【パロディー・スターウォーズ/帝国の予習】

《第1章》 虜われのプリンセス


a long time ago far far away in a galaxy……
 (訳:昔、昔、ある所でお爺さんとお婆さんが……失礼!ここは、皆様良〜くご存じなので、以下省略!)

 今、暗黒の宇宙空間を音もなく行く、三隻の宇宙船があった……。一隻は、元老院議員レイア・オーガナ姫率いる外交使節団を乗せた大型旅客船《ブレード・ランナー号》。一隻は、その護衛艦隊の司令船である、ペリー・ローダンの超弩級戦艦《マルコ・ポーロ》。そしてもう一隻は、同じく護衛艦である、ジェイムズ・T・カークの《エンタープライズ号》だ。
「船長。我々、ジャスタス・リーグ・オブ・SF(SF正義連盟)の両巨頭が、貴艦を護衛している限り心配はいらない。大船に乗った気持ちでいたまえ!」
 太陽系帝国第一執政官ペリー・ローダンが、悠然とした口調で言う。
「そうとも、たとえ相手がタケル人、あるいはロムラン人だろうと、所詮我々の敵ではない。そうだな、スポック?」
 ジェイムズ・T・カーク船長が続けて言う。
「はい、船長。我々が今ここに存在するのは、これまで全ての敵に勝利を収めて来たからです。もし敗れていれば、我々はここに存在していません……。我勝てり、故に我有り。非常に論理的です」
 ミスター・スポックも落ち着いて答える。
「やはり、JLSFの方々は、我々SF界の新参者と違って、堂々としていられますな。これなら私も気苦労が要りませんよ!全く、大枚の護衛料金をお支払いしたかいが有りました。それでは皆様、宜しくお願い致します」と、これは大型旅客船《ブレード・ランナー号》の船長−ジョージ・スピルバーグである。
 その時早く、かの時遅く、70mm大シネラマ・超ワイドスクリーンの上方から、どば〜〜っと現われた超巨大戦艦!

 ♪さらば〜、地球よ〜〜、旅立〜つ船は〜〜、宇宙戦艦ヤ〜マ〜ト〜〜!……違う、違う!現われ出たのは帝国戦艦《トランター》!プロトン・ビームをぶっ放しながら、ぐおーっと《ブレード・ランナー号》に迫った!
「どうしたんです、ローダン司令!早く奴らをやっつけて下さい!我々の装備では、とても敵いません!」
「よし分かった、スピルバーグ船長。これより緊急指令999を発動する!直ちに、作戦行動1999を実施せよ!」
 ローダン司令の緊急命令が超空間通信機を通じて、二隻の護衛艦に響き渡る。
「よし、ミスター加藤。ローダン司令の命令通り、作戦行動1999……つまり逃げろ!方向転換180度、シールド最大出力、最大速度ワープ10で緊急離脱!」
「船長!ローダン司令の命令は……非常に論理的ですね。ここで万一敗退する事があれば、それはすぐに全SF界に知れ渡ってしまいます。が、逃走するだけでしたら……所詮、次元の違う世界の事です。正式な戦闘記録には載りません」と言って、ミスター・スポックは肩をすくめた。
 《マルコ・ポーロ》と《エンタープライズ号》の二隻は、急速に《ブレード・ランナー号》と帝国戦艦《トランター》から遠ざかって行った!
「どう言う事です、ローダン司令!なぜ戦って下さらないんですか?このままでは、我々は……我々は捕まってしまいます!」
「誠に残念だが、スピルバーグ船長。我々はこの契約から手を引かせて貰うつもりだ。何しろ、敵の戦力が余りに強大過ぎるんでね。君子危うきに近寄らず……逃げるが勝ち……明日の為に、今日の屈辱に耐える……それが、我々の信条だ!さらば、スピルバーグ船長!今回の護衛任務の前払い金は、銀河銀行のそちらの口座に、いずれ振り込むから安心し給え。《マルコ・ポーロ》!《エンタープライズ号》!全艦、それぞれのインナー・スペースへジャンプせよ!」
 二隻の巨大戦艦は、暗黒の宇宙空間に溶けるが如く、一瞬にして消滅した。

「ローダン司令!ローダン司令!うおーっ!天は、天は我を見離したかーっ!エメラリーダ様〜〜あ〜〜〜!!」
 興奮したスピルバーグ船長は、この物語のヒロインの名前を間違えたのにも気づかず絶叫した!
 ただ一隻となった《ブレード・ランナー号》は、もはや帝国戦艦《トランター》の敵ではなかった……。トランターは、《ブレード・ランナー号》を牽引ビームで捕獲。艦内に収艦するや、どっと占領部隊を送り込んで来た!何しろ船長は、護衛艦隊を信頼し切っていた為、艦内の警備兵にも、ろくに武器を所持させていなかった程だ。艦内に侵入してきたストーム・トルーパーズとの戦闘も、最新式のレーザー・ライフルと種ヶ島式火縄銃では、相手になる筈がない!あっと言う間に《ブレード・ランナー号》は帝国軍に占領された……。


 完全に鎮圧された《ブレード・ランナー号》。その扉がシュッと開き、銃火の煙の中から、ゆらりゆらりと現われたのは……ベルクカッツェ!
「阿呆!どかんかい!!」
 ダースベイダーは、後から思いっ切り、ベルクカッツェの背中を蹴飛ばした!
「ははっ、ダースベイダー様!」
「マグマの海の中で死にかけとったお前を、私の超能力で救い出して、再び甦らせてやった恩を忘れたのか!」
「……いいえ、決してそのような事は!ただ、私もこれで10月からの新シリーズに登場して、あの憎っくきガッチャマンめをやっつけられると思いますと、つい嬉しくなりまして」
「ならば、それまで引っ込んでおれい!それよりも、早くレイア・オーガナ姫を探すのだ!」
「ははっ!皆の者、草の根分けても、ガッチャ……違った、レイア・オーガナ姫を探すのだ!」
 ベルクカッツェの命令に、ストーム・トルーパーズは広い艦内に一斉に散った!一方、肝腎のレイア姫は、帝国軍の探索の目を避けながら、必死に船内を走っていた……。

「……あのう、姫様」
 C-3POは、さっさと早足で掛けて行くレイア姫に向かって、後から必死に声を掛けた。
「一体、何をそんなにイライラ……」
「うるさいわね!私は今、R2-D2を探すので忙しいの……邪魔しないで!あっ、C-3POなの。ねえ、あなたR2-D2がどこに行ったか知らない?」
「私も、戦闘の途中にはぐれてしまったんですが……R2-D2に何か御用でも?」
「御用どころじゃないわ!デス・スター……おっと、これはまだ秘密、秘密!とにかく、R2-D2がいなくちゃ、話が進まないの!」
「あのう、私じゃいけないんですか?」
「あなたじゃ駄目なの!R2-D2でないと駄目なのよ!あなた台本読んでないの?」
 彼女がそう言った時、突如曲り角から二人のストーム・トルーパーズが姿を現わした。
「いたぞ!レイア姫だ!!」
 その時レイア姫、慌てず騒がず、ニッコリ笑って答えた。
「まだ駄目よ。だって……R2-D2に、まだメッセージを伝えてないんだもの。今捕まえちゃ、ストーリーが台本通り運ばないでしょ?私を捕らえるんなら、それが済んでからにして頂戴な」
「それもそうだな」「その通りだ……」
 二人のストーム・トルーパーズは、レイア姫に背を向けて、さっさとその場から立ち去ろうとした……。

「……と思ったら、大間違い!この物語は、本家の映画とは次元が違うんだ!何がどうなるか、分からないんだぜ!」
 そう言って振り返りざま、いきなりレーザー・ライフルをぶっ放した!
「どいて、C-3PO!」
 レイア姫はC-3POを突き飛ばすや、レーザーガンの0.05秒回転抜き撃ちを見事に決めた!
「ば、馬鹿な……この船で、そんな…高級な武器を持った……奴はいない……筈……だ……」
「あなた知らないの?私には外交官特権って言うのがあって、船に何でも持ち込めるのよ!」
「……そういつまでも得意になっていられると思ったら、大きな間違いだ!」
 レイア姫は、はっとなって振り返った!もう一人のストーム・トルーパーズが、いつの間にか音も立てずに、彼女の背後に忍び寄っていたのだ!あっと思ったレイア姫の手首に、一瞬の内に手刀が飛んだ!
「きゃ〜〜〜っ!」
 レイア姫の手からレーザーガンが飛んだ!
「大車輪飛行機投げだ〜〜〜!」
 ストーム・トルーパーズは、レイア姫の両足首を掴むや、そのまま大きく振り回し始めた!姫のフレアー・スカートが、風圧でまくれ上げる!
「いや〜〜ん、もう……H!」
 顔を赤らながら、スカートを両手で必死に押さえようとするレイア姫!
「姫に何をする〜〜!?」
 C-3POは、ストーム・トルーパーズの背後から飛び掛かった!
「じゃかあっしい〜〜!ポンコツロボットは、おとなしく引っこんどれ〜〜い!」
 片足で空中に蹴飛ばされたC-3POは、そのまま一回転して見事に着地……したと思ったら、もう一人のストーム・トルーパーズの死体につまづき、物の見事に横転した!
「そらそらそらそら……とりゃ〜〜!」
 ストーム・トルーパーズは、そのまま大きくレイア姫を投げ飛ばした!が、彼女は完璧に月面宙返りムーンサルトを決めて、すっくと着地した!彼女は、C-3POのようなヘマはしなかった。そしてさっと身構える!10点!10点!10点!10点……審査員全員が、次々と10点満点を押した!

「よっ、天才!ウルトラC!コマネチ顔負け!」
「ありがと。さっきは不意を付かれてやられたけど……。今度は、そうはいかないわよ!こう見えても、私は柔道初段・空手二段・将棋三段なんだから!アメリカの志穂美悦子って言うのは、私の事よ!空手は、ブルース・リー先生の直伝よ……さあ、掛かってらっしゃい!」
「分かってるよ、レイア……」
 ストーム・トルーパーズは仮面を取った。そこに現われた顔は……ブルース・リー!
「先生!」「そうだ、レイア。私だ」
「でも、先生は死んだ筈じゃ……?」
「そう、私は死んだ……確かに一度は。だが、私はシスの暗黒卿ダースベイダーの特殊能力によって、再び甦らせられたのだ!私の他にも、彼の手によって復活した者が大勢いる!ベルクカッツェやドメル将軍。ヨミ、ララァ・スンやモロボシ・ダン。もっといるらしいが、私もはっきりとした事は知らない。なぜ私があんな奴に従っているかって?これだよ……これ!」
 ブルース・リーは髪をかき上げて、額に残る手術の跡を見せた。
「我々ストーム・トルーパーズ・ミュータント部隊は、皆頭部に強力な電波式コンデンサーを埋め込まれている。反逆は即ち死だ!我々は、釈迦の掌に捕われた孫悟空なんだ!」
「リー先生!あなたは……あなたは……」
「分かっている。何も言うな、レイア!」
 ブルース・リーは、かすかに自嘲の笑いを浮かべた。
「かつての私は死んだ!地上最強の男を目指した格闘家ブルース・リーはな……。今の私は、ダースベイダーに命令されるまま何度も敵を倒し、幾度となくこの手を血で汚して来た、ただの殺人機械だ。いいか、レイア!私を師と思うな!倒すべき相手として、力一杯掛かって来い!」
「はいっ!」 レイア姫の瞳に涙が光る。
「アチャ〜〜〜!」
 ブルース・リーがストーム・トルーパーズの鎧を脱ぎ捨て、上半身裸に黒タイツだけの、かつての姿に戻るや、一瞬にしてその形相は厳しくなり、喉は怪鳥音を発した(BGM:燃えよドラゴン)!目にも止まらぬスピードで迫り来る手刀!そして、次々と繰り出されて来る強烈な蹴り!ジェームズ・コバーンを、スティーブ・マックイーンを厳しく鍛え上げたブルース・リーの格闘技のすべてが凝縮され、今レイア姫にぶつけられて来た!そして、師から学び取った全ての教えに従って、必死に立ち向かおうとするレイア姫!それは、常人には到底知りえない、ハイクラスの格闘家同士による凄まじい死闘だった!静けさの中に、お互いの肉と肉をうがつ、激しい音の響きだけが延々と続いていた……。やがて時が止まり、二人がじっと立ちつくしていたが、精根を使い果たしたレイア姫がバッタリと倒れた!

「強くなったな、レイア……」
 倒れたレイア姫を、笑みを浮かべながら見下ろすブルース・リー。彼の唇から一筋の血が流れると、彼はそのままばったりと倒れた!
「私も遂に……敗れ…た……か……。生涯……敗北と‥言う文字……は……知らな…かった……が……」
 レイア姫はブルース・リーの元に這い寄り、その体を抱き起こした。
「先生!リー先生!」
「いいんだ……これで…レイ……ア。これで良か……ったん……だ。こ……れで…私……も……やっと死ね…る……」
 ゴフッと、口元から血を吹き出すブルース・リー!蒼ざめた彼の顔には、既に死相が漂っていた……。
「お願い、死なないで!先生!!」
「あの〜〜姫様。こんな所でのんびりしてると、敵に捕まりますよ〜〜?」
「うるさいわね!放っといて、C-3PO!映画にも、こんな感動的な場面はないんだから!!」
 そう言って、レイア姫はC-3POを突き飛ばした!C-3POはくるりと空中で一回転して、今度は見事に着地した……と、思ったら、ブルース・リーが脱ぎ捨てたストーム・トルーパーズのボディ・スーツにつまずき、またもやひっくり返った!
「私も……格闘‥技世界一……決定戦に……出て……アント…ニオ猪木……と……戦い…たかっ……た……」
 ブルース・リーの首が、がくりとかしぐ……。レイア姫は、腕の中で息を引き取った、師ブルース・リーの体をかき抱いて号泣したが、やがて涙を拭い去って立ち上がった。
「先生……私、頑張るわ!先生をこんな運命に追い込んだ奴らを倒す為にも、きっとデス・スターを破壊してみせます!」
 立ち上がったレイア姫が、きっとC-3POの方を振り返る。
「さあ、C-3PO!R2-D2はどこなの?あなたとR2-D2は、アトムとコバルトみたいに、お互いを引き合えるんでしょ?」
「おお!その事をすっかり忘れておりました!暫くお待ち下さい……分かりました、姫様!R2-D2は、既に緊急脱出ルームにいる模様です」
「じゃ、早くそこに案内して!」「はいはい、分かりました!」
 C-3POは先に立って歩み始める。その場を立ち去ろうとしたレイア姫が、今一度振り返った。ブルース・リーの死に顔は笑みを浮かべたまま、安らかな永遠の眠りに着いていた……。彼女は黙祷を捧げ、祈りの言葉をそっと呟くと、その想いを振り切るようにして、C-3POの後を追って行った!


 一方、ダースベイダーは二人の軍事参謀−ベルクカッツェとドメル将軍を率いて、捕虜となった《ブレード・ランナー号》の船長ジョージ・スピルバーグの尋問に取り掛かっていた。
「さあ、スピルバーグ船長!何もかも吐くんだ!レイア姫はどこだ!極秘情報を記したメッセージはどこへやった!スター・ウォーズ9部作の予定はどうなっておるのだ!」
 ベルクカッツェが、船長の襟元をギリギリと締め上げる!
「知らん!私は何も知らん!メッセージとは何だ?……リアベの実の事か?」
「白ばっくれるな!お前の宇宙船に乗り込んでいる、我が方のスパイが詳細に知らせて来ておるのだ!」
「だ、誰だ、そいつは!私の船にそんな不届き者が乗っておったとは!」
「は〜〜い、船長。私です」
「お、お前は、船医のドクター・スミス!」
「そう……。ドクター・ザカリー・スミス、つまり、この私こそダースベイダー卿のスパイ」
 ドクター・スミスがニヤリと笑った。
「あいつのような、裏切り者の常連を船医に雇ったのが、お前の間違いだったな……さあ、ネタも上がっておるのだ!そろそろ吐いて貰おうか!」
「吐けば良いのか?」
「……そうだ!」
「では、吐いてやろう……ゲ〜〜ッ!」
 船長の嘔吐をまともに体に受けたベルクカッツェは、かんかんになって怒った!
「おのれ〜〜!これは、今度新調したばかりのニュー・モードだと言うのに、台無しにしおって!……おい、拷問係!」
「へ〜〜い」
 大勢のストーム・トルーパーズを掻き分け、のっそりと現われたのは、誰あろう……かつて007ジェームズ・ボンドと戦い、何度も引き分けた不死身の怪物ジョーズ!
「ベルクカッツェ様。こいつを噛まして貰えるんで?」
 ジョーズは、自慢の鋼鉄の歯を鑢で研ぎながら、ニヤッと笑った。
「それはもっと後だ、ジョーズ。取り合えず今は、私の部屋から着替えを持って来るのだ!このような、みっともない姿では尋問するのも様にならん!」
 ベルクカッツェはそう言って仮面を外した。長い金髪がパラリと解けて、仮面の奥に隠された美しい顔が現われる……。ベルクカッツェは、ふふんと鼻先で笑うと、ジョーズが持って来た着替えを抱えて、近くの部屋に消えた。ストーム・トルーパーズは、全員ポケーッとその方向を眺めている。

「何を、ボケッと見とるか!」と、ダースベイダーの怒声が響き渡った!
「こんな所で油を売っておらず、レイア姫を探すのだ!」
 ガマの油売りの恰好をしたストーム・トルーパーズは一斉に飛び上がり、蜘蛛の子を散らすようにその場から姿を消した!それと入れ違いに、ベルクカッツェは、今度は美しいドレスに身を包んだ美女の姿で現われた。
「何と美しい!」
 彼女の姿を見たドメル将軍が、はっと目を見張って呟く。それを見たダースベイダーが、ドメル将軍の足を思いっ切り踏んづけた!
「あいた〜〜っ!!」
 ドメル将軍は踏まれた足を抱えて、片足で飛び回った!ベルクカッツェは再び船長の前に立つと、彼をぎろりと睨みつける!
「船長。さっきはよくも私のニュー・モードのスーツを汚してくれたわね。そのお礼と言っては何だけど……これでも受けなさい!」
 ベルクカッツェの鉄鞭が、電光石火光った!
「ぎゃあ〜〜〜っ!」
 退けぞったスピルバーグ船長の額には、見事に血で描かれた「X」の文字があった!それを目にしたベルクカッツェの表情は、何とも言えない不気味さに包まれていた……。
「ベ、ベイダー卿!こ、これは……先程までのベルクカッツェとは、全く迫力が違う!」
 一変したベルクカッツェの様相に、ドメル将軍は冷汗を流しながら、たじたじと後ずさった!
「奴は、仮面を取った時の方が迫力があるのだ……。だから女は怖い」
 鬼気迫るベルクカッツェの形相に、スピールバーグ船長が絶叫する!
「は、白状する!何でも白状する!だから、助けてくれえ〜!頼む、助けてくれ〜〜〜え!!」
「ダースベイダー様、どうやらこいつも、やっと白状する気になった様です」
「うむ、ご苦労……後は私がやる」

 ダースベイダーはずいと進み出るや、スピールバーグ船長の両肩をがっしりと掴み、その目をじっと凝視した!と、船長は急にぐったりとなったかと思うと、何かにとり憑かれたようにぺらぺらと喋り始めた……。
「メッセージは…私が直接……通信室で、デス…スターのスパ……イから受け……取って、直ぐ…にレイア姫……に渡した。電……文の内容…は、暗号……に……され…ていて……私…も知らない。レイ……ア姫は、恐らく…緊急……脱出ルームだろう……」
 船長はガックリと首を折るや、そのまま床に崩折れた!
「こやつの言っとる事は真実だ。間違いない!その目を見れば、よ〜っく分かる……。我々のように、平気で嘘がつける悪人ではない!……よし、皆の者!直ちに、緊急脱出ルームに急行せよ!レイア姫がこの宇宙船から逃げ出す前に捕らえるのだ!ベルツカッツェよ……そやつはお前に引き渡す。お前の好きなように始末するが良い!」
「嬉しいっ!」
 ストーム・トルーパーズとドメル将軍を引き連れて、足速にその場を立ち去ったダースベイダーを見送ったベルクカッツェは、手にした鉄鞭で倒れ伏している船長の体を突いた。
「さあ、立つのよ!まだ尋問は終わってないわ。お楽しみはこれからなんだから、うふふ……!」
「カッツェ様、こいつもう死んでる」「何ですってえ!」
 ジョーズが船長の体を持ち上げる。その顔は蒼白く、瞳はピクリとも動かなかった!ベルクカッツェは両手の指を船長の頭部に押し当てるや、じっと目を閉じて思念を凝らしていたが、突如飛び上がって怒鳴った!
「こいつの体から、すべての精神エネルギーと肉体エネルギーがなくなってる!ダースベイダーの奴……吸血鬼みたいに、暗黒理力でエネルギーを吸い取って殺したのね!畜生、私の楽しみを奪いやがってー!ダースベイダーの馬鹿野郎〜〜!!」
「俺、欲求不満。こいつ死んだ。指、噛んでも痛がらない。カッツェ様……俺、どうしたら良いのか?」
「うるさいわね!そんなに生きてる人間の指が噛みたかったら、自分の指でも噛めば良いのよ!キーーッ!!」
 ベルツカッツェは、じだんだ踏んで悔しがった!


 ここで、話を元に戻して……。レイア・オーガナ姫とC-3POはようやく緊急脱出ルームに辿り着くや、行ったり来たりしているR2-D2を発見した。
「やっと見つけたわ、R2-D2!一体今まで、何してたの?」
「ピピポピューピポ!」
「R2-D2の言葉によると……話の順序を間違えて、先に緊急脱出ルームに来てしまったようです。それで、あなたが来ないので、イライラしてたらしいです」
「全く、もう……!C-3POもR2-D2も、ちゃんと台本読んでないんだから困るわ!……じゃあ、早速用意して、R2-D2!あなたに、これからメッセージを記憶させるから……。C-3PO、あなた暫くどこかに身を隠しててくれない?」
「どうしてですか?」
「だって、あなたはこのメッセージの内容を知らない事になってる筈でしょ?」
「はいはいはい……分かりました。私は、どっかに隠れてればいいんでしょ?では、私はこれから三匹の猿になります。……変、身!とおーーっ!」
 C-3POは三つに分裂して、目・耳・鼻を押さえる。その間にレイア姫は、R2-D2の記憶バンクに、極秘情報−デス・スターの設計図面と、オビ・ワン・ケノービ宛のメッセージを、素早くインプットした。
「はい……っと!これでお終い!C-3PO、もう元に戻って良いわよ!早く脱出ポッドに乗らなくっちゃ!」
「チェ〜〜ンジ、C-3PO!ワン、ツー、スリー……合体!」
 C-3POは再び一体になると、R2-D2と共にそそくさと緊急脱出ポッドに乗り込んだ。続いて入ってこようとするレイア姫を、突き飛ばすC-3PO!
「何するの、C-3PO!仮にも、あなたの主人に向かって!?」
「姫、あなたこそ、台本を呼んでいらっしゃられないのですか?あなたはここに残ってダースベイダーに掴まり、尋問される……それが、これから先の物語なのですよ?」
「分かってるわよ、C-3PO!でも、良いじゃない、少しくらいストーリーが変わったって……。折角ここまで来たんだから、一緒に惑星タトゥーインに逃げましょうよ。ねえ、C-3PO……」
 誘惑(?)するような目つきで、C-3POに擦り寄ってくるレイア姫。
「いけません!ただでさえ、今まで、本編の物語とは関係のない連中が、ウジャウジャ出てきて、話の筋がかなり乱れているんです!ここで、少しでも正常な方向へ戻さなければ、どこまで脱線して行くか分かりませんからね」
「もう、かなりストーリーが違って来てるんだもの……。もう少しくらい変わったって、構わないじゃない!」
「いいえ!姫には、ぜひともここに残って頂きます。そして、ダースベイダーの尋問で、思いっ切りヒイヒイ言って下さい!それではまた、デス・スターでお会いしましょうね、サイナラ、サイナラ、サイナラ……」
 C-3POは、レイア姫を脱出ポッドの外部に残したまま、さっと壁のスイッチを押した!その瞬間、彼女の目の前で扉がシュッと閉まり、眼下の惑星タトゥーイン目掛けて、緊急脱出ポッドがバシューッと発射された!
「この冷血漢ーーっ!」
『私の体には、血も涙も通ってませんからね〜〜!』
 レイア姫の悪罵が、無人の通路に反響する。


「いたぞ、レイア姫だ!」「よし、殺すな!生捕りにしろ〜!」
 ストーム・トルーパーズは彼女の声を聞き付けて、通路の両側から怒濤の如く押し寄せて来た!しかし、ストーム・トルーパーズはレイア姫を生捕るよう命令されていたのに対し、彼女の方は遠慮会釈なく、彼らに向けて撃ちまくった!ましてや、レイア姫は射撃の天才だった!格闘技の師ブルース・リーと並ぶ、射撃の師ダーティー・ハリー譲りの腕前は素晴らしく、その抜き撃ちの早さは目にも止まらず、正確さは飛んでるハエの目玉を撃ち抜く程だった!ジュリアーノ・ジェンマかクリント・イーストウッドかと言う程のガンさばきは冴えに冴えた!ストーム・トルーパーズは、たちまち死体の山と化して行った!
「ええい、誰か奴を倒せる者はおらんのか!」
 レイア姫の火線が届かぬ場所に身を隠していたダースベイダーがそう怒鳴った時、その背後から彼と同じくらい長身の男が現われた。
「ダースベイダー様、私にお任せを」
 彼こそ誰あろう……黄金銃を持つ男にして、殺し屋の帝王フランシスコ・スカラマンガだ!
「うむ、お前なら、レイア姫を撃ち倒せるだろう。ただし、殺してはならぬ!必ず生捕りにするのだ!しかし……」
 ダースベイダーは、じっとスカラマンガの顔を覗き込んだ。
「お前の顔は、どっかで見た覚えが……」
「『エピソード2』の事を仰っておられるんでしょうが、この事はクライマックスになれば分かります……。いや、ラストシーンが変わってしまったので、カットされるかな?」
 そう言ったスカラマンガは、側にいたストーム・トルーパーズからパラライザーを取り上げた。
「これを借りるぞ。何しろ、殺してはいかんとのベイダー卿のご命令だからな」
 スカラマンガは、獅子奮迅の働きで、次々とストーム・トルーパーズをなぎ倒しているレイア姫に、ピタリと照準を合わせた。
「ファイブ!フォー!スリー!ツー!ワン!……サンダーバード・ア・ゴー!」
 スカラマンガ愛用の黄金銃から放たれた黄金の弾丸は、物の見事にレイア姫の手からレーザーガンを弾き飛ばした!「あっ!」 レイア姫から銃が失われ、無防備になった瞬間、スカラマンガはパラライザーに持ち換えて発射した!あっと言う間に失神して、床に崩折れるレイア姫!殺到したストーム・トルーパーズがレイア姫を押さえ込み、その両腕にコンピューター式手錠をはめて拘束する。そして、その人込みを掻き分けて現われるダースベイダー、ドメル将軍、スカラマンガ!
「良くやった、スカラマンガ!」「ははっ!」
「後で、戦艦《トランター》の帝国褒章局に参るが良い。褒美をつけてとらわす。それでは、ドメル……こやつの目を覚まさせて、尋問を開始せよ!」

 ダースベイダーがそう言った時、背後のストーム・トルーパーズを掻き分けてベルクカッツェが現われた。船長を死に至るまで、じわじわと尋問して行く楽しみを奪われた彼(彼女?)は、ダースベイダーに不気味に微笑みかける。
「ダースベイダー……さっきは、よくも私の楽しみを奪ってくれたわね……。あなたが謝らない限り、私は,あなたとの関係を帝国中に触れ回るつもりよ。それを耳にしたら、あなたの奥方はどう思うかしら?」
 ギクリとなったダースベイダーは、急にそわそわし始め、ベルクカッツェを通話の隅に連れて行くや、何やらヒソヒソと話し合う……。やがて話が着いたと見え、二人してドメル将軍の前まで戻って来た。
「まあ、それくらいで許して上げるわ!でも、今度私の楽しみを奪ったら承知しないから!分かったね?!」
「ああ、分かったよ……マイ・ハニー!」
 ダースベイダーは頭を抱えて呟いた。
「じゃ、ベイダー卿……。早速レイア姫の尋問に取り掛からせて貰うわ」
 ダースベイダーを、鼻でフンとあしらったベルクカッツェがレイア姫の元へ近付いて行く。ドメル将軍はそれを見届けた後、周囲にいるストーム・トルーパーズに聞こえない様、小声でそっとダースベイダーに囁き掛けた。
「ベイダー卿!あなたはベルクカッツェとそんな関係だったですか!何ておぞましい!ベルクカッツェはベルクカッツェで、仮面を取った時はまるで迫力が違うし、あなたはあいつに対して丸っ切りだらしがない……。一体、何て事です!」
「ドメルよ……まあ、誰にでも苦手があるもんだ。この、偉大なるシスの暗黒卿ダースベイダーにもな。私は、どうも女房のスラムクイーンが苦手でなあ……。あいつにこの事を知られたら、得意の針鞭でどんな目に会わされるか……ううっ!考えただけで鳥肌が立つ!今朝、家を出てきた時、占い師のノストラダムスが私の手を見て、『女難の相が出ておりますぞ!』と告げおったが……見事に当たったよ。今日と言う日は、女どもに大いに悩まされそうだ!それに、ベルクカッツェが如何に両性体だとは言え……そりゃあ、飛鳥了に比べれば幾分落ちるが、あしゅら男爵と比べれば、正に雲泥の差だ」
「ベイダー卿!それは……それは、物の喩えなんでしょうね!まさか、あの、あしゅら男爵と……ウエップ!いかん、想像しただけで気持ちが悪くなって来た……。いかん!もう吐きそうだ!オ、オエーッ!ベイダー卿……ちょっと失礼します、オエーーッ!……」
 ドメル将軍は口元を押さえながら、よろよろと洗面所に向かって歩いて行った……。一方、ベルクカッツェは、パラライザーで失神しているレイア姫の目を覚まさせようと、彼女の頬に二・三発平手打ちを食らわせる!

「さあ、レイア姫……起きなさい!」
 やがて、レイア姫がゆっくりを目を開く。赤く腫れ上がった頬を痛そうにさすっていたレイア姫は、ベルクカッツェの隣に現われたダースベイダーを見つめて叫んだ!
「ベイダー卿、やっぱりあなたね!こんな酷い事が出来るのわは、あなたしかいないわ!言っておくけど……私は、アルデラーン惑星政府のオーガナ大統領の一人娘で、銀河上院議員のレイア・オーガナよ!上院の外交使節団が乗ってる船を襲うなんて事をして、上院議会とマスコミが黙っているとでも思って?」
 ベルクカッツェは、人差し指でレイア姫の額をこずきながら、いらいらしたように言った。
「いい事?ベイダー卿と話をする時には、私を通してからにしなさい!勝手に話をするのは許しません!」
「上院?マスコミ?外交使節団?……そんな物が何だ!奴らは所詮、老いぼれの腰抜けと、ただワイワイ騒ぎ立てるだけのゴシップ屋どもの集りに過ぎん!あやつらの様な下賎の輩が、我らが皇帝陛下の忠実なる臣民にして、銀河の行く末を真剣に案じている私に対し、何程の事が出来よう?何も出来はせん!
 上院議員レイア・オーガナ姫率いる外交使節団が搭乗している宇宙船《ブレード・ランナー号》は、悪埒なる海賊キャプテン・ハーロックとその一味に襲われ、略奪行為の末に破壊された!レイア姫の生死は不明……既に、マスコミにはそう発表してある。たとえ、この話を疑おうとも、それを否定できる証拠は何もない!奴らには何も出来んのだ!
 それよりも、レイア姫!お前が、銀河帝国の政府高官でありながら、その陰で反乱軍に与しておる事は、既に判明しているのだ!さあ……反乱軍の基地はどこに有るのだ!デス・スターの極秘設計図を記録した秘密のメッセージはどこへやった!さあ、吐け!吐くのだ!!」
「誰が、あんた見たいな鉄面皮の悪党に教えるものですか!あっかん、ベ〜〜だ!!」
「私を通しなさいっ…て、言ってるでしょ!」
 ベルクカッツェを全く無視して、罵倒し合う二人。レイア姫の言葉に、怒髪天に達したダースベイダーは、天地も裂けよとばかりに怒鳴った!
「おのれー!おのれ、おのれ、おのれーー!私をこけにしおって!私は悪漢ベイダーではない!偉大なるシスの暗黒卿ダースベイダーだ!よし、ベルクカッツェ……私が許す!こいつを、思う存分痛め付けてやれい!この偉大なる暗黒卿ダースベイダーをおちょくった奴は、只では済まされんと言う事を、身を持って思い知らせてやるのだ!」
「うふふっ……。私、あなたのそう言った残忍な所が、大好きなんだから……」
 ダースベイダーに向かってウインクするベルクカッツェ。

「さあ、いよいよ尋問よ!ベイダー卿のお許しが出たから、私も容赦しないわよ。嘘でも言おうもんなら、あなたのその美しい顔に、鋭い傷が二つ、三つ付くからね。覚悟なさい!」
「何よ!このヒステリー女のサディストの偏執狂!自分の身が危うくなったら、真っ先に逃げ出す臆病者のくせに!」
「言ったわねえ〜〜この小娘が〜〜!」
 激怒したベルクカッツェが鋭い鉄鞭を振りかざした瞬間、レイア姫は両手を拘束されたまま、その場で大きく後方回転!レイア姫の空中回転二回蹴りを、物の見事に顎に決められたベルクカッツェは大きく宙に飛び、床に叩き付けられるや、そのまま血にまみれて失神してしまった!
「おい、お前たち、何をしとる!救急車だ!早く救急車を呼べ!」
 丁度洗面所から、手を拭きながら戻って来たドメル将軍は、口元を血だらけにしたまま、床に倒れて動かないベルクカッツェを見て、思わず怒鳴った!
 パーポーパーポーパーポー……!忽ち船内のどこからか救急車が現われ、二人の救護員−体中包帯だらけのミイラ男と透明人間が、ベルクカッツェをタンカに乗せて収容する。救急車は再びサイレンを鳴らしながら、医務室へと走り去った……。

 ベルクカッツェの怪我の具合を見て取ったドメル将軍が、ダースベイダーに告げる。
「ベルクカッツェは、顎の骨が複雑骨折を起こしてましたよ。これで奴も再起不能……10月からの新シリーズも、ゲルサドラにその座を譲らざるを得ないでしょう。あいつも可愛そうな奴だ……」
「ベルクカッツェの事など放っておけい!あれは自業自得。私にとっても良い厄介払いだ……。それよりも、ドメル!今度はお前が尋問してみよ!」
「ははっ、ベイダー卿。尋問に際して力で押し、恐怖で従わせる……それは、尋問技術としては最低の最低。♪下、下、下下下の下ー!みんなで歌おう、下下下の下ーー……です!今や尋問はここを使わなければ、良い結果は得られません!」
 ドメル将軍は、得意そうに頭を指差した。
「私はガミラス総合大学で、4年間分析心理学を専攻して来ました。捕虜を尋問するにも、最新の現代心理学を応用した精密な方法を用います。まあ、見てて下さい、ベイダー卿!さあ、レイア姫……これを見るんだ!」
 ドメル将軍は、内ポケットから金色の細い鎖に繋がれた懐中時計を取り出すや、それをレイア姫の目の前でゆっくりと左右に揺らし始めた……。
「さあ〜〜。君は段々気分が良くなって来る〜〜。体がまるで雲のように軽くなって、天にも上る心地だ〜〜〜……」
 ドメル将軍の言葉に連れて、レイア姫の頭がゆらゆらと左右に揺れ始め、その瞳も虚ろになって来た……。
「さあ〜〜。君は何でも話したくなって来た〜〜。さあ〜、話すんだ〜〜。反乱軍の基地はどこに有る〜〜。秘密のメッセージはどこへやった〜〜?」
「お休みなさい……」
 レイア姫はそう言うと、床にくたっと倒れ込んで、すやすやと眠り始めた。
「こりゃどうなってるんだ!?おいおい、眠っちゃ駄目だ!私は君を眠らせようとしたんじゃないぞ……おい!目を覚ますんだ、おい!」
 「もう良い、ドメル!お前の現代心理学を応用した尋問とやらも、大して当てにはならんな。ここでぐずぐすしていると、ターキン総督に対する報告も遅れる。尋問は、デス・スターで私が直接行なうから、もう下がってよい!」
 自尊心を傷付けられたドメル将軍は、さっとマントを翻すや、足速に去って行った……。(BGM:「さらば宇宙戦艦ヤマト」〜デスラー/孤独)

「皆の者!レイア姫を、搭載艇《プロメテウス》の私の個室へ……」
 そこまで言ったダースベイダーは、その場にいたストーム・トルーパーズ全員の視線が、じっと自分に注がれているのに気づいた。
「あ。いや……その、ウオッホン!レイア姫は、《プロメテウス》の捕虜監禁室に連行しろ!それでは行くぞ!」
 拘束されたレイア・オーガナ姫とストーム・トルーパーズの一個師団を引き連れて、ダースベイダーが帝国戦艦《トランター》へと向かおうとした時、《ブレード・ランナー号》の占拠された艦内スピーカーから、BGMが流れ始めた。
 ♪夜〜空にな〜にを〜〜、求め〜るの〜〜だ〜ろ〜〜……。
「帝国放送局!流す曲が間違っておる!それは『スペース1999』だ!私は、コーニッグ指揮官ではない!」
 ダースベイダーは、艦内スピーカーに向かって怒鳴った!
『はっ!失礼致しました。新人がレコードを間違えまして……只今かけ直します!』
 ♪さらば〜、地球よ〜〜、旅立〜つ船は〜〜、宇宙〜戦艦〜〜……。
 「馬鹿者!それは『宇宙戦艦ヤマト』だ!お前ら、これから始まる物語を知らんのか!」
 ♪これから始まる大レース〜〜、ハッハ!ひしめきあ〜って、いななくは〜〜〜?
 「貴様ら、真面目にやっとるのか!」
 ダースベイダーが、真っ黒なマントを翻して大声で怒鳴る!
 ♪ 真っ赤なマントを翻し〜、来た〜ぞ、僕らのパーマンが〜〜……。
 ダースベイダーが、ガックリとズッこける。
「お前ら、全員死ね!」
 ダースベイダーがスピーカーに向かって一声叫ぶや、たちまち呻き声と断末魔の叫びが聞こえ始めた!そして、最後にかかった曲は……。
 ♪オラは死んじまっただ〜〜、オラは死んじまっただ〜〜〜……。
 もうあかん…と言った様子のダースベイダーは、頭を押さえながら、ポツリと呟いた。
「何て事だ、全く!ストーム・トルーパーズの奴らは、本気で仕事をする気があるのか?このまんまだと、デスラー総統の言う通り、アンドロイド兵に替えた方がよっぽどましだ!これからどうなるのか、私にもさっぱり分からんよ……」
 勇壮な登場シーンとは打って変わって、情けない後姿のダースベイダーが、とぼとぼと歩み去って行く……。脱線、脱線、また脱線の『パロディー・スターウォーズ』!果たして、今後如何なる展開を見せるのか?読者には分からない!登場人物にも分からない!当然、作者にも分からない!
 ……奇絶!怪絶!また壮絶!(「俺の持ちギャグを取るな!」 by 荒熊雪之丞)




《第2章:凸凹ロボット珍道中…へ続く》


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