!残念だな、デイビッド君。コンピューター回線が繋がったは、君の腕が良かったからではなくて、私が望んだからなのだよ!私がここに来たからには、アルデラーンのコンピューター・ネットワークは壊滅したも同然だ!』
 自ら敵を呼び込んでしまった事を知り、呆然となるデイビッド。……と、ジョーブの視線がケスラー教授に向けられる。
『おや?これはこれは……誰かと思えば、ローレンス・アンジェロ博士ではありませんか!』
「な、何の事ですかな……?」
 ジョーブの馬鹿丁寧な言葉に、あらぬ方向を見るケスラー教授。だが、その額からは、冷や汗が滴り落ちている……。
『ケスラー教授…などと、ご大層な偽名を使ってはいるが、貴様は確かにローレンス・アンジェロだ!映画『バーチャル・ウォーズ』で、私をバーチャル世界に誘惑した末、最後には殺そうとした張本人だ!今更、忘れたとは言わせんぞ!』
「違う!あれは貴様が、残忍狂暴な超能力者と化したからだ!……あっ、しまった 」
 うっかり口を滑らせ、慌てて口を押さえるケスラー教授!ニンマリと笑ったジョーブの顔が、スタジオ中のTVのモニターに映し出される!
「語るに落ちるとはこの事だ!あの時の恨み……今ここで晴らさせて貰おう!」
「……仕方がない。平和主義者の〈仮面〉を被っていられるのもこれまでか?」
 パイプを投げ捨てて立ち上がったケスラー教授が、内ポケットから一枚のCD-ROMを取り出す。デイビッドのノート・パソコンに挿入し、素早く操作するや、スダシオ内のスピーカーから流れて来た音楽は……トム・ジョーンズが歌う勇壮なテーマ曲−「サンダーボール作戦」だ!
『ギャア〜〜!止めろ〜、止めてくれ〜〜〜!!』
「……やっぱりこんな時は、何て言ってもトム・ジョーンズね!」
 手を叩いて喜ぶノリスお婆ちゃん!絶叫しながら身悶えるジョーブは、やがて画面の中で雲散霧消して行った……。
「『サンダーボール作戦』……と、言う事はつまり、君は……」
「そうです、大統領」
 「ピーッ!」と音を発した腕時計型通信機に応答し、白衣を脱ぎ捨てたケスラー教授が、一瞬にして華麗なタキシード姿に変身する!5代目ジェームズ・ボンド−ピアーズ・ブロスナン版007だ!
「今まで身分を詐称していて、申し訳ありませんでした。ただ今、Mからの緊急呼び出しがありましたので、この場を失礼させて頂きます」
 テーブルの下に隠してあった、小型ハンディー・ロケットを背中に装着。スタジオの天井が開き、007が空中へと飛び出して行く!疲れたような表情で、出演者を見回す大田原官房長官……。
「やれやれ……何てこった!これで、スタジオに残っている出演者は……ひい、ふう、みい……おや?ジョー・エル博士は?外務大臣はどこへ行かれました?」

◎ A.T.4:25/外務大臣個室
 朝生会議を、勝手に退席して来たジョー・エル博士は、官邸の個室に舞い戻っていた。
「あなた、どうなさいましたの?まだ、首脳会議に出演中じゃなかったんですか?」
 妻のラーラが質問しようとするのを遮って、我が子キャル・エルを、揺りかごから抱き上げるジョー・エル博士。
「ラーラ……。我が故郷アルデラーンは、もう終わりだ。今、私達に出来る事は、愛しき我が子キャル・エルを、宇宙船でひそかに脱出させてやる……それしかない」
 悲壮なる夫の目をじっと見つめるラーラ……。
「分かったわ、あなた。私達は、故郷と運命を共にするとしても、この子だけは何とか助けて上げましょう!」
 無言で頷いたジョー・エルが、息子のキャル・エルを、キラキラと輝く小型宇宙船に乗り込ませる!その側らに置かれるグリーン・クリスタル!外務大臣個室の天井が開く!そして、帝国軍にも探知不可能な小型宇宙船が、薄暮の空へと飛び立って行く!それをじっと見つめるジョー・エルとラーラ!
『息子よ!私達の分まで立派に育つんだぞ!』



《第15章:アルデラーン大攻防戦:PART・3…へ続く》


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