2010年8月21日(土) 日光市内において、(社)日本観光協会主催の

通訳案内士の資質・技能向上のための研修を実施しました。

 ( Detail studies about deeper part of Nikko in August, 2010 )

 本研修の様子(講師、日光ユネスコ協会 武田肇夫会長、日光田母沢御用邸記念公園研修ホールにて)

 

1.日時     2010821日 土曜日

2.場所     宇都宮・日光間のバス車内、日光田母沢御用邸記念公園、日光輪王寺

3.参加者    14

4.実施責任者  増田剛(栃木県通訳案内士協会)、久保洋子(同)

5.研修内容   (1)「バス旅行における通訳案内士の業務」講義

  (2)「日光市民と国際観光」講演

  (3)「日光田母沢御用邸記念公園」見学

  (4)日光山輪王寺「薪能」見学

6.レポート

1)「バス旅行における通訳案内士の業務」 (講師 通訳案内士 増田剛 氏)

 まず、ガイド業務の流れの説明を受けました。受注するときに基本的なことを入手し、さらに当日まで

下見を含めて準備を進め、当日は各種資料を忘れずに持参し、終了時間を守る、そして報告で終了に

なります。

 安全な旅行に加えて、旅程表どおりの旅行をこなし、ガイドがホスピタリティとエンターテイメントの精神

を発揮して、楽しい旅行にするよう努力することが大切なことです。場面ごとに気を配ること、例えば、い

ろは坂で荷物が棚から落ちないように目を配るなど、コメントがありました。

 人数が多くなると、全体をまとめるのが難しくなりがちですが、ガイドが主導権をきちんと握ること、常に

笑顔・誠意を持って臨むこと、などのお話がありました。

 バスツアーのガイド未経験者が多い受講者にとって、具体的でとても参考になる講義でした。

(2)「日光市民と国際観光」 (講師 日光ユネスコ協会会長 武田 肇夫 氏)

 武田氏は満州生まれで、終戦で日本に引き揚げてきました。幸い、天津の小学校に通っていたため、終

戦時は満州を離れており、ソ連に連行されることなく日本に戻ることができました。初めての祖国の思い出

は、頭からかけられたDDTの薬と、赤飯代わりのひえめし。そして到着した宇都宮の印象は、「しゃべって

いる言葉がわからない!」でした。当時の栃木弁は、標準語しか知らない武田少年にとって外国語のよう

に聞こえたことでしょう。

 高校生の頃、日光への外国人旅行客を見かけて、話をしたいと思い、英会話の教室に通ったり、旺文社の

辞書を覚えては食べたり(なつかしいですね〜)されたそうです。大学時代には、知り合いのアメリカ人の方

を東京案内したりと、若い頃から海外の方との交流に熱心でした。

 県外で働いていらっしゃいましたが、「ふるさとは遠くにありて思うもの」じゃだめだ!と思い、栃木県に戻って

きました。そして、日光が世界遺産になる時に、ユネスコ協会を立ちあげられました。2009年の世界遺産10

年の年には、記念行事を行うなど、エネルギッシュなお人柄で、行事の先頭に立たれています。

 武田会長は、日光に住んで20年になりました。日光の人のことを客観的に見ると、「二社一寺の存在が当た

り前すぎて、二社一寺を大切に思う気持ちが薄れてきている気がする。市民がもっと工夫をすれば日本全国あ

るいは世界からいらっしゃるお客様をもっと満足させられるだろう。」などと感じていらっしゃるそうです。

 貴重な体験をお話しくださり、本当にありがとうございました。敵国だった海外から、人々が観光に来られるの

は、平和な世の中になったから。武田会長の平和を愛する心が、ユネスコの活動と結び付いていることを感じ

ました。

 最後に、講演をお聞きした、田母沢御用邸記念公園の研修ホールは、栃木県産檜が使用されています。檜の

香りが漂う、和風の素晴らしいホールでした。

3)日光田母沢御用邸記念公園 見学

 栃木県民でも、この田母沢御用邸記念公園のことを知らない人が多い、隠れた名所です。大正天皇が皇太子

時代に避暑のために作られました。2000年に栃木県が改修して一般公開されました。全国で唯一のほぼ完全に

残っている御用邸だそうです。

 まず、御車寄の立派さに驚きます。天皇と皇后しか使えなかった玄関から、私たちも入館します。そして350メ

ートルくらいある順路を巡りました。

 この御用邸は、小林家別邸に旧紀州徳川家江戸中屋敷を移築し、さらに大正時代に増改築を加えられました。

そのため、江戸・明治・大正時代の最高の建築技術を見ることができます。また、基本は和風ですが、西洋風の

部分も多く見られます。イギリスのじゅうたん敷きで、靴で生活する部屋、おしゃれなビリヤード場、多くのシャンデ

リアなど、はっとするほど美しい空間があります。

 興味深かったのは御湯殿(お風呂)です。ただの部屋にしか見えません。天皇は、時代劇のお殿様のように、薄

い着物を着て椅子に座り、お湯をかけてもらうだけで、ごしごし洗わなかったので、湯船がないのです。

 小川が流れ、池のある庭園も美しく作られています。11月上旬には、庭園に多く植えられた楓が紅葉して、本当

に見事だそうです。2001年に、天皇皇后両陛下が植樹された槇の木も、順調に育っていました。木々が大きく茂り、

緑豊かなお庭を散歩していて、防空壕入口を見つけました。いくつも入口があり、美しい庭の下が大きな防空壕に

なっていることが想像されます。ここは、大正天皇の避暑地、というほかに、今上天皇が皇太子の時の疎開先だっ

たのです。武田会長の戦争のお話の後でしたので、戦争の傷跡を見つけて、戦時中にいるような不思議な気持ち

になりました。

 立派な建築物、内装、庭園、そして御用邸だったという歴史・・・、田母沢御用邸記念公園は、今後、日光観光の

人気スポットとなる可能性大だと思います。これから、お客様をご案内する際には、是非、足を伸ばしたいと思いま

す。

 上記レポート作成    TOTAK会員 久保 洋子 (英語通訳案内士)

 

    (4)日光輪王寺「薪能」見学について

      栃木県内では、実際に観劇をする機会があまりない「薪能」を見学させていただきました。研修参加者の感想は、

      ・幽玄の世界を堪能でき、素晴らしい経験となった。

      ・能を理解する、能を楽しむまでにまだまだ勉強が必要だ。

      ・7月の研修がためになった。 (観世流名誉師範 渡辺文雄 先生によるご講義)

     などがありました。

      観劇者の中には、観光客と思われる外国人の姿も散見されました。もし私がこの場のガイドを任されたら、お客様

     の好奇心を満たせるか不安に思いました。

      今回の研修で、まだまだ自分に足りない部分を認識しました。また普段チャンスのない薪能観劇をさせていただき

     とても勉強になりました。当研修の運営側としましては、観光通訳ガイドに興味のある多くのかたにもっと参加しやす

     い形の研修を実施したいと思います。

     ( 以上薪能見学に関する報告、研修担当、栃木県通訳案内士協会所属 増田 剛 )

 

バス車内での研修の様子

 

日光田母沢御用邸記念公園の見学の様子

日光田母沢御用邸記念公園の様子

 

日光輪王寺「薪能」、火入れ式の様子  

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