新必殺TNP
 【SF特撮時代劇小説】

 新・必殺TNP
  「殺しの暗号TNP」〜パラレル:第2章〜
《はじめに》
 「新・必殺TNP」は、ののはさんのブログ「カンフー謎少女。」において、ブログ主ののののはさんがプロデュース。私とTaDaさんが中心になって書き綴った、連作リレー・SF特撮時代劇(何じゃ、そりゃ〜〜!?(笑))−「必殺TNP」の続編です。
 TaDaさんがメインになった「新・必殺TNP」の進行中に、私が考えた「展開」&「クライマックス」の構想を提案したところ、ラストに至る展開を考案済みだったので、私の構想は「仮面ライダー龍騎に登場する"ミラーワールド(=パラレルワールド)"」のような《パラレル・第2章》となりました。


 ののはさんとTaDaさん、それに私の三人の合作による「必殺TNP」のメイン登場人物は……(1)都=表稼業は「売れない戯作者」だが、裏では「TNP仕置人」の元締 (2)TaDa=パンクなカブキ者で、凄腕のTNP仕置人 (3)涼人=ドS系の怪力TNP仕置人 (4)のの坊=多幸堂に住む、正体不明・性別不明(?)の人物で、主に「裏の仕事」の仲介役を担当…の三人です。同シリーズの基本設定を含む、TaDaさんの「必殺TNP」【ファイナル・バージョン:改稿決定版】は、
こちら。続編の「新・必殺TNP」殺しの暗号TNP 〜第一章:TaDaバージョン〜…は、こちらです。残念ながら、「必殺 TNP」&「新・必殺TNP」の《オリジナルバージョン》は、ののはさんがサイトを閉鎖された為、ネット上に残っていません。
(尚、TaDaさんのサイト−「独断場リッチミー」は、現在パスワード性になってますので、「必殺TNP」&「新・必殺TNP/第1章」を見られる際には、「richme01」を入力して下さい)


《 第6章 》 refrain 夢が現世か?現世が夢か?
 ……都の右足が、トンと地に着いた。その瞬間、「世界が歪んだ」ような感覚に襲われた都は、そのまま倒れそうになり、思わず地面に手を着く(BGM:「仕掛人」〜仕掛けて仕損じなし)。

都「ここは……何処だ?俺は、ここで何を………!?」

 自らの手を凝視する都の耳に、よく「聞き馴染んだ声」が入って来た。

のの坊「どこって……ここは、京の都の三条口。東海道五十三次の終点じゃ!……ワシが馬車馬のようにコキ使うたんで、とうとうボケたか?」

 都がゆっくりと顔を上げる。目の前にあるのは、見飽きるほど目にしている、のの坊のすっとぼけた顔だ。

都「京の都だと……?」

 周囲を見渡した都の目に、夕闇に染まりつつある「京の都」の風景が飛び込んだ。どこからか、「ゴ〜ン!」と言う鐘の音も響いて来る。

都「俺たちの仕置きは、もう済んだんじゃ……なかったのか?」

 都の脳裏に「寺御幸一味」との激闘が、幻の如く浮かび……そして、消えて行った。次の瞬間、のの坊が放った最強のドロップキックが、都の後頭部に炸裂した!そのまま吹っ飛ばされて、地面を転がった都が、怒りも露わに立ち上がる。

都「てめえ……何しやがる!?」
のの坊「ええ加減にせえ!仕置きがもう済んだじゃと……?一体、いつまでボケまくるつもりじゃ?TaDaと涼人は、今頃ジリジリしながら、わしらの到着を待っとる頃じゃ……さあ、行くぞ!!」
都「はあ……おめえだけは、相変わらずの『天下無敵』だな」

 先に立って、勝手に歩き出したのの坊に引っ張られるかの如く、ため息をついた都がとぼとぼと歩き出す。だが、自信満々(?)なのの坊に比べて、都は未だに"疑念"に捉われていた……(BGM:「助け人」〜市井に咲く花」)。


 ……ここは「何処」なのか?本当に「自分が知っている」京の都、なのか?いや、それよりも……そう考えている「自分自身」は……一体「誰」なのか?

 都には、今この場に立っている「自分」が、自分の知っている「自分」に間違いないと言う《確信》がなかったのだ!何かが……どこかが……違っている。それが、先程から、彼に纏わりついていた疑念だった。これは「現実の世」なのか?……それとも「夢」か?「夢」が「現世(うつつ)」か?「現世(うつつ)」が「夢」なのか?それさえ分からぬまま、都はのの坊の後に付いていった……。


「新必殺TNP」殺しの暗号TNP 〜パラレル・第2章〜
【オープニング・ナレーション】

夢が現世か、現世が夢か?
それは、あり得るかも知れない「もう一つの世界」……。
それは、あり得るかも知れない「もう一つのTNP仕置人」……。
「光」射す処に「闇」が蠢き……「闇」潜む処を「光」が照らす。
悪党外道、無法者。妖怪怨霊、魑魅魍魎!
百鬼夜行の「この世の果て」に、閻魔の使いのTNP仕置人。
……冥府(あの世)の恨みは、現世(この世)で晴らす!


                      【 ナレーション by 芥川隆行/BGM:「必殺仕置人」〜闇に裁く 】


《 第7章 》 過去に追われるTNP仕置人
 相国寺で待っている筈のTaDaたちと合流すべく、三条大橋へと向かうのの坊と都。だが、彼らがたどり着いた時、三条大橋は無残に崩れていた。通りがかった町人を呼び止めて、事情を聞くや……何と、数日前の暴風雨で橋が流されたと言うのだ!今は抜けるような秋の夕暮れで、そんな気配は微塵も感じさせないが、数日前までは「何かの到来」を感じさせるような"大暴風雨"が、京の街を襲ったのだと言う。

都「こりゃ、渡るのは無理だな」
のの坊「ではどうする……?わしゃ、京都の地理など知らんぞ?」
都「それにしちゃ、京の裏稼業の事情をよく知ってたじゃねえか?まあ……そいつは、今はどうでもいいけどよ。。俺も十年以上、こっちに帰って来てねえからなあ」

 そう言って、旅に先んじて用意していた「京都絵図」を手に、あちこち見回す都(BGM:「からくり人」〜血闘からくり人)。

都「『京都絵図の路を探ります』ってトコか?(侘しげに笑って)故郷の道筋なんざ、すっかり忘れちまったぜ……」
のの坊「何じゃ……お主、ここの出なのか?」
都「俺の"名前"を見て、分からなかったのか?もっとも、こいつぁ《裏の通り名》だがよ……。俺の親父は、頑固一徹で真面目そのものだった『かつぎ呉服屋』でよ。ようやく店を構えて、俺にその後を継いで貰いたかったみてえだが、俺がこんな極道商売……」

 ……と言って、都は、懐から物書き用の筆を取り出した。

都「……に入れ込んじまって、勘当同然に家を飛び出したから、呉服の小間物の店も、結局親父一代限りさ……全く、親不孝な息子だぜ!いけね、目にゴミが入っちまった」

 思わず顔を上げて、ゴシゴシ目を拭う都。だが、それは自らの「涙」を隠す為だったのかも知れない……。思わず聞く羽目になってしまった「都の元締の過去」に、のの坊が静かに言う。

のの坊「そう言えば、今はお彼岸じゃからのう……。わしや元締が、ついつい昔の事を思う出してしまうのも、そのせいかも知れんの?」
都「……人づてに聞いた話じゃ、親父は、この近くの寺に眠ってるそうだ。本当なら、墓参りに行って、親父の墓の前で一献酌み交わしたいところだがな」


(挿入ショット:都の夢想)
 亡き父の墓前に腰を下ろした都が、二個の湯呑み茶碗に酒を注ぎ、一杯は自分の手に……そして、もう一杯は墓石の前に置く。
 『親父……俺も、長生きは出来ねえ身だからな。もう暫くしたら、そっちへ行くから、それまで待っててくれ……。今度は、ゆっくり、あの世で一緒に酒を飲もうぜ!』


 「夢想」の都の仕草が、やがて「現実」の都の仕草と重なる。目を閉じたまま、杯で酒を飲む真似をする都……(BGM:「仕事人」〜恨み晴らして候)。

都「親父も俺も、2代続けて『殺しの裏稼業』に身を置くなんざ、全く因果な巡り合わせだぜ……」

 その瞬間、凍り付いたように都の表情が強張り、杯を持つ真似をしていた手が止まった!

都「ちょっと待て……今、俺は何て言った!?」
のの坊「確か、2代続けて『殺しの裏稼業』に身を置く、とか何とか……」

 都の全身から血の気が引く……。

都「2代続けて『殺しの裏稼業』だと……?親父は……」

 喉がからからになり、冷や汗が都の額から滴った。

都「……まっとうな呉服の商人だ!仕置人なんかじゃ……仕置人なんかじゃ……ねえ!!」

 だが、都の「否定の言葉」とは裏腹に、その脳裏には「ある光景」が浮かんでいた……。


(挿入ショット)
 闇の中、一人の男(津川雅彦)が廊下に敷かれた反物の上を、音もなく歩いて行く……。高笑いする悪党に近付いた《男》=闇の仕事師が、餓鬼を描いた模様の中から鉄線を引き出し……そのまま強烈に標的の首を引き絞って、息の根を止める!(BGM:「仕業人」〜いざ行かん)


 都の「過去の記憶」が交錯し、二つの「異なる過去」が、続け様にフラッシュバックする!ぐったりと地面にうな垂れた都を、奮い立たせるようにして言うのの坊。

のの坊「わしが悪かった!お主は疲れておるんじゃ……。もう、馬車馬のようにこき使ったりはせん。早う、TaDaと涼人の元へ参ろう……」

 ……ここは、相国寺の鐘楼。都とのの坊の到着を、TaDaと涼人の二人が、今か今かと待ちわびている。突然、大きくくしゃみをする涼人!

涼人「……へ〜〜っくしゅい!!」
TaDa「どうした、風邪か?」
涼人「いや、何故だか分からないんだが、今日のパンツも、明日の為のパンツもねえんだ……。確かEdoを出るときゃ、ちゃんと用意しといた筈なんだがよ。ノーフンじゃ、あそこがスースーして、寒いったりゃありゃしねえ……へっくし!!」
TaDa「これから、裏の殺しだってのに、そんな事でどうすんだよ!全く、もう……!おかしいぞ……本当に『これから』?……なのか?」
涼人「ぶえ〜〜っしゅい……!!」

 都と同じように、記憶の「歪み」に捉われるTaDaと、風邪ひき寸前の涼人。夕陽が京の都に落ちる中、のの坊と都は、じっと黙ったまま相国寺を目指すのだった……。


《 第8章 》 あんた この再会をどう思う?
 ここは相国寺の鐘楼。なぜか、のの坊は屋根の上で、沈む夕陽を見つめて「笑って」いる。一体何をしているのかと不審に思った都・TaDa・涼人の三人が、後を追って上って来た。振り返るのの坊……。

のの坊「笑っておるじゃと!?失礼な!ワシは泣いておるんじゃッ!」

 だが、そう言ったのの坊自身、何故「泣いて」いるのか分からなった。だが、その涙と鼻水でグチャグチャな顔を見た3人、思わず……。

一同「ば…化け物ッ!!!」

 次の瞬間、のの坊が宙を飛び、怒りの回し蹴りが、都・TaDa・涼人の顔面に炸裂した!(BGM:「仕置屋稼業」〜仕置/殺しのテーマ)「……止めて助けて、止めて助けて!あ〜〜〜〜!!」と悲鳴を上げた三人が、相国寺の鐘楼から落下!そのまま「胴体真っ二つ!」……にはならなかったが(笑)、偶然鐘楼の下で刀を抜いていた「異様な風体の男」に、立て続けに激突した!

都「おい、大丈夫か?」
TaDa「ああ……たまたま、下にクッションがあったんで助かったぜ!」
涼人「運が良いってのは、こう言う事を言うんだなあ」
都「……全くだ!」

 顔を見合わせ、あははは!ーと、呑気に笑うTNP仕置人たち。だが、「クッションにされた男」にしてみれば、笑い事ではない!憤怒の表情を浮かべた男たちが、抜き身の刀を引っさげて、「貴様らあ〜〜!」と詰め寄ってきたのだ(BGM:「新仕事人」〜対決)。やっと我に返った都たちが周囲を見回すと、そこは「一触即発の事態」の真っ最中だった!どぎついメイクに派手派手の衣装、羽織の背には「狂都組」だとか「疾風連」だとか、勘亭流の文字でデカデカと書き記した「異様な風体の男たち」が、相国寺の鐘楼を……一組の男女を、凶悪な表情で取り囲んでいたのだ。
 恐怖におののき、怯える若い娘……。彼女を庇うようにして、刀を抜きながらも、力なく鐘楼の壁に寄りかかっている若侍……。「くそっ!こ、こんな時に……ゴホッ!ゴホッ!」咳き込んだ若侍の口元から血が迸り、浅黄色の羽織の胸元を真っ赤に染める!都たちの姿を目にした娘が、思わず助けを求めた。

娘「お願いです……助けて下さい!」
男・1「てめえら、俺たちの"お楽しみ"の邪魔をしようってのか……?」
男・2「人の恋路を邪魔する奴は、馬に蹴られて何とやら……だぜ!」

 その途端、男たちの脇に静かに立っていた馬……どうやら、彼らの「愛馬」らしく、主人と同じように「ド派手な衣装」を着せられて、背には「夜露死苦」とか「仏血義理」とか書かれた、大きな幟が立てられていた……が「ヒヒ〜〜ン!」と鳴く!男たちに向かって「違うと言っても信じちゃ貰えねえか……」と言った都、一瞬眉をひそめ『このやり取り、どこかで一度経験したような……?』と考え込む。だが、周囲を取り囲んだ男たちは、もはや怒り心頭だ!手に手に刀を引っさげて、じわりじわりと迫ってくる。だが、絡んだ相手が悪かった……。

涼人「京に着いて早々、喧嘩に巻き込まれるたあ……こりゃあ、幸先が良い(?)じゃねえか!?」

 両の拳をバキバキ言わせながら、いかにも嬉しそうに不敵な笑みを浮かべる涼人!

TaDa「(周囲を取り囲んだ男たちを、頭から爪の先まで見つめて)俺はよ、お前らのピント外れのファッションが気にくわねえ!」

 派手な着こなしには、結構うるさいTaDa……。京の「暴走族」のダサさ100%のファッションには、どうしても我慢がならなかったようだ!そして、のの坊も、やっとの事で、鐘楼の屋根から降りて来た。

のの坊「……お主ら、一体、何をやっとるのだ?」
都「おめえ、見て分からねえか……?(と、周囲を指し示して)どっかの粋がったニイチャンたちが、可愛い子ちゃんに絡んでたのに、おめえのせいで巻き込まれちまったって訳だ!ところで……(娘の顔を見て、首を捻り)おめえさんの顔は、確かどこかで見た覚えが……?」
娘「……はい。TNPクラッカーのCMが好評だったので、本編にも出させて頂きました!私、京の菓子匠・白戸屋の娘で………」
(「新・必殺TNP」第一章において、私が書き込んだ「TNPクラッカーのCM(『あたり前田のクラッカー』のパロディー)」パートはネット上に現存せず、TaDaさんのファイナルバージョン「新・必殺TNP」にも残っていない)

 都をまっすぐに見つけた娘(上戸彩)が「自分の名前」を口にする(BGM「助け人」〜断たれた願いI)。

娘「……ののは、と申します」
のの坊「(思わず)……あっちょんぶりけ!!」


《 第9章 》 都大路愚連隊
  ののはの姿を、ボケッと見入っていた都に、今度はのの坊のオーバーヘッドキックが炸裂した!吹っ飛んだ都、何事もなかったかの様に起き上がってくる。

都「痛て〜〜なあ!……突然、何しやがるんだ!?」
のの坊「CMだけで飽き足らず、本編でも手を出すとは……何たる女たらしじゃ!!(激怒!)」
都「あのなあ……!俺は、この娘さんに『助けて下さい!』って頼まれたんだぜ?第一、おめえが言ってる《CM》は、もう無くなっちまったんだからよ!」
暴走族・1「……やいやいやい!てめえら、今の状況がどんなだか、ころっと忘れてるんじゃねえか?」
暴走族・2「俺たちの事、無視しやがって!ぶっ殺してやらあ〜〜!!」

 そう叫ぶや、いきなり斬りかかって来る「都大路愚連隊」!その瞬間、今の今まで「漫才(?)」に励んでいた都とのの坊の「顔」が変わった……。そう、何と言っても、彼らも一応は「TNP仕置人」なのだ!

都「……『一応』は余計だぜ、『一応』は!」

 懐から「鉄芯入りの筆」を取り出した都が、ニヤリと笑う。既にTaDaは、両手にギターピッグを装着済みだ。涼人が準備完了なのは、言うまでもない。

のの坊「お主ら、殺しはいかんぞ……殺しは!」
TaDa「フフン……!頼み料も貰ってねえのに、そんな事が出来るかい!」
都「まあ、この愚連隊野郎共に、キツ〜イお仕置きをしてやろうって訳だ」
涼人「こいつぁ、今度の仕事の肩慣らしだ……行くぜえっ〜〜と!」

 そう叫んだ涼人が宙に飛ぶや、愚連隊の一人の馬の背に挿してあった「絆」と描かれた幟(どう言う意味だ?)を、電光石火剥ぎ取るや、空中で装着した!

涼人「今日のパンツを手に入れた俺にゃあ、もう『敵』はねえ!さあ……お前の罪を数えろ!」
TaDa「おい、そいつは『W』だろうが?……キャラ間違ってるぞ?」

 だが、そんなTaDaたちに向かって、十数人もの「都大路愚連隊」が、一気に襲い掛かってきた!手には、日本刀や槍・鎖鎌!奇声を上げながら、縦横無尽に飛び交う様は、まるで「卍党」か「魔風忍者」だ!(BGM:「仮面の忍者赤影」〜白影のテーマ)飛び掛ってきた男の斧を、そのまま右腕で受け止める涼人。だが……斬れない!

涼人「残念だったなあ!ここにゃ、鉄甲を巻いてあるんだ!」

 次の瞬間、涼人の右ストレートが、男の腹に炸裂した!「ぐへえっ!」と血反吐を吐いて、のた打ち回る男!更に、TaDaのギターピッグが宙を舞い、男たちの胸をえぐる!とっさに、鐘楼の陰に隠れるが……。

TaDa「ダメダメ、隠れたって!何しろ、こいつは……カーブするんだよ!!」

 TaDaの指先から放たれたビッグは、何と弧を描いて飛び、身を隠した男たちの腕を、足を切り裂く!特製ピッグの表面に付けられた"微妙な曲面"が、僅かな空気抵抗を捉えて、その軌跡を変えるのだ!仲間がやられても、一向に意に介さず、凶暴な目つきで日本刀を振り回す男!その一撃を、都は筆で受け止める!

都「……遅い!」

 瞬時に筆を反転させた都の一撃が、男の掌を打ちのめす!激痛に日本刀を取り落とした男の喉元に、鉄芯入りの筆が命中!そのまま、男はもんどりうって失神した!一方、のの坊と言えば……。

男「な、何だ、こいつは?……ぐはあっ!」
別の男「……化け物か?ぎゃあっ!!」

 身軽なのの坊は、一歩も地面に足をつける事なく、男たちの「頭」から「頭」へ飛び回っては、まるでサッカーボールのように、次々と蹴飛ばしていたのだ!

のの坊「さあさあ、次は誰じゃ?言っとくが、ここにはレッドカードを出す審判はおらんぞ?」

 TNP仕置人たちの攻勢に、次第に押され気味になる愚連隊たち。そして、ののはを守ろうとしていた若侍は、胸を血で汚し、激しい咳き込みに苦しみながらも、必死に血刀を振るっていた……。

若侍「(都の方に、微かな笑顔を向けて)すまない……私がこんな体じゃなかったら、貴方たちに迷惑をかける事もなかったのに……グホッ!(再び血を吐いて、よろける)」
都「な〜〜に、いいって事よ。"義"を見てせざるは"勇"なきなり、って言うからな」

 病に苦しむ体でありながら、余りにも見事な剣を振るう若侍の「瞳」に、奇妙な事だが、都は「優しさ」を感じたのだ。本当は「人」なんか斬りたくない……だが「人を斬る」しか、自分の生きる《道》がない。そんな"矛盾した"想いが、若侍から都に伝わってくるようだった。突然、血気にはやっていた愚連隊たちが、はっと我に返った。遠くから、甲高いサイレンの音が聞こえてきたのだ。

男「いけね……龍騎隊の奴らだ!」
別の男「まずい、逃げろ〜〜!!」

 慌てて馬に飛び乗った愚連隊(その半分以上は、既にTNP仕置人たちの手で倒されている)は、一目散に駆け出す!だが、最後の行きがけの駄賃とばかりに、男が放った小柄が、ののはの頬を掠めた!「……きゃあっ!」一しずくの血が滴り、顔を押さえて倒れ込むののはを目にした……その瞬間!それまで静かだった若侍の表情が一変した!!

若侍「貴様らあ〜〜〜!!!」

 岩をも突き通すかの如き、冷たく鋭い"殺気"が彼の全身から迸る!(BGM:「新仕事人」〜裁きの剣)苦痛をものともせず、ゆっくりと立ち上がった若侍が、まっこう上段に振りかぶり……凄まじい気合と共に、剣を振り下ろした瞬間、十数メートルも離れていた馬の体が「一刀両断」にされた!血飛沫を振りまきながら、馬が地面をのた打ち回る壮絶な光景に、都たちTNP仕置人も絶句する。それは、正に"人間離れ"した「鬼神の技」だった!
 そのすぐ後に、サイレンを鳴らしながら現れたのは、一種異様な「西洋風の甲冑」に身を包み、馬にも鎧を装備させた、京の都の騎馬警官−「平安龍騎隊」だった。雲を霞と逃げ去る愚連隊連中を追っていく騎馬警官隊!そして、ひらりと馬から飛び降りた騎馬隊の隊長が、全ての気力を使い果たして、力なく鐘楼に寄りかかった若侍に声をかけた。

龍騎隊隊長・大城戸真之丞(須賀貴匡)『お体の程、大丈夫ですか、沖田様……?ここの住職から通報があったので、すぐに飛んで来たのですが?』
若侍「ああ……すまないが、もう私には立ち上がる気力もないんだ。坊城の壬生駕籠に頼んで、屯所まで送って貰えないか?それと(ののはの方を向き)……彼女を…三条の白戸屋まで……頼む」

 そこまで言って、若侍は気を失った。目の前に現れたのが、京の騎馬警官だと知った都たちも、すばやく獲物を隠す。

のの坊「ちょっと聞きたいんじゃが……このお侍さん。沖田……と言うのか?」
ののは「はい、鬼選組の沖田総司様です!」

 真っ赤な血で汚れているが、浅黄色のだんだら羽織を身に付けた若侍……。「穏やかな笑顔」と「人斬りの技」を同時に体現した彼こそ、かつての「新選組」を模して創設され、今は京の治安警備全般を担っている「鬼選組」の一番隊隊長、十三代・沖田総司(東山紀之)だったのだ!倒れ伏した沖田の体に、応急手当を施す都。

都「全く!……おめえが『あっちょんぶりけ!』なんて言うから、俺も《無免許医》の真似事をする事になっちまったじゃねえか!?」
のの坊「わしも、言いたくて言ったんじゃないわい……!(再び、ののはを見て)そこなる娘の顔を見たら、思わず口から出てしもうたんじゃ!」
都「よし……と。これで当座の手当ては済んだから、後は本業の医者に見て貰いな」
ののは「……ありがとうございます!本当に、ありがとうございます!」

 都大路愚連隊との乱闘で、肉体的にも精神的にも傷付いた沖田だったが、成り行きで「ブラックジャック化」してしまった都によって、治療院へと担ぎ込まれる羽目にはならずに済んだ。……とは言うものの、愚連隊の幟を使って、龍騎隊が拵えた担架に乗せられ、未だに意識朦朧のままだ。幸いにして、ののはが愚連隊の小柄で負った傷も、すぐに血が止まった。屯所へ戻る壬生駕籠か到着するまでの間、気を失ったままの「恋人」の手を、じっと握っているののは……(BGM:「仕置人」〜狙われる女たち)。
 そんなののはを見て、都は無性に「ある質問」をしたくて堪らなかった。『貴女とは、もっと"違う時・違う場所・違う状況"で会っていなかったか……?』と。だが、都がそれを口にする事は、遂になかった。その「問い」に対する「答え」が得られた時には、取り返しの付かない事……例えば「パンドラの箱」を開けてしまうような、"世にも恐ろしい出来事"が起きるような気がしたのだ!ののはに向かって、僅かに右手を伸ばし、声をかけようとした都の口が、再びきゅっと閉じる。

都『(心の中の声)こいつぁ、俺の勘違いだ……きっとそうだ。そうに決まってる……!』

 思わず目を閉じた都の喉が、カラカラになる……。そこへ、商家の手代風の若い男が、息せき切って現れた。

男「お嬢様、大丈夫でございますか!?お怪我は……お怪我はございませんか?」
ののは「私は大丈夫よ……!ここにいる……(まだ「道中着姿」のままの都たちを見て)旅のお方が、私たちを暴漢から助けて下さったの」
TaDa「え〜〜っと、そう……旅の者です!TaDaと申します」(BGM:「仕事人IV」〜中村家のせんりつ)
涼人「同じく、井坂十蔵……じゃない。旅の者です。涼人です」
都「旅の物書きの都です」
のの坊「……のの坊じゃ!」
都・TaDa・涼人「(三人揃って)何を偉そうに〜〜〜!!」

 (久し振りに(笑))寄って集って、三人に袋叩きにされるのの坊!一方、ののはから説明を受けた男は、感謝感激雨霰の様子で、都たちに向かって、頭を「米つきバッタ」のように上下させた。どうやら、龍騎隊から一連の騒動の連絡を受け、慌てて飛んできたらしい。

男(松田翔太)「わたくし、京の三条の菓子匠・白戸屋の手代で『優作』と申します。如何でございましょう……?お嬢様の危難をお救い頂いた御礼に、皆様方を我が店へお招き致したいと存じますが?」
ののは「まあ、それはいい事……!私と沖田様にとっても、命の恩人とも言える方々です。是非とも、我が店で美味しいお茶など、召し上がって下さいませ。優作、私は沖田様に付き添って、八木邸まで行きますので、皆様方を三条の本店へ案内してあげて」

 ののはの呑気な言葉を耳にした途端、手代・優作の柳眉が逆立った!

優作「……いけません!今回の事でさえ、お嬢様と沖田様を二人っきりにさせた責任が、私にもあるのです。ましては、屯所まで付き添って行くなどと……。お店には、大旦那様もおいでになられてます。こちらの皆様方と一緒に、お店へ帰りましょう!」
ののは「(膨れっ面で)え〜〜っ?だってえ〜〜〜!!」
優作「……だっても、何もありません!」

 駄々をこねているののはを、ビシッと叱り付ける手代の優作。成り行きから「店へ来て下さい」と懇願された都たちも、些か当惑気味だ。「おい、どうする?」「俺は、美味しいお茶が飲みたいぜ」「それより、今晩泊まる場所はどうすんだ?」等と言う、都たちのやり取りを耳にした優作が、おずおずと切り出した。

優作「あのう……うちの店は『旅籠』も営んでおりますので、もし宜しければ、今宵はお泊りになられては?」

 その言葉に、都たちが顔を見合わせて考え込んでいる時、現場検証を終えた平安龍騎隊の大城戸隊長が近付いて来た。

大城戸隊長『歓談のところ、済まぬが……お主達に、一連の出来事に関して、事情徴収を行いたいのだが?』
都・TaDa・涼人・のの坊「(全員で声を揃えて)……行きます!お世話になります!ぜひ、今晩そちらに止めて下さい!!」

 満面の(作り)笑顔で、手代に愛想を振りまく都たち。何しろ、平安龍騎隊は「京の騎馬警官」……つまり、Edoで言う「火盗改」の役人だ!ホイホイ事情徴収に応じたりしたら、どんなボロを出してしまうか、分かったものではない!被害者のののはが取り成してくれたお陰で、それ以上都たちは、龍騎隊に質問を受ける事がなかった。やがて、京の駕籠屋の大元締ー壬生駕籠(本店は、鬼選組屯所のある「壬生」のすぐ近くだ)から、幾台もの駕籠が到着。八木邸へ向かう沖田の載った駕籠を、いつまでも心配げに見つめるののは……。そして、ののはや優作・都たちも駕籠に乗ると、京の三条大橋・西側(ちなみに、三条大橋は先日の暴風雨で流されて、東海道の終点−三条口側からは渡る事が出来ない)へと向かうのだった……。



「新・必殺TNP」殺しの暗号TNP
               〜パラレル:第2章〜《PARTII》―へ続く。