【パロディー・スターウォーズ/帝国の予習】

《第10章》 エイリアンvs600万ドルの男




= はじめに =
第10章「エイリアンvs600万ドルの男」は、前半の原稿データが行方不明の為、ここには《あらすじ》として掲載させて頂きます。今後、同箇所を再構築の上、《完全版》として掲載する予定ですので、どうかご了解下さい。


【 あらすじ 】

 帝国情報部のタトゥーイン秘密基地を大混乱に陥れ、サキや神・007たちの前から、まんまと逃げおおせた「凄腕の破壊工作員」……その正体は、ルークの義父−オウエン・ラースだった!妻のベルに、帝国の秘密基地で知った情報を伝えたオウエンは、「帝国の最重要機密」を持って逃走したロボットが、何と自分が買った「R2-D2」と「C-3PO」だったと言う偶然に驚き、一刻も早くクラーケン台地のオビ・ワン様に伝えねば!…と呟く。だが、その時、彼の背後で一人の男の声がした。
「それは、いい事を聞かせて貰ったな……!」
 振り返ったオウエンの目に入ったのは、600万ドルの男ことスティーブ・オースチン少佐だった!
「馬鹿な!誰も、後を追って来れなかった筈だ?」
 基地にあった全ての車輌(エアカー・エアーバイク・スピーダー)を使用不可能にしたオウエンだったが、オースチン少佐が、その特殊能力=バイオメカニックの足(!)で以って、「自力」で後を追ってくるとは想像すらしなかったのだ!銃を突き付けて、更なる情報を得ようとするオースチン少佐。だが、彼の目の前で、オウエンの様子が一変した!額から脂汗を流し、苦痛に顔を歪め、腹を押さえて倒れ込んだのだ!
「あなた!……しっかりして、あなた!!」
 地面を転げ回って苦しむ夫に駆け寄るベル。どうやら、「それ」が演技ではないと知った少佐が、一歩近づいた……その時!オウエンの腹が異様に膨れ上がり、噴水の如く血が噴出した!「ギャアアア〜〜〜〜!!!」 絶叫するオウエン!頭から血潮を浴びて、真っ赤に染まるベル!次の瞬間、オウエンの腹を食い破って、「何か」が姿を現した!
 それは、エイリアンの幼生体だった!そう……彼が、朝食時に食べた「エイリアンのゆで卵」が、体内で孵化したのたのである。凶暴なるベビーエイリアンは、そのままベルの顔面へ飛び掛かり、一気に喉笛を掻き切った!眼前で突然起こった惨劇に、絶句するオースチン少佐……。だが、二人の人間を一瞬で屠ったベビー・エイリアンが、自分の方に向きを変え、凶暴な歯を剥きだしたのを目にした少佐は、咄嗟にレーザーガンを放った!だが……。
「……しまった!」
 焦ったオースチン少佐の射線はベビーエイリアンを外れ、その背後にあったエネルギー・プラントを直撃したのだ!次の瞬間、轟音と共に、巨大な炎がラース農場を包んだ!機械の腕で顔を庇って、決死の大ジャンプを行ったオースチン少佐は、かろうじて火の渦から脱出する事に成功した。だが、壊滅したラース農場の残骸の中から、「何か」が姿を現した……。それは、巨大なエネルギー放射を浴びて、一瞬の内に急成長した《完全体エイリアン》だった!酸性の涎を撒き散らしながら、何物をも噛み砕く歯を剥きだして、オースチン少佐に迫るエイリアン……!
 かくして、ここに「エイリアン vs 600万ドルの男」の壮絶な死闘が始まった!

 ……灼熱の太陽の下、ゆらゆらと揺れる陽炎の中で対峙する「二匹の戦士」!永遠とも思えるが如き時が流れ、静寂が全てを支配する。やがて、その呪縛を破る一瞬が、遂に訪れた!太陽を背にしたオースチン少佐が、逆光を利用して、宙高く跳び上がったのだ!
 だが、エイリアンの巨大な長い尾が、少佐の左足に巻き付いた。そのまま、大きく地面に叩き付けられるオースチン少佐!少佐の左腕(生身だ!)が、変な方向に曲がっていた……激突の衝撃で折れたのだ!苦痛に顔を歪めた少佐が、両脚でエイリアンの尾を蹴って脱出した。だが、やられっ放しになっている600万ドルの男ではない!エイリアンの背後に素早く廻ったオースチン少佐が、無事な右腕(こちらは機械の腕である)で以って、エイリアンの巨大な腕を捩じ上げたのだ!
『グギャア〜〜!!』
 思わず仰け反って、悲鳴を上げるエイリアン!「フル・パワーーー!」最大出力を発揮したオースチン少佐は、そのまま一気にエイリアンの右腕をへし折った!今まで経験した事のない激痛に、地面を転げ回って苦しむエイリアン!血にまみれ、砂にまみれたオースチン少佐がゆっくりと立ち上がるや、ぺっと血の混じった唾を吐いた……。
「……これで、貴様も俺も…腕を一本ずつ……失ったって訳だな!」
 ニヤリと不敵な笑みを浮かべるオースチン少佐。次の瞬間、右腕を失ったエイリアンが、凶暴な唸り声を上げて、少佐に襲い掛かる!その体をかいくぐって、背後に廻った少佐が腰に食らいつく!だが、オースチン少佐の体を鷲掴みにしたエイリアンは、強引に押し倒すや、そのままマウント・ポジションを取った!
 絶対有利の体勢に持って行った、エイリアンの口が大きく開かれ……酸性の涎が、オースチン少佐の顔面へと滴り落ちる!焼け爛れた少佐の顔から、シュウシュウと音を立てて、煙が上がる……。そして、全ての生物を食い尽くす「恐怖の顎」が姿を現した!600万ドルの男の命運も、遂に尽きたのか?……そう、思われた瞬間!

『……グエエ〜〜〜ッ!!』
 エイリアンの絶叫が、乾いた大地に響き渡った!正に、起死回生……。オースチン少佐に、唯一残されたバイオニック・パワーの腕が、エイリアンの顎を握り潰したのだ!巨大な腕で顔面を押さえ、バタバタとのた打ち回るエイリアン!その隙を捉えたオースチン少佐は、エイリアンの背に馬乗りになり、その太く強靭な首を全力で締め上げた!……だが、その瞬間、エイリアンの巨大な尾が、今度はオースチン少佐の首に巻き付いた!ギリギリギリ……!共に、互いの首を締め上げるチキン・レースだ!
「俺の首が…千切れるか……それとも…貴様の首が折れる方が……早いか……勝負だあ〜〜!!」
 絶叫した600万ドルの男が、最後の力を振り絞って、エイリアンの喉笛を締め上げた!(一瞬挿入される「エイリアンの頚骨」レントゲン写真!)…………ボキボキッ!!
 そのまま、乾いた砂の上に崩折れるオースチン少佐。そして、ゆっくりと立ち上がるエイリアン……。だが、勝利の凱歌を挙げるべき「エイリアンの巨大な頭部」は、その首の上に存在していなかったのだ!一瞬の後、酸の血飛沫を、噴水のように吹き上げたエイリアンは、小刻みに痙攣しながら、再び倒れて行った!

 そして、その直後、小熊のミーシャ率いる帝国軍の小部隊が、現場に到着。オースチン少佐が、一対一の決闘でエイリアンを倒した事を知ったストーム・トルーパーズの間から、喝采が沸き起こった!あのリプリーでさえ、1回目と2回目は撃退のみ、3回目と4回目も「自分の力で」勝ったと言える状況ではない……。それを、バイオニック・パワーで生体補強されてるとは言え、武器を持たない「素手の人間」が、エイリアンを打ち負かしたのだ!
 瀕死の重傷を負って、タンカに乗せられたオースチン少佐に、タバコを勧める小熊のミーシャ。「共産主義……国家の…タバコは……酷い…味だぜ……!」と言いつつも、美味そうにタバコを吸った少佐が、オウエン・ラースから得られた貴重な情報……帝国の極秘情報を持ったまま逃走したロボット二体は、クラーケン台地のオビ・ワン・ケノービと言う人物の元へ向かったらしい……を、小熊のミーシャに伝える。それだけを言って、遂に意識を失ったオースチン少佐は、帝国軍の救急車へと運び込まれた。
『……男だったぜ、オースチン少佐。死ぬんじゃないぞ……死んだら、俺が承知しないからな!』
 そう心の中で呟いた小熊のミーシャは、事の顛末を、帝国情報部臨時基地のヤマキ大佐に連絡したのだった……。





 ……ここで、再び時計の針を巻き戻そう!R2―D2が不用意に発した「大声」(?)によって失神した弟子たちを、オビ・ワンが介抱していた時、玄関先にキキーッ!…と車が止まる音がし、『お届け物で〜〜す!』と言う声が聞こえてきた。
「ちょっと待っとれ!今、ハンコを持ってくからな!」
 ハンコを手に、慌てて飛び出して行ったオビ・ワンの目に映ったもの……それは。
「ほらよ……『お嬢さん方、二人』、クラーケン台地のオビ・ワン・ケノービ氏のお宅まで、確かに届けましたぜ!」
「これは……ジョミー、ソルジャー。一体、どう言う事じゃ……!?」
 ……背中にリュック、両手に山の様な荷物を下げて、しょぼんとなっているジョミー・マーキス・シンとソルジャー・ブルーの二人だった!そんなオビ・ワンに向かい、途中で車がエンコした二人を拾って、ここまで届けに来たと告げるスペース・トラッカーのローン・スター。
「それは、それは……随分迷惑をお掛けした。これは、わしからの気持ちじゃ……!」
「そうかい?じゃあ、遠慮なく……」
 二人をここまで送り届けてくれたお礼にと、オビ・ワンが差し出した祝儀袋を、ローン・スターが受け取ろうとした……その時!不意に、オビ・ワンが、その手を取った。
「ちょっと待て……これは何じゃ?」
「ああ……こいつぁ、俺がヨーグルトの爺さんから委託販売を頼まれてる、『聖シュワルツ』の指輪だが、それがどうかしたか?」
「綺麗でしょう……?僕たちも貰ったんです」
 そう言って、指先に填めたシュワルツの指輪を、オビ・ワンの目の前に掲げるジョミーとソルジャー。だが、突然オビ・ワンの表情が険しくなったかと思うと、今の今まで差し出していたローン・スターへの謝礼を、急に引っ込めた。そして、何と塩壷を持って来るや、ローン・スター目掛けて塩をぶつけたのだ!

「……ぺっぺっ!てめえ、いきなり何しやがんるんだ!?」
「ヨーグルト……?聖シュワルツの指輪じゃと……?何を言っとる!我が師・ヨーダの偽者の癖しおって!お前たちのようなパチモンを売る輩が絶えんから、わしも迷惑するんじゃ!謝礼なんぞ、やれるか……ええい、忌々しい!さっさと帰れ!」
「……畜生!こんな事なら、親切心を出して、わざわざ届けてやるんじゃなかったぜ!」
 そう言い捨てたローン・スターが、ぷりぷり怒りながら出て行く!更に、オビ・ワンは、後に残されたジョミーとソルジャーの指先から、「聖シュワルツの指輪」を荒々しく抜き取った!
「あっ……それ、僕のなのに!」
 抗議する二人をジロリと睨んだオビ・ワンが、指輪をポケットに仕舞い込む!
「馬鹿もん!これは没収じゃ!大体、身に着けるなら『ルーカス・コーポレーション』のロゴ入りのハンカチでも……とにかく!今はそんな事を言っとる場合ではない!わしと一緒に、気絶しとる皆の目を覚ますのじゃ!さあ、来なさい!」

 オビ・ワンは、事情が分かっていないジョミーとソルジャーを部屋に連れて戻ると、二人からランドスピーダーを放棄してきた経過を事細かに聞き出した……。
「そうか……わしがルークをタスケン・レイダースから救い出そうとしてた時に、テレパシーで呼び掛けとったのはお前たちじゃったか……。あの時は、こっちもてんてこ舞いで応答する暇もなかったが……。まあ、不慮の事故じゃ!仕方ないじゃろう……」
 そして、オビ・ワンとジョミーとソルジャーの3人で、ぐっすりと熟睡(?)している者たちの目を覚まさせていった。
「あ〜あ、よく寝た!」「あら?私、どうしてたのかしら?」「ジョミー、ソルジャー……いつの間に帰って来てたんだい?」
 一斉に喋り出す者たちを、明石屋さんまの如く巧みに仕切るオビ・ワン!やがて、全員が静かにオビ・ワンの前に座った……。
「うむ……これで、やっと全員が揃ったな。それでは、もう一度レイア姫からのメッセージを聞き直す事にする。頼むぞ、R2-D2」
 オビ・ワンの言葉に、R2-D2が『ギャピイッ!』と返事し(?)、レイア姫のホログラムが再度現れた。だが、R2-D2は一度火を吹いてぶっ倒れたせいか、空中に投射される映像は歪み、音声も奇妙にひずんでいる。
「いかんな!ダビングを重ねたせいか……。それとも、コピー・ガードが掛かっとるのか……?どうも上手く映らん!」
 トラッキング・チューナーを、あれこれいじり回していたオビ・ワンだったが、遂に腹を立てたのか、思いっ切りR2-D2のどてっ腹を叩きつける!その瞬間、パッと映像が鮮明になった!
「よしよし!昔、TVの映りが悪くなった時には、こうやってよく直したもんじゃ!」
 満足そうな笑みを浮かべるオビ・ワン。そして、彼らの目の前に映し出されたのは、何とレイア姫の着替えシーン!着痩せするタイプなのか……ランジェリー姿のレイア姫は、意外とグラマーだ!おおっ!―と、座から歓声が上がる!ルークが目を見張り、七瀬が顔を伏せる!そして、C-3POがR2-D2の前に飛び出して、激しく詰問した!
「R2-D2!どうして、お前はご主人様のプライベートな秘密のシーンばかり隠し撮りをするのだ!なぜ、私に知らせんのだ!?」
 背中に注がれる視線を感じたC-3POは、ゆっくりと振り向いた……。そこで、C-3POの目に写ったのは、冷たく見据える皆の目・目・目!わざとらしく、『エー、オホン!』と咳払いをしたC-3POが、R2-D2の側面パネルを操作するや、やっとの事で、肝心要のレイア姫からのメッセージが現れた!

『私は、惑星アルデラーンの上院議員レイア・オーガナです。かつて、平和と繁栄を誇った銀河共和国は、皇帝ロクセイア12世と称する、裏切り者の大統領パルパティーンや大総督モフ・ターキン、ダークサイドに屈したジェダイの騎士ダースベイダーらによって、今や恐怖と暗黒の世界と化してしまいました……。彼らの支配する帝国の圧政に、全銀河の人々は苦しみ傷ついています。オビ・ワン・ケノービ!いつまでも意地を張って、隠居暮らしを続けておらずに、私たちと一緒に戦って下さい!ジェダイの騎士の生き残りである、あなただけが頼りなのです……お願いです!そして、このR2-D2には、同志が命懸けで盗み出した、帝国の最終兵器デス・スターの構造設計図を記憶させてあります。このデータを、何とか私の父−ヒトーシ・タイラー・オーガナ大統領に届けて下さい!……』
 ループ回線で、何度も何度も繰り返されるメッセージ。レイア姫の必死の訴えに、声を出す者は一人もいなかった……。そして、その静寂を破ったのは、オビ・ワンだった。
「聞いた通りじゃ!お前たちは、わしの銀河史講義で、薄々は感じておったと思うが……」
 オビ・ワンが、弟子たちの方を振り向いて言う。
「クラーケン台地の隠者ベン・ケノービとは、偽りの姿……果たして、その実体は!」
「……人呼んで、遊星仮面!」
 ♪戦争〜〜をやめろ!地球の危機がやって来た〜〜。その日その時現れた〜、マスクとマントの正義の子〜〜。
「その名は〜〜人呼んで〜〜、遊星……阿呆かっ!」
 怒りの余り、はあはあと肩で息をするするオビ・ワンは、思わず乗せられてしまった事も忘れて、思いっ切りハリ扇でしばき倒した!
「折角のええシーンじゃと言うのに……茶々を入れおって!……とにかく!わしの本名はベン・ケノービではない。かつて、銀河共和国の指導者の下で、人々の平和の為に戦って来たジェダイ騎士団のリーダー、オビ・ワン・ケノービ……それがわしの真の姿じゃ!」
 おーっと歓声が上がり、拍手が鳴り響く!それを、満足げに制するオビ・ワン。

「……かつて、ジェダイの騎士たちは、共和国の守護者として、銀河中に遍く存在していたが、決して自ら支配者・統治者になろうとする者はいなかった。じゃが、ジェダイの騎士団の裏切り者パルパティーンは違った!わしらに上手い事を言って、大統領選に出馬。まんまと瞞されたわしらも、きゃつの為に選挙カーに乗って、慣れぬ応援演説に汗を流したんじゃ。当選した暁には、人々の為に誠心誠意尽くすと、おべんちゃらを言っておきながら……権力を我が手に握った途端、たちまち独裁者と化しおった!……これだから、政治家の公約なぞは当てにならん!!」
 うむうむと頷くオビ・ワンの弟子たち。
「……そして、同じ裏切り者のダースベイダーのように、ダークフォースの魔力に捕われた者どもを配下として用い、自らの意に従わぬジェダイの騎士たちを、次から次へと陰謀によって抹殺!やがて、きゃつは皇帝ロクセイア12世と名乗ると、銀河中を恐怖で支配して行きおった……ルークよ!」
「は、はいっ!」と慌てて言うルーク。
「今まで黙っておったが……お前の父アナキン・スカイウォーカーは、お前の伯父ラースが常々言っていたように、新型戦闘機の訓練中に事故で死亡したパイロットではない。実は、わしが直接指導した優れたジェダイの騎士だったのじゃ!」
「え〜〜っ!」と、仰天するルーク!
「じゃが彼は、ダークフォースに……いや、その!ジェダイの騎士として親友だったダースベイダーに裏切られて、溶岩台地の戦いで命を失ったのじゃ。ダースベイダーはその時に受けた傷が元で、常に生命維持装置つきの仮面を着けていなければ、生きて行けぬと聞く……。そしてわしはと言えば……今では邪悪なる皇帝ロクセイア12世と化した、かつての同輩パルパティーンと死闘を繰り広げ、遂にきゃつのダーク・フォースを破壊した!
 本家の映画版とは違い、今では奴もただのボケ老人じゃが、銀河帝国はモフ・ターキン総督とダースベイダーの魔力により、以前にも増して恐るべき存在と化しておる!わしも、その時の戦いで、精神と肉体に深手を負った。そして、帝国の追っ手から逃れるのと……ルークよ!お前を……アナキン・スカイウォーカーの息子として、ジェダイの騎士たる素質を秘めたるお前を、帝国の目から被い隠す為に、わしはこのど田舎の星タトゥーインに隠れ潜んだのじゃ!わしの遠縁にあたるラース夫妻にお前を預け、平々凡々な農民として育てさせたのも、わしの考えじゃった……すまん、ルーク!」
 オビ・ワンは、そこまで一気に言うと、膝をついて腰を折り、ルークに向かって頭を下げた。
「お前の……銀河大学星に行き、将来はパイロットになりたいと言う夢は、わしも良〜く知っておった。だが、わしはあえてお前のその希望を、オーエン・ラースに命じて押さえさせたのだ!今日のような日が訪れる事を予想して……」
 その言葉に、ルークは思わず立ち上がり、オビ・ワンに向かって、思いっ切り怒鳴りつけ……ようとしたが、すんでの所で、自制心を働かして立ち止まった。
「それで……僕は、これから一体どうしたらいいんです……教えて下さい!」
 訴えかけるルークに、オビ・ワンはうむと頷く。
「それでじゃ!わしは、レイア姫の呼び掛けに応じて、これらの弟子たちを引き連れて、この星を離れる。そして、R2-D2の記憶回路にイン・プットされておるデス・スターの構造設計図を、アルデラーンのオーガナ大統領に手渡すつもりじゃ!ルークよ……お前にもし、ジェダイの騎士だった父の意志が受け継がれておるのなら、銀河の正義と平和の為、わしらと共に戦ってくれんか!」

 激しく訴えかけるオビ・ワンに、複雑な表情を見せるルーク。銀河大学星に進み、タダと共に勉学に励む平凡な日々……。優秀なパイロットとしての充実した未来……。一転して、戦火渦巻く中で、共和国軍の戦士として戦う姿……。そして、美しきプリンセス・レイアとの華々しい結婚式……。ルークの脳裏に、様々な夢と未来が駆け巡る。
「少し……考えさせて下さい……」
 ポツリとつぶやいたルークに、オビ・ワンが答えた。
「いいじゃろう……じゃが、余り時間はないぞ。お前たち、すぐに荷物をまとめるのじゃ!後1時間で、ここは引き払うからな!」
「分かりました、先生!」
 一斉に散るオビ・ワンの弟子たち。そんな喧騒の中、一人ルークは家の外へ出た。地面に腰を降ろして、空を見上げ、一人考えにふける……。と、その横に立った人影が、ルークに声を掛けた。

「いいかな……僕がここに腰を降ろしても?」
「古代さん!……ええ、どうぞ座って下さい!」
 ルークの横に腰を降ろす古代進。しばらく二人は、無言のまま遥か彼方に目をやっていたが、やがてその沈黙を破り、ルークがぽつりと呟いた。
「僕……今まで一度も、戦いなんて考えた事もなかったから、迷ってるんです……」
「戦いかあ……僕なんか、これまで毎日が、ずーっと戦いの連続だったからなあ。戦いのない日々なんて、想像できないよ!」
 古代はそう言うと、ごろりと仰向けに寝そべり、空の彼方……果てなき宇宙へと目をやった。
「古代さんて勇者なんだ!……強いんですね!」
「強くなんかないよ……僕は」
 感嘆するルークに対し、古代の表情が暗く陰る。
「確かに、ここで先生のフォースを学んでるのは、過去において歴戦の勇士……凄腕のパイロット……優秀な超能力者だった。皆、戦い続ける事が自分の全て……人生だった人間さ!でも、それ故に人々からは白眼視され、精神に深い傷を負い、戦いに疲れて、あげくの果てには命を落とした……それが僕らなんだ!
 火田七瀬・小松崎蘭・砂姫明日香は、その優れた特殊能力故に、世間一般からは排除され、敵対する組織からは追われている……果てしない逃亡者だ。エイリア・アトレイデは、自らの心の奥なる先祖の亡霊にとり憑かれて、精神のバランスを崩した。リーザも、未知なる敵との過酷な戦いによって、自分の名前と超能力を使えると言う事以外、全ての記憶を失っている。ジョミーとソルジャーは、自らの心を壊さんばかりの望郷の念に責め苛まれ……アムロは、最愛の女性を自らの手で殺してしまった為に、心が暗黒の虚無に包まれてしまった。そして、僕はと言えば……」
 古代は膝を抱え、顔をその中に埋めるや、小刻みに震え始めた。
「僕の愛する女性……森雪を、死の縁から救う事が出来なかった!僕は、雪を失ってみて、初めて気づいたんだ。人は、宇宙の正義や地球の平和と言った、お題目なんかの為に戦うんじゃない!愛する人を守る為に、命懸けで戦うんだ!愛する女性一人守ってやれなくて、何が正義だ!何が平和だ!勝利か……くそでも食らえ!……雪……僕の雪……」
 嗚咽する古代……。声を掛けられないルーク……。

"彼らは皆、人には言えない過酷な人生を送って来たんだ……。それに比べて、自分は何と幸せだった事か……"
 ルークは、古代の告白に、自分の心が洗い清められていくような気がした。と、古代が顔を上げ、袖で涙をふいた。
「いや……ごめん!つい、昔を思い出しちゃって。もう、雪のことは、自分でも吹っ切れたと思ってたんだけどさ……。それで僕も、先生の力で生命を蘇らせて貰ったんだ。さっきも言ったけど、ここにいる仲間は、皆が心に深い傷を負ってる。それを克服する為に、先生の指導でフォースの修業に努めてたんだ!自分の心の傷は、自分の力で癒やし、いつか再び人生に立ち向かって行く為の準備期間としてね……」
 そう言った古代の顔は、ついさっき泣き崩れた時の表情とは、明らかに違っていた。自分の心の傷・弱点を素直に認め、その上でそれを乗り越えた「男」の顔だった!
「僕は今まで、ずっと戦い続けて来た……。これからもきっと、戦い続けるだろう……。そして、たぶんいろいろと間違いもすると思う……。でも、それが当り前じゃないか……人間だもの!人は、己のする事すべてが正しい、そんな"神様"みたいな存在にはなれないよ!自分の信じるままに、一生懸命生きて行けばいいんだ!その結果、間違っていればその報いを受けるだろうし、間違っていなければ救われる……そうじゃないかな?」
 古代は、ルークに教え諭そうとするのではなく、自分自身に言い聞かせるようにして言った。
「……それに、僕がこうして生きてるんだ!もしかしたら、雪もこの宇宙のどこかで、生きてるかも知れないからな……」
 古代が大空を見つめる。それは、今は亡き恋人の姿を、惑星タトゥーインの空の彼方に広がる、大宇宙のいずこかに見出しているかのような表情だった……。ルークの心に、一つの決意が生れた!

「古代さん……僕、ベンや皆と一緒に行きます!レイア姫って言う一人の女性が、必死に助けを求めてるんだもの!彼女の為に、僕は行きます!」
 ルークの言葉に、大きく頷く古代!
「分かった!じゃあ、皆の所へ……」
 古代がそう言いかけた時、家からオビ・ワンが飛び出して来た!その表情が真っ青になっているのを目にしたルークは、不吉な予感に捕われた!
「た、大変じゃ、ルーク!今しがた、ジョミーとソルジャーから聞いたんじゃが……」
 そう言ってオビ・ワンは、タトゥーイン中のジャワズのスクラップ屋が、帝国軍の乱暴極まりない取り調べに合っているらしいと言う事をルークに告げた!
「じゃ、もしかして、R2-D2とC-3POを探して……?」
 オビ・ワンも、家の方を振り返って頷く。
「うむ、そうに違いない!レイア姫のメッセージによると、あのロボットの記憶データ・バンクに入っておるのは、帝国の機動要塞デス・スターの構造設計図らしい。奴らが必死になって探そうとするのも、無理のない事じゃ!」
 のん気に言うオビ・ワンに、ルークが訴えた!
「そ、そんな事より……ベン!もし、R2-D2たちを買ったのが、オウエン伯父さんだって帝国軍に知れたら……!」
「そうじゃ、ルーク!一刻も早く、ジャワズのスクラップ屋に駆け付けねばならん!R2-D2たちの売却先を喋られては、ラース夫妻の命までもが危険じゃ!……古代!」
「はいっ、ケノビ先生!」と古代が答える!
「わしは、ルークとR2-D2・C-3POを連れて、ジャワズのスクラップ屋とラース農場を調べに行ってくる!できるだけ急いで戻って来るから、その間にここを引き払う準備をしておくのじゃぞ!」

 オビ・ワンがそう言った時、家の駐車場から猛スピードで回り込んで来たランド・スピーダーが、キキーッと音を立てて、彼らの前で停止した!その座席から、ヒラリと飛び降りる火田七瀬!
「ケノビ先生!ランド・スピーダーを持って来ました!」
「おお!さすがに気が利くな、七瀬!……お前たちも来たか!」
 家の中から、次々と姿を現わして来た弟子たちに向かって、オビ・ワンが呼び掛ける。
「わしが居らぬ間、もしかすると帝国軍がここに現れるやも知れん……。その時は、お前たち!わしが普段言っとる事をよ〜く思い出して、日頃の鍛錬の成果を、思う存分発揮するのじゃ!分かったな?」
「分かりました!」と、全員がコーラスで答える!
 そして、ルークたちが全員乗り込んだのを確認するや、ドライバーの七瀬がアクセルを全開で踏み込んだ!もうもうたる砂煙を上げて、突き進んでいくランド・スピーダー!
 「ここまで事態が急展開するとは、さすがのわしでさえ、想像もしとらんかったが……。何とか無事であってくれ!」
 助手席のオビ・ワンが、祈るような姿勢で呟く……。だが、運命の歯車は、既に大きく音を立てて回り始めていたのだった!




《第11章:O.B.牧場の決闘…へ続く》


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