地球防衛軍
宇宙戦史研究センター

 Cosomo Milito Historio Research Center for Tero Defendo Forto

幕之内弁当製作
    
   ここは、どざぁるさんが製作した宇宙戦艦ヤマトのひみつ基地ボードゲームへわたし(幕之内弁当)が投稿したシナリオを紹介するページです。
 ホーム オートバトルメーカー キャンペーン シナリオコ  マコ ラ ム 
 
111.村雨型乙弐式宇宙巡洋艦(フライトIIA)(2015年6月3日)/110.ヒューストン級宇宙巡洋艦(2015年5月24日、最終更新日2015年5月28日)/109.USA宇宙軍宇宙巡洋艦(2015年4月19日、最終更新日2015年5月24日)/108.ユーラシア管区の空間戦闘機(2015年4月5日、最終更新日2015年5月23日)/107.北米管区の空間戦闘機(2015年3月31日、最終更新日:2015年4月2日)/106.宇宙空母<かつらぎ>の生涯(2015年1月25日、最終更新日2015年3月24日)/105.現代の地球防衛軍艦隊(2015年1月11日、最終更新日2015年1月20日)/104.九九式二型空間戦闘攻撃機<宙隼>(コスモファルコン)(2014年12月28日、最終更新日2014年12月30日)/103.スペースバーバリアンその4―男たちの祭り― (2014年12月2日、最終更新日2014年12月26日)/102.スペースバーバリアンその3―グリーゼ581の戦い―(2014年11月30日、最終更新日2014年12月1日)/101.スペースバーバリアンその2(2014年11月23日、最終更新日2014年11月24日)/100.特殊警備艦きりしま(2014年11月22日)/99.スペースバーバリアンその1(2014年11月17日、最終更新日2014年12月6日)/98.宇宙戦艦ヤマト建造史―偽装(2014年11月13日)/97.宇宙戦艦ヤマト建造史―地球脱出船計画その2(2014年11月12日)/96.宇宙戦艦ヤマト建造史―地球脱出船計画(2014年11月11日、最終更新日2014年12月8日)/95.宇宙戦艦ヤマト建造史―戦略護衛艦やまとその5(2014年11月10日)/94.宇宙戦艦ヤマト建造史―戦略護衛艦やまとその4(2014年11月9日、最終更新日2014年11月11日)/93.宇宙戦艦ヤマト建造史―戦略護衛艦やまとその3(2014年11月8日)/92.宇宙戦艦ヤマト建造史―遊星爆弾迎撃戦(2014年11月6日)/91.宇宙戦艦ヤマト建造史―遊星爆弾(2014年11月5日)/90.宇宙戦艦ヤマト建造史―戦略護衛艦やまと・その2(2014年11月3日)/89.宇宙戦艦ヤマト建造史―戦略護衛艦やまと・その1(2014年11月1日、最終更新日2014年11月2日)/88.戦略護衛艦やまとをつくる・その9(2014年10月30日)/87.戦略護衛艦やまとをつくる・その8(2014年10月29日)/86.戦略護衛艦やまとをつくる・その7(2014年10月28日)/85.戦略護衛艦やまとをつくる・その6(2014年10月27日)/84.戦略護衛艦やまとをつくる・その5(2014年10月26日)/83.戦略護衛艦やまとをつくる・その4(2014年10月25日)/82.戦略護衛艦やまとをつくる・その3(2014年10月23日)/81.戦略護衛艦やまとをつくる・その2(2014年10月22日)/80.戦略護衛艦やまとをつくる・その1(2014年10月20日)/79.ユリーシャ近衛隊(2014年10月12日、最終更新日2014年10月13日)/78.英雄の丘(2014年10月9日)/77.特一等航宙戦闘艦<ユリーシャスタ>(2014年10月5日)/76.宇宙戦艦ヤマトの航海(2014年10月3日、最終更新日2014年10月8日)


過去のコラム No.51-75(2014年6月28日-2014年9月30日)
75.黎明期の地球防衛軍艦隊:2201年の地球防衛軍艦隊―2201年9月~12月―(2014年9月30日、最終更新日2014年10月3日)/74.黎明期の地球防衛軍艦隊:銀河訪問調査団の派遣とコスモ高度経済成長への道―2201年8月~―(2014年9月27日、最終更新日2014年9月28日)/73.黎明期の地球防衛軍艦隊:第二次セティ・アルファ事件―2201年9月―(2014年9月23日)/72.三等宙防艦(2014年9月21日、最終更新日:2014年9月22日)/71.黎明期の地球防衛軍艦隊:セティ・アルファ事件(カーンの逆襲)―2201年6月―(2014年9月15日、最終更新日2014年9月26日)/70.黎明期の地球防衛軍艦隊:地球連邦の創設と地球防衛軍の発足―2201年1月―(2014年9月9日、最終更新日:2014年9月10日)/69.コスモ・リバースの再起動(2014年9月6日、最終更新日2014年9月7日)/68.画像の追加(2014年9月6日)/67.黎明期の地球防衛軍艦隊:第1次防衛力整備計画―2200年9月~12月―(2014年9月4日、最終更新日2014年9月6日)/66.小マゼランの戦い(2014年8月31日)/65.黎明期の地球防衛軍艦隊:ディンギルの影―2200年7月~9月―(2014年8月30日、最終更新日:2014年8月31日)/64.ディンギル帝国社会と歴史(2014年8月25日)/63.画像の追加(2014年8月23日)/62.画像の追加(2014年8月22日)/61.黎明期の地球防衛軍艦隊:地球・ガミラス艦艇貸与協定の実施-2200年6月-(2014年8月19日)/60.黎明期の地球防衛軍艦隊:新世紀連合宇宙艦隊構想-2200年5月-(2014年8月10日)/59.黎明期の地球防衛軍艦隊:エリス休戦協定の調印―2200年4月―(2014年8月7日)/58.黎明期の地球防衛軍艦隊:歴史認識問題―2200年4月―(2014年8月4日)/57.黎明期の地球防衛軍艦隊:属国か自主独立か―2200年4月―(2014年8月2日)/56.黎明期の地球防衛軍艦隊:ガミラス軍再進駐問題―2200年4月―(2014年7月26日)/55.黎明期の地球防衛軍艦隊:結婚できない男―2200年4月―(2014年7月21日)/54.黎明期の地球防衛軍艦隊:会合(ランデブー)―2200年4月―(2014年7月19日)/53.黎明期の地球防衛軍艦隊:国連全権代表団の派遣―2200年4月―(2014年7月12日)/52.黎明期の地球防衛軍艦隊:国連最高理事会の決定―2200年4月―(2014年7月5日)/51.黎明期の地球防衛軍艦隊:講和への道―2200年4月―(2014年6月28日)


過去のコラム No.1-50(2013年9月30日-2014年6月26日)
50.黎明期の地球防衛軍艦隊:再コンタクト前夜-2200年1~4月-(2014年6月26日)/49.黎明期の地球防衛軍艦隊:コスモ・リバースによる地球再生―2199年12月―(2014年6月22日)/48.黎明期の地球防衛軍艦隊:ヤマト帰還時の国連宇宙海軍-2199年12月-(2014年6月18日)/47.五十鈴型宇宙軽巡洋艦(2014年6月14日)/46.バージニア級宇宙重巡洋艦の近代化改装(2014年6月11日)/45.バージニア級宇宙重巡洋艦(旧デストリア級航宙重巡洋艦)(2014年6月5日)/44.第二世代ヤマト航空隊(2014年6月1日)/43.黎明期の地球防衛軍艦隊(ガミラスからの貸与艦その1):トゥールヴィル級宇宙駆逐艦(旧クリピテラ級航宙駆逐艦)(2014年5月24日)/42.朝風型突撃宇宙駆逐艦(改磯風型恒星間航行用突撃宇宙駆逐艦/戦後型磯風型突撃宇宙駆逐艦)(2014年5月22日)/41.ユーロコスモファイター2200<コスモドラケン>(2014年5月19日)/40.百合型警備艦(2014年5月3日)/39.茜型突撃宇宙駆逐艦(2014年5月1日)/38.地球防衛宇宙軍加賀型宇宙空母<カガ>(CVS-002)(2014年4月29日)/37.沈没戦艦ヤマト(2014年4月23日)/36.次元潜航艦ノーチラス(2014年4月2日)/35.零式52型甲空間艦上戦闘機<コスモゼロ>/34.宇宙戦艦ヤマトの抜錨/ 33.メルトリア級航宙巡洋戦艦スパルタゥア/ 32.貸与宇宙戦艦フリードリヒ・デア・グローセ/ 31.戦闘攻撃機DWG229 メランカ/ 30.写真で見るメ号作戦(冥王星沖海戦)/ 29.空間駆逐戦闘機DDG110 ゼードラーII(2013年12月29日)/28.66式メーサー対空光線車(2013年12月14日)/27.宙雷艇(Cosmo Torpedo boat)(2013年12月10日)/26.追加画像と解説(2013年12月8日)/25.86式空間戦闘機<黒虎>(ブラックタイガー)(2013年12月3日)/24.91式空間艦上戦闘機<スペース・ファイター>(2013年11月27日)/23.追加画像と解説(2013年11月25日)/22.追加画像と解説(2013年11月19日)/21.FILE 05.0:エリヌスの奇跡(2013年11月18日) /20.追加画像と解説(2013年11月4日)/19.追加画像と解説(2013年11月3日)/18.追加画像と解説(2013年11月3日)/17.審判の日(2013年11月1日)/16.追加画像と解説(2013年10月29日)/15.追加画像と解説(2013年10月28日)/14.追加画像と解説(2013年10月27日)/13.FILE 04.4:ガミラス・デストロイヤーズ(2013年10月23日)/12.コスモゼロ21とコスモタイガーI(2013年10月19日)/11.追加画像と解説(2013年10月18日)/10.森雪とイスカンダル人の謎(2013年10月17日)/9.海上自衛隊戦略護衛艦やまと(DDST-001)(2013年10月16日)/8.没にした画像たち(2013年10月15日)/7.2.追加画像と解説(2013年10月15日)/7.1.火星殖民小史(2013年10月14日)/7.第二次内惑星戦争における隕石落とし作戦 その2(2013年10月13日)/6.追加画像と解説(2013年10月13日)/5.追加画像と解説(2013年10月13日)/4.第二次内惑星戦争における隕石落とし作戦(2013年10月10日)/3.追加画像と解説(2013年10月8日)/2.第2次火星沖海戦の時期について(2013年10月7日)/1.新作劇場版の予想(2013年9月30日) 

 
コラム

村雨型乙弐式宇宙巡洋艦(フライトIIA)2015年6月3日

コメント:2199公式では村雨型宇宙巡洋艦は2170年進宙で2199年まで30年近く使われたという設定です。1988年起工で現在でも第一線で使用されるアメリカのアーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦の例もあるので、これもアリかも知れませんが、それにしても2180年代の第二次内惑星戦争と2191年開戦のガミラス戦役の二度の実戦を経て、30年間デザインが変化しないのはしっくりしません。村雨型宇宙巡洋艦と同じく長期にわたって使用されたガンダムのサラミス級宇宙巡洋艦も時期によってデザインは変化しています。という訳で2199劇中以前の村雨型宇宙巡洋艦を妄想してみました。

村雨型宇宙巡洋艦<むらさめ>。2191年3月撮影。火星のダイモス宇宙基地に配備されていた。背後に見えるのは<むらさめ>とともに第401戦隊を編成していた<あさゆき>と<さわゆき>。<さわゆき>は<むらさめ>とともに沖田艦隊に編入され、異星人(ガミラス)艦隊捜索活動に参加し、冥王星軌道でのファーストコンタクト直後に発生した艦隊戦で撃沈された。<あさゆき>は2192年の第二次火星沖海戦で戦没している。
2170年に進宙した村雨型甲式宇宙巡洋艦(フライトI)は、当初は艦首にブリッジのある旧世代のロケット戦艦の流れを汲んだデザインだった。主武装は上面前部と下面前部の連装高圧光線砲2基で上甲板中央部はフライトデッキになっており、哨戒や臨検そして空間騎兵揚陸用の汎用大型宇宙艇2機またはロケット宇宙戦闘機<震電Ⅲ>2~3機を搭載可能な格納庫を装備していた。これは当時の村雨型宇宙巡洋艦には少数の戦隊または単艦で行動して外惑星圏資源衛星・小惑星の日本の権益を守る哨戒・警備警察任務が求められていたためである。

村雨型甲式はネームシップの<むらさめ>を皮切りに<はるさめ><ゆうだち><きりさめ><いなづま><さみだれ><いかづち><あけぼの><ありあけ>の9隻が建造された。

2180年にマーズノイドとの第二次内惑星戦争が勃発すると、村雨型宇宙巡洋艦の増産が決まり、この際に設計が修正され村雨型乙式宇宙巡洋艦(フライトⅡ)が登場する。村雨型乙式は国連軍最大の脅威となっていたマーズノイドの機動兵器レギオスに対抗する為にフライトデッキと格納庫が拡張され、ロケット宇宙戦闘機<震電Ⅲ>4~6機が搭載可能となり、軽航空巡洋艦の性格を持っていた。

村雨型乙式は2180年から2181年にかけて<たかなみ>をはじめ18隻が建造されたが(乙式を高波型宇宙巡洋艦と分類する資料もある)、結果的に中途半端な艦載機搭載能力はあまり意味がなく(そもそも国連軍各国のロケット戦闘機はマーズノイドのレギオスに太刀打ちできなかった)、失敗作と評価された。

第二次火星侵攻作戦(バグズ2号作戦)の大敗もあり、それまでの戦訓から村雨型乙弐式(フライトⅡA)が生まれた。村雨型乙弐式は宇宙巡洋艦としての戦闘力向上が追求され、これ以前の甲式・乙式とは艦容が一変した。運用は正規宇宙空母や船団護衛用の護衛宇宙空母との艦隊行動が前提とされて、中途半端な艦載機搭載能力は廃止され、フライトデッキのあった上面中央部には第三砲塔が設置された。また艦首宇宙魚雷発射管4基が装備され火力が強化された。村雨型乙弐式の最大の特徴はブリッジがそれまでの艦首から、フライトデッキのあった上面中央部に移され、水上艦に似た形となったことである。これはそれまでのマーズノイドとの戦訓から慣性制御型宇宙戦闘ではこの艦橋配置が合理的であると判断されたことによる(コメント:なぜは聞かないでください…)。

艦容が一変した村雨型乙弐式(フライトⅡA)は本来ならば丙式(フライトⅢ)と称されるべきだが、予算獲得と建造時の機密保持の都合により、あくまでも乙式の修正とされた。

村雨型乙弐式(フライトⅡA)は<あさぎり>を一番艦に2181年から2183年の第二次内惑星戦争終戦までに37隻が量産された(乙弐式を朝霧型宇宙巡洋艦と分類する資料もある)。戦時中、ネームシップの<むらさめ>をはじめ甲式、乙式の一部もこの乙弐式に改装されている。

第二次内惑星戦争終結までに航宙自衛隊は合計64隻の各式村雨型宇宙巡洋艦を就役させたが、マーズノイドとの戦いでこのうち26隻が戦没している。終戦から2191年までに軍縮気運の中で航宙自衛隊は16隻を整備しており、ガミラスとのファーストコンタクトの時点では宙自艦隊の村雨型宇宙巡洋艦の勢力は52隻(2隻はロシア宇宙軍との早見優沖海戦で戦没)だった。

第二次内惑星戦争まで、村雨型宇宙巡洋艦は<むらさめ>、<たかなみ>、<あさぎり>、<ゆうぎり>、<むらくも>といった天象気象にちなんだ命名が行われたが、終戦後の2180年代後半に磯風型突撃宇宙駆逐艦が登場し、番号が用いられた内惑星戦争中の宙雷艇と異なり、個艦名が付けられたため、これより大型の村雨型宇宙巡洋艦には旧大日本帝国海軍の巡洋艦に倣い<あたご>、<つるぎ>、<くらま>、<あぶくま>といった山岳や河川の名称が用いられるようになった(<やくも>など一部例外あり)。このため、村雨型宇宙巡洋艦は艦名から第二次内惑星戦争以前の艦か、2180年代後半以降に建造された艦なのか判別できる。

画像はガミラス戦役において最初に犠牲になった地球艦である村雨型宇宙巡洋艦のネームシップの<むらさめ>の2191年3月に撮影された写真である。当時は火星駐屯艦隊に配備されていたため第二種火星迷彩で塗装されている。

もちろん、この時期の村雨型宇宙巡洋艦には艦首陽電子衝撃砲は装備されておらず、艦首は円錐型である。その他によく知られるガミラス戦役末期の村雨型丁式宇宙巡洋艦(フライトⅣ)との艦容の違いは次のとおりである。上面前部のウィングには艦首陽電子衝撃砲のためのエネルギーコンバーター兼照準装置はなく、下面のウィングとほぼ同形状になっている。艦橋後方のコスモレーダーはパラボラ・アンテナ型の84式空間探信儀であり、よりコンパクトで被弾耐久力の強い角型の94式空間探信儀に更新されるのは2190年代後半である。また上面尾翼は金剛型宇宙戦艦と同じく1枚になっている。

2170年に進宙した村雨型宇宙巡洋艦のネームシップの<むらさめ>は2180年の第二次内惑星戦争開戦時はむろん初期型の甲式の艦容であった。この時の艦長が沖田十三・二佐(当時38歳)だった。沖田の指揮する<むさらめ>はマーズノイドが開戦劈頭に仕掛けた彗星落し(ディープインパクト作戦)を阻止すべく出動するが、少数だが精鋭ぞろいのマーズノイド軍の攻撃と国連軍司令部の大混乱もあってこれに失敗し、沖田は数百万人が犠牲となるヴィーダーマン彗星の大西洋落着という惨劇をその目にすることになる。

その後、沖田が艦長を務める<むらさめ>は第二次火星侵攻作戦(バグズ2号作戦)に参加した。国連軍が大戦力をもって一挙に火星を制圧して戦争終結に持ち込もうとしたこの作戦は開戦劈頭のバグズ1号作戦に続いてまたもマーズノイド軍の罠にかかり、国連宇宙連合艦隊の大敗に終わるが、沖田の<むらさめ>は奮戦して国連宇宙艦隊の完全崩壊を辛うじて防ぐ抜群の働きをなした。この功績により沖田は国連議会名誉勲章を授与されて一佐に昇進し、金剛型宇宙戦艦<きりしま>の艦長に転任するが、一方、地球にようやく帰還できた<むらさめ>は廃艦寸前になるほどの満身創痍になっていた。

この大規模修理の際に<むらさめ>は最新の乙弐式に改装されている。艦容を一新した<むらさめ>は第13特務艦隊(通称「輪舞鈴」)に所属し、宙雷艇4隻とともに第801宙雷戦隊を編成した。宙雷戦隊司令兼<むらさめ>艦長が土方竜一佐(当時39歳)だった。

<むらさめ>の第801宙雷戦隊は事実上最後の決戦となった2182年末のマーズノイドによる隕石落とし(アルマゲドン作戦)阻止の戦いに参加し、アルマゲドン(資源採掘小惑星アクシズ)に着陸して小惑星破壊工作班を内部に送り込んだ沖田十三一佐の宇宙戦艦<きりしま>を守り通す働きをなしている。

2191年当時、<むらさめ>は日本が国連信託管理をするダイモス基地を拠点とした火星駐留艦隊に所属していた。<むらさめ>の艦長は島大吾一佐であり、彼は2180年から2181年(ディープインパクト作戦からバグズ2号作戦)までの一尉の時期に沖田十三艦長の元で<むらさめ>の航海長を務めた経歴があった。

太陽系に侵入した異星人の艦隊との接触のために富士基地を発進した沖田提督の宙自艦隊に<むさらめ>は編入された。異星人捜索活動を行っていた<むらさめ>は冥王星軌道でこれを発見するが、結局、交戦となり撃沈された。<むらさめ>の生存者は山崎奨機関士(後の宇宙戦艦ヤマト機関長)だけだった。戦時中は平和的コンタクトを図った<むらさめ>はガミラス艦隊によって一方的に攻撃を受け沈められたと宣伝されたが、実際には当時の中央司令部(セントラルコマンド)の命令により、<むらさめ>から発砲したことは現在ではよく知られた史実である。

大河ドラマ『2199』(2229年、主演:緒形拳)第11話「いつか見た世界」では、回想の形式で2191年のガミラスとのファーストコンタクトが描かれているが、ここに登場する<むさらめ>は艦首陽電子衝撃砲を装備した最終型の村雨型丁式(フライトⅣ)になっていた。村雨型丁式が登場するのは2190年代後半であり、2191年に戦没した<むらさめ>が陽電子衝撃砲を装備することはありえず、史実の<むらさめ>は画像のとおりの乙弐式であった。このシーンの考証上の杜撰に関しては一部コスモミリタリーマニアたちから批判の声が上がっていた。

これは第1話の冥王星沖海戦の宇宙ロケで使用された村雨型丁式宇宙巡洋艦(後期最終型)の1/1スケール・ウルトラ3Dプリントモデルが第11話のシーンでもそのまま使いまわされたためであろう。予算の制約上、第11話のためだけに乙弐式(中期型)の村雨型宇宙巡洋艦を製作することはできなかったと考えられる。第11話ではその他のシーンでも第1話の使いまわしが多かった。



 
ヒューストン級宇宙巡洋艦2015年5月24日、最終更新日2015年5月28日)

全長:
武装:
158m
7.5インチ陽電子衝撃砲1基(開戦時は8インチ三連装高圧光線砲1基)
6インチ連装高圧光線砲3基
2インチ連装両用レーザー砲6基
三連装ミサイル発射機2基
2168年に進宙し、極東管区の村雨型宇宙巡洋艦と同様に第二次内惑星戦争で増産され、その後の2190年代のガミラス戦役でも改修を繰り返してUSA宇宙艦隊の中核をなした宇宙巡洋艦。USA宇宙軍の他にイギリス、カナダそして南米諸国の一部が採用した。

性能的には村雨型宇宙巡洋艦と遜色がないが、ブリッジが艦首にある旧世代のロケット戦艦のデザインを引きづったやや保守的な設計である。

ヒューストン級宇宙巡洋艦は第二次内惑星戦争ではUSA宇宙軍の主力として活躍したものの、ガミラス戦役では村雨型宇宙巡洋艦と同様にガミラス艦には全く太刀打ちできなかった。ガミラス戦役開戦時にはUSA宇宙軍はヒューストン級宇宙巡洋艦を96隻保有していたが、外惑星防衛戦と第一次火星沖海戦での敗北でその過半を失った。

USA宇宙艦隊は2193年以降の地球圏防衛戦でも、ロシア宇宙艦隊や宙自艦隊とともに国連宇宙海軍連合宇宙艦隊の主戦力として戦い続けたが、性能に勝るガミラス艦との戦いで次第に消耗し、2196年に生起した第4次グリーン・オアシス(L5点の別称)海戦で遂に壊滅した。90年代後半にヒューストン級宇宙巡洋艦にはガミラス艦にも有効な7.5インチ陽電子衝撃砲が装備されるようになったが、これが過信となり、USA宇宙艦隊は冥王星前線基地司令シュルツの巧妙な策に陥れられ、地球および月の基地航空隊の支援を受けられない月の反対側のL5点にまで引きずり出されて、ここでガミラス艦隊に徹底的に叩きのめされたのである。第二次火星沖海戦以降では最大規模の艦隊戦となったこの海戦での敗北で地球圏の遊星爆弾防衛線が半ば崩壊し、遊星爆弾による被害が加速することになる。

遊星爆弾による集中攻撃で壊滅的な被害を受けていたアメリカ合衆国にはもはや宇宙艦隊を再建する余力はなくなっていた。

事実上戦力を失ったUSA宇宙艦隊だが。2199年の冥王星沖海戦時にはなおヒューストン級宇宙巡洋艦4隻(ゲティスバーグ、コンコード、クリーブランド、バーミンガム)が残存し、連合宇宙艦隊第七艦隊を編成していた。もっとも、航行可能なのはゲティスバーグ1隻だけで、残り3隻は損傷が激しく本来ならば廃艦処分される艦がようやく形を保っている有様であり、資材不足から修理もままならずキャリフォルニア・ベースの宇宙船ドックに放置されていた状態で、第七艦隊も名義だけの存在である。

2198年のイスカンダルの使者ユリーシャ・イスカンダルの地球来訪を受け、第二のイスカンダルの使者であるサーシャ・イスカンダルを迎えるためのメ号作戦が計画された際に、一隻でも艦艇を増やすために第七艦隊のヒューストン級宇宙巡洋艦の参加もいちおう検討されたが、当時のアメリカ合衆国の地下都市は国家の存続さえ危ぶまれる惨状を呈しており。長期間事実上放置されていたこれらの宇宙巡洋艦を修理して出撃させることは(不可能ではないが)極めて困難だった。このため、USA宇宙軍のメ号作戦への参加は見送られている。

宇宙戦艦ヤマトの帰還とコスモリバースによる地球再生を受けて、宇宙艦隊の再建のために北米管区のヒューストン級宇宙巡洋艦4隻の再就役も計画されたが、イスカンダル航海中にキャリフォルニア・ベースの宇宙船ドックが敵性植物に突破されて、これらの艦は汚染と腐食が酷く、修理と再就役はおよそ現実的ではなかった。

その後、ガミラスとの休戦協定の締結に伴い、ゲシュタムドライブの技術供与が決まったことで、旧世代艦の建造と再就役の計画はすべて廃棄され、これで長期間にわたり放置されていたヒューストン級宇宙巡洋艦4隻の廃艦処分も正式に決定された。

損傷の著しかったコンコード、クリーブランド、バーミンガムの3隻はそのまま解体されたが、比較的状態の良いゲティスバーグのみは記念艦として保存が決められ、現在では現存する唯一のUSA宇宙軍の軍艦としてスミソニアン博物館に野外展示されている。

USA宇宙軍のヒューストン級宇宙巡洋艦リトルロック (U.S.S. Little Rock, NCC-1414)と航宙自衛隊の村雨型宇宙巡洋艦<あぶくま>(CAS-266)後方には磯風型突撃宇宙駆逐艦<あきぐも>(2196年戦没)も見える。見比べると両型宇宙巡洋艦の設計思想の違いが分かる。
画像は2195年撮影。遊星爆弾の影響による海洋消滅はかなり進行しているが、この時期は未だに海洋の7割程度が残っていた。冥王星沖海戦時の<あぶくま>は火星迷彩だったが、海洋の存在するこの時期は第一種地球迷彩を使用していた。2196年の第4次グリーン・オアシス海戦でのUSA宇宙艦隊の壊滅によって地球圏の遊星爆弾防御線が破綻状態となり、遊星爆弾の被害が加速することになる。画像の宇宙巡洋艦リトルロックはこの海戦で撃沈された。
この後、海洋が消滅し、地球は赤い大地となってしまったため<あぶくま>その他の地球圏防衛の艦艇は赤・黄・白の火星迷彩を採用するようになった。

 
USA宇宙軍宇宙巡洋艦2015年4月19日、最終更新日2015年5月24日)

USA宇宙軍の宇宙巡洋艦をつくる
『蒼き流星SPTレイズナー』のUSA宇宙軍の宇宙巡洋艦の製作を思い立ちました。と言っても例によってドマイナーメカでほとんどの人はイメージできないと思います。下の画像の宇宙船で第15話『蒼き流星となって』に登場し、USA宇宙艦隊(空母1、巡2)はグラドス軍にまったく問題にならず、この宇宙巡洋艦2隻はゲイル先輩のグライムカイザル一機に撃沈させられました。この辺りがガミラスにまったく歯が立たなかった地球艦に通じるのではないかと思い、ガミラス戦役時のUSA艦(ヒューストン級宇宙巡洋艦)にこじつけます。


見ての通り、曲線のない直線主体のデザインで、これならば自分でもスクラッチできるかもと思った次第です。やや複雑な船体下部は1/2200 アーガマの船体を逆さにして使うことにし、箱型の船体上部をプラバンの張り合わせで製作することにしました。過去三回の経験で行き当たり場たりでやると時間ばかりかかってロクなことにならないと分かったので、いちおう設計した上でプラバンを切り出すことにします。

まずペーパークラフトを設計して厚紙にプリントアウトし張り合わせて船体上部をつくり、これを逆さにしたアーガマの船体に被せます。これで寸法とデザインを確定させて、プラバンを切り出します。またアーガマの加工箇所を決めます。



設計を確定して、なんとかスクラッチに進み、できたのがこれ。



隙間が多くできたり、あちこち歪んでたりで、いまふたつ…。加えて色も適当なのが分らず、安直に軍艦色にしたが、塗った後になってどうやらRML78/ライトブルーが近いのかもしれないと分かり、泥縄で取り寄せる。考えた末に、だみだこりゃやり直しと決定。失敗は成功のマザーなのです。よって、これは製作中止で武装やアクセサリー、デカールには進みません。

そもそもアーガマの船体を流用しようとしたことが間違いで、工作上、面倒なことが多々起こった。結論としてアーガマの流用を断念し、船体下部もプラバンの張り合わせで作ることにしました。

上部も含めて設計をやり直し、ベースとなるペーパークラフトを作成しました。それがこれ。



まあ、こんなもんかなと思う。ごく単純にこのペーパークラフトをプラバンで組む心づもりでやろうと思います。(4月29日)

5月16日、思い立ってからそろそろ1カ月が経とうとしています。

1/2200 アーガマの船体の流用を止めたので、幾らか大きい方が工作し易かろうということで、それまで全長8.5cmだったものを拡大し、メカコレサイズの13cmに設計を改めました。

最終的なペーパークラフトの図面はこれで、完成品はこんなもの。



このペーパークラフトまでは連休初日にできたのですが、これをプラバンで製作するとなるとさまざまな困難が伴い、紙をプラバンに置換えるでは製作できるものではなく、つくっては廃棄、設計上の問題点を改めてまたつくっては「だみだこりゃ」とまた廃棄を繰り返す日々。

ある程度の形になったのが先週末のことで、できたのがこれ。



どうせ一発ではできないだろうと思ったので、これは最初から塗装までで工作上の問題点を洗い出す試作品です。この試作でプラバンの合わせ目は全部パテで埋めるべきとか、スジボリした後にペーパーかけせんとささくれ立ってイカンとか、インクジェットの自作デカールでは白色は出せないなどなど、色々分りました。どうせ試作品なので、塗装は後始末が面倒くさいエアブラシを使わず、手持ちのスプレーで適当に済ませました。アメリカのヒューストン級宇宙巡洋艦を王立カナダ宇宙軍(RCSF)が導入したホワイトホース級宇宙巡洋艦の3番艦トロントでUSA宇宙軍、ロシア宇宙軍を主力とする第一次火星沖海戦に王立カナダ宇宙軍の同型艦8隻とともに参戦して、同海戦の大敗でカナダの巡洋艦ではこの艦だけが残存して沖田提督率いる極東管区艦隊に他国の残存艦とともに合流し、続く第二次火星沖海戦に参戦して戦没したといちおう脳内設定しています。

そんで今週いっぱいかけて、ゆっくり製作したのが完成を目指したこれ。



これも、いろいろ問題点はあるのですがいい加減終わらせたいので、これで進めます。ブースターや舷側のレーザー砲、ミサイルランチャーなどアクセサリーを取り付けなければなりません。

・・・・


5月24日。ようやく完成。結局、思い立ってから一ヶ月以上かかった…



これも設計のミスとか無理やりな工作とか、いろいろ問題があって…本来ならばこれの製作の経験を踏まえて再度つくるべきなのだろうが、いい加減飽きてしまって、他のことがしたいので、今回はこれで妥協する。

今後の予定としては以下のメカをスクラッチしたいと考えています。

USA宇宙軍ポンディック級宇宙空母(レイズナー)…外観のほとんどが飛行甲板なので、アメリカ軍宇宙巡洋艦よりは楽かもしれない。

ソ連軍宇宙巡洋艦(レイズナー)…これも外観のほとんどが飛行甲板なので、アメリカ軍宇宙巡洋艦よりは楽かもしれない。

フリッパー号(青の6号)の改造による宙雷艇…ここではアンドロメダ号(ウルトラマンタロウ)を磯風型突撃宇宙駆逐艦の源流となった内惑星戦争時の宙雷艇だと言い張っていましたが、さすがに自分でも違和感を持っていたところ、ある日、ネット広告のおすすめ商品にこれが表示され、「これを改造すれば宙雷艇ぽくなるかも…」と思い付き、購入してしまいました。製作実行後はアンドロメダ号(ウルトラマンタロウ)は内惑星戦争以前の時代のロケット戦艦に置換えます。

波動実験艦<ばんだい>…メカコレのムラサメを改造して波動エンジンを無理やり搭載させます。

コスモタイガー(SPACE BATTLESHIP ヤマト)…キムタク版ヤマトのブラックタイガーのリファイン。公開時はいちおうヒットしたようですが、5年近く前の「手仕舞いしたコンテンツ」であり、マニア受けも悪い作品なので、今後もおそらくインジェクションキットやフィギュアが発売されることはないでしょう。このコスモタイガーは直線主体のカクカクしたデザインなのでプラバンの張り合わせでなんとかなりそうな気がした次第です。脳内設定的には開戦時のブラックタイガーと末期のコスモファルコンとの間の2.5世代空間戦闘機で、ガミラス戦役中盤の極東管区の主力空間戦闘機となります。

以上。もちろん、他のことがやりたくなったり、フルスクラッチ自体に飽きてしまって実行できない可能性は非常に高いです。


 
ユーラシア管区の空間戦闘機2015年4月5日、最終更新日2015年5月23日)
ガミラス戦役開戦時のロシア宇宙軍の空間戦闘機ミグ221<コスモ・フィッシュヘッド>。

ソ連軍宇宙戦闘機
『蒼き流星SPTレイズナー』のソ連軍宇宙戦闘機を製作しました。と言っても大部分の方はイメージできないマイナーメカです。第13話『宇宙にむなしく』に登場したソ連宇宙艦隊の艦載機で、グラドスのSPTにまったく歯が立たずに艦隊ごと全滅しました。劇中の映像は下の画像の通り。



とうぜんプラモデルもフィギュアも発売されず、ネットで検索しても自作プラモどころか画像も見当たらず。こんなものを自作したのは私だけではなかろうかと勝手に自負します。
1/144のミグ21をベースに、1/72のミグ27の増槽を両側のブースターに使っています。なにぶんにもプラモデルの改造なんて3個目ゆえ、手持ちに適当なパーツがなくて妥協した箇所や、ミスして隙間ができたり、パテの使い方が下手でデコボコしたりあちこち粗相はあります…

根本的に1/144のミグ21が間違いで、小さすぎて加工しにくい、細身に過ぎ、またコックピットの形状も合わない。どうもベースにするのはタミヤの1/100のミグ19が適当だったようです。まぁ作ってしまったものは仕方がないです。

という訳で、この機体をユーラシア管区宇宙艦隊(ロシア宇宙軍)の空間戦闘機と妄想します。

コスモ・フィッシュヘッド
ロシア連邦はガミラス戦役開戦時の地球の列強国の一つであった。<審判の日>(第三次世界大戦)と<カオスの半世紀>を経て成立した22世紀の国際秩序下ではロシアはバルト三国を除くソ連時代の領土の大部分(千島列島を除く)と日本を除く東アジアを勢力圏として、国際連合ユーラシア管区を構成しており、面積的には地球最大だった(人口では南アジア管区)。

  現在、北海道に属する千島列島は20世紀の第二次世界大戦以降、ソ連=ロシアによって実効支配されていたが、2039年に起きた反応兵器の応酬による<審判の日>とその後の国際秩序崩壊のドサクサを突いて自衛隊(東京および中央政府消滅により日本は数年間戒厳令が敷かれ軍政下あった)が奪回作戦(「自由への進撃」作戦)を決行した。「調査兵団」のコードネームの自衛隊千島派遣部隊は現地ロシア軍との交戦の末に千島列島を占領し、ほぼ一世紀ぶりに日本の統治下に戻った。「自由への進撃」作戦では出撃拠点の北海道=シーナ、奪回目標の歯舞島=シガンシナ、色丹島=トロスト、国後島=ローゼ、択捉島=マリア、得撫島以北=壁外のコードネームがつけられた。また陸海空自衛隊参加各部隊にはエルヴィン、リヴァイ、イェーガー、ミカサ、アルミンなど、ロシア軍には巨人のコードネームが用いられた。最終的に日露平和友好条約の締結により、ロシアからの施政権の返還という名目で日本への帰属が決着した。

ロシアがこれを認めたのは<審判の日>以降に日本が、新興大陸国家群の反応兵器攻撃で甚大な被害を受けたアメリカの政治的くびきから自立したことによるところが主たる要因であり、また「自由への進撃」作戦で自衛隊が戦える軍隊であることを示したことも大きい。「自由への進撃」作戦では陸上自衛隊が迅速に千島列島を占領しただけでなく(地上作戦「紅蓮の弓矢」)、航空自衛隊はロシア極東空軍を圧倒して制空権を確保し(航空作戦「自由の翼」)、海上自衛隊はオホーツク海戦でロシア太平洋艦隊を一方的に叩きのめし、ウラジオストックに引き籠らせた(海上作戦「YAMANAIAME」)。ロシアも新興大陸国家群の反応兵器攻撃による傷は深く、加えて崩壊した国際秩序下でやるべきことが多すぎ、戦略的価値の低い千島列島を巡って日本とことを構えない選択をした。当時の日本の戒厳令政府の本当の狙いも一世紀近く前に失われた千島列島の奪回などではなく、大国ロシアに対して今後日本が新たにつくられる世界秩序において自主独立をする決意を示すためだったと考えられる

日本は日露平和友好条約の見返りにユーラシア大陸への不介入不干渉を約束し、ロシアの大陸支配を認めた。一方で、ロシアは日本の東南アジアを含む太平洋圏のヘゲモニーを承認している。 



ガミラス戦役開戦時の国連軍主要国の空間戦闘機。USA宇宙軍のXIGファイターSS<スペースサーファー>、ロシア宇宙軍のミグ221<コスモ・フィッシュヘッド>そして航宙自衛隊の86式空間戦闘機<黒虎>。外惑星防衛戦前の時期に製作された戦意高揚映画『結集する地球の力』より。

ロシアは外惑星圏の主な衛星では木星のエウロパ、アマルテア、土星のイアペトゥス、ミマス、天王星のチタニア、シコラクス、ポーシャそして海王星のネレイドを領有していた。またヒギエア、ダビダ、キュベレー、エウノミア、ジュノー、アンフィトリテ、ジェームズ・ボンド、仮面ライダー、宮本真希といった小惑星もロシア領となっていた。

21世紀末からの太陽系大航海時代に列強国は枯渇しかけていた地球の資源に代わる宇宙資源確保のため外惑星圏の衛星や小惑星に争って進出しており、必然的に武力衝突も多発した。

第二次内惑星戦争以降の時期だけでもカリストのコスモナイト鉱山を巡ってUSA宇宙海兵隊とロシア宇宙軍歩兵が大規模な武力衝突を起こしており(第6次カリスト紛争)、また希少戦略資源であるアイス・セカンドを埋蔵することが分かった小惑星<早見優>の領有権を主張する日本とロシアの宇宙艦隊が交戦して、双方2隻づつの宇宙巡洋艦を失っている(早見優沖海戦/夏色のナンシー事件)。

ガミラス戦役開戦直前まで太陽系では外惑星圏の衛星やアステロイドベルトの資源小惑星の権益を巡って一触即発の緊張状態が続いており、これがガミラス戦役開戦時に各国が強力な宇宙軍を保有していた所以である。結果的にではあるがこのために地球はガミラスと曲がりなりにも8年にわたって戦えたと言えるだろう。

  早見優沖海戦/夏色のナンシー事件
小惑星<早見優>は日本人に由来する名であることから、日本の宇宙開発にとっては優先的な探査対象となり、太陽系大航海時代最初期の2082年に宇宙航空研究開発機構の有人探査船が到着して学術調査を行っている。地表に日本国旗が立てられ、領有宣言がなされたものの、調査の結果では何の特徴もない平凡な小惑星と結論付けられ、これと云った価値のある資源もなく、恒久的な施設は建設されなかった。その後、<早見優>は無数のある小惑星の一つとして人々から顧みられることはなかった。

それから1世紀以上たった2190年にロシアの民間調査船が小惑星<早見優>に希少な戦略資源であるアイス・セカンドが埋蔵されていることを発見した。ただちにロシアは資源採掘班と宇宙軍歩兵を<早見優>に派遣してこれを占拠した。ロシア政府は日本による小惑星<早見優>領有宣言はバレンタイン休戦条約以前であり正式なものではなく、かつ1世紀以上も放置していたことから国際法的にすでに無効であるとし、小惑星の名を<t.A.T.u.>と改名してその領有を宣言した。小惑星を占拠したロシア宇宙軍歩兵が整列して「ヤー・サシュラー・ス・ウマー(私はおかしくなった)」を斉唱してその正当性を誇示した。

これに対して、日本政府は小惑星<早見優>はその歴史的経緯から日本固有の領土であるとして、一歩も引かぬ構えを見せた。

2190年6月、宇宙空母<ひゅうが>を含む航宙自衛隊の機動艦隊12隻が小惑星<早見優>/<t.A.T.u.>を守備するロシア宇宙艦隊9隻と衝突した。海戦は戦力に勝る日本艦隊が終始有利にすすめ、ロシアの宇宙巡洋艦2隻を撃沈して、ロシア宇宙艦隊を後退せしめた。日本側の損害は駆逐艦2隻が損傷しただけでごく軽微なものだった。

日本艦隊は空間騎兵隊を小惑星に上陸させ、ロシア宇宙軍歩兵との激戦の末にこれを占拠した。空間騎兵隊の精兵たちは「夏色のナンシー」を斉唱して、ロシアの暴挙に対して意趣返しをして見せた。

だが、戦いは日本側の完全勝利とはいかなかった。油断した日本艦隊の隙をついてロシアの航空隊が奇襲攻撃をかけてきた。空間戦闘機ミグ221<コスモフィッシュヘッド>が放った対艦ミサイルにより、村雨型宇宙巡洋艦<かすが>、<いこま>が撃沈され、空母<ひゅうが>も損傷した。海戦は痛み分けの結果となった。

その後、航宙自衛隊は土方提督率いる第三艦隊を増派し、ロシア宇宙軍もチフレンコ中将の第二艦隊を派遣し、小惑星<早見優>/<t.A.T.u.>を挟んでにらみ合いとなった。

ロシア艦隊は日本艦隊の通信回線に向けて最大音量で「ヤー・サシュラー・ス・ウマー(私はおかしくなった)」や「ナス・ニェ・ダゴニャット(私たちはつかまらない)」を流して威嚇し、日本艦隊も「急いで!初恋」、「夏色のナンシー」そして「渚のライオン」で対抗した。

この紛争は国連特使ジョージ・ムラカミの調停により、停戦が成立して日露双方が艦隊を撤収させている。このすぐ後にガミラスとのファーストコンタクトという歴史的大事件が起き、小惑星<早見優>/<t.A.T.u.>の領有権問題は有耶無耶となってしまった。 

第二次内惑星戦争中、ロシアはマーズノイドのレギオスと同様の機動兵器の開発を目指す、スーベラエレクトロメニトニ・ロボ(超電磁機動兵器)計画を推進していた。だが、ロシアは小型慣性制御機関の実現に事実上とん挫しており、唯一完成した試作機動兵器スリナーニヤ・ヴェー(合体機V号)は全長57m、全備重量550トンの小型宇宙船並みの巨大機動兵器となり、レギオスのような可変機能は諦め、代わりに5機のバトルマシンが合体してバトロイド体型になる方式になっている。とうぜんコスト的に量産化なぞ見込める代物ではなく、加えて操縦(とりわけ合体)が困難でよほどの熟練者しか扱えるものではなかった。結局、ロシアは第二次内惑星戦争では日本が開発し、国連軍規格機に採用された慣性制御型空間戦闘機ステーションホーク1号・2号をライセンス生産して使用している。

この辺りの事情はアメリカと欧州連合も同様で、マーズノイドのレギオスに衝撃を受けたアメリカはレギオスよりもはるかに高度な変形機能を持つ野心的なトランスフォーマー・シリーズを計画し、欧州では可変機能を諦めてバトロイドと円盤型の支援機が合体する方式のUFO機動兵器ゴルドラック(仏)/アトラス(伊)が計画されたが、いずれも機構が複雑すぎてモノにならず、これに多額の資金と優秀な人材を投じたために日本に後れを取る結果となった。この点で、当時の極東管区の押井軍務局長がユウキ博士、出渕技師らヘッドギアが開発したマーズノイドのレギオスよりも明らかに高性能な機動兵器AV-98<イングラム>をあらゆる手段を講じて実戦化を妨害して闇に葬り、空間戦闘機ステーションホーク1号・2号に絞らせたことは、現在では慧眼であったと評価されている。

結局、日本のステーションホーク1号・2号以外で第二次内惑星戦争中に実戦配備できた慣性制御型空間戦闘機はアメリカのスカイワン(空軍型)/スペースワン(宇宙軍型)だけであり、これも終戦間際であり、ほとんど戦局に寄与できなかった。

ロシアは試作機動兵器スリナーニヤ・ヴェー(合体機V号)の惨状から、欧米よりも早い段階で機動兵器開発に見切りを付けており、ステーションホーク1号・2号を入念に研究して空間戦闘機の開発に着手した。

そして、2184年に配備開始されたミグ221<コスモ・フィッシュヘッド>が世界初の第二世代空間戦闘機となった。これはロシアの名門航空機製造会社『MiG』が設計した機体であり、アメリカのシグファイターSS<スペースサーファー>や日本の86式空間戦闘機<黒虎>に先駆けて登場している。ただし、それだけに(特に初期型)は発展途上な点も多々あり、資料によっては第1.5世代空間戦闘機としているものもある。

ロシア語での正式な愛称は「ミチオール」(метеор:流星)だが、20世紀終わり以降、ロシアの航空機製造会社では輸出向けに英語での愛称を黙認し、また自らも使用するのが慣習となっており、20世紀のベストセラー機であるMiG-21にあやかった「コスモ・フィッシュヘッド」が用いられ、この名で知られる。

ミグ212<コスモフィッシュヘッド>の初陣は木星の衛星カリストのユミル・クレーターのコスモナイト鉱床を巡る2185年の第6次カリスト紛争だった。この紛争では合計14回の空戦が行われ、アースガルズ宇宙軍基地を拠点とするロシア宇宙軍のコスモフィッシュヘッドは米宙兵隊の第一世代空間戦闘機<スペースワン>を圧倒した。ロシア軍が米軍のスペースワンおよびインターセプターを24機撃墜破したのに対して、コスモフィッシュヘッドの損害は8機(うち空戦によるものは1機)に過ぎなかった。この結果に衝撃を受けたアメリカは第二世代機のシグファイターシリーズの開発と実戦配備を急ぐことになる。

日露の宇宙艦隊が激突した2190年の<早見優沖海戦>では<コスモフィッシュヘッド>は航宙自衛隊の第二世代空間戦闘機である86式空間戦闘機<黒虎>(ブラックタイガー)と矛を交えた。ロシアの重航空巡洋艦3隻(クニャージ・スヴォーロフ、オリョール、オスリャービャ)に艦載された26機のコスモフィッシュヘッドと航宙自衛隊の宇宙空母<ひゅうが>艦載の<黒虎>42機が戦い、結果は数に勝る<黒虎>が勝利し、コスモフィッシュヘッドは半数近い12機が撃墜され、一方、<黒虎>の損害は2機だった。性能面でもより新鋭の<黒虎>が優秀と考えられた。

海戦自体の結果も航宙自衛隊の勝利で、重航空巡洋艦<オリョール>と<オスリャービャ>が撃沈されロシア宇宙艦隊が撤退を余儀なくされたのに対して、宙自艦隊の損害はごく軽微だった。だが、ここでコスモフィッシュヘッド隊が気を吐いた。撤退したと見せかけた重航空巡洋艦<クニャージ・スヴォーロフ>から発進したコスモフィッシュヘッド隊の残存機9機が勝利の凱歌をあげる宙自艦隊に奇襲攻撃を仕掛けた。

コスモレーダーの探知圏外から長距離侵攻したセルゲイ・ゴリアエフ大尉率いるコスモフィッシュヘッド隊は巧妙に宙自艦隊に気づかれることなく接近し、先に撃沈された<オリョール>と<オスリャービャ>の残骸にまぎれて込んだ。そして、ゴリアエフ大尉は宙自艦隊の対空警戒の一瞬の隙を見逃さずに突撃をかけた。宙自艦隊の対応は完全に遅れ、コスモフィッシュヘッドはギリギリまで接近し対艦ミサイル<オーニクス>(しまめのう)を一斉に放った。この攻撃で、村雨型宇宙巡洋艦<かすが>、<いこま>が撃沈され、最優先目標の宇宙空母<ひゅうが>は沈没こそ免れたが大破し、作戦行動不能に陥った。

コスモフィッシュヘッド隊は迎撃に駆け付けた<黒虎>隊を振り切って戦線から急速離脱し、この際に<黒虎>6機を撃墜している。この奇襲攻撃でのコスモフィッシュヘッド隊の未帰還は1機で指揮官のセルゲイ・ゴリアエフ大尉だった。

この奇襲の戦果で早見優沖海戦は痛み分けの形となり、戦死したセルゲイ・ゴリアエフ大尉にはロシア連邦英雄金星章が追贈された。セルゲイ・ゴリアエフ大尉の生涯はこの年のうちにさっそく映画化され、なぜか日本でもヒットした。

ガミラス戦役開戦時のロシア宇宙艦隊の艦載機はコスモフィッシュヘッドであり、外惑星防衛戦、第一次火星沖海戦そして第二次火星沖海戦を戦った。戦闘攻撃機ギランカやその後継機メランカ、駆逐戦闘機ゼードラーIIとはなんとか互角に渡り合えたが、格闘戦闘機ツヴァルケには苦戦を強いられたという。

コスモフィッシュヘッドの著名なエースにアンドレイ・マルコフ大佐がいる。マルコフは第二次内惑星戦争からのベテランパイロットであり、内惑星戦争でマーズノイドの機動兵器レギオス6機を撃墜しており、開戦時には既にエースであった(内2機は旧世代のロケット戦闘機によるもの)。9年ぶりの実戦となるガミラス戦役でも腕は衰えておらず、国連宇宙艦隊が大敗を喫した第一次火星沖海戦で先の戦争でのスコアを上回る8機のガミラス機を撃墜した。マルコフは「ガミラスの戦闘機は大したことはない。マーズノイドのレギオスの方がはるかに手強かった」と発言しており、内惑星戦争を経験した多くのベテランたちが同種の証言をしている。マルコフはロシアの残存部隊とともに続く第二次火星沖海戦にも参加し、さらに6機を撃墜したが、この戦いで戦死した。その最期はドックファイトではなく、ガミラス艦からの対空砲火によるものだった。第二次内惑星戦争を含むアンドレイ・マルコフの撃墜スコアは20機で、ロシア連邦英雄金星章を追贈されている。

コスモフィッシュヘッドは改良を重ねながら、終戦までロシア宇宙軍の主力機でありつづけた。ロシア宇宙軍のコスモフィッシュヘッド隊の最後の組織的戦闘は2197年の第8次ザーン(L5点の名称)海戦である。冥王星前線基地から放たれた惑星間弾道弾(超大型ミサイル)を迎撃すべく沖田十三提督率いる国連連合宇宙艦隊第二艦隊(極東管区:航宙自衛隊)27隻とセルゲイ・アレクセイエフ提督率いる第四艦隊(ユーラシア管区:ロシア宇宙軍)24隻が出撃し、ユーラシア管区艦隊の重航空巡洋艦6隻に57機のコスモフィッシュヘッドが艦載されていた。この時期、既に他の管区艦隊は壊滅しており、これが国連宇宙艦隊のほぼ全力であり、また月面基地は半壊状態で十分な航空支援も得られなくなっていた。極東管区艦隊には宇宙空母はなく、ユーラシア管区艦隊のコスモフィッシュヘッド隊が両艦隊の直衛を担った。

L5点まで進出して惑星間弾道弾の迎撃を行っていた両艦隊にガミラス艦隊が襲撃してきた。まず、ガミラス空母群から発進した戦闘攻撃機メランカ120機以上が極東管区艦隊に襲い掛かり、ロシアのコスモフィッシュヘッド隊がこれを迎え撃った。この時期のロシア宇宙航空隊は熟練パイロットのほとんど失い、訓練不十分な新兵が主体だったが、倍以上のガミラス機を相手に奮闘して半数を失いながらもこれを撃退し、空襲を頓挫させることに成功する。ロシア宇宙軍航空隊エースパイロットの唯一の生き残りだったセルゲイ・イリッチ少佐はこの航空戦で12機のガミラス機を撃墜する驚異的な戦果を挙げた。

一方、ユーラシア管区艦隊にはガミラス艦隊が襲いかかっていた。セルゲイ・アレクセイエフ提督のユーラシア管区艦隊は善戦するものの彼我の性能差は如何ともしがたく、ロシア艦は次々と撃沈された。残ったロシア宇宙航空隊はこの救援に駆け付けようとするが、アレクセイエフ提督は敗走するメランカを追ってガミラス空母群を突くように命じた。この時のアレクセイエフ提督の意図はガミラス空母群の撃滅ではなく(それをするには機数が少なすぎる)、地球の宇宙艦隊が全滅せぬよう極東管区艦隊を戦線離脱させるための陽動攻撃だったと考えられている。

ユーラシア管区艦隊を全滅させたガミラス艦隊はアレクセイエフ提督のこの策に謀られてしまい、極東管区艦隊を攻撃することなく後方の空母群を護るために引き返してしまった。この結果、極東管区艦隊は戦線からの離脱に成功し、地球の絶対防空圏内に撤退できたが、ユーラシア管区艦隊は全艦撃沈されてアレクセイエフ提督も戦死し、ガミラス空母群に突撃したセルゲイ・イリッチ少佐をはじめとするコスモフィッシュヘッド隊も全機未帰還となった。これで、地球に残された宇宙艦隊は沖田提督の極東管区艦隊だけとなった。


ロシア宇宙軍そして空軍では、ミグ221<コスモフィッシュヘッド>に代わる独自の第三世代空間戦闘機としてミグ231<ファイヤーフォックス>を開発していた。これは高い戦闘機動性を誇る超高速戦闘機であり、完璧に近いステルス機能もあり、総合的な性能は欧州管区のユーロ2200<コスモ・ドラケン>や極東管区の九九式空間戦闘攻撃機<宙隼>(コスモファルコン)に優る極めて意欲的な機体だった。<ファイヤーフォックス>の最大の特徴が思考誘導装置である。これはパイロットが思考するだけで各種ミサイルや航空機関砲などの火器管制が行えるもので、スイッチや操縦桿やボタンを使用するよりも迅速かつ的確に戦闘を行う事が可能となる。

<ファイヤーフォックス>は計画されたスペック通りならば、地球だけでなく、おそらくこの当時の汎宇宙文明世界最強の空間戦闘機になりうる性能を有していた。だが、ロシアには似つかわしくないことだが、<ファイヤーフォックス>は複雑な構造の上に当時の技術では量産が難しく、極めて高価な機体だった。<ファイヤーフォックス>1機の価格で<コスモフィッシュヘッド>が1個航空隊編成できると言われたほどである。加えて、スペシウムやアイスセカンドといった入手が困難な希少地球外資源を多用しており、当時の地球が置かれた情勢では量産化は不可能だっただろう。

実際の思考誘導装置も問題がありすぎた。これを使いこなすには特殊な適性と訓練、戦闘中にいっさいの邪念を持たない極端な集中力が必要であり、そうでなければ作動不良や誤作動が頻発する。結局、パイロットごとに専用ソフトウェアを作成する必要があり、かつその日の心理状態に応じた出撃の度のカスタマイズまで要し、これに膨大な時間と費用がかかる。ここまでやっても邪念による誤作動を消しきれなかった。

揚句に仮想空間のシミュレーションでは思考誘導装置は圧倒的な優位を得たが、思考誘導装置を実装した<ファイヤーフォックス>試作機を用いた模擬空戦では思考だけによる火器管制と指でトリガーやボタンを押す従来の火器管制との間に期待したほどに顕著な差が確認されなかった。

<ファイヤーフォックス>のテストパイロットは「これを使いこなして、かつ実際の空戦で何がしかのメリットを得られるのはニュータイプ(いわゆる超能力者)だけだろ」と証言している。

結局、ガミラス戦役中は<ファイヤーフォックス>は試作機の段階にとどまり、希少地球外資源が入手可能になった終戦後にようやく制式化されたものの、少数が製造されただけでコスト面から生産は打ち切られてしまった。量産型の<ファイヤーフォックス>はユーラシア管区のロシア系航空隊に配備されたが、思考誘導装置のスイッチは訓練以外では切られていたという。




 
北米管区の空間戦闘機2015年3月31日、最終更新日:2015年4月2日)

USA宇宙軍の主力空間戦闘機 XIGファイターSS<スペースサーファー>
コメント:これは『ウルトラマンガイア』のライドメカであるXIGファイターSS<スカイサーファー>です。
ガミラス戦役開戦時に地球最大の軍事力を有していたのは北米管区つまりアメリカ合衆国であった。20世紀から21世紀前半にかけて地球最大の覇権国家であったアメリカは<審判の日>とこれに続く<カオスの半世紀>を経て、相対的な国力は衰え唯一最強の超大国の地位こそ失っていたが、依然としてロシア(ユーラシア管区)、欧州連合(欧州管区)、インド(南アジア管区)そして日本(極東管区)に並ぶ列強国の一角を占め続け、南北アメリカ大陸を勢力圏としていた。

第二次内惑星戦争において国連軍の慣性飛行型ロケット宇宙戦闘機は小型慣性制御機関を搭載するマーズノイドの機動兵器レギオスにまったく対抗できず、圧倒的な国力の差がありながら国連軍は緒戦から手痛い敗北を喫し続けた。

北米管区軍はレギオスに対抗しうる小型慣性制御機関を搭載する空間戦闘機の開発を図ったが、技術的な障害が多く難航した。国力に劣るはずのマーズノイドが開戦時から小型慣性制御機関を有する機動兵器レギオスを開発して戦術的優位を勝ち得たのは、驚異的知能を持つ優生人類ミステリアンの技術提供の賜物であり、地球人にはこの克服は容易ではなかった。

結局、最初に空間戦闘機を開発できたのは極東管区(日本)であり、ステーションホーク1号・2号として国連軍標準空間戦闘機として採用された。マーズノイドのレギオスに衝撃を受けた国連軍は当初はマーズノイドと同様の機動兵器の開発も図っており、極東管区ではユウキ博士、出渕技師らを中心とするヘットギアと呼ばれる機動兵器開発チームが組まれた。彼らは篠原重工の協力の下で、地球初の機動兵器AV-98<イングラム>の開発に取り組んだものの、宙技廠主導の空間戦闘機ステーションホーク1号・2号に後れを取ってしまった。宙技廠の主任技官は「あんなの飾りです。偉い人にはそれが分からんのです」と主張して譲らず、機動兵器ではなく戦闘機の形態が採用された。

加えて、当時の押井軍務局長が機動兵器に非常に懐疑的であった。彼は「人が乗る二足歩行ロボットなんて実在したらおかしい」「ロボットって無人であるべきなのに。人が乗ったら意味ないだろ」「二足歩行の巨大ロボットが活躍するなんてあり得ない」「ロボットは無人であるべき。顔も足も必要ない」とつねづね語っていたと伝えられる。現に国連軍のロケット戦闘機がマーズノイドの機動兵器レギオスにまったく太刀打ちできずにいることと整合が取れないが、押井はレギオスはマーズノイドがテラノイドに先駆けて完成させた小型慣性制御機関だけに意味があり、アーモファイター(戦闘機形態)だけでよく、アーモダイバー(中間形態、いわゆるガウォーク)やらアーモソルジャー(人型ロボット形態)に変形する必然性は全くないと考えていたようだ。このような思想の押井が、いかにもヒーロー然としたリアルロボットのヘッドギアのイングラムではなく、無駄のないシンプルなデザインの宙技廠の宇宙戦闘機ステーションホーク1号・2号を選ぶのは自然な流れだった。

押井は国連軍技術研究委員会の場で「要するにさぁ、おまえやユウキがやりたいのはさ、レイバーを宇宙へ(以下略)」と言い放って、出渕技師と大喧嘩になったという。押井軍務局長は第二次内惑星戦争で軍行政を監督して辣腕を振るい国連軍の勝利に大いに貢献したと評価される傑物であり、それだけにこの当時は兵器開発に関して大きな影響力があった。機動兵器を忌み嫌う彼はあらゆる手段を駆使して、イングラムの実戦化を妨げたと噂される。

結局、試作機と先行量産機が少数だけ製造されたイングラムは実戦投入されることなく終戦を迎え(末期の戦闘で偶発的に使用されたとする資料もある)、以降、地球では空間戦闘機が主流となり、マーズノイド(とミステリアン)が開発した機動兵器は兵器開発史のあだ花として顧みられることはなくなった。

さて、妄想が膨らんで脱線が長くなった。極東管区の空間戦闘機ステーションホーク1号・2号に後れを取った北米管区は戦争末期に空軍が米軍初の空間戦闘機スカイワンをようやく完成させた。この宇宙軍向けのスペースワンがUSA宇宙艦隊に配備されたが、既にマーズノイドの最後の賭けであるアルマゲドン作戦の激戦が終わった後であり、最終局面の火星包囲戦(アネックス1号作戦)で使用されたが、もはやマーズノイドの戦力は尽き果てており交戦機会は僅かだった。

第二次内惑星戦争後の2180年代後半に日本の航空自衛隊および航宙自衛隊はステーションホーク1号・2号に代わる第二世代空間戦闘機である86式空間戦闘機<黒虎>(ブラックタイガー)を就役させた。これに対して、USA宇宙軍は中期国防整備計画ガイア・プランに基づき、第二世代空間戦闘機としてより野心的なシグ(eXpanded Interceptive Guardians)・ファイターを開発していた。

ガミラス戦役開戦時のUSA宇宙軍の主力空間戦闘機がXIGファイターSS<スペースサーファー>XIGファイターSG<スペースゲイナー>である。

XIGファイターSS<スペースサーファー>はUSA宇宙軍の主力空間戦闘機である。主武装としてスペラール光線機銃とファイナーズ熱線機関砲、コクピット下部にAAM-9サイドワインダーまたはHEATミサイルを固定装備している。リパルサーリフトによる3次元のモーメントを持ち、高い機動性を誇る。ハイパーコスモエンジンを搭載し、スピードが第二世代機では最速となっている。

XIGファイターSG<スペースゲイナー>はUSA宇宙軍の空間攻撃機である。武装はマジョット・レーザーバルカン砲に加え、両翼に内蔵された16基のミサイル弾ポットになっており、HEATミサイル、液体窒素弾、焼夷弾などが発射できる。また、遠距離狙撃用のロンゲスト砲も装備しており、投射火力はSS機を大きく上回る。一方で、機動力は劣り、ガミラスの空間戦闘機に対して苦戦を強いられた。

USA宇宙軍の空間戦闘攻撃機 XIGファイターSG<スペースゲイナー>。強力な投射火力を誇る。
画像はガミラス艦隊を迎撃すべくUSA宇宙軍をはじめとする国連軍各国の宇宙艦隊が太陽系絶対防衛線の火星沖に集結した際のもの。後方に見えるのはUSA宇宙軍のボウ級強襲揚陸艦。この戦いでは軽空母として用いられた。
この後に生起した第一次火星沖海戦で国連軍の主力艦隊は惨敗を喫することになる。続く、第二次火星沖海戦で沖田提督の奮戦によりガミラスの侵攻は辛うじて退けられた。


航宙自衛隊と航空自衛隊が同じ86式空間戦闘機<黒虎>を採用したのとは異なり、USA宇宙軍は前述のシグファイターSS機、SG機を採用し、USA空軍はこれとは別のF/A-80<スカイハイヤー>を使用していた。

このため、自衛隊の86式空間戦闘機<黒虎>が大気圏内戦闘機に近いデザインであるのに対して、USA宇宙軍のシグファイターSS機、SA機ともより宇宙戦闘に特化したデザインとなっている。これはガミラス戦役中期以降、地球圏が主戦場となり、地球本土防空を戦う際には不利になった。シグファイターはリパルサーリフトによって大気圏内での使用も可能ではあるが、空気力学的考慮はされていないデザインであり、大気圏内空戦には必ずしも適していなかった。

ガミラス戦役中盤にはSS機の性能向上型のST機と、SG機の性能向上型のGT機が登場している。

またUSA宇宙軍にはXIGファイターEX<エキサイター>が存在した。これは複座の偵察・電子戦機ではあるが、エンタシア光線機関砲とAAM-9サイドワインダーで武装しており、運動性も高く、空戦能力は意外と優れており、ガミラス戦役時の隠れた傑作機と評価されている。

北米管区はこれらに代わる第三世代空間戦闘機としてロッキード・マーティン社がテックサンダー1号/2号、ノースロップ・グラマン社がクロムチェスターδ/ストライクチャスター、ボーイング社がダッシュバード1号/2号/3号そしてグーグル・スペース社がガンウィンガー/ガンローダー/ガンフェニックスをおのおの開発・試作を進めたが、ガミラスから地球の軍事力の中心と考えられ徹底的な遊星爆弾攻撃を受けて疲弊しきっていたアメリカ合衆国はガミラス戦役末期には国家の存続自体が危ぶまれる危機に瀕しており、もはや新世代戦闘機を完成・量産化させる余力はなくなっていた。そして、人類絶滅の危機が迫る中、アメリカは第三世代空間戦闘機の開発ではなく、地球脱出船アルゴの建造に残された資材とエネルギーを傾注することになる。

結局、これらの北米管区の第三世代空間戦闘機は試作機の段階から出ることなく終戦を迎えることになった。



 


宇宙空母<かつらぎ>の生涯2015年1月25日、最終更新日2015年3月24日)

ヤマト艦載機としての採用が検討された欧州管区のユーロコスモファイター2200<コスモドラケン>。画像はイタリア航空隊の機体。
コメント:これは宇宙空母ブルーノアの艦載戦闘機のメカコレです。
2198年夏頃、次期国連宇宙海軍航空隊主力戦闘機を見込まれていた第3世代空間戦闘機の零式52型空間艦上戦闘機コスモゼロの彗星5型エンジンに致命的な欠陥が発見され、本格量産化の遅延が避けられなくなった。よく知られているように当初の宇宙戦艦ヤマトの艦載機には零式52型空間艦上戦闘機が予定されていたが、翌2199年2月に予定されるイスカンダルへの航海に間に合わせることができるか否か危うい状況となったのである、

宇宙戦艦ヤマトの航空隊は加藤三郎二尉、篠原弘樹一尉のコスモファルコン隊だが、彼らは空間防衛総隊隷下の本土防空隊第810航空団の出身であり、系統的には国連空軍に属する航空自衛隊の要員たちだった(戦役末期の組織改編により、地上軍と空軍は宇宙軍に一本化された)。実は、イズモ計画そして、その後のヤマト計画での本来のヤマト航空隊は彼ら国連空軍系(航空自衛隊)の要員ではなく、宇宙空戦が専門の国連宇宙海軍航空隊(航宙自衛隊)の要員によって編成される予定だった。

本来、ヤマト乗り組みを予定されていたのは航空自衛隊系の加藤三郎や篠原弘樹ではなく、後藤崇高(ごうとうむねたか)三佐、乾雅也一尉そして坂本茂二尉以下30名の航宙自衛隊系のパイロットたちだった。

当時の宇宙海軍航空隊は6年に渡るガミラスとの激戦において最前線で奮戦して消耗し尽くしており、ヤマト計画に選抜された後藤、乾、坂本たち選抜メンバーは宇宙海軍航空隊に残された最後の精鋭パイロットたちと言ってよい存在だった。

宇宙海軍航空隊は本来は宇宙空母の艦載機が中心だが、国連宇宙海軍艦隊最後の宇宙空母<ひりゅう>は2196年に失われており、これ以降の宇宙空母の就役はなく、彼らはもっぱら地球や月面の基地航空隊として戦っていた。

後に宇宙戦艦ヤマト第二代航空隊長となる坂本茂二尉は数々の武勲を立てた宇宙空母<ひりゅう>艦載の第634戦闘攻撃飛行隊<極東勤王隊>の生き残りで、同僚に武市南朋(たけちなお)三佐や<ガミラス斬り>の異名を取る岡田健(おかだたける)一宙飛曹といった著名なエースパイロットがいたが、彼らは<ひりゅう>が撃沈された戦いで壮烈な散華を遂げている。

天才肌の坂本茂はその後の戦いで着実にスコアを伸ばし、「空(航空自衛隊)の加藤、宙(航宙自衛隊)の坂本」と並び称される宇宙海軍航空隊を代表するエースパイロットとして知られることになった。

さて、零式52型空間艦上戦闘機コスモゼロの開発遅延が避けられなくなり、ヤマト計画本部は宇宙戦艦ヤマト艦載機の代替機を探さねばならなくなった。この当時、国連宇宙海軍航空隊が使用していた機体は第2.5世代空間戦闘機の九五式空間艦上戦闘機<宙虎>(コスモタイガーI)だったが、ヤマト計画本部は最新鋭の第三世代機を強く望んでいた。まず、候補に挙がったのが、国連地上軍(戦役末期に宇宙軍に指揮系統が一本化)極東方面空間戦闘群の開発した九九式空間戦闘攻撃機コスモファルコンだったが、この時期にはまだ実戦配備についておらず、完成度的に未知数の部分があった。

もう一つの候補が欧州管区のユーロコスモファイター2200<コスモドラケン>であった。コスモドラケンは世界に先駆けて実戦配備についていた唯一の第三世代空間戦闘機であり、ガミラス機との実戦も経験していた。

ヤマト計画本部はこのコスモドラケンの採用をかなり真剣に検討しており、調査のためにヤマト計画選抜パイロットの後藤崇高三佐そして坂本茂二尉がヨーロッパに派遣された。もちろん、ヤマト計画の存在は極秘であり、表向きの理由は極東管区宇宙海軍航空隊でのコスモドラケンの導入検討である。

後藤と坂本は欧州管区本土防空隊のアビアノ基地(イタリア)でコスモドラケンに実際に搭乗して実地検分を行った。この際に全くの偶然ながら坂本はガミラスとの空戦に巻き込まれ、コスモドラケンでメランカ2機を撃墜している。後藤と坂本はコスモドラケンを高く評価し、コスモタイガーIを遥かに凌駕する性能であると報告した。

周知のように、コスモドラケンは検討されただけに終わり、ヤマト艦載機の代替は極東管区で開発されて、入手が容易で機器の規格も同一の九九式空間戦闘攻撃機コスモファルコンに落ち着いた。

2198年4月に第二のイスカンダルの使者(サーシャ・イスカンダル)を確実に迎え入れるための陽動作戦のメ号作戦が正式に承認され、12月に予定される出師に向けての準備が始まった。この時点での国連宇宙海軍の艦隊戦力は極東管区艦隊(航宙自衛隊)の32隻のみである。他に北米管区艦隊(USA宇宙軍)の残余であるヒューストン級宇宙巡洋艦4隻があったが、キャリフォルニアベースに修理もできずに放置されていた代物であり、3隻は残骸が船の形を辛うじて保っているだけの非稼働状態、唯一辛うじて航行可能なゲティスバーグも損傷がひどく戦闘力はないに等しく、北米管区の窮状も鑑みて作戦参加は見送られた。

天城型宇宙空母<かつらぎ>。唯一の航空戦力としてメ号作戦に参加する予定だった。
現在では意外と知られていないがガミラス戦役当時、ガミラスと地球との宇宙軍艦の性能は懸絶しており、まったく歯が立たないのが実情だったが、こと空間戦闘機の分野は別で地球とガミラスの性能差はほとんどなく地球の方が優れている部分さえあった。メ号作戦に空間戦闘機隊を投入できれば、多少なりとも有利を得られ、なにより空間戦闘機隊の存在により作戦の幅を広げることもできる。だが、国連宇宙海軍の正規宇宙空母は2196年の戦いで戦没した<ひりゅう>を最後に全滅しており、新造艦も資材とエネルギーの不足から工事中断されたままになっていた。これには主戦場が基地航空隊の行動範囲である地球圏になったことにより、宇宙空母の優先度が低下した事情もあった。

久方ぶりの地球圏外出師が決まり、なんとしても宇宙空母を作戦投入させることが目指された。当時、工事中断のまま放置されていた宇宙空母には天城型宇宙空母の<かつらぎ>、<ばんりゅう>、<ちよだ>があった。このうち、最も工事が進捗していた<かつらぎ>の建造を最優先事項として再開させ、資材不足を補うために<ばんりゅう>、<ちよだ>を解体して転用させることになった。苦しいエネルギー事情の中で突貫工事で<かつらぎ>の建造が進められ、8月に進宙にこぎつけた。9月末に艤装完了して竣工したが、無理な急造工事のためにあちこちに不具合があったという。10月に地球衛星軌道で公試が行われた。長期の工事中断の後に今度は突貫工事の急造という経緯もあり、<かつらぎ>はこれ以前にあった同じ天城型宇宙空母とは構造や仕様が異なる箇所が多くなった。戦訓を取り入れて改良された箇所もあれば、逆に急造故に簡易化してつくられた箇所もあり、このため<かつらぎ>を独自の葛城型宇宙空母と分類する資料もある。

搭載機は当初は零式空間艦上戦闘機51型≪コスモゼロ≫が予定されていたが、開発が遅延し、仮に製造できても宇宙戦艦ヤマトへの搭載が優先されることになるので、代わりに本土防空隊(航空自衛隊)の九九式空間戦闘攻撃機≪コスモファルコン≫を45機(補用2機)搭載することになった。他に100式空間偵察機6機も予定されていた。

地上基地運用の局地戦闘機であるコスモファルコンを艦載機に転用するための各種試験が行われることになり、本土防空隊第810航空団所属のコスモファルコン12機が<かつらぎ>に貸し出されるとともに、伊集院雄三・二佐、加藤三郎二尉、篠原弘樹三尉、大工原剛志三尉といった既にコスモファルコンに習熟した同航空団のパイロットが派遣された。

彼らによって実施された九九式空間戦闘攻撃機の離着艦試験により、艦載機として運用する為のデータが収集されて宇宙戦艦ヤマトに同機を搭載する際に活かされており、<かつらぎ>の数少ない功績となった。

この一方で、地球と月面の宇宙海軍航空隊基地より、熟練パイロットたちが選抜され宇宙空母<かつらぎ>艦載の第601戦闘攻撃飛行隊<海援隊>が編成された。この部隊は宇宙海軍航空隊創設以来の伝統ある飛行隊で、第一次火星沖海戦で航宙自衛隊最大の宇宙空母だった<あかぎ>が沈んだ際に全滅し、解隊となっていたものを復活させたものであった。

第601戦闘攻撃飛行隊<海援隊>の隊長は後藤崇高三佐、副長は乾雅也一尉で、坂本茂二尉以下の30名の宇宙海軍航空隊のパイロットたちが加わっていた。宇宙海軍航空隊の<海援隊>は<かつらぎ>の艦上で加藤たち防空隊のパイロットからコスモファルコンへの機種転換の指導を受け、併せて離着艦の訓練を行った。

実は彼ら<海援隊>はヤマト計画の選抜メンバーであり、宇宙戦艦ヤマト航空隊を編成する予定の要員だった。生還率が極めて低いと見込まれるメ号作戦に参加すれば、彼らはヤマト発進前に大きく消耗、悪くすれば全滅もありえた。むろん、ヤマト計画本部は貴重なヤマト計画選抜パイロットをここで失うことを望んではいなかった。

これは<海援隊>隊長の後藤三佐の要望によるもので、最後の宇宙空母機動部隊が失われてから2年以上が経過し、宇宙海軍航空隊のパイロットたちは宇宙艦艇から離着艦を行う機会を失って久しく、後藤はヤマトの航海の前に離着艦の訓練を行っておく必要を訴えた。加えて<海援隊>のパイロットの三分の一程の若手はそもそも宇宙空母に乗艦した経験すらなかったのである。イスカンダル航海抜錨直前まで半地下で偽装状態の宇宙戦艦ヤマトからこれを行うことは論外であり、<海援隊>が宇宙空間で離着艦訓練を行う機会は宇宙空母<かつらぎ>の公試しかなかったのである。

宇宙空母<かつらぎ>の公試、<海援隊>の機種転換ならびに離着艦訓練が終わり次第、<海援隊>は<かつらぎ>配属を解かれ、代わりに<かつらぎ>に乗り込み、メ号作戦に参加する手はずとなっていたのは、伊集院雄三・二佐、加藤三郎二尉、篠原弘樹一尉以下第810航空団のコスモファルコン隊だった。実際の冥王星沖海戦の経過を考えると、もし加藤たちが宇宙空母<かつらぎ>でこの戦いに参加したとすると、生還することはなかっただろう。

宇宙空母<かつらぎ>から発艦するコスモファルコン。 公試のために本土防空隊(航空自衛隊)から天城型宇宙空母<かつらぎ>に貸与された第810航空団のコスモファルコン。 

メ号作戦に向けて準備が進められていた宇宙空母<かつらぎ>だったが、10月12日の公試の際に悲劇が起こった。公試が行われた地球衛星軌道はほぼ安全と考えられた絶対防空圏内であり、警戒のための第9宙雷戦隊(司令:殿内三助宙将補、巡2、駆4)と95式空間戦闘機≪コスモタイガーI≫12機も護衛についていた。

公試の最中にガミラスの戦闘攻撃機メランカが突然現れた。単機であり、武装偵察機だったと推測されるが、通常ならば情報を持って急速離脱するところだが、このメランカは勇敢なのか気が動転した未熟者だったのか離脱せずに攻撃態勢に入って接近し、行きがけの駄賃とばかりに6発のミサイルを放った。

ミサイルのうち5発は宙雷戦隊の対宙砲火で撃破され、このメランカもコスモタイガーIに簡単に追いつかれ撃墜された。だが、撃ち漏らしたミサイル1発が<かつらぎ>の右舷後部に命中した。命中箇所はバイタルパートでもなく自力航行も可能であり、幸いにも損傷は大きくない…とこの時は考えられた。

地球衛星軌道で公試を行う宇宙空母カツラギ。絶対防空圏内であり、安全と考えられていた。2198年10月1日撮影。護衛は第一艦隊所属艦が交替で当たり、公試初日のこの日は第9宙雷戦隊(殿内三助宙将補)の宇宙巡洋艦ユウギリ、セトギリ、突撃宇宙駆逐艦アヤナミ、シキナミ、ユキカゼ、タチカゼが務めており、カツラギ喪失時もこの第9宙雷戦隊だった。地球防衛宇宙軍戦史課提供。   対艦ミサイルを発射する戦闘攻撃機DWG229<メランカ>。

もちろん、公試は中止され修理のために帰投することになったが、第9宙雷戦隊の殿内宙将補は損傷した状態で大気圏に突入するのは危険があると判断し、ムーンベースに入港して修理をした後で地球に帰投することにした。当時の<かつらぎ>の位置から地球までは十数分で宇宙船ドックに入港できたのに対して、ムーンベースまでは3時間を要した。これが致命的となった。

<かつらぎ>の損傷個所からプラズマ漏れが発生しており、密閉する応急措置が取られたが、何からのミスか船体の施工の不具合によるものか、プラズマ流が船内に次第に広がり止まらなくなった。家里艦長が事態の深刻を認識するのに遅れ、プラズマの小爆発が次々と船内で生じ始めた。

艦長の家里慶行一佐は天城型宇宙空母<うんりゅう>(2196年戦没)で副長を務めた経歴があり、天城型宇宙空母を熟知していたことから<かつらぎ>艦長を拝命した。彼の<うんりゅう>での経験が逆に突貫工事により不具合が多かった<かつらぎ>の事態を見誤らせたと考えられる。

そして、被弾から95分後に月に向かっていた<かつらぎ>は内部から大規模な爆発を起こした。プラズマは動力部まで浸透し始めており、もはや手の施しようがなくなっていた。家里艦長はやむなく総員退艦を命じ、殿内宙将補は乗組員の収容のために宇宙巡洋艦<せとぎり>を<かつらぎ>に接舷させたが、これも重大なミスであったと後に批判されることになる。

殿内宙将補と家里艦長の判断の遅れによって、総員退艦命令が出た時には<かつらぎ>艦内は地獄絵図と化し、大混乱に陥っていた。プラズマの連鎖爆発によって、乗員の艦外への退避は容易ではなくなっており、宇宙巡洋艦<せとぎり>への移乗には順調には進まず時間を要した。

この時、<かつらぎ>に乗り組んでいた後藤三佐以下の宇宙海軍航空隊<海援隊>および機種転換訓練の指導に当たっていた本土防空隊第810航空団のパイロットたちは最優先で<せとぎり>に移乗させられた。訓練を積んだパイロットはたちは何にも代えがたい軍事的価値があったからだ。

10月12日、公試中に被弾した宇宙空母カツラギは修理のために月に向かったが、破損個所からプラズマ漏れが発生し、艦内でプラズマの連鎖爆発を起こした。そして、被弾から95分後に内部から大規模な爆発を起こす。画像はこの時の記録映像より。地球防衛宇宙軍戦史課提供。 村雨型宇宙巡洋艦<せとぎり>。第二次内惑星戦争からの古参艦で、主に同時期に就役した<あさぎり>(2196年戦没)、<ゆうぎり>と戦隊を組んだ。 
背後に見える僚艦<ゆうぎり>は冥王星沖海戦で最初に撃沈された地球艦となる。


小爆発が頻発する中で、パイロットたちが<せとぎり>に乗り移ろうとした時、加藤三郎が沢村がいないことに気付いた。イスカンダル航海で活躍することになる沢村翔三尉だが、この頃は任官して間もない新米パイロットだった。この日は急な発熱と激しい下痢を起こした大工原剛志三尉に代わり、<かつらぎ>に乗艦していた。大工原は遊星爆弾症候群の発症を疑われたが、単なる胃炎だった。

加藤と篠原なので当然、沢村を見捨てることはせず、危険を顧みずに<かつらぎ>艦内に戻った。艦内爆発はいよいよ激しくなり、ひやりとするシーンを交えながら、沢村を探す、加藤と篠原。すると、ドアをこじ開けようとしている坂本茂を発見。

聞くと「おまえらのルーキーがこの部屋に閉じ込められている」と言う。中から沢村の叫び声が。室内は火が回っているらしい。少し変人だが、実はいい奴だった坂本。

加藤、篠原そして坂本が頑張ってドアをこじ開け、沢村が飛び出す。そしてお約束でその直後に沢村が閉じ込められていた室内が爆発。加藤と篠原が来た通路は既に瓦礫と火炎で塞がれていた。

四人はプラズマ爆発に追われるように航空機格納庫へ。ほとんどのコスモファルコンは炎上破壊されていたが、奇跡的に二機が無事だった。

「このまま宇宙服で艦外に出ても爆発に巻き込まれる。これで脱出しよう。できるだけ船から離れるんだ」と坂本が提案し、加藤と篠原も同意する。

一機目に加藤が乗り込み、単座機なので沢村をだっこする、そして、坂本と篠原が管制室でエレベーターを操作し、機体を飛行甲板に上げる。

見ると飛行甲板のあちこちからプラズマ火炎が噴き出している。

「で…出られるんですか!」怯える沢村。
「任せろ」といつもの強気な加藤。加藤の神業テクで、なんとか発艦。

次は坂本と篠原。この間に艦内はさらにヤバくなっている。宇宙空母<かつらぎ>は断末魔の悲鳴を上げ、あちこちで大規模爆発が。

二機目のファルコンは篠原をだっこして坂本が操縦する態勢。

飛行甲板に上がると、加藤の時よりヤバい状態で、正面は完全に炎に包まれている。ビビって、思わず坂本に抱きつく篠原。

篠原がふと気づく「おい!あの船(<せとぎり>)、まだ接舷してるぞ!!」
「いまは俺たちが生き残ることだ!行くぞ!!」坂本が叫び、ファルコンが発進。

ファルコンは前面の火炎と爆発をかいくぐって突進し、これもお約束だが、ファルコンが通った後から連鎖爆発が起きる。

「うげー!」篠原が悲鳴を上げる中、坂本のハリウッド映画ばりのテクニックでファルコンは<かつらぎ>を発艦した。その直後に、これまたお約束だが<かつらぎ>が大爆発を起こす。そして接舷していた宇宙巡洋艦<せとぎり>も巻き込まれて爆発した。

爆沈する宇宙空母<かつらぎ>と宇宙巡洋艦<せとぎり>。加藤三郎、篠原弘樹、沢村翔そして坂本茂はコスモファルコンで辛うじて脱出した。映画『加藤ファルコン戦闘隊』(2207年、加藤三郎役:浜田光夫、原田真琴役:吉永小百合)より。


メ号作戦に間に合わせるために苦労して竣工にこぎつけた宇宙空母は無為に失われ、貴重な宇宙巡洋艦まで巻き添えになってしまった。<かつらぎ>艦長だった家里一佐は大爆発した艦と運命を共にしたが、第9宙雷戦隊司令の殿内宙将補は過失を問われて軍法会議にかけられ、予備役編入処分を受けることになる。

宇宙巡洋艦<せとぎり>に避難していた後藤崇高三佐、乾雅也一尉以下、ヤマト乗艦が予定されていた<海援隊>のパイロットたちは坂本茂二尉を残して全滅した。宇宙海軍航空隊(航宙自衛隊)の最後の精鋭が失われたために、宇宙戦艦ヤマトの航空隊は航空自衛隊系の第81航空団を基幹に編成されることになった。また、伊集院雄三・二佐以下四名の加藤三郎の上官にあたる第81航空団の士官が<せとぎり>で命を落としており、まだ若い二尉に過ぎない加藤三郎がヤマト航空隊長を拝命することとなった。

一方、加藤、篠原達とは所属の異なる航宙自衛隊系の坂本茂二尉はヤマト計画から外されて地球に残ることになった。坂本茂はヤマトの地球帰還後に加藤に代わり、第二代ヤマト航空隊長となり、コスモゼロを装備し、宇宙海軍航空隊パイロットからなる<海援隊>を編成した。ちなみに隊歌は『贈る言葉』である。

<かつらぎ>の他に空母はなく、輸送艦に空間戦闘機を積んで仮装軽空母とすることも検討されたが、冥王星までの遠距離の航海を行うメ号作戦では、足の遅い輸送艦を同行させれば艦隊全体の巡航速度が大幅に低下し、冥王星到達までより日数を要することになり、作戦の根底を揺るがすことになるので論外であった。

こうして、メ号作戦の国連宇宙海軍は空間戦闘機を欠いた状態で戦わざる得なくなったのである。もしも、宇宙空母<かつらぎ>が冥王星沖海戦に参加していれば、空間戦闘機隊によるより効果的な戦いが可能になっていただろう。宇宙空母<かつらぎ>がいれば、第一艦隊の半数が作戦終了後に戦線を離脱し、生還できたとする戦後の兵棋シミュレーションの結果もある。




 
現代の地球防衛軍艦隊2015年1月11日、最終更新日2015年1月20日)
スーパーアンドロメダ級宇宙戦艦の<さつま>(中央)。
武装: 連装反陽子砲×1基
3連装主砲(前部×2基、後部×1基)
8連装対空ミサイルポッド×1基
2連装副砲×2基
格納式対空連装パルスレーザー機銃×24基
艦載機: SF/A-15N<紫雲>×12機
※コスモパルサーのスーパーアンドロメダ級専用艦載機で、パルスレーザー砲6門追加装備だそうです。

コメント:復活篇のフィギュアを入手しました。なんでも公開当時にイオン限定品で発売されていたものとか。実はこんなものが存在すること自体ちーとも知らず、復活篇関連はバカ高いガレージキットしかないと思っていました。というわけで、妄想を膨らませてみました。

2255年現在、地球連邦はガルマン=ガミラス二重銀河帝国に次ぐ宇宙第二位のコスモ経済大国であり、去る2250年に地球は中規模星間国家のバード星人、フリード星人、メイツ星人とともに宇宙民族の自由と民主主義を理念とする自由惑星連邦United Federation of Free Planets)を設立している。

バード星は高い科学力を持つ「平和と知性の惑星」として知られ、いわゆる軍隊は保有せず代わりに強力な宇宙警察がある。

フリード星は一時期ベガ星連合軍に占領され、地球に亡命してきたデューク・フリード王子を地球防衛軍が支援をしてフリード星が解放されたという関わりがあった。帰還したデューク・フリードはともに地球に亡命していた妹のグレース・マリア・フリードを女王に立て、自らは王子の身分のまま執政兼元帥として政治と軍事の実権を掌握し、これによりフリード星は地球の無二の友好国となった。デューク・フリード元帥の指揮する量産型グレンダイザー軍団は地球の頼もしい味方である。

メイツ星人は高度な文明の平和的な宇宙民族だが、地球を訪れた惑星調査員がささいな行き違いから市民に殺害される事件があり、地球人に不信感を持たれしばらく疎遠になっていた。地球と国交を持つことになったが、交渉の特使がかつて殺害された惑星調査員の子息で、独断で交渉を決裂させ開戦寸前になったという事件もあった。その後は地球との友好関係が構築され、地球が主宰する自由惑星連邦に加盟した。内心では地球人が野蛮で好戦的との警戒心は拭えないが、コスモ経済大国となった地球に屈したという解釈もある。

4国を中心とした自由惑星連邦の規模は8000光年にわたり、約150の主要4国の植民星および中小宇宙民族の諸惑星が加盟している。前世紀には太陽系から出ることも叶わない遅れた小国だった地球は今や大宇宙の一等国にのし上がったのである。

この自由惑星連邦の守護者が統合宇宙艦隊United Cosmo Fleet)であり、その中核はむろん我らが地球防衛軍艦隊である。統合宇宙艦隊は七つの大艦隊The Seven Armada)を基幹とする5000隻の戦闘艦艇を保有しており、これはガルマン=ガミラス二重銀河帝国、ボラー連邦に次ぐ宇宙第三位の艦隊戦力である(SUS、ベルデル、フリーデ、エトス、アマールその他からなる大ウルップ星間国家連合を一つの国家とすると第四位)。

統合宇宙艦隊の戦略単位である大艦隊はガルマン=ガミラスの基幹艦隊(または航宙軍団)に相当するもので、2から4個の複数の艦隊(ガルマン=ガミラスの航宙師団ないし旅団に相当)から構成され、艦艇数は1000隻から200隻程度である。地球防衛軍が4個大艦隊、バード宇宙刑事警察機構1個大艦隊、フリード王立宇宙海軍1個大艦隊、メイツ防衛隊1個大艦隊となっている。規模はまちまちで地球の各大艦隊は1000隻程度だが、最も規模が小さいメイツのそれは200隻に満たない。

画像は現代の地球防衛軍艦隊の最新鋭戦闘艦艇である。スーパーアンドロメダ級宇宙戦艦は白色彗星戦役時のアンドロメダ級宇宙戦艦の流れをくむ連装拡散反陽子砲を装備した艦隊旗艦級の大型宇宙戦艦である。

ドレッドノート級主力戦艦は白色彗星戦役時の長門型主力戦艦の流れをくむ設計で、量産性が非常に高く以前の巡洋艦の役割も果たしており、統合宇宙艦隊の数的主力となっている。

艦隊機動戦力の主役となるのがブルーノア級宇宙戦闘空母(バトルスター)である。大型戦艦並の武装を擁し、艦載機コスモパルサーを150機搭載している。

これら主要艦艇には地球防衛軍が誇る艦隊決戦兵器反陽子砲および拡散反陽子砲が搭載されている。実は地球防衛軍は既に疑似波動コア(ダミー・プラグ:オリジナル波動コアのものに模倣させた波動パルスを発生させて、波動エンジンを「騙して」起動させる機関)を完成させており、有事には主要艦艇にこの疑似波動コアを接続させ、戦術兵器の反陽子砲は戦略兵器の波動砲になるとの主張が根強い。むろん、これは包括的波動兵器禁止条約への明確な違背であり、地球防衛軍は疑似波動コアの存在の噂を陰謀論であると否定している。

波動エネルギーを転用した兵器の保有・実験・研究を禁じた包括的波動兵器禁止条約はガルマン=ガミラス二重銀河帝国の初代総統アベルト・デスラーの強い意志により、第二次銀河大戦終結時にボラー連邦やSUSを含む天の川銀河ならびに大小マゼラン銀河各国で結ばれたコスモ国際条約である。

波動エネルギーの兵器転用禁止の主旨は単にその破壊力の絶大さによるものではない。惑星を破壊する威力だけならば、ガルマン=ガミラスやボラー連邦の惑星破壊プロトンミサイル、地球防衛軍も超兵器Rシリーズを保有しており、現代の戦略型次元潜航艦が搭載する超兵器R15号は融合爆弾8000個(超兵器R1号の威力)の15乗の威力があり恒星を一撃で粉砕できる。

波動兵器の危険性はこれらとはまったく次元が異なる問題で、波動兵器の使用によってユークリッド二次元ブラックホールの破たんが起こり、超弦真空が発散する可能性があり、そうなれば宇宙が引き裂かれる事態が起こりうることであった。

波動砲の使用による超時空異変は現実のものとなっており、古代イスカンダル人によって暗黒次元に封印されたはずの機械化人間ウラリアの突如の出現は白色彗星戦役で地球防衛軍艦隊のアンドロメダそしてヤマトが波動砲を理論上の最大出力で使用したためと考えられる。これは、ガミラス本星ならびにイスカンダルの崩壊という最悪の事態をもたらした。

超時空異変がより明確な形で現出したのが、第二次銀河大戦であった。この戦争ではデスラー砲艦が量産されだけでなく、アベルト・デスラーは究極波動兵器のハイパー・デスラー砲までも開発してしまった。一方で、ボラー連邦もまた波動エネルギーを兵器転用したブラックホール砲を開発していた。アベルト・デスラーは亡きスターシャ・イスカンダルの遺志は承知してはいたものの、ボラー連邦を倒して宇宙に秩序と安定をもたらしたうえでデスラー砲を含む波動兵器を封印するというなお甘い認識だった。彼はボラー軍との決戦で、デスラー砲艦を大量使用し、ハイパー・デスラー砲をもってボラー軍の機動要塞ゼスパーゼを殲滅したものの、デスラー砲とブラックホール砲の応酬が行われた結果、大規模な超時空変動が起こり、次元断層から赤色銀河が出現し、天の川銀河全域に甚大な被害をもたらすことになった。そして、この銀河規模の大災厄は間接的にだが地球が危機に陥るディンギル戦役の原因ともなった。

赤色銀河は比較的短期間で異次元空間に消えたが、ガルマン=ガミラスとボラーが受けた甚大な被害により、第二次銀河大戦は自然休戦になり、ことの重大さに戦慄したアベルト・デスラーはようやくスターシャ・イスカンダルの真意を理解してひどく後悔したという。この後、彼はボラー連邦の壊滅的被害に乗じることなく和平に動き、この際にアベルト・デスラーの強い意志により包括的波動兵器禁止条約が取り決められた。ガルマン=ガミラスのすべてのデスラー砲は破棄され、その技術は厳重に封印されたのである。そして、地球防衛軍の宇宙戦艦アンドロメダは白色彗星戦役で既に散華しており、宇宙戦艦ヤマトもディンギル戦役で回遊惑星アーケリアスから地球を守るために自沈したことで、次元波動爆縮放射器(波動砲)が発射可能なイスカンダル純正のオリジナル波動コアはこの宇宙からすべて失われた…筈である。

このような経緯の条約故に、もしも地球連邦がこれに違背すれば、外交と軍事戦略の根幹である宇宙の超大国ガルマン=ガミラス二重銀河帝国との同盟関係を揺るがすことにもなりかねない。

惑星破壊ならば前述のプロトンミサイルや超兵器Rシリーズの威力で十分であり、艦隊戦用の決戦兵器ならばガルマン=ガミラス軍の火焔直撃砲と高圧直撃砲、ボラー軍のボラー砲、SUSのハイパーニュートロンビーム砲そして地球防衛軍の反陽子砲で事足り、波動砲はいずれの用途でもオーバーキルに過ぎ、他で用途を代替できる上に制御不能の超時空異変を引き起こす危険がある以上は波動エネルギーは兵器としては無用の長物であるとするのが現代の軍事研究者たちの主流の見解である。

この一方で、波動兵器が引き起こす超時空異変をもしも制御できるならば、究極の戦略兵器をつくることができると主張する研究者たちもいる。現在の兵器はどんなに強力なものでも星系外にまで直接影響を及ぼすことはできない。ところが、時空と次元に直接結びついた波動兵器ならば、空間距離の壁は取り払われ、光年単位いや百光年、千光年単位の規模の宇宙空間を引き裂くことも理論上は可能になる。例えばひとつの銀河系をまるごとこの宇宙から消し去ることすら可能なのだ。

照準した千光年単位の宙域自体を引き裂いて“無”に帰させる最終戦略兵器がディスラプターである。一部の在野の軍事研究者たちはこの最終兵器が宇宙の列強国で極秘裏に研究開発されていると信じている。ボラー連邦やSUSはもちろん、ガルマン=ガミラスの後継総統たちですら、初代総統アベルト・デスラーの意思を正直に引き継いでいるとは限らない。

地球防衛軍がオリジナル波動コアの模造(コピープラグ)や疑似波動コア(ダミープラグ)の開発に固執する真意は、波動砲などではなく究極の抑止力となりうる戦略波動兵器の実現のためであり、オリジナル波動コアの存在により、波動エネルギー研究で他国より先んじる地球防衛軍は時空を引き裂く戦略波動兵器ディメンション・タイド(「次元の潮流」)を既に完成させたと噂される。もちろん地球防衛軍はこのような噂を荒唐無稽な陰謀論であると否定している。

あるM76星雲人はガルマン=ガミラス、ボラー、SUSそして地球といった天の川銀河列強国によるこのような狂気の兵器開発競争を「血を吐きながら続ける悲しいマラソン」と評したという。


ディメンション・タイド

ディメンション・タイド(「次元の潮流」)の構想はガミラス戦役時の対G兵器Anti Godzilla Gamilas Weapons)に遡る。この当時計画されたディメンション・タイドはプラズマ・エネルギーの原理を応用したもので、超マイクロ加速器で人工ブラックホールを生成させて照準した宇宙空間を歪曲して引き裂く戦略兵器だった。当時の国連軍はこのディメンション・タイドを使って冥王星前線基地ごとのガミラス軍の完全消滅をはかっていた(G消滅作戦)。

言うまでもないが、当時の地球にはこのような兵器を実現する科学力はなく、日本軍の怪力線やナチスドイツの風砲・竜巻砲に類する空想兵器の類である。ガミラス戦役時に研究されたこのディメンション・タイドも、ヨクトメートル(10の−24乗 メートル)の空間を吸収・消滅できただけだった。結局、戦況のひっ迫により、実用化の見込みなしとして整理の対象となり研究予算は打ち切られている。

実はこのディメンション・タイドは第二次銀河大戦時にボラー連邦が開発したブラックホール砲と同じ原理のものであり、地球人の先見性を示す一例とされる。

ユリーシャ・イスカンダルが地球に来訪し、波動エンジンの技術が伝えられると、かつて≪G消滅作戦≫研究開発チーム主任だった吉沢佳乃博士は、理論上小宇宙に匹敵するという膨大なエネルギーの波動エンジンを搭載する宇宙戦艦ヤマトにディメンション・タイドを装備させることを提案している。

吉沢博士が提案したヤマトの決戦兵器としてのディメンション・タイドはエネルギーを放射するのではなく、照準した空間自体を直接歪曲して引き裂き、周囲の物体を吸収・消滅させるものである。ヤマトが異次元断層から脱出した直後にゲール艦隊を葬った空間の裂け目の揺れ戻しによる時空震の現象に近いもので、ディメンション・タイドはこれを人工的につくりだすことを狙っていた。この戦いでゲール艦隊が旗艦を除いて全滅したように、効果範囲は波動砲と比べて非常に広い。

周知のようにヤマトの決戦兵器には真田志郎が設計した次元波動爆縮放射機(波動砲)が搭載され、吉沢博士のディメンション・タイドは提案のみで終わっている。

宇宙戦艦ヤマトの帰還後、波動エンジン及び波動砲の運用データそして次元断層脱出の際に起こった時空震現象のデータを得た吉沢博士は多次元と直接結びついた波動エネルギーは通常空間における距離は問題にならない点に着目し、パーセク単位の射程と効果範囲で宇宙空間を引き裂き吸収消滅させるストラテジック・ディメンション・タイドについての研究論文を発表した。ただし、このストラテジック・ディメンション・タイドはあくまでも可能性であり、これを実現するにはヤマトのオリジナル波動コアと同じものが10の14乗個必要になる。この当時の地球の持つオリジナル波動コアはヤマトのものただ一つである(ビーメラで回収されたいわゆるブルーコアを含めても二つ)。

吉沢博士のストラテジック・ディメンション・タイドはあくまでも理論だけのとうてい実現不可能な兵器と考えられた。ところが、秋葉原のジャンク屋の工藤元が自らのブログでストラテジック・ディメンション・タイドをより現実的な規模にコンパクト化できるとその理論を発表したという。

彼のブログは多少話題になったが、しょせんは市井のエンジニアの言うことであり、瑕疵を指摘する突っ込みのコメントで溢れかえり、そのうち工藤は記事を削除してこのブログを閉鎖してしまった。彼がブログで発表したディメンション・タイド・コンパクト化の論文は現在ではインターネット・アーカイブも魚拓すらも残されていらず、某匿名掲示板の波動エネルギー板(典型的な過疎板)の過去ログスレッドに論文の断片が僅かに残されているだけである。

この後、吉沢博士は民間企業にヘッドハンティングされ、これ以降、公になった彼女の研究業績は存在しない。工藤元の秋葉原の店はいつの間にか無くなり、その後の消息は不明である。

陰謀論者たちは吉沢博士と工藤元は地球防衛軍の積極的抑止力防衛政策(フレンドシップ計画)の極秘プロジェクトに参加し、第三のオリジナル波動コア(ブラック・コア)を持つ波動実験艦<ばんだい>でストラテジック・ディメンション・タイドの研究開発に取り組んでいたと信じている。



ドレッドノート級主力戦艦の<はつゆき><しらゆき><あさぎり>。 
武装:  拡散反陽子砲×1門
3連装主砲(前部×2基、後部×1基)
格納式対空連装パルスレーザー機銃多数
 

ブルーノア級宇宙戦闘空母(バトルスター)の一番艦ブルーノア。 
全長: 563m
※復活篇の設定は450mですが2199基準で1.25倍にしました。
武装: 収束型反陽子砲×1門
ホーミング反陽子砲×2門
3連装主砲(艦前部×6基、艦後部×2基)
3連装副砲(前部×2基、後部×2基)
連装副砲×4基
大型ミサイル発射管多数
格納式対空連装パルスレーザー機銃多数
艦載機: SF/A-15 コスモパルサー×150機
同型艦:  ブルーアース、アトランティア、パシフィッカ、ギャラクティカ、ペガサス、ソラリア、ジュピトリス、たいほう、アーク・ロイヤル、ジャンヌ・ダルク、ヴィクラマーディティヤ、ウラジミール・プーチン

長らく地球防衛軍の主力空間戦闘機を務めたSF/A-4 コスモタイガーII(旧称・四式空間戦闘攻撃機<宙虎弐>)に代わる、最新鋭空間戦闘攻撃機SF/A-15 コスモパルサー。
今気づいたが、この名称はあの「宇宙パルサー」に通じるじゃないの。コスモパルサーが飛行する姿を見上げてガルマン=ガミラスの女性情報員が「タイガーではなく、パルサーだ。コスモパルサーはすでに実戦配備についている」と脈絡なくつぶやくのかもしれん。詳しくはここを参照。


 
九九式二型空間戦闘攻撃機<宙隼>(コスモファルコン)2014年12月28日、最終更新日2014年12月30日)
極東航空方面隊百里基地所属第7航空団第302飛行隊の九九式二型空間戦闘攻撃機<宙隼>。
九九式二型空間戦闘攻撃機は宇宙戦艦ヤマトの帰還後に開発された型式である。ヤマト航空隊での運用で判明した各種欠陥を改善し、機体構造を強化するとともに、主翼の形状を宇宙海軍の零式52型空間艦上戦闘機<コスモゼロ>と同じ、内翼と下反角のついた外翼にしている。この主翼の形状は後の主力戦闘機となる四式空間戦闘攻撃機<宙虎弐>(コスモタイガーII)にも引き継がれた。その他の主な変更として、機首下のアンテナは1本に改められ、コスモゼロと同じく高機動ユニットを装備可能になった。また、照準器が新式に更新され、防弾が強化された。

2200年9月より生産が開始され、極東管区(地球防衛軍極東航空方面隊)、東南アジア管区(東南亜航空方面隊)、南アジア管区(南亜航空方面隊)、オセアニア管区(大洋州航空方面隊)およびアフリカ管区の一部の国に導入された。コスモファルコン各型では最も生産数が多い。

地球防衛軍極東航空方面隊(旧航空自衛隊)ではコスモファルコンは一型、二型合せて230機が調達され、第201飛行隊(千歳)、第203飛行隊(千歳)、第202飛行隊(新田原)、第204飛行隊(新田原)、第205飛行隊(小松)、第302飛行隊(百里)、第305飛行隊(百里)、第207飛行隊(那覇)、飛行開発実験団に配備された。

コスモファルコンは傑作機として長く地球防衛軍の主力戦闘機を務めることになる四式空間戦闘攻撃機<宙虎弐>(コスモタイガーII)が就役すると主力機の座を明け渡して製造は終了したが、運用は続けられ、白色彗星戦役では各惑星基地防空隊のコスモファルコンが太陽系に侵攻したガトランティスのデスバテーターやイーターIIを迎え撃っている。都市帝国攻略戦では千歳基地の第203飛行隊、百里基地の第302飛行隊それに新田原基地の第204飛行隊のコスモファルコンが防衛軍司令部の指示を待たずに出撃してその他の地球各基地の空間戦闘機隊とともに宇宙戦艦ヤマトの援護にあたったことは意外と知られていない。映画やドラマではたいてい、ヤマト航空隊のみで戦ったかの如く描写される。

2226年の極東航空方面隊那覇基地第207飛行隊の解隊をもってコスモファルコンは太陽系では全機退役したが、二線級の機材として運用は続けられ一部の植民星警備隊では初飛行から半世紀を経た今も現役である。

第7航空団第302飛行隊の九九式二型空間戦闘攻撃機と第305飛行隊の九九式一型。両型式の違いが分かる。
コメント:機首下のアンテナを一本にし、主翼をメカコレのコスモタイガーIIのものに代えました。コスモファルコンからコスモタイガーIIへの過渡的機体と脳内位置づけしています。

極東航空方面隊第2航空団第201飛行隊(千歳)の九九式二型空間戦闘攻撃機。
四式空間戦闘攻撃機<宙虎弐>(コスモタイガーII)との異機種編隊飛行。 


 


スペースバーバリアンその4―男たちの祭り― (2014年12月2日、最終更新日2014年12月26日)

ドメル着任時の小マゼランの情勢(2199年3月初旬)。外縁部のルビー戦線、サファイア戦線、ダイヤ戦線がガトランティスに制圧され、フェレンゲルシュターデン提督と主力艦隊を失った小マゼラン方面軍がオメガ戦線を守り、ドメル率いる第6空間機甲師団の増援部隊がアルファ戦線に到着したところ。
地球の暦での2199年3月初旬に<宇宙の狼>の異名を取るエルク・ドメル中将は小マゼラン方面軍防衛司令官に着任し、天の川銀河での数々の戦いで武功を挙げてきた帝国きっての精鋭第6空間機甲師団も小マゼラン戦線に派遣された。

小マゼラン銀河への蛮族ガトランティスの侵入、そしてイシマタラ星域海戦でのフェレンゲルシュターデン提督の大敗と戦死により、大ガミラスに併呑されていた小マゼランでは動揺が起きており、帝国の支配に不満を持つザルツのレジスタンスが再び蠢動を始め、オルタリアでは暴動が起きていた。蛮族の跳梁跋扈をこれ以上許せば帝国による小マゼラン支配が揺るぎかねない。

ドメルに課せられた使命はできるだけ早急に蛮族ガトランティスを討伐して小マゼランから追い払うことである。だが、ドメルはこれを実行するに際してある重要な問題を解けずにいた。

そもそも、ガトランティスはなぜ遠いアンドロメダ銀河から小マゼラン銀河まで遠征してきたのか?

大本営は今回のガトランティスの大規模な侵攻は単なる略奪と海賊行為だけではなく、小マゼランの占領と併合を狙っていると考えているようだ。だが、先の戦闘でフェレンゲルシュターデン提督の小マゼラン方面艦隊を打ち破ったとはいえ、ガトランティスの艦隊は千隻にも満たない。この程度の戦力では小マゼランを一時的に占領できたとしても、万隻単位の艦隊を有する大ガミラスを相手では最終的に占領宙域を維持はできない。

万隻単位の大規模な主力艦隊が後続に控えている前衛艦隊または将来の本格侵攻のための威力偵察の艦隊とも考えられる。だが、前者ならば数が少なすぎる。前衛艦隊ならば、正面から戦って小マゼラン方面艦隊を圧倒できる艦隊が必要だが、結果的に勝利したとは言え実際のガトランティス艦隊の数は小マゼラン方面艦隊の半数以下だった。しかも彼らがイシマタラ星域海戦で勝できたのはフェレンゲルシュターデン提督の無能に拠るところが大きい。やはり、本格侵攻の前衛艦隊としては規模が小さすぎ、戦理の常道に反する。

ならば後者の威力偵察の艦隊で、将来の本格侵攻に備えてガミラスの力量を推し量るための侵入だろうか?ハイデルン大佐をはじめとした幕僚団は今回の侵入はこの威力偵察と考えたが 、ドメルはまだ納得できなかった。それならば、今度は規模が大き過ぎわざわざガミラスの警戒を呼び起こしてしまう。現にそうなりつつあるが、将来のガトランティスの本格侵攻の時にはガミラス軍は大小マゼランに十分な警戒と防御態勢を敷いていることになるだろう。

戦いに勝つには相手の作戦目標を知ることは絶対肝要である。だが、この時のドメルはいまひとつそれが読み切れなかった。通常の侵略や略奪でも、威力偵察でもなくガトランティスには何か別の目的があるのではないか…ガトランティスの行動をみると宙域の占領が目的ではなく、ある程度の期間、ガミラス軍の存在をこれらの宙域から排除したいような動きが読み取れる。だが、何のために?

この問題はドメルが小マゼランに赴任して程なくして判明した。カリス・クライツェ少佐(第6空間機甲師団第3宙雷戦隊長)の強行偵察隊がダイヤ宙域で不審な空間航跡を探知し、これを追跡してゲシュタム・アウトした無名の自由浮遊惑星でガトランティスの小艦隊を捕捉した。この惑星で何やら調査をしていたガトランティス艦隊はガミラス艦隊の接近に気付かず、クライツェ少佐はこれに急襲をかけて殲滅した。そして、クライツェ少佐は情報入手のために指揮艦と思しきラスコー級巡洋艦は大破に留めて撃沈はせず、突入班を乗り込ませてこれを拿捕させた。

ガトランティスの指揮官は激しく抵抗して戦死し、生きて捕えたガトランティス兵も自分たちの目的について頑なに話そうとはしなかった。だが、この艦内で意外な人物が発見された。ガミラス人の老人だった。数年前に蛮族に捕えられ科学奴隷にされていたという、このガミラス人の老人はガトランティス艦隊の目的を自分から滔々と話し始めた。

「<静謐の星>!?・・・なんじゃいそらぁ?」

クライツェ少佐から報告を受けたドメルはやや驚いた風に問い返した。

続きを読む

スペースバーバリアンその3―グリーゼ581の戦い―2014年11月30日、最終更新日2014年12月1日)

 宇宙戦艦ヤマトが地球を発進してから22日目の西暦2199年3月6日、ガミラスの帝都バレラスではガミラス建国千年(デスラー紀元103年)の記念式典が盛大に催されていた。この日、大ガミラス帝星総統アベルト・デスラーは総統府に高官たちを集めた祝賀の席で、ある余興を催した。

臣下を代表してヒス副総統よりデスラーの偉業を称える挨拶があり、この席でガル・ディッツ航宙艦隊総司令官ならびにガデル・タラン大本営参謀次長より小マゼラン外縁部に侵入した<蛮族>ガトランティス討伐のために<宇宙の狼>エルク・ドメル中将と第6空間機甲師団を投入することが正式に報告された。

続いて、ミーゼラ・セレステラ宣伝情報相の案内で「臣下をねぎらう余興」として帝国最前線の映像が大画面に映し出された。これはデスラー総統自身が立案したテロンの新型戦艦殲滅の作戦であった。

シリウス星系を航行する宇宙戦艦ヤマト。100式空間偵察機より撮影。2199年3月5日。背景に見えるのは主星のシリウスAと伴星のシリウスB。

この日、宇宙戦艦ヤマトは太陽系から8.6光年のシリウス星系にあった。2月22日に太陽系を脱出してから12日を経て未だにこの太陽系近傍星系に留まっていた理由は、なにぶんにもヤマトが地球初の恒星間航行船であり、イスカンダル式波動エンジンの性能はともかく、恒星間空間座標の特定法や恒星や惑星の重力の影響といった恒星間ワープを行う際の諸データが不十分だったためで、数百光年の長距離ワープは危険と云うよりも不可能だったからである。この時点のヤマトは慎重に短距離のワープを行いながら、ワープ航法に関するデータを収集解析していたのである。この後、ヤマトは段階的にワープ距離を向上させ、イスカンダル航海では最終的に1回のワープで600光年程度の跳躍が可能になった。

シリウス星系出立を前に沖田十三艦長の指示により、ヤマトのVSL望遠鏡に撮影された地球の姿が映し出された。これはガミラス戦役が始まる前の8年前の地球の姿であり、ヤマトの乗組員たちは取り戻すべき地球の姿を目に焼き付けたという。ヤマトは12光年先のグリーゼ581星系へとワープした。

このヤマトを追跡する一隻のガミラス艦があった。ヴォルケ・シュルツ大佐のガイデロール級航宙戦艦シュバリエルである。2月16日のメ2号作戦によって冥王星前線基地と艦隊を失い、ただ一隻残ったシュバリエルだが、本国政府は敗残のシュルツと部下のザルツ兵に帰還を許さず「勝利かしからずんば死」と突き放した。

並の指揮官ならば、部下のほとんどを失い、かつ「戦って死ね」と命ぜられれば、敵わぬまでも即座にヤマトに特攻をかけるところだが、シュルツはそうせず半月以上に渡ってひたすらヤマトを追尾し続けた。これを確実な奇襲をかける好機を得られるまで猪突を戒めるシュルツの忍耐力と見るべきか、単に命惜しさの優柔不断によるものだったのかは評価が分かれるところである。

このシュバリエルに一隻の補給艦がランデブーを要求してきた。見捨てられた訳ではないと歓喜したシュルツたちが受領したものはただ一発の空間魚雷だった。「デスラー魚雷」の名称以外はこの魚雷の性能は何も伝えられず、シュルツたちにはただグリーゼ581星系でこれをヤマトに向けて発射すればよいとだけ命ぜられた。

続きを読む
スペースバーバリアンその22014年11月23日、最終更新日2014年11月24日)
フェレンゲルシュターデン提督率いるガミラス艦隊は小マゼラン星雲外縁部のイシマタラ星域海戦でガトランティス艦隊に大敗を喫した。画像は撃沈されるフェレンゲルシュターデン提督の旗艦だったガイデロール級航宙戦艦ゴルゴム。

統一ガトランティスの大帝はアンドロメダ銀河で宿敵グラスダーとの戦争を進める一方で、周辺銀河に遠征隊を派遣していた。その目的は支配領域の拡大と軍資金獲得のための略奪である。

宇宙戦艦ヤマトが地球を出発した頃、ガミラス統治下の小マゼラン銀河外縁部にガトランティスの遠征艦隊が侵入して来ていた。<蛮族>ガトランティスの侵入自体は初めてではなかったが、今回の侵入は単なる海賊行為ではなく、組織だった艦隊による大規模なものだった。小マゼラン外縁部のルビー宙域、サファイア宙域、ダイヤ宙域に駐留するザルツ人をはじめとした小マゼラン宇宙民族の二等臣民の守備艦隊はガトランティス艦隊に一蹴されてしまう。

当然事態を放置はできず小マゼラン方面軍防衛司令官のフェレンゲルシュターデン提督は蛮族討伐に出撃した。ガトランティスの艦隊は900隻程度であるのに対して、フェレンゲルシュターデン提督の小マゼラン方面軍が差し向けた艦隊はその倍に近い1600隻であり、状況によっては大マゼラン本国からさらに増援を呼び寄せることも可能だった。

フェレンゲルシュターデン提督は総統からとある空間現象の仮説の実証を直命され、これを見事に研究証明してデスラー勲章を授与された経歴がある高名な宇宙軍事戦略の理論家であった。その一方で前線の将校からは「理屈倒れ」と陰口を叩かれていた。オメガ宙域に主力艦隊を進出させたフェレンゲルシュターデンは偵察によって蛮族の戦力の情報を得た上で、主力艦隊を巡洋戦艦と高速巡洋艦を主体とした巡洋艦隊、戦艦と重巡を主体にした打撃艦隊、そして雑多な艦艇からなる予備艦隊の三つに分けた。フェレンゲルシュターデンは快速の巡洋艦隊をルビー戦線に、彼が直率する打撃艦隊をサファイア戦線に差し向け、そして予備艦隊には小マゼラン中核宙域につながるオメガ戦線を守らせ、ここには宇宙機雷も大規模に敷設させて万全の態勢を取ったつもりだった。だが、これは単なる戦力の分散だった。下手に巧緻に走ろうとしたフェレンゲルシュターデンは数的優位を自ら放棄してしまったのである。 

ガミラス軍の動きを読み取ったガトランティスはルビー戦線を放棄して艦隊をサファイア戦線にスウィングさせた。これによりガミラスの巡洋艦隊はまったくの遊兵と化した。加えてダイヤ戦線の艦隊も最小限の艦艇を残してサファイア戦線に移動させた。ガトランティス艦隊の大部分がサファイア戦線に集結した。ガトランティス艦隊が800隻になったのに対して、この戦線のガミラス艦隊は400隻程に過ぎない。フェレンゲルシュターデンは2倍の敵と対せねばならなくなった。

フェレンゲルシュターデンが失策に気づいた時には手遅れで、イシマタラ星域で優勢なガトランティス艦隊に包囲されてしまう。ガミラス空母群から発進した艦載機隊の奮戦により、ガトランティスの先鋒艦隊に打撃を与えるがここまでであり、ナスカ級打撃型航宙母艦から発進した甲殻攻撃機デスバテーターの大編隊がガミラス艦隊に襲い掛かり、これを叩きのめした。残余のガミラス艦隊の反撃は弱々しく力なく、殺到するガトランティス艦隊の集中砲火により、フェレンゲルシュターデンの旗艦ゴルゴムは撃沈され、イシマタラ星域海戦はガミラス軍の惨敗に終わった。

小マゼラン方面軍防衛司令官が戦死する大敗の報に大ガミラス本国政府は震撼した。これ以上、蛮族ガトランティスの跳梁を許せば大ガミラスの裏庭である小マゼランの支配の屋台骨を揺るがすことにもなりかねない。国防軍最高司令部は早急に蛮族を討伐すべく、<宇宙の狼>エルク・ドメル中将の起用と、彼の率いる国防軍きって精鋭である第6空間機甲師団の小マゼラン投入を決めた。

全て読む

 
特殊警備艦きりしま2014年11月22日

2199年1月17日の冥王星沖海戦で唯一残存して2月8日に地球に帰還した金剛型宇宙戦艦<きりしま>は2月12日のヤマト発進の際に土方竜宙将の指揮のもと惑星間弾道弾(超大型ミサイル)を迎撃すべく出動し、そのままヤマトのイスカンダル航海出立を見送った。

地球に残された稼働戦闘艦艇は文字通りに<きりしま>だけとなった。その<きりしま>も冥王星沖海戦での損傷は大きく、修理の資材もエネルギーも事欠くのが当時の地球の実情だった。2月16日のメ2号作戦でガミラス冥王星前線基地は壊滅し、地球に対する直接的脅威はひとまず去った。国連宇宙海軍は雑役船として使用していた第二次内惑星戦争時の宙雷艇21隻を再武装の上で現役復帰させて太陽系哨戒任務に用いるとともに、唯一の虎の子戦艦となった<きりしま>の修理も行った。いずれにせよ宇宙艦隊戦力は無きに等しく、ヤマト不在中の地球圏の防衛は空間戦闘機の防空隊と戦闘衛星そして地上部隊が中心となることが決められ、宇宙艦隊の再建は事実上放棄された。

エネルギー事情のひっ迫から<きりしま>の整備もままならず出港は制限され、結局5月22日の哨戒が最後となった。この時、<きりしま>のエンジンに不調が発生し、修理にはコスモナイトが必要だったが、僅かな備蓄はヤマトに積み込まれてしまっていた。土星圏のコスモナイトの強行採集作戦は4月に実施されていたが、主に地球脱出船アルゴ(北米管区)の建造に充てられ、極東管区への割り当て分も<きりしま>の修理には使用されなかった。どうやら、波動実験艦<ばんだい>の建造に充てられてしまったらしい。

磯風型突撃宇宙駆逐艦の簡易生産型の茜型突撃宇宙駆逐艦が6月と8月に竣工して、いちおう<きりしま>と戦隊が組めるようになり、<きりしま>艦長だった山南修宙将補がこれらを指揮する第一戦隊司令を兼ねた。とは言え、たった三隻でガミラスの再襲来を撃退できるとは中央司令部(セントラルコマンド)も考えてはおらず、第一戦隊の任務には後方攪乱のゲリラ戦が計画された。もっとも、実行できたとはとても思えない。

やがて地球のエネルギー事情は破滅的状況になり、9月に入って地下都市の生命維持を優先させるために軍への資材とエネルギーの割り当てを大幅に削減する決定が下され、地球圏防衛構想の主力に位置付けられた航空隊さえ活動停止に追い込まれる状況になった。ここに至り、中央司令部は<きりしま>を宇宙戦艦として活用すること自体を断念した。5月末以降、出港できず富士宇宙港で待機状態だった<きりしま>は特殊警備艦に艦種変更され、ガミラス再襲来時にはもはや出撃はせず、陽電子衝撃砲の固定砲台として使用されることになる。

艦長だった山南修宙将補は<きりしま>を離れて、駆逐艦と宙雷艇を指揮する第一宙雷戦隊に移り、替わって相馬賢児一佐が特殊警備艦<きりしま>の艦長に就任した。特殊警備艦への艦種変更に伴い、4基の高圧光線砲塔は撤去され関東圏防衛の砲台に転用され、対宙機銃ほか取り外せる武器は外されて地上軍高射特科隊の装備に回されおり、搭載されていたミサイルや魚雷も地対艦ミサイル隊に充てられた。艦首陽電子衝撃砲以外のすべての武装が撤去され、かつもはや出港することは想定されないので、乗組員は240名から固定砲台としての最低限運用に必要な45名に減らされ、残りのほとんどの乗組員たちは艦から離れて遊星爆弾症候群に罹患する危険のある地表でのレアメタル回収作業に駆り出された。

画像は特殊警備艦だった時期の<きりしま>、主砲の高圧光線砲は全て撤去され内部構造がむき出しになっている。艦橋砲も撤去され、代わりに仮設艦橋が無造作に設置されている。これはスクラップとして解体された地球・月面往還船の上部構造物である。発射管はあるがミサイルも魚雷も搭載されていない。多少なりとも地表との迷彩効果を上げるために、塗装は上部は暗みがかったあずき色にされ、底部は灰色に変更され、黄色の部分も灰色に変えられている。未使用の区画には不沈処理として防火剤や衝撃吸収材が充填されている。もちろん、気休めにしかならない。もはや飛ぶことはできなくなっており、ガミラス再襲来時にはエレベーターで地表の宇宙港出入口まで運ばれ、艦首部を露出させて半地下式の陽電子衝撃砲砲台として使用されることになっていた。おそらく、陽電子衝撃砲の発射は一度限りで、すぐに発射地点を特定され、集中砲火を受けて破壊されていただろう。

ヤマトの地球帰還後、<きりしま>は再武装の上で宇宙戦艦に復帰した。これはコスモリバースによる地球環境再生によってエネルギー事情が改善したこともあるが、ヤマトによる地球圏防衛が決められ、その際にヤマトを守る(楯になる)宇宙艦艇が必要と考えられたからである。

 
スペースバーバリアンその12014年11月17日、最終更新日2014年12月6日)
ガトランティス艦隊の惑星襲撃。利用価値のある惑星には尖兵を送り込み、これを攻略略奪した。
白き彗星 〜星果て銀河尽きるまで〜』(2247年、ズォーダー:反町隆史、サーベラー:菊川怜、ラーゼラー:榎木孝明、ゲーニッツ:津川雅彦、バルゼー:袴田吉彦、ゴーランド:野村祐人 、ゴラン・ダガーム:竹内力、ズォーダー(少年時代):池松壮亮)より。すべてナスカ級打撃型航宙母艦であり不自然である。
この映画は、ズォーダーの生い立ちからガトランティス統一までの過酷な人生を描いている。ズォーダーの全生涯を描くには尺が全く足らず前半生のみで地球との白色彗星戦役は描かれていない。『男たちの宇宙戦艦ヤマト/YAMATO』(2245年、遠山清:反町隆史、岩田新平:中村獅童)の大ヒットを受けて巨額制作費を投入してアンドロメダ銀河ロケを敢行して製作されたが、ガトランティス人の主要キャストがすべて地球人の俳優であることなど無理な点が多く、大コケした。内容よりも大コケが評価されコスモきいちご賞を受賞。同題材に『ガトランティス』(2247年)があり、浅野忠信がズォーダーを演じる。こちらは地球・ガトランティス合作映画で浅野以外はガトランティス人(一部バース人)の俳優で全編ガトランティス語である。 

西暦2199年3月、宇宙戦艦ヤマトが太陽系を出た頃のことである。大ガミラス帝星の版図に入っていた小マゼラン銀河辺境部は外宇宙からの蛮族の襲来が繰り返されていた。ガミラスが蛮族と呼び忌み嫌う彼らの正体は遠くアンドロメダ銀河の戦闘民族ガトランティスである。

ガトランティス民族は特定の定住星を持たず、氏族集団ごとに移動生活を送る所謂「星巡る民」であり、星間交易を生業としていたが、その一方で勇猛な戦闘民族として知られ星間戦争での傭兵として性格も持っていた。交易が成立しない場合には海賊行為を行い、時には有人惑星を侵略して人々を奴隷にすることもした。

ガトランティス民族は長きにわたり13の大氏族とさらにそれから別れた無数の小氏族が互いに相争う状態が続き、ゼラーム、パラジュウム、グラスダー、ドライゼといったアンドロメダ銀河の星間国家からは凶暴な野蛮人として蔑まれ、氏族ごとにこれら文明国に服属し、宇宙傭兵として使われる立場だった。

もしも、勇猛無比の戦闘民族ガトランティスがひとつにまとまれば、太刀打ちできる星間国家は存在しないと言われたが、その一方で氏族ごとに反目して些細な理由から殺し合うガトランティスの有様を見るに、現実にはありえないことと考えられていた。だが、ガトランティス民族には共通するある予言があった。「いつの日か大いなる白き彗星を操る力を持った英雄が現れ、ガトランティス諸氏族は一つにまとまり、彼は全宇宙を統べる偉大なる大帝(ズォーダー)になる」と…

全て読む
 

宇宙戦艦ヤマト建造史―偽装2014年11月13日
偽装状態の宇宙戦艦ヤマト。2198年12月撮影。
コメント
これはバンプレストの『宇宙戦艦ヤマト プロローグ DXダブルジオラマ 』です。

渡部技官のこの問題に対する解答は戦略護衛艦<やまと>そのものを沈没船それも第二次世界大戦の戦艦に偽装させることであった。

地球の海底には無数の沈没船の残骸があり、<やまと>もそれに紛れ込ませるというもので、現代の船ならともかく、200年以上前の第二次世界大戦の戦艦の残骸ならばガミラスも気に留めないハズだ。むろん異論はあったが、小林技官がこれに同意したことで、<やまと>を第二次世界大戦の戦艦大和に偽装させることが決まった。

なお、本物の戦艦大和は前後に分断されて横転し、艦橋や砲塔は脱落した状態で沈んでいる。これに対して<やまと>はしごくきれいな形で沈んだように偽装されるため、高倉技官はこの点を危惧したが、普段は比較的温厚な設計チームの他の技官たちがこの時ばかりは血相を変え、「おい!それを言うか!それを言うのか!?」「ガミラスがそんなことまで知るわけがない!」「ふーーーん。どうしても、それに拘りたい訳?俺、なーんかやる気無くなったな」「じゃあ、分離合体できるようにしろと言うのか!?それじゃアオシマの合体巨艦ヤマトになっちゃうだろ !?」「いいんだよ。細けえことは!」と押し切られたという。

ちょうどこの頃、イズモ計画亜光速エンジン開発責任者の天地宇宙開発センター局長が急逝した。後任には天地のもとで働いていた真田志郎一尉が選ばれた。まだ26歳と若すぎ、イズモ計画最高秘密委員会からはもっと名のある研究者に任せてはどうかとの意見もあったが、生前の天地の強い推薦と新たな人物をプロジェクトに迎える機密保持リスクの観点から結局真田に任せることになった。

海底ドームで工事ができる時間は限られており、至急設計を確定せねばならなくなった。真田と設計建造チームの技官たちが議論を重ねた結果、地球脱出船イズモは天地生前の初期案よりもさらに戦略護衛艦<やまと>の船体をそのまま生かすことになった。初期案ではエーテル・ラムジェット・エンジンのエーテル吸引システムの関係上、船体前部三分の一ほどは丸ごと作り変えねばならなかったが、真田はこれをよりコンパクト化できると約束した。これにより、艦首の改造は最小限で済み、ヤマトのデザイン上の特徴となる水上艦型の喫水線下バルバス・バウは残された。

艦橋は「マゼラン型」と仮称された初期案から一新され、より高い塔型になった。むろん。戦術的有用性からこの形状が採用されたが、偽装対象の戦艦大和の艦橋の形が多少意識されたのも事実のようだ。「今どき時代遅れだよ」と指摘され初期案では廃止とされた41型煙突状垂直ミサイル発射システムも改造の上で搭載することになった。 上部構造物のほとんどはガミラスの目を晦ますために戦艦大和への偽装を施した上で地表に露出させる関係から、内装はともかく外観はいっさい手を加えることができなくなった。このため、艦橋や主砲などの上部構造物中央部のデザインは後の波動エンジン搭載の宇宙戦艦ヤマトと同じである。

海洋消滅まで時間がないこともあり、地球脱出船イズモの設計は極めて短期間で確定した。この為、戦後ある地球防衛軍参謀は「ヤマトは極秘のうちに急造した艦だ。今となってみればいろいろ欠陥がある」と発言している。


不眠不休の突貫工事で艦橋を初めとした上部構造物の工事が進められ、これが完了するとその表面に赤錆びた偽装が施された。22世紀の海上自衛隊戦略護衛艦<やまと>は20世紀の大日本帝国海軍戦艦大和にその姿を変貌させた。この間にも海面の低下が進み、2197年2月にこれ以上は隠し通せないとしてドームは撤去され、4月7日に<やまと>周辺の海水は全て消滅し、赤錆びた戦艦大和がその姿を現せたのである。

<やまと>の偽装は山根技官が担当した。沖縄水上特攻時の戦艦大和の資料を集め綿密な考証に基づき偽装作業が行われ、山根はアンテナ一本の太さ、表面の錆び具合ひとつひとつにまで拘り抜いたという。偽装作業はドーム撤去の前日まで続き、この間、山根技官は寝食を削ってこの作業に傾注した。

偽装作業が完了したとき、山根の同僚技官たちはその見事さに感嘆したという。これまで映画の撮影やミリタリー・テーマパークのアトラクション用などで実寸大戦艦大和のレプリカが製作されたことはあったが、1.26倍戦艦大和の製作は空前絶後のことだった。

この偽装は2199年2月にヤマトが抜錨したときにパージされており、この様子をリアルタイムでモニター越しに見ていた山根は男泣きに泣いたという。小林技官はこの時のことを後にこう述懐している。「皆は山根がヤマトの発進に感激したと思っていたようだが、私には精魂込めて作り上げた傑作プラモデルを壊された男に見えた」

上の写真は幾つかの資料では古代進と島大介が初めてヤマトを目にした際のものとして紹介されるが、これはありえない。二人はガミラスの偵察機を迎撃すべく、試作機の零式51型で無断出撃してシステムエラーで墜落し、その後に救助されており、このアングルから二人を撮影する者が存在しえない。撮影時期はもっと以前で、写真の二人はヤマト建造の作業員だと思われる。

極東管区のイズモと同様の地球脱出船は各管区で建造されていた。北米管区のアルゴ、ユーラシア管区のウラジミール・プーチン、欧州管区のメサイア、南アジア管区東南アジア管区共同のガンダーラ、南米管区のサンタ・マリアそしてアフリカ管区のドログバである。これらの脱出船はいずれも工事が絶望的に遅れており、人類滅亡以前の完成が危ぶまれていた。これに対して、既存の巨大水上艦の船体を流用したイズモはもっとも工事が進捗しており、場合によっては極東管区の移住者のみが地球を脱出する事態すらありえた。

地球脱出船イズモは2199年に竣工、同年中にガミラスの包囲を突破する地球脱出作戦決行(残存宇宙艦隊、空間航空隊を総動員した陽動の烈号作戦と太陽系脱出の<まほろば>作戦)を目指して工事が進められた。

だが、イズモを取り巻くこの状況は2198年はじめに一変することになる。火星にガミラスとは別の新たな異星人が来訪したのだ。

これ以降の話は『写真で見るメ号作戦(冥王星沖海戦)』を参照のこと。

特集ページへ進む

 
宇宙戦艦ヤマト建造史―地球脱出船計画その22014年11月12日

芹沢虎鉄・軍務局長を長とするイズモ計画本部の最高秘密委員会に小林と玉盛が出席して戦略護衛艦<やまと>の宇宙船改造プランを提案した。あまりの荒唐無稽さに秘密委員たちは鼻白み、芹沢に至っては激怒したが、小林と玉盛は人類滅亡以前に1万人の移民を運ぶ十分な収容力を持ち、かつガミラスの包囲を突破しうる地球脱出船建造の方法は外にないと秘密委員たちを説き伏せ、他に代案のない芹沢もこれを了承した。

イズモ計画の最重要課題は亜光速恒星船の実現だった。当時はワープ(次元跳躍)は理論上だけで、いちおう検討だけはされたが現実問題として人類絶滅以前の完成はとうてい不可能として放棄された。イズモ計画亜光速エンジン開発責任者の天地局長と彼の急死後にプロジェクトを引き継いだ真田志郎一尉(後に三佐)は既存技術の延長で実現可能な現実的な手段としてエーテル・ラムジェット方式を採用した。

エーテル・ラムジェットは20世紀に提唱されたバサード・ラムジェットの現代版と言えるもので、バサード・ラムジェットが想定した水素分子を主とする星間物質ではなく、エーテルを強力な磁場によってかき集めて燃料(推進剤)にするというものである。このため、艦首部の巨大な傘(正確にはエーテルをこし取るザル)で宇宙空間に漂うエーテルをかき集めて、艦尾の推進機関に送り込むようになっている。天地と真田志郎の見積もりでは10年程で亜光速に到達できる。

このため艦首と機関部が船体を貫く巨大なパイプでもともとつながっている構造になっており、波動エンジンを搭載した宇宙戦艦ヤマトではこの構造が活かされ、エーテル吸引部だった艦首が次元波動エネルギーを吐き出す波動砲口になった。

画像は地球脱出船イズモの初期設計案。天地局長がエーテル・ラムジェット・エンジンの開発を担当していた頃のもので、艦首のエーテル吸引傘が後の真田が開発を担当した時期のものよりもかなり大きい。エーテル・ラムジェット・エンジンの搭載により、艦首と艦尾の形状が戦略護衛艦<やまと>とは全く異なる。

艦橋は水上艦のものはやはり問題があり、一新されている。ただし、後のヤマトのものとはかなり異なる。41型煙突状垂直ミサイル発射管は「時代遅れ」との指摘があり、船体内蔵式垂直ミサイル発射管に変更された。これもヤマトでは復活している。

艦底部の第三艦橋にあたる場所は熱核融合式の補助エンジンと艦載機および各種車輛の格納庫になっている。この部分は宇宙戦艦ヤマトの第三艦橋よりもはるかに大きい。これは天地の設計のエーテル・ラムジェット・エンジンが巨大で、形状的にもヤマトの第一、第二格納庫の箇所は使えないためである。このため、艦低部のユニットが宇宙船並みに大型化され、ここに艦載機すべてが格納される。加えて脱出船計画では直衛機はヤマトより多い52機が予定され、さらに移住のための輸送機や多数の車両の搭載が必要とされた。この艦底部ユニットは仮称<シラセ>とされ、イズモと分離して独立行動が可能になっている。居住可能惑星を発見して移住する際にはイズモではなく、シラセが移住者と資材を乗せて着陸することになっていた。


委員会の了承は得られたが、次の問題は「やまと」の改造場所であった。極秘計画であるので、既存の地下宇宙船ドックでの工事は論外であり、そもそもこの時点では未だ海洋は存在していたが、巨大な「やまと」を引き上げて曳航することは困難であり、仮にそれができてもその作業中にガミラスに察知され破壊される可能性も高く、それ以上にその様子を国民に知られ、地球脱出の極秘計画が漏れる恐れがあった。

そこで地球脱出船<イズモ>設計建造チームはまず戦前に倒産して放棄されていた沖縄海底牧場シートピアの海底ドームを潜水艦で戦略護衛艦<やまと>の沈没地点まで運び、これを<やまと>に被せて海水を遮断して仮設ドックとなし、改造作業を進め、その間に平行して<やまと>の直下に地下宇宙船ドックを建設し、最終的に<やまと>を地下ドックに収容する計画を立てた。

ドームの設置と仮設ドックの建設は無事に終わり、<やまと>の改造工事が始まったが、ここでまた問題が持ち上がった。遊星爆弾による海洋蒸発の進行が地球側の予想以上に早く、1年以内に全海洋が消滅することが分かった。これでは<やまと>を収容する地下ドックの建設は到底間に合わない。そもそも、なぜ遊星爆弾と敵性植物の大繁殖で海洋が蒸発するのか、水がどこに行ってしまったのか、当時の地球人には訳が分からず、このメカニズムが判明したのが戦後にガミラスの資料が得られてからだった。とにかく、起こっていることは起こっていることなのでイズモ計画本部は早急な対策が迫られた。

すぐに思いつくのは海底ドームを土で覆い人工の山をつくって<やまと>を隠すことだった。誰にでも思いつく、しごく簡単な偽装手段であり、この方法に決まりかけたが、これに反対したのが渡部技官だった。渡部技官は安直な偽装山プランの問題点を列挙し、確実にガミラスに察知されると結論付けた。渡部技官のこの問題に対する解答は<やまと>そのものを沈没船それも第二次世界大戦の戦艦に偽装させることであった。

特集ページへ進む
 
宇宙戦艦ヤマト建造史―地球脱出船計画2014年11月11日、最終更新日2014年12月8日)

大日本帝国海軍の超弩級戦艦大和。画像は天一号作戦時のもの。太平洋戦争末期に沈没したこの戦艦が宇宙戦艦ヤマトの前身であるとの都市伝説を信じて決して譲らぬ者たちが現在でも多い。
宇宙戦艦ヤマトの前身が太平洋戦争末期に沈んだ大日本帝国海軍の超弩級戦艦大和であるとの誤解がいまだに根強い。これはイスカンダル航海中に地下都市内で流布した出所不明の都市伝説が起源であり、おそらく宇宙戦艦ヤマトのスタイル特に高い塔型艦橋が、帝国海軍の戦艦大和のそれに似たデザインだったことによるものであろう。

もちろん、いかに物資不足だったとはいえ二世紀半もの大昔の戦艦大和の残骸を宇宙船に改造するなぞ物理的にありえず、そもそも、戦艦大和は坊之岬沖海戦で転覆沈没の際に大爆発を起こしており、20世紀後半に発見された海底に眠る大和は前後に分断され、艦橋とすべての砲塔は脱落し、まったく原型を留めていない。これは動かしようのない歴史的事実である。

にも関わらず、この荒唐無稽な都市伝説が信じられたのはヤマトがガミラスの監視の目を誤魔化すために戦艦大和の残骸に偽装しており、発進時の偽装をパージする映像が一般に広報公開されたことに加え、イスカンダル航海中、国連ヤマト計画本部が具体的な宇宙戦艦ヤマトの建造経緯を機密にしたことによる。これは世論を刺激せぬよう少数のエリートだけが地球を脱出するイズモ計画の存在を隠ぺいしたかったためである。そして、ヤマト計画の失敗に備えて極東管区以外の地球脱出計画はまだ残っており、ヤマト帰還直前の時期に北米管区の亜光速地球脱出船アルゴが完成にこぎつけている。

実際には宇宙戦艦ヤマトの前身は、2192年末に竣工した海上自衛隊の戦略護衛艦<やまと>だった。戦略護衛艦<やまと>は海上自衛隊二世紀半の建艦技術の粋であり、当時最新鋭の武装と各種機器が装備され、その攻撃力と防御力は艦船としては宇宙軍を含めた地球最強のものであった。その戦略護衛艦<やまと>の当時最新鋭技術の武装と装甲がイスカンダルの波動エンジンを搭載する宇宙戦艦ヤマトに生かされたのである。何よりも、もともと水上艦だった護衛艦を改造したために、宇宙戦艦ヤマトは水上艦に近いスタイルをしていたのである。

実に無理矛盾のない話であり、実際この件は、宇宙戦艦ヤマトの地球帰還後に国連ヤマト計画本部より情報公開されている。ところが、不思議なことに現在でも都市伝説の方を信じて疑わず、譲らない者たちがインターネットを中心に数多く存在する。だいたいが、頑迷固陋な中高年たちである。

これは戦時中の都市伝説に加えて、大ヒットして社会現象ともなった大河ドラマ『宇宙戦艦ヤマト』(2211年)の影響によるところも大きい。このドラマでは話を分かりやすくするように宇宙戦艦ヤマトを帝国海軍の戦艦大和の改造としていた。中高年たちは子供のころに見たこのドラマの脚色を真に受けているようだ。

因循姑息な中高年たちに「宇宙戦艦ヤマトは海上自衛隊の戦略護衛艦<やまと>を改造したものだった」と事実を説明しても、こんな答えしか返ってこない。

「ヤマトが海自の護衛艦だっただってww話がしょぼすぎ」「同人くささ満開の設定だな。おい」「宇宙戦艦ヤマトは帝国海軍の戦艦大和じゃないと意味ないの」「ぜんぜんロマンがないな。却下」「まあ、そういう考え方があってもいいんじゃないの。ボクは同意しないけど」

コメント:個人的には今どき戦艦大和の改造はあり得んだろうと思うのですが…PVから新作劇場版『星巡る方舟』に戦艦大和が登場するのは確実でして、これ自体は惑星ファンタムまがいの幻影でしょうが、この劇中でははっきりと「宇宙戦艦ヤマトは太平洋戦争の戦艦大和を改造したものだ」と言われてしまうと私の負けです。
(2014年12月8日追記)『星巡る方舟』を鑑賞した結果、惑星シャンブロウで戦艦大和の姿を目にした古代が「ヤマトが偽装した船」とのセリフはありますが「戦艦大和を改造した」とのセリフもパンフレットの設定情報もないので、わたしの妄想はまだ有効となりました。


****


宇宙戦艦ヤマト(全長333m)、海上自衛隊の戦略護衛艦やまと(全長310m)、帝国海軍の戦艦大和(全長263m)の比較。これを見るだけでも宇宙戦艦ヤマトが戦艦大和の改造ではありえないことが分かる。だが、頑迷な中高年たちはこの事実をなかなか認めてくれない。
時に西暦2193年6月6日、海上自衛隊二世紀半の悲願を込めて建造された最強にして最後の護衛艦<やまと>はほとんど戦局に寄与することなく九州南方海域の海底に没し去った。

<やまと>の存在が再び注目されたのは2年後の2195年のことだった。当時の地球は遊星爆弾の攻撃によって地表は壊滅状態となり、遊星爆弾によって運ばれた生物兵器と目される敵性植物の大繁殖によって大気は汚染され生存は不可能となっていた。汚染は地下にも浸透しており、5年から10年以内に人類は滅亡すると考えられた。絶滅を避けるための地球脱出計画が各国で極秘裏にたてられ、日本でも<イズモ計画>が推進された。

地球脱出船は選ばれたエリート1万人と地球の動植物の遺伝子を運ぶ大型の宇宙船となり、最大船速は亜光速が求められた。当時の宇宙船は慣性制御推進方式で軍艦が光速の1%、戦前の最高速記録の太陽系外縁部探査船<JX-1 隼号>が3%にようやく達する程度だった。

この程度の速度では移住可能惑星に到達するまでに数千年から数万年を要し、これ以前にコールドスリープの機能が停止して移住者が全滅してしまう恐れがあった。このために航行速度の劇的な向上が必要とされた。亜光速でも居住可能惑星に到達まで数十年から数百年を要するが、ウラシマ効果が狙え、乗員と移民が生存中に他の惑星に移住することが見込めた。

この当時、ワープ(次元跳躍)は技術的困難が多すぎて遠い未来の話とされ、近い将来に可能な技術として亜光速恒星船の研究も盛んに行われていた。亜光速エンジンの開発は当初は天地博士が責任者となったが、博士が急死したことによりまだ若い真田志郎がリーダーとなった。真田は人類絶滅まで時間がないことから亜光速までの加速に10年以上を要するが既存技術の延長で可能なエーテル・ラムジェット方式を採用し研究開発を進めた。

地球脱出船の船体の設計は西井技術宙将補を責任者に艦政本部から引き抜かれた玉盛、石津、山根、高倉、小林、渡部といった選りすぐりの宇宙造船技官たちがプロジェクトチームを組んだ。当時、軍内部ではこれら造船技官たちの突然の異動はガミラス艦と戦いうる画期的な万能宇宙戦艦<ラ號>の極秘開発が目的であると噂された。実際、小林技官は過去に<ラ號>の設計案を中央司令部に提出していたが、残された資材とエネルギーを地球脱出船建造に傾注したい思惑から小林の万能戦艦構想は却下されている。

世間ではこの新型万能宇宙戦艦<ラ號>の他にも対G兵器Anti Gamilas Weapons)の切り札となるとされる3式多目的戦闘システム<機龍>の開発までまことしやかに噂され、完成予想図までネットに流出していた。万能宇宙戦艦<ラ號>から発進した数十機の<機龍>の編隊がガミラス艦隊を打ち破る流出シミュレーション映像を見た人々は期待に胸を膨らませたという。これら幻の兵器は実は世間の目を絶望的な戦局を逆転しうる画期的な新兵器へとそらし、地球脱出イズモ計画の存在を隠すための欺瞞工作であった。

イズモ計画に引き抜かれた宇宙造船技官たちは、地球脱出船の設計にとりかかったが、この時期には資材不足から宇宙艦隊の艦艇の新造や修理もままならなくなっており、地球脱出用の巨大宇宙船を極秘裏に建造する資材の調達が重要課題となった。

ここで注目されたのが九州南方海域に沈んでいる戦略護衛艦<やまと>の存在だった。沈没時の調査でも引き上げれば再利用は可能な状態と判定されており、脱出船の資材に活用しうると考えた西井技術宙将補が綿密に調査させたところ艦橋こそ大きく損壊していたが、その他の個所はほとんどそのまま使えるほどに良好な状態であることが確認された。この調査を担当した山根技官は「ありえない・・・奇跡だ」と呟いたという。

本来は<やまと>を解体して、その資材を宇宙船の建造に転用するはずであったが、ここで奇想天外のアイディアを出したのが玉盛技官であった。玉盛技官は<やまと>を解体せず、そのまま宇宙戦艦に改造するプランを提示した。その利点は大幅な工期短縮に加えて、当時の地球のいかなる宇宙戦艦よりも強力な武装と装甲をそのまま生かせることであった。水上艦をそのまま宇宙船に改造するなぞ、いままであった試しのない話であり、本来ならば一笑に付されるところであるが、地球脱出船設計チームの小林、石津、山根技官は強い関心を持った。設計チームの研究の結果、戦略護衛艦<やまと>の宇宙戦艦改造は可能であり、かつ現状では至当な方策と結論付けられた。


特集ページへ進む

 
宇宙戦艦ヤマト建造史―戦略護衛艦やまとその52014年11月10日

九州南方海域に沈没した戦略護衛艦<やまと>は深海作業艇<わだつみ2000>によって発見された。乗組員の救出作業では予期せぬトラブルが思わず映画化決定と叫びたくなるばかりに次々に起こり困難を極めた。 
西暦2193年6月6日、戦略護衛艦<やまと>は九州南方坊ケ崎沖260度90マイルの海底に沈んだ。いっしゅんで大津波に飲み込まれて転覆沈没した状況から脱出は不可能であり、第一護衛隊司令・立花泰三海将補、艦長・崎田丈雄一佐以下、<やまと>乗組員333人全員が艦内に閉じ込められてしまった。だが、沈没直前の立花の指示で、乗組員たちは指定避難室(エアポケットができるよう設計された部屋)に退避しており、奇跡的に全員生存していた。

<やまと>とは別方向に退避し、遊星爆弾による大津波を乗り切ることができた護衛艦<あいづ>より、<やまと>沈没の通報がなされ、直ちに捜索隊が派遣されたが、遊星爆弾の落着、これによって運ばれた敵性植物が海面に大繁殖したことよる現場の混乱と幾つかの不運と不手際により、海底に沈んだ<やまと>の捜索は手間取った。

この後、外伝アンソロジー・コミック1話分ぐらいのアドベンチャーがあって、一時は絶望と見られた<やまと>乗組員全員が救出される。そんでなにやかにやあって立花海将補は乗員たちを救うために我が身を犠牲にした…かに思われたがラストで<やまと>艦載の特殊潜航艇<さつま>で海面に浮上し、生還している。

アイディアとしては、<やまと>を沈没させた遊星爆弾はいつもの植物型生物兵器(敵性植物)の外に新発見された動物型の生物兵器が実験的に埋め込まれており、こいつが覚醒して<やまと>乗組員救出を邪魔するというのはどうでしょうか?またはいっそ海中で20mぐらいの怪獣化をして、脱出を図る立花海将補らと戦うというのもいいかもしれません。そんで、ことがすべて海底で行われたために宇宙から監視するガミラス側からは活動が確認できず、結局、シュルツとヤレトラーは動物型生物兵器は大気圏突入時または落着時に死んでしまうと誤解し、コスト面からも以後の動物型生物兵器の投入は取りやめになったとなります。

さて、生還した戦略護衛艦<やまと>乗組員の海上自衛官たちは次々と人員が不足する国連宇宙軍(航宙自衛隊)に引き抜かれ、海洋が消滅して海上自衛隊が属する国連海軍そのものが解体されたことで、最終的に全員が宇宙軍に転属した。

当初、航宙自衛隊では、宇宙には門外漢の海上自衛隊出身者は人手不足を補うための補助的要員と考えられたが、自衛官としての厳しい訓練を受け、水上艦艇や潜水艦勤務の経験を持つ彼らの能力は航宙自衛官のそれに劣らぬものと分かり、すぐに第一線の宇宙艦隊勤務に投入されるようになった。それ故に海自出身者の消耗は激しく、元戦略護衛艦<やまと>乗組員の8割がその後6年続くガミラスとの激戦の中で命を落としている。

戦略護衛艦<やまと>艦長の崎田丈雄一佐は2195年に宇宙軍(航宙自衛隊)に転属となった。宇宙軍では彼のような艦長級の階級の海自出身者の扱いに困り、もともと数が多いわけではない宇宙戦艦・宇宙巡洋艦艦長職のポストはなく、よくて補助艦艇勤務、たいていは地上勤務の後方部隊に配属された。

崎田一佐は宇宙輸送艦<しゃこたん>の艦長を務めていた2197年に実施された第6次土星戦略資源強行採収作戦に参加し、<しゃこたん>はガミラス艦の攻撃で撃沈され崎田一佐も戦死した。

考えようでは宇宙戦艦ヤマトの初代艦長は沖田十三宙将ではなく崎田丈雄一佐になるが、地球防衛軍は国連海軍(海上自衛隊)の戦略護衛艦<やまと>と国連宇宙海軍(航宙自衛隊)の宇宙戦艦ヤマトは別物との解釈を取っており、海上自衛隊の崎田丈雄一佐は宇宙軍のヤマトの歴代艦長の一人とは見なされていない。

第一護衛隊司令だった立花泰三海将補は2195年に海将に昇進するが、ほどなく海洋の消滅による国連海軍の解体により、宇宙軍に転属になった。宇宙軍では立花のような海軍(海上自衛隊)出身の将官の扱いにはさらに困り、門外漢扱いの彼らには宇宙艦隊司令官や司令部参謀など要職ポストはありえず、結局、補給関係の後方支援や旧海自系基地司令を任されている。2199年の宇宙戦艦ヤマトのイスカンダル航海の時期には立花宙将は舞鶴基地司令を務めていたが、その実態は旧海自系自衛官の生き残りと高齢者徴集兵による北陸および関西地方での地表のレアメタル採集が主であった。司令官の立花宙将自身も率先して危険なレアメタル採集作業に従事しており、「俺は船どころか海を失った船乗りだから、こんなことぐらいしかご奉公できん」と語っていたという。立花宙将はイスカンダルに旅立った宇宙戦艦ヤマトがかつて自分が指揮した戦略護衛艦<やまと>だと気づいていたようだが、そのことに関する彼の感想は何も残されていない。

宇宙戦艦ヤマトが地球に帰還し、コスモリバースによって地球環境が魔法の如く再生され、海洋も復活すると2200年に海上自衛隊も再建された。立花は海自に復籍し、復活した海上自衛隊の幕僚長に任命された。もっとも、艦艇は急増されたモーターボートに毛が生えたような哨戒艇が僅かしかなく、宙自から復帰した海上自衛官も千人に満たなかった。

立花が海上幕僚長に就任した時点で、各国軍を解消した正式な全地球統合軍事組織の地球防衛軍の発足が決まっており、海上自衛隊の復活は一年に満たないごく短いものだった。地球連邦の創設と地球防衛軍の発足を翌日に控えた2200年12月31日、海上自衛隊解隊式が行われ、立花海上幕僚長が「解隊の辞」を述べた。この日、解隊したのは海上自衛隊だけでなく、陸上自衛隊、航空自衛隊そして航宙自衛隊も同じであったが、所属隊員が極端に少ない海上自衛隊の解隊式はひどく寂しいものだったという。

立花海将は地球防衛軍には移籍せず、海上幕僚長の役職が無くなったことに伴い、同日付で退官した。立花泰三が「最後の海将」と呼ばれる所以である。未だ規模の小さい地球防衛海軍には立花のような将官の就くべきポストが少ないという事情もあったが、彼らの体が病魔に蝕まれていたことが本当の理由である。戦時中、地表でのレアメタル採集任務に長期間従事したことで、立花は重度の遊星爆弾症候群を患っていた。

立花は退官から程なく病床に伏し、2201年6月に一人娘の由里に看取られて死去した。「もう一度、青い海を目にすることができた。これで思い残すことはない」と最期に語ったという。

九州南方海域の海底に沈んだ戦略護衛艦<やまと>は乗組員が生存できたように堅牢な構造であったために損傷は少なく、この当時から再利用は可能と判断されていたが<やまと>はあまりにも巨大に過ぎて海底からの引き上げは容易でなかった。結局、異星人が相手の宇宙が主戦場のガミラス戦役では戦略的な価値の低い水上艦を莫大な費用をかけて引き上げ作業をする余裕はなくなり、<やまと>はそのまま放置された。

<やまと>の存在が再び注目されたのは2年後の2195年のことだった。


特集ページへ進む


 

宇宙戦艦ヤマト建造史―戦略護衛艦やまとその42014年11月9日、最終更新日2014年11月11日)

弾道弾迎撃N2ミサイル<あまのはばや>による遊星爆弾迎撃。
戦略護衛艦<やまと>は日本列島に迫る遊星爆弾に対して弾道弾迎撃N2ミサイル<あまのはばや>6発を放った。マッハ20を超える遊星爆弾に大型ミサイルの<あまのはばや>を命中させることは至難の業だった。

「一番、二番…直撃せず至近爆発…進路・質量に変化なし、効果認めず」
「三番命中!…D-03稼働せず。表面爆発…依然進路に変化なし。皮を削ったぐらいだ、くっそぉ!」

「<あまのはばや>第二派、ターゲットに突入」
「十三番、命中せず。至近爆発。効果なし。」
「十四番、十五番…命中!D-03稼働正常、ターゲット内部に進行………十四番、十五番起爆…やった!」
「効果確認!」司令官の立花泰三海将補がオペレーターたちに叫ぶように命じる。
「質量25%減少するも…進路に変化なし。えーい、化け物かよこいつ!」
「これは、今まで観測された中でも最大級の百万トンを超える遊星爆弾なんです」
「宙自の連中が手こずる訳だ…」

コメント;本当はターミナル段階でこんな会話している時間はないと思いますけどね…

「うろたえるな!N2の内部爆発で強度が劣化しているはずだ。必ず粉砕できる。崎田艦長…主砲48サンチ砲発射用意!」
「はい。48サンチ高圧光線砲発射用意」
「発射用意完了…ターゲットロック完了」
「撃て!」立花海将補が命じる。本当はこれは艦長の役割のような気もするが。

48サンチ高圧光線砲を斉射する<やまと>。艦船に搭載する光線砲としては当時最大級だった。


宇宙軍を含めた艦艇の装備するものとしては当時最大級の三連装48サンチ高圧光線砲三基が遊星爆弾に向けて発射された。<やまと>から放たれた9本の光線は一本にまとまり、遊星爆弾にぶつかる。

「命中!」
「効果確認!」
「質量減少するも粉砕はせず。…ですが進路変更確認。南方向に徐々にずれています」
「粉砕はできなかったが…とにかく、やったか」とりあえず、京都は救われ、安堵する立花海将補。

常識的にはコントロールを失った遊星爆弾は東シナ海か人口希薄な大陸部に落着する筈だった。だが…

「遊星爆弾の予想落下地点解析できました…こ、これは」
「進路を変更した遊星爆弾は九州南方海域に落着見込み。ここから750mの地点です!」
「なんだと!!そんな馬鹿みたいな偶然起こる訳ないだろ!アニメじゃないんだ!もう一度よく確認しろ!おまえ間違ってここの位置を見たんじゃ…」ありえない事に驚愕する崎田艦長。
「本当なんですよ!変更した落着地点はここなんです」
「高圧光線砲のあたり場所が絶妙に悪かったのか?」
「そんな奇跡みたいな偶然!?」
「遊星爆弾表面から新たな噴射が確認されます。これのせいでは?」
「遊星爆弾に残っていた推進剤がさっきの高圧光線砲で点火されてしまったのでは?それがたまたまこっちを向いていて…」
「それも変だよ」
「遊星爆弾に内蔵された誘導コンピュータに何らかの狂いが生じて、回避するつもりがこちらに突っ込んできたとか?」
「それなら逆だろ。さっきの高圧光線砲で<やまと>をより優先度の高いターゲットと判断したのかもしれん。直進する光線砲だから、所在を逆探知できる」

「今はそんなことはどうでもいい。退避だ!」悠長に原因を予想するクルーを怒鳴りつける崎田艦長。
「護衛の<あいづ><あこう><わかな>聞こえるか。立花だ。遊星爆弾は<やまと>を狙っている可能性がある。本艦とは別方向へ退避せよ。あの速度と質量の遊星爆弾が落着すれば巨大津波が発生するが、洋上では津波は急速に小さくなる。上手くすれば乗り切れる。幸運を祈る」
「崎田艦長。この状況では仮に直撃をかわせても、津波に巻き込まれて転覆する恐れがある。乗員を指定避難室(沈没時にエアポケットになるよう設計された部屋)へ退避させろ」
「遊星爆弾…来ます!」
「新たな噴射を確認。あの野郎、姿勢制御してやがる。間違いない<やまと>を狙っているんだ!」

モニターに映る間近に迫る遊星爆弾を見て立花が何かに気づいた。
「宮下。第三砲塔撃てるか?」
「砲手は退避しましたが、ブリッジからのコントロールで光線砲なら撃てます」
「N2が内部から穿った穴を狙え。あれが石の目だ。あそこに直接ぶち込めば粉砕できる」
「は?…はい。ターゲットロック!」
「遊星爆弾。本艦にぶつかります!あと1秒」
「撃て!」

遊星爆弾を撃破する<やまと>。


立花が狙った箇所はまさに遊星爆弾の石の目だった。ここを突かれた遊星爆弾はついに粉砕される。だが、ばらばらになった遊星爆弾の破片は<やまと>の左舷の海面にいっせいに突っ込んだ。質量100万トンを超えるマッハ20もの物体がいちどきに海面に衝突したことにより、<やまと>の至近で100mを越える巨大津波が発生する。

「総員衝撃に備えろ!」崎田艦長が絶叫する。

質量100万トンを超える遊星爆弾の破片が<やまと>の至近の海面に衝突したことにより、<やまと>は巨大な横波をもろに受けた。

津波を乗り切るよう正面を向けていればともかく、この時の<やまと>は変針するいとまなぞなく、左舷側からもろに大津波をくらった。さしもの巨大護衛艦もたまらず転覆、沈没してしまった。海上自衛隊二世紀半の悲願を込めて建造された戦略護衛艦<やまと>はなんら戦局に寄与することなく、九州南東坊の岬沖260度90マイルの海底に没し去ったのである。

だが、立花海将補たちの努力によって、この時<やまと>が完全な破壊を免れたことは、後に重大な意味を持つことになる。

海底に沈みゆく<やまと>。


歴史の流れは海軍(海上自衛隊)の時代から、宇宙軍(航宙自衛隊)の時代へと移っていた。宇宙(そら)を飛べない限り、<やまと>の運命は海の底に眠るしかなかった…



特集ページへ進む


 
宇宙戦艦ヤマト建造史―戦略護衛艦やまとその32014年11月8日

海上自衛隊佐世保基地を出港する戦略護衛艦<やまと>。
時に西暦2193年6月6日、遊星爆弾接近の報を受けた戦略護衛艦<やまと>は護衛艦<あいづ>、<あこう>、<わかな>を引き連れて海上自衛隊佐世保基地を出港した。遊星爆弾が洋上に落下した場合、大津波が発生する恐れがあった。大津波発生時は港湾内では陸地に打ち上げられる危険があり、遊星爆弾迎撃はより安全な陸地から離れた海上で行われる作戦になっていた。

立花泰三海将補が指揮する戦略護衛艦<やまと>以下の四隻の第一護衛隊は九州南方海域に展開して、遊星爆弾迎撃態勢を取った。

午後3時、宇宙軍の防衛線を突破した遊星爆弾1発が日本列島に落下見込みと通告があり、同時に詳細な弾道解析により落下予想地点は京都と判明する。京都の文化遺産の地下シェルター(後の地下都市)への退避は完了しておらず、第二次世界大戦と第三次世界大戦(審判の日)の惨禍を幸運にも逃れえた京都と文化遺産が失われてしまう。海自を「時代遅れ」と蔑む態度が見え隠れし、時代の主役面のタカビーな宙自の富士基地と違い、平安以来の貴重な日本文化を伝える京都は何としても守らねばならない。

地球上の迎撃ミサイルや迎撃ビームは弾道ミサイルの迎撃を想定したもので、質量数十万トンから百万トンの遊星爆弾にはまったく無力である。戦略兵器の迎撃ミサイルへの転換もまだできておらず、加えて放射能をまき散らす反応兵器や融合兵器を大気圏内での迎撃に使用することは人類滅亡を早めるだけの本末転倒な結果にもなる。

この時点では、宇宙軍の防衛線を突破して大気圏に突入した、いわゆるターミナル段階の遊星爆弾を迎撃できる存在は残留放射能を出さない「環境にやさしい大量破壊兵器」のN2ミサイルを<御楯7号改>システムの管制により弾道弾迎撃ミサイルに転換した<あまのはばや>と宇宙軍を含めた最大級の48サンチ三連装高圧増幅光線砲を装備する戦略護衛艦<やまと>しかなかった。

「税金の無駄遣い」「宇宙時代に存在感を失った海自の見栄」「今の時代に何のために造るのか訳が分からない」とマスコミや野党から後ろ指をさされながら建造された戦略護衛艦<やまと>だけが、この時の日本列島を守ることができた。

大日本帝国海軍の戦艦大和の名を継ぐ、戦略護衛艦<やまと>は1954年に海上自衛隊が創設されて以来の悲願だった。そして、結果的に海上自衛隊が建造した最後の護衛艦となる。異星人が相手のガミラス戦役では駆逐艦・フリゲート艦以上の水上艦艇ならびに潜水艦の建造は世界的にすべて中止されており、海上自衛隊の<やまと>だけが完成寸前だったために洋上砲台としての用途があるとして辛うじて竣工に漕ぎ着けられた。<やまと>以降に竣工した海上自衛隊の護衛艦ならびに潜水艦はなく、やがて遊星爆弾の影響による海洋の蒸発がはじまったことで海軍の存在意義自体がなくなり、国連海軍に属する海上自衛隊も少人数の管理部門だけの名義のみの存在と化してしまった。宇宙戦艦ヤマトの帰還とコスモリバースによる地球環境再生によって海洋も復活し、海上自衛隊も再編されたが、1年にも満たない短期間のことで護衛艦の新造なぞありえず、2201年の地球防衛軍の発足と各国軍の解消にともない、海上自衛隊も247年の歴史の幕を閉じることになる。

宇宙時代と云う歴史の流れの中で消えゆく運命の海上自衛隊の最期の栄光と意地を担った船が宇宙軍を含めた最強の武装を誇る戦略護衛艦<やまと>だったのである。

大気圏に突入する遊星爆弾。

弾道ミサイルのターミナル段階の迎撃には航空自衛隊高射群の地対空ミサイル<愛国者改3号>および陸上自衛隊高射特科群の66式・70式そして90式メーサー対空光線車(2166年の「フランケンシュタインの怪獣事件」での活躍から殺獣光線車と呼ばれることもあるが誤り)が存在したが、いずれも大質量の文字通りの岩の塊りの遊星爆弾に対しては無力であり、すべては海上自衛隊の<やまと>に任された。

陸上自衛隊の66式メーサー対空光線車。巨大生物殲滅≪L作戦≫に出動した際のもの。2166年撮影。
この日の遊星爆弾迎撃では意味がないとして出動しなかったが、後に遊星爆弾内部に埋め込まれた敵性植物の細胞をメーサー光線の照射によって直接破壊する効果はあるのではないかと推測され、終戦まで遊星爆弾迎撃に積極的に用いられた。ただし、実際にその効果があったか無かったについては未だに判然としない。

第一護衛隊司令の立花泰三海将補は既に<やまと>に迎撃態勢を取らせており、ただちに弾道弾迎撃N2ミサイル<あまのはばや>の発射準備に入った。天稚彦が高皇産霊神より賜った日本神話に登場する弓矢の名に由来するこの迎撃ミサイルは、もともとは当時の仮想敵国アメリカ合衆国本土への攻撃を想定した艦載弾道N2ミサイル<あめのぬぼこ>(スサノオが八岐大蛇を斬り殺した十束剣に由来)を改造したもので、<やまと>が装備する日本の誇る最新鋭の<御楯7号改>システムの管制により弾道弾迎撃に転用できた。汚染を残さないN2兵器であることも加え、<あまのはばや>は、この当時では大気圏内で遊星爆弾迎撃に用いることができる唯一の大量破壊兵器だった。

この時の<やまと>の<あまのはばや>は、弾頭部に推進式削岩弾D-03を取り付けた改良型が装備されていた。これは宇宙軍のこれまでの遊星爆弾迎撃戦のデータにより、遊星爆弾には何らかの硬化処理が施されて、反応弾や融合弾の直撃でも容易に粉砕できないことが分かり、単に遊星爆弾に命中爆発させるのではなく、高速回転するドリルによって内部に進行し確実に粉砕することを狙ったものであった。この時の<やまと>の<あまのはばや>は表面に食い込んで爆発することがやっとだったが、後に宇宙軍が迎撃ミサイルにこの方式を採用し、遊星爆弾の中心部まで進行して内部から粉砕することに成功し、効果をあげている。この推進式削岩弾頭型<あまのはばや>はガミラス戦役を通じて次々に開発された「対G兵器」(Anti Gamilas Weapons)の嚆矢とされる。

午後3時3分、立花海将補の命令一下<やまと>は遊星爆弾に向けて<あまのはばや>6発を発射した。

弾道弾迎撃N2ミサイル<あまのはばや>を発射する<やまと>。 


特集ページへ進む

 
宇宙戦艦ヤマト建造史―遊星爆弾迎撃戦2014年11月6日

日本列島が初めて遊星爆弾攻撃を受けた2193年4月20日以降も遊星爆弾はほぼ毎日のように地球圏に飛来し、宇宙軍の防衛線を突破した十数発が世界各都市に降り注いていた。この間、日本列島への落下はなく、北米大陸が集中的に遊星爆弾に狙われており、アメリカ合衆国は甚大な被害を蒙っていた。対遊星爆弾防衛体制と構築と地下シェルター(後の地下都市)への避難が行われる以前のこの戦役初期の破滅的な被害により、20世紀以来の超大国アメリカ(国連北米管区)の国力が決定的に弱められ、後に極東管区に政治・軍事の主導権を譲り渡す結果となる。

2193年6月6日、火星基地(第一次および第二次火星沖海戦で大きな被害を受けたが、この時点では基地機能を維持)が12発の遊星爆弾の接近を察知し、国連宇宙軍は直ちに迎撃態勢に入った。

遊星爆弾群が地球まで40万キロにまで接近した時、月の裏側(ダークサイドムーン)のダイダロス基地の軌道間全方位戦略砲<レクイエム>が火を噴いた。<レクイエム>の巨大ビーム砲は遊星爆弾を粉砕する威力を有していたが、問題は<レクイエム>は大量絶滅を引き起こすキロメートル単位の小天体迎撃を目的としたもので、100m程度と的が小さくかつ当時の地球艦の最大船速よりも早い遊星爆弾を捕捉することは困難だった。挙句に地球に接近した遊星爆弾にはランダムに推進剤を小噴出する仕掛けが施されており、これによって引き起こされる乱数加減速によって未来位置が読みにくくなり、さらに命中させることが難しくなっていた。結局、この日の<レクイエム>は遊星爆弾1発を粉砕するのがやっとで、防衛線を突破される。

遊星爆弾迎撃の第二陣となるのが、ムーンベースから発進した攻撃機群である。攻撃機群は反応弾や融合弾を用いて遊星爆弾の粉砕または軌道変更を試みる。遊星爆弾は当時の地球機にとっても極めて高速であり、攻撃機会はすれ違いざまの一度きりであり、反復攻撃はできない。

この日は攻撃機インターセプター85機、戦闘攻撃機ホーク54機が出撃して、インターセプターの大型反応弾、ホークの融合弾で遊星爆弾を迎え撃ち、結果、遊星爆弾1発を粉砕し、4発を軌道変更させた。残る遊星爆弾は6発となる。

ムーンベース航空隊攻撃機インターセプターと戦闘攻撃機ホーク。  遊星爆弾を迎撃するインターセプター。インターセプターは第二次内惑星戦争以前の旧式機でガミラス軍と渡り合うには既に能力不足だったが、遊星爆弾の被害によって新型機の数が揃わない事情もあり、この機体はガミラス戦役を通して運用が継続された。機首の大型反応弾は遊星爆弾迎撃任務には有効であり、遊星爆弾撃破王のマーク・ブラッドレイ大尉はインターセプターで38発を粉砕または軌道変更させている。
 


そして、迎撃の第三陣となるのが宇宙艦隊である。この日はアメリカ艦隊、ロシア艦隊そして沖田十三提督率いる日本艦隊が迎撃配置に付いていた。宇宙艦隊はミサイルと光線砲で遊星爆弾を迎え撃つことになる。高速なうえに、乱数加減速をしている遊星爆弾に対してこの時期のミサイルは命中が期し難く、一方、光線砲は質量が数十万トンから百万トンに達する遊星爆弾に対しては威力が不足しており、粉砕も軌道変更も容易ではなかった。

この日はアメリカ艦隊が遊星爆弾を1発、ロシア艦隊が1発そして日本艦隊が3発を粉砕または軌道変更させることに成功した。残る1発が宇宙艦隊を突破した。

遊星爆弾を迎撃する日本艦隊。戦役初期の頃は国連宇宙艦隊もまだ健在であり、ガミラス側の技術も未熟だったので7割から9割、時にはすべての遊星爆弾を阻止できた。

宇宙空間での最終段階での防衛線が戦闘衛星網となる。後にはかなり有効になる戦闘衛星網だが、この時期はまだ対遊星爆弾迎撃用としては能力が不足しており、宇宙艦隊を突破した唯1発の遊星爆弾を阻止できなかった。遊星爆弾は大気圏に突入する。

弾道解析からこの遊星爆弾の予想落下地点が日本列島と判明した。列島の守護神(ゴールキーパー)である戦略護衛艦<やまと>の出番となる。

特集ページへ進む
 

宇宙戦艦ヤマト建造史―遊星爆弾2014年11月5日

地球人類を絶滅寸前に追い込んだ遊星爆弾攻撃はガミラス冥王星前線基地の苦しい台所事情により生み出されたローコスト兵器だった。
2192年の第二次火星沖海戦でエミル・ヘッツア大佐率いる第一次テロン(地球)攻略軍のガミラス宇宙艦隊は沖田十三宙将率いる国連宇宙艦隊に敗れて壊滅し、艦隊司令のヘッツア大佐も戦死した。辺境の未開人を相手の思わぬ大敗によりテロン攻略軍は再編を余儀なくされ、攻略軍司令官イルク・ブゲライト・ネクロマン准将は解任されて本国に召還された。叔父にあたるゼーリック国家元帥の縁故と思惑で任命されただけの無能なネクロマン准将は作戦中は後方のワイルド星に置かれた司令部に留まっており、結局一度も太陽系に足を踏み入れることなく帰還することになった。かねてから狂気による乱行の噂があったネクロマン准将はバレラスへの帰路で、13人の刺客に襲われ非業の死を遂げている。

通常ならば大国が未開の小国相手にこのような大敗を喫した場合は、より大規模な兵力を送り込んで徹底的に叩きつぶすところではある。だが、当時のガミラスはボラー連邦、ゼニー合衆国をはじめとする汎銀河連合軍との主戦線での戦いがより一層激しさを増しており、戦略的価値の低い辺境のテロンにまとまった兵力を派遣する余裕はなくなっていた。特にこの時期はボラー連邦領の戦略コスモ資源宙域の奪取を目的とした大攻勢≪高貴なる青≫作戦が進行中であり、なおさら精鋭ガミラス人部隊を割く余裕はなくなっていた。この後、ガミラス軍は沈めても、沈めても新手の艦隊を絶えることなく繰り出してくるボラー軍を相手の地獄の銀河東部戦線の泥沼にはまり込むことになる。

このため第二次テロン攻略軍に選ばれたのがヴァルケ・シュルツ中佐を指揮官とするザルツ人義勇兵部隊であった。シュルツとザルツ人部隊はエルク・ドメルの第6空間機甲師団に属しており、二等臣民の義勇兵ながらドメルの信頼の厚い歴戦の勇士たちであった。ドメルはシュルツとザルツ人部隊は第6空間機甲師団にとって欠かせぬ戦力であると抗議したが、国防軍総司令部の決定を覆すことはできなかった。

第6空間機甲師団の第888義勇空間突撃連隊を中核に、ザルツ人義勇兵からなるテロン攻略の独立空間機甲旅団が新編され、指揮官のシュルツは大佐に昇進した。2192年中にシュルツとザルツ人部隊はプラート(冥王星)前線基地に着任し、第一次テロン攻略軍の残余のガミラス兵から任務を引き継ぎ、これ以降は二等臣民のザルツ人たちがテロン攻略にあたることになった。

第二次火星沖海戦の結果を受けてガミラス国防軍総司令部の対テロン方針は「殲滅」と決し、以後は降伏勧告を含むいっさいの交渉の必要はないと決定された。ヴォルケ・シュルツ大佐に与えられた指針は次のとおりである。

1. 降伏は認めないので、交渉の必要はいっさいない。
2. テロンの人口が異常に多すぎるのでこれを攻略占領する地上軍は出せない。「殲滅」せよ。
3. 攻略に多少の時間はかけても良いが、金はかけるな。

総司令部からのこの指針を聞いたザルツ人の幕僚のひとりは「やはり戦略的にはどうでもいい戦場らしい。せっかく時間をかけても良いと言うなら、可能な限り引き伸ばしてやればよいのでは?同胞たちの命を救うことにもなる」と口走ってしまい、生真面目なシュルツから怒鳴りつけられている。

当初、シュルツは大ガミラスへの忠誠を示すためにも、できるだけ迅速にテロンを殲滅するつもりだったようだ。総司令部の指針を真に受けてだらだら時間をかければ、ガミラス人たちの気が変わり、どんな災難が起きるか分かったものではない。ところが、テロン殲滅には問題があった。惑星殲滅には惑星間弾道弾(超大型ミサイル)が大量に必要だが、第一次テロン攻略軍の不手際によって、彼らに割り当てられた惑星間弾道弾の過半が輸送中に失われており、冥王星前線基地にはテロン殲滅に必要な数の半分もなかった。しかも、惑星間弾道弾は非常に高価(デストリア級航宙重巡洋艦3隻分に相当)であり、かつ主戦線で大量に使用されており、シュルツの補給要請は銀河方面軍から却下されてしまった。そしてその後も、高価な惑星間弾道弾は冥王星前線基地には僅かしか補給されなかった。

壊滅した第一次テロン攻略軍は未だテロン本星に直接攻撃をできておらず。テロン本星自体はほとんど無傷の状態だった。シュルツはまずはありあわせの惑星間弾道弾でテロンの主要都市と軍事基地を叩き、防衛能力を奪ったうえで直径100kmほどの小天体を艦隊でけん引してテロンに叩きつけて決着をつける戦略を考えた。

その小手試しと威力偵察的な意味も込めて、シュルツは惑星間弾道弾12発をテロンに向けて発射した。艦隊の援護もつけており、テロンの宇宙艦隊が阻止を図ってもこれを十分に排除できるはずだった。ところが、この12発の惑星間弾道弾が地球圏に到達すると月から高出力ビームが発射され、惑星間弾道弾がすべて撃破されてしまった。これは国連宇宙軍が月の裏側(ダークサイドムーン)のダイダロス基地に設置していた軌道間全方位戦略砲「レクイエム」であった。レクイエムは第二次内惑星戦争でマーズノイドから隕石落し攻撃を受けた戦訓により設置された地球圏防衛用巨大ビーム砲である。もともと、小惑星破壊を目的につくられており、惑星間弾道弾迎撃にも威力を発揮した。惑星間弾道弾が失われたことで、援護のガミラス艦隊は国連艦隊と交戦することなく冥王星前線基地へ引き揚げて行った。

未開人と侮っていたテロンに意外な防衛力があることを知ったシュルツは驚き、戦略の変更を余儀なくされた。保有数が限られ、かつ高価で今後補給も得られるかどうかも分らない惑星間弾道弾の消耗は避けねばならない。

結局、シュルツが採用したのがヴォル・ヤレトラー少佐が提案していた悪名高い遊星爆弾攻撃である。これは太陽系外縁の微惑星に生物兵器の種子を充填し、大口径長射程陽電子砲で点火・加速してテロンを攻撃して、生物兵器の汚染によってテロンを殲滅するものであった。この利点は極めてローコストなことである。一方で、この案は惑星殲滅まで年単位の時間がかかることが難点で、迅速にテロン攻略を済ませたかったシュルツは当初、ヤレトラー少佐のこの案に否定的だった。だが、惑星間弾道弾攻撃が頓挫したことで、大ガミラス本国から得られる補給が限られ、かつ戦力の消耗を避けねばならないシュルツは時間を要するヤレトラーの案を採用した。

もっとも、当初の遊星爆弾作戦の目論見では長くて3年、早ければ1年以内にテロン人が絶滅する筈だったが、テロン人が地下都市を築いて徹底抗戦したことで絶滅まで6年以上を要することになった。最初の頃は攻略まで時間がかかり過ぎることにシュルツは憂慮したが、テロンもシュルツたちザルツ人部隊も本国から軽視されていたためか、攻略期間自体はさほど問題視されず、それよりも艦艇の損害が出るたびに銀河方面軍作戦本部から叱責される状態で、最後の頃にはシュルツも「地獄の銀河東部戦線に送られるよりは同胞たちの命が長らえられる」と開き直っていたらしい。

ヤレトラー少佐は遊星爆弾作戦は必ず必要になると確信してシュルツの裁可を得られる前から研究と準備を進めおり、2193年初めには実施が可能になっていた。全長1.5kmに達する巨大かつ鈍重な惑星間弾道弾と異なり、遊星爆弾は全長100m程度と小さくかつ高速であり、キロメートル単位の小天体迎撃を想定した軌道間全方位戦略砲レクイエムによる捕捉・迎撃は難しかった。その程度の小さい微惑星は宇宙艦隊や迎撃ミサイル・レーザーで排除できると考えられたが、遊星爆弾は地球人の戦前の想定を遥かに超えた高速だった。この点で、テロン攻略には大威力の惑星間弾道弾よりも優れていたと言える。

   
冥王星前線基地に着任した頃のヴァルケ・シュルツ大佐。ドメル将軍の信頼の厚い歴戦の中級士官だった。テロン攻略は長期化し、その間に彼の身は悲劇に見舞われることになる。  副司令のゲルフ・ガンツ少佐(左)はドメル配下の第6空間機甲師団時代は日々忙しく働いていたが、冥王星前線基地での勤務は動きが少ないもので、数年間怠惰な日々を過ごすうちに彼の肉体にはある重大な変化が生じた。

作戦参謀のヴォル・ヤレトラー少佐(右)は悪魔の兵器遊星爆弾を立案した悪名高い人物である。冥王星前線基地に着任当時はロンゲだったが、後に「敬愛する大佐と苦しみを共にしたい」とスキンヘッドにしている。 

遊星爆弾の原理は次のとおりである。エッジワース・カイパーベルトの微惑星に大気と土壌を汚染する毒素を吐き出す生物兵器ハナモゲラ(地球では敵性植物と呼ばれる)の種子を埋め込む。この微惑星の表面に常温で重力縮退を起こしている物質(コラプシング・マテリアル)である氷の同位体結晶のエイス・ベオ(地球ではアイス・セカンドと呼ばれる物質で当時は未発見だった)とアンオブタニウムとの化合物に隠し味としてガミラシウムを少々加えた特殊噴射剤をコーティングする。冥王星前線基地に設置した大口径長射程陽電子砲(反射衛星砲)から陽電子ビームを遊星爆弾化処理済みの微惑星に照射するとコーティングした特殊噴射剤が点火する。特殊噴射剤による加速により微惑星はごく短時間で光速の数%もの速度に達する。この技術は本来は手間と費用が掛かる船舶による牽引に頼らず廉価に微惑星を移動させる星系開発用コスモ土木工事技術だった。
上の画像は遊星爆弾点火に用いられた大口径長射程陽電子砲、いわゆる反射衛星砲である。設置間もない時期のもので、冥王星のガミラスフォーミングはまだ進捗しておらず、地表にむき出しの仮設段階である。

 
宇宙戦艦ヤマト建造史―戦略護衛艦やまと・その22014年11月3日

時に2193年。遊星爆弾による情け容赦のない攻撃が始まった。
時に2193年。前年に行われた第二次火星沖海戦で沖田十三率いる国連宇宙艦隊に敗れたガミラスは戦術を転換して遊星爆弾による無差別攻撃をかけてきた。遊星爆弾は地球上の都市を狙い撃ち、さらにこれによって運ばれた未知の生物兵器(敵性植物)の大繁殖によって地球は甚大な被害を蒙っていた。世界各国の軍隊が結集して組織された国連宇宙軍、国連地上軍、国連空軍そして国連海軍はその総力をあげて遊星爆弾の阻止を試みた。

2192年末に竣工・就役した国連海軍太平洋方面艦隊に属する海上自衛隊の最新鋭の戦略護衛艦<やまと>の主任務は遊星爆弾の大気圏突入後の最終段階での迎撃とされた。

地球各国の戦略防衛システムは弾道ミサイルの迎撃を想定したものであり、遊星爆弾に対してはまったく無力だった。対弾道ミサイル用の迎撃ミサイル・迎撃レーザーともに質量が数十万トンから百万トンに達する遊星爆弾に対しては威力が小さすぎて粉砕どころか、コースを変更させることすらできない。

当時、唯一それが可能と考えられたのが戦略護衛艦<やまと>であった。<やまと>には戦略兵器である艦載弾道N2ミサイル<あめのぬぼこ>が24基搭載されており、ガミラス戦役開戦後にこれを元に新開発された弾道弾迎撃N2ミサイル<あまのはばや>に替えられていた。N2兵器は反応兵器・融合兵器に匹敵する威力を持ちながら残留放射能を残さない「環境にやさしい大量破壊兵器」であった。遊星爆弾の大気圏突入後の最終段階迎撃では放射能をまき散らす反応兵器や融合兵器の使用は論外であり、N2兵器しかなかった。そして日本はN2兵器開発の分野では世界最先端の技術を有していた。迎撃N2ミサイル<あまのはばや>は弾道弾迎撃に対応した<やまと>の<御楯七号>システムの管制によって、超高速で落下する遊星爆弾に直撃させることが可能であった。

そして、<やまと>の主砲である48サンチ三連装高圧増幅光線砲三基九門は宇宙軍を含めた最大級の光線砲であり、その大威力で遊星爆弾を粉砕または軌道変更できうると期待された。この主砲はもともと地球に侵攻した宇宙戦闘艦艇との交戦を想定したものであり、<御楯七号>システムの管制により遊星爆弾迎撃にも使用できた。

世界各国の軍隊では、戦略ミサイル(反応・融合・N2兵器)の迎撃ミサイルへの転換は未だ開発途上の時期であり、この時点では宇宙艦隊と戦闘衛星の防衛線が突破された最終段階での遊星爆弾迎撃が可能な兵器は海上自衛隊の戦略護衛艦<やまと>しかなかった。<やまと>には遊星爆弾迎撃システムが開発整備されるまで、日本列島の守護神(ゴールキーパー)として働くことが期待された。ちなみに一隻しかいないので他の管区の面倒まではみられない。

当初こそ遊星爆弾の奇襲を許したが、この当時は外惑星防衛戦、第一次火星沖海戦そして第二次火星沖海戦で多大な損害を出してはいたものの国連宇宙艦隊は未だ健在であり、軌道上の戦闘衛星網と併せて地球突入以前に遊星爆弾を撃破または軌道変更させることが可能であった。加えて、ガミラス側の遊星爆弾投射技術もまだ発展途上であったようだ。遊星爆弾は当時の地球の宇宙艦艇の最大船速を上回る速度であったため、完全に阻止はできなかったが、ガミラス戦役初期から中期は7割から9割を粉砕または軌道変更させていた。だが、宇宙軍の防衛線を突破した3割から1割の遊星爆弾だけで地上は破滅的な被害を蒙っていた。

そして、遊星爆弾迎撃に出撃した国連宇宙艦隊をガミラス艦隊が襲撃して、国連宇宙艦隊は次第に数を打ち減らされ、戦役半ば以降には宇宙空間での対遊星爆弾防衛線が崩壊することになり、地球の荒廃が加速度的に進むことになった。

遊星爆弾攻撃の開始から暫くは日本列島は被害を免れていた。ガミラスはアメリカ合衆国が地球の戦力と工業力の中心と考え、南北アメリカ大陸を集中的に狙っていたようである。

だが、それも長くは続かず、4月20日に宇宙軍の防衛線を突破した遊星爆弾が日本列島に落下してきた。根拠地の横須賀基地を出港し、太平洋上に待機していた戦略護衛艦<やまと>は直ちに迎撃態勢に入ったものの、遊星爆弾迎撃用に新開発した<御楯七号改>システムに不具合が生じ、迎撃N2ミサイル<あまのはばや>も48サンチ三連装高圧増幅光線砲も発射できぬままに遊星爆弾の列島初落着を許してしまった。

この遊星爆弾は航宙自衛隊の中核的根拠地である富士基地を狙ったもので、富士山麓に落着した。既に富士基地の地下化が進められており、壊滅こそ免れたが、それでも地上施設を中心に無視できない被害が出ており、海上自衛隊は航宙自衛隊に対して大いに面目を失ってしまった。

この海上自衛隊の失態に航宙自衛隊は憤懣やるかたなく、ある宙自の将官は<やまと>が属する第一護衛隊司令の立花泰三海将補が同室にいるにもかかわらず「海自さんのゴールキーパーは、ボールが目の前にまで来たら萎縮して動けなくなっちまった。あれじゃあ<やまと>ではなく<かわしま>と改名すべきだよ」とわざわざ聞こえるように放言した。たまたまその場に来た沖田十三宙将がこの将官を咎めて、立花海将補に海自に対する無礼を詫びている。沖田十三の優れた人格を伝える逸話のひとつである。

いずれにせよ、海上自衛隊にとっても立花泰三海将補にとっても、次は失敗は許されなかった。

戦略護衛艦<やまと>と艦載機のMAT-03B<ユリカモメ>。MAT-03Bはマットジャイロの名で知られる三菱航空輸送(Mitsubishi Aero Transport
)が開発したティルトローター式多目的垂直離着陸機の艦載機仕様の機体である。空間汎用輸送機SC97コスモシーガルが登場するまで自衛隊を含む多くの国々の陸海空軍で使用された。
2193年4月20日未明、遊星爆弾が富士山麓に落着した。これが日本が初めて受けた遊星爆弾の洗礼であった。日本列島の守護神と期待された戦略護衛艦<やまと>はこの阻止に失敗した。
コメント:旧作第13話で日本が初めて遊星爆弾攻撃を受けたのは2192年4月20日とありましたので、年はともかく日付は合せておきます。旧作では遊星爆弾落下の衝撃で富士山が噴火するのですが、2199時点でも富士基地は存在するし、果たしてそれはどうだろうか…と思い、ここでは触れないことにしておきます。 

 
宇宙戦艦ヤマト建造史―戦略護衛艦やまと・その12014年11月1日、最終更新日2014年11月2日)

時に西暦2193年。前年の第二次火星沖海戦で沖田十三率いる国連宇宙艦隊が謎の侵略者ガミラスの地球直接侵攻を辛うじて退けることに成功したものの、戦術を転換したガミラスは遊星爆弾によるロングレンジ爆撃を地球に仕掛けてきた。ガミラスによって放たれた遊星爆弾は地球各都市を狙い撃ち、さらに遊星爆弾によって運ばれた生物兵器の大繁殖によって地球は大きな被害を受けていた。世界各国の軍隊が結集して組織された国連宇宙軍、国連地上軍、国連空軍そして国連海軍はその総力を挙げて遊星爆弾の迎撃を試みた・・・


6月6日、国連海軍太平洋方面艦隊に属する海上自衛隊の戦略護衛艦<やまと>は護衛艦<あいづ><あこう><わかな>を率いて佐世保基地を出港し、遊星爆弾を迎撃すべく九州南方海域に展開した。遊星爆弾が洋上に落着した場合、大津波が発生する恐れがあり、この際は港湾内よりも海上の方が安全だからである。

―*****-

コメント:いろいろと思いついたので一年前の脳内設定を直していきます。

 
計画時の戦略護衛艦やまとの予想図 
戦略護衛艦<やまと>(艦番号:DDST-140)は中期防衛力整備計画(2185度)~(2188年度)に基づく、2187年度発注の戦略護衛艦であり、全長310m、満載排水量12万トンの海上自衛隊史上最大最強の巨艦であった。<やまと>のために新たに戦略護衛艦Strategic Destroyer)の艦種記号DDSTDDSは既に航宙自衛隊で使われていたため慣例に外れて四文字となった)が設けられた。一般では超大型護衛艦または超弩級護衛艦Super Dreadnoughts Destroyer)と呼ばれることもあるが、公式のものではない。

主兵装は48サンチ三連装高圧増幅光線砲3基であり、この砲塔は対地支援の艦砲射撃を想定して実体弾の発射も可能になっていた。その他の兵装にはN2弾道ミサイル<あめのぬぼこ>を発射するミサイル垂直発射システム24セル、対艦・対空・対地・対潜ミサイルを選択発射する41型煙突状ミサイル垂直発射システム8セル、近接防御用の副砲として高性能20サンチ単装砲2基、対空用に高性能12.7サンチ連装高角砲塔(通称<魚鱗>)8基を備えていた。武器管制は最新鋭の<御楯七号>武器システムが搭載され、とうぜんのことながら日本のお家芸である弾道弾迎撃にも対応していた。

防御は20世紀半ば以降の水上艦の概念を覆して強固な装甲防御が復活し、理論上は本艦の装備する当時最大の48サンチ高圧増幅光線砲でも貫通できなかった。ダメージコントロールも万全であり、まさに不沈艦であった。ありえない状況ではあるが、金剛型宇宙戦艦とガチで撃ち合えば、本艦が圧勝で秒殺できる性能でとされる。

航空兵装も備えており汎用垂直離着陸機MAT-03B<ユリカモメ>(一般にはマットジャイロで知られる)を6機を搭載しており、最大12機を収容する格納庫があった。これに加えて特殊潜航艇<さつま>2隻が搭載されている。主機は汚染のないクリーンかつ誘爆も起こさない安全安心なシズマ式常温核融合炉を採用している。

海上自衛隊の総力を挙げて建造された<やまと>であるが、何のために22世紀になって巨大水上戦艦をつくるのかを巡って計画時から激しい議論が交わされた。本艦建造を強力に後押しした当時の防衛大臣は国会質問に際して、うっかり「…男の浪漫」と口走ってしまっている。

大日本帝国海軍の戦艦大和の名を継ぐ護衛艦<やまと>の建造は20世紀半ばに海上自衛隊が創設されて以来の悲願であったが、「いつかそれにふさわしい艦に…」と艦名を大事に大事にと取っておくうちにずるずると2世紀半も経ってしまったという焦りがあったという。

海上自衛隊では2番艦(予定艦名<むさし>)と3番艦(予定艦名<しなの>)、4番艦(予定艦名<トリプル・エース>)の建造も計画していたが、マスコミから「ミリオタ政治家のおもちゃ」「宇宙時代に存在感を失った海自の見栄」と叩かれてしまい、結局次年度以降は財務省からこの艦型分の概算要求をバッサリと切られ、<やまと>のみの建造になってしまった。後に海上自衛隊関係者は「<やまと>の姉妹艦たちは米海軍よりも恐ろしい財務省によって撃沈されてしまった」と嘆いている。

<やまと>は2188年に起工し、2189年に進水したが。艤装工事中の2191年にガミラスとのワーストコンタクトが発生した。異星人との戦争が不可避となった情勢下で、防衛予算が航宙自衛隊に集中される関係から、本艦の建造中止と資材転用もかなり真剣に検討されたが、既に97%の工事が完了していたことから、地球圏防衛の洋上移動砲台として活用できるとして対宙邀撃関係の装備を追加することで工事が続行された。地球上の仮想敵国を目標にした艦載弾道N2ミサイル<あめのぬぼこ>(スサノオが八岐大蛇を斬り殺した十束剣に由来)に代わり、地球に侵攻する宇宙戦艦や質量兵器(小天体)迎撃に対応した新開発の弾道弾迎撃N2ミサイル<あまのはばや>(天稚彦が高皇産霊神より賜った弓矢に由来)が搭載された。

戦況の逼迫から、<やまと>の建造は断続的に中断されており、2191年末に就役予定だったが、2192年末にずれ込んでしまった。そして、2193年に入り、ガミラスの遊星爆弾による攻撃が始まった。

 

戦略護衛艦やまとをつくる・その92014年10月30日

これは 一年ほど前に私が脳内設定をしたメカの模型製作です。要するに何ぼなんでも250年以上前の第二次世界大戦の戦艦大和の改造は無理だべ、それに大爆発を起こして前後に分断されているし…と云う訳で、いわゆる『矛盾を解消する為に』に宇宙戦艦ヤマト2199は大日本帝国海軍の戦艦大和の改造ではなく、22世紀末の海上自衛隊の超大型護衛艦<やまと>を改造したものだった…との妄想です。水上艦のスタイルをしているこじつけにもなる。

デカールを貼り付ける。艦番号は一年前の妄想ではほとんど考えなし安直に「DDST-001」だったが、調べたらこれは海上自衛隊の艦番号の基準に外れる。護衛艦の艦番号は三桁で甲型(DD)は1--であった。101から始まり、起工順だか竣工順に番号が振られて199に近づくとまた101に戻るらしい。200番台は乙型護衛艦(DE)。

戦艦大和は進水前は単に「第一号艦」と呼ばれていたらしく、甲型護衛艦の艦番号としては使えない。ウィキペディアの記事「大和型 (架空戦記)」を当たってみたが、海上自衛隊が戦艦大和を運用した作品が案外に無く、佐藤大輔の『征途』ぐらい。『征途』の<やまと>は超大型護衛艦(艦番号BB-11)。100番台の三桁が欲しいのでこれも使えない。

という訳で、結局、史実での設計時の計画番号「A140-F5」ないし「A140-F6」から戦略護衛艦<やまと>の艦番号は「140」とする。 


これで完成かと思ったら、艦尾の旭日旗を忘れていた。酒を飲んでしまって手元が不安なのでここは明日やる。

いろいろと反省点もあるが、旭日旗を立てたら完成と言うことで明日以降、戦略護衛艦やまとにまつわる妄想にとりかかる。

戦略護衛艦やまとをつくる・その82014年10月29日

ミサイル垂直発射システムMk 41を主砲の前に2枚並べる。64セルが2枚なので実に128セルになる。ただし、脳内設定ではここは対空ミサイルではなく計画時は艦載弾道N2ミサイル<あめのぬぼこ>12×2基、ガミラス戦役開戦後の竣工時には遊星爆弾迎撃用の弾道弾迎撃N2ミサイル<あまのはばや>12×2基となる。

艦橋後方第二副砲の横に90式艦対艦誘導弾発射筒を設置。艦橋前方にはなんとなく1/700護衛艦あたごのアンテナパーツを設置する。ここらは宇宙戦艦ヤマトでは7.5サンチ連装高角速射光線砲塔が設置されていた場所。戦略護衛艦時代はまだハリネズミ対空砲にしていない。

そんで画像のような感じになる。思うことは幾つかあるが…ここまでやってしまったので、明日は垂直離着陸機用飛行甲板とデカールに進む。
 
戦略護衛艦やまとをつくる・その72014年10月28日

Yahoo!知恵袋で調べてみると海上自衛隊の艦船は別に明るいグレーではなく、光の当たり具合でそう見えることもあるとのことで、どうやら「ピットロード PCS18 海上自衛隊艦船カラーセット 船体グレー」は間違ってはいないらしい。なんか自分のイメージとは違うが、塗ったものは仕方が。ないこれで行く。

取って付けた感が気になる「UCC自衛隊コレクション陸・海・空③こんごう型DDG」の艦橋をギリギリまで下げる。だいぶマシになったような気がする。これ以上は下げられない。

「UCC自衛隊コレクション陸・海・空③こんごう型DDG」の着色済み部分をゾルでマスキングして「ピットロード PCS18 海上自衛隊艦船カラーセット 船体グレー」で塗装。こんなものか。

明日は1/700護衛艦あたごのミサイルハッチやら、90式艦対艦ミサイルやら対潜短魚雷やらを艤装してみる。


 
戦略護衛艦やまとをつくる・その62014年10月27日

艦橋の取って付けた感が強かったため、1/1000ファイナルヤマトの艦橋部台座部分を削り取り、艦橋の高さを低める。だいぶマシになった気がするが、横から見るとまだ取って付けた感がするなあ。

「ピットロード PCS18 海上自衛隊艦船カラーセット 船体グレー」にて艦橋以外を塗装する。イメージしていたものよりもかなり暗いグレーだった。私のイメージはもっと明るいグレーだったのに。ガルグレーか明白色の方が良かったかもしれない、これならスプレー持ってた。やっちゃったかな…海上自衛隊の艦船はこの色だと言うから信じたんだが…やっちゃったもんは仕方がない。

艦橋の「UCC自衛隊コレクション陸・海・空③こんごう型DDG」はできれば塗装せずに済ませたかったが、これは同色に塗らないとどうにもならない。明日この作業をする。
 

戦略護衛艦やまとをつくる・その52014年10月26日


加工中にまたもや1/1000ファイナルヤマトのおゆまる複製パーツを粉砕する。画像上は粉砕した複製パーツの数々…

これをもっておゆまる複製パーツの使用を断念、1/1000ファイナルヤマトのパーツをカットして使うことにする。この一週間何をしていたのやら…

画像中は1/1000ファイナルヤマトの中央部を接着したモノ。

画像下のように、1/1000ファイナルヤマトと1/700護衛艦あたごの船体は合うようにできていないので、隙間ができてしまう。ここをパテで埋める作業が必要。

  

隙間をパテで埋めて武装を取り付けた。はみ出した部分は塗装すれば目立たなくなるでしょう。たぶん。改めてみるとまだ凸凹している。あとでヤスリかけします。

1/700護衛艦あたごのMk 45 Mod 4 62口径5インチ単装砲のおゆまる複製は無理と判断。やると細すぎる砲身がポキリと折れる。よって副砲は1/1200サラミスの単装砲を使用。

画像下は宇宙戦艦ヤマト2199との比較。主砲の位置から割り出して、だいたいこんなもの。

パルスレーザーがかなり大きくなっているので、戦略護衛艦時代はまだ大型のもので、ヤマト計画時には技術の進歩でコンパクト化されたとする。

艦首の形状が全く違うのは、地球脱出のイズモ計画時に艦首陽電子衝撃砲を装備するために改造され、ここがさらにヤマト計画で波動砲口になったと妄想。

 
戦略護衛艦やまとをつくる・その42014年10月25日

おゆまる複製パーツを加工中に次々に粉砕し、その度に作り直しでヘタレかける…
1/1000ファイナルヤマトのパーツは複製は諦めてそのままカットして使おうかしらと思い始める。

いちおう仮留めしたもの。艦橋は「エフトイズ 食玩 1/1250 現用艦船キットコレクション Vol.1 海上自衛隊護衛艦こんごう」ではなく、新たに入手した「UCC自衛隊コレクション陸・海・空③こんごう型DDG」のもの。サイズ的にはこれでもいける。

1/700護衛艦あたごのMk 45 Mod 4 62口径5インチ単装砲を副砲に設置。あたごには一基しかないので、例によっておゆまるで複製する予定。画像は合成したもの。失敗した場合はサラミスの単装砲で代用する見込み。もしくは後部はロケットランチャーにしようかしら。

1/1000ファイナルヤマトから取った中央部がまだ柔らかいので一晩寝かせることにする。

明日は複製パーツを船体に接着する作業にかかる。塗装まで行けるか?


 
戦略護衛艦やまとをつくる・その32014年10月23日

上が買い集めたプラモデル。下が本日の作業。

朝方に1/700護衛艦あたごの甲板パーツの型をおゆまるでつくり、パテ革命もりもりを流し込んで出勤。帰宅後に型から取り出して仮組をしてみる。

正直なところ複製甲板は船体パーツにうまくはまってくれず、周囲を削り取るのに難渋する。そもそもおゆまるの型取りって、こんなデカイパーツをつくるものではないのかもしれん…

明日は甲板の不要な箇所をカットして、形を最終的に決めてみる方針。


 

戦略護衛艦やまとをつくる・その2(2014年10月22日

 材料は次の通り。

バンダイ 1/1000 宇宙戦艦ヤマト ファイナルヤマト
アオシマ 1/700 WL No.21 海上自衛隊 護衛艦 あたご
エフトイズ 食玩 1/1250 現用艦船キットコレクション Vol.1 海上自衛隊護衛艦こんごう


まず、「おゆまる」で1/1000 ファイナルヤマトの切り出すパーツの型を取り、「パテ革命もりもり」で複製をつくります。「おゆまる」なるものの存在を知ったのはごくごく最近のことで、このことも戦略護衛艦やまとを製作する気になった切っ掛けの一つであります。「おゆまる」について興味のある方は「おゆまる プラモデル」でググるといいです。

文字通りに初めての「おゆまる」の型取りでしかも比較的大きなパーツであったため、実に八回も失敗を繰り返しました。主な原因は硬化剤の撹拌が不十分だったり、出来上がった型をよくよく検分せず、不具合のある型でそのままつくってしまったためです。画像は失敗作の一つのイマイチだったものです。

方針としてはカットして加工するパーツは「おゆまる」の複製を使用し、そのまま使えるパーツはそのまま使います。 
パーツの位置を決めるために、1/700護衛艦あたごの船体に複製した1/1000ファイナルヤマトのパーツと主砲のパーツを乗っけて、その上に1/1250護衛艦こんごうの艦橋パーツを乗っけて、マスキングテープで仮止めしました。

1/700護衛艦あたごの全幅と1/1000ファイナルヤマトの全幅がびっくりするぐらい一致しました。

舷側パルスレーザーの型が上手く取れず、いっそ1/700護衛艦あたごのバルカンファランクスのパーツを8個複製して舷側パルスレーザーの場所に置いて、「これは高性能20mm多銃身機関砲<魚鱗>だ」と言い張るかなど問題がまだまだあるのですが、明日以降もぼちぼち作業をすすめていきます。 
 



戦略護衛艦やまとをつくる・その12014年10月20日

一年ほど前に私が脳内設定をした宇宙戦艦ヤマトの元になった海上自衛隊の戦略護衛艦<やまと>を製作する気になりました。切っ掛けは『追憶の航海』特典映像ヤマトメカニックでヤマトの元になった地球脱出船は海底ドックで建造され、海洋が蒸発したために第二次世界大戦の戦艦への偽装が施されたと解説されていました。これならば、水上艦艇に酷似するスタイルの宇宙戦艦ヤマトはもともとはガミラス戦役初期に沈没した海上自衛隊の超大型護衛艦<やまと>だったとする一年前の私の脳内設定とまだ矛盾しない。

気を良くしたので宇宙時代に存在感が薄くなった22世紀末の海上自衛隊が創設以来2世紀半の悲願をかけて建造し、異星人相手のガミラス戦役ではほとんど役に立たずにあっさり海底に没し、思わぬところで宇宙戦艦として生まれ変わった戦略護衛艦<やまと>を製作してみたくなったわけです。

以下のものが戦略護衛艦<やまと>のパーツとなります。

バンダイ 1/1000 宇宙戦艦ヤマト ファイナルヤマト
アオシマ 1/700 WL No.21 海上自衛隊 護衛艦 あたご
エフトイズ 食玩 1/1250 現用艦船キットコレクション Vol.1 海上自衛隊護衛艦こんごう

何故に1/1000 宇宙戦艦ヤマト2199を使用せずに、完結篇の1/1000ファイナルヤマトを使用するかというと、こちらの方が1/700<あたご>と全長と全幅が近いからです。

製作の要領は以下の通りになります。

船体と副砲は1/700護衛艦<あたご>を使用。
主砲と艦橋周辺、パルスレーザー群は1/1000ファイナルヤマトを使用
艦橋は1/1250護衛艦<こんごう>を使用。1/700護衛艦<あたご>の艦橋ではサイズが大きすぎるため。


要するに1/700護衛艦<あたご>(全長165m)の船体に1/1000ファイナルヤマト(全長265m)の主砲その他のパーツをくっつけて、さらに1/1250護衛艦<こんごう>の艦橋をくっつけ、最終的にできたものをこれは2199ヤマト(全長333m)とだいたい同じ大きさなんだと言い張る訳です。

縮尺を合わせて画像を合成したところ、だいたいこんな感じになります。



妄想した戦略護衛艦<やまと>の緒元は次のようになります。

全長 297m(プラモデルの縮尺を計算した結果出た数値です)
全幅 37.8m(プラモデルの縮尺を計算した結果出た数値です)
機関 シズマ式常温核融合炉 4基
乗員 333人
兵装 主砲:48サンチ三連装高圧増幅光線砲×3基(実体弾も射撃可能)
副砲:20サンチ単装砲塔×2基(実体弾)
ミサイルハッチ 艦載弾道N2ミサイル<あめのぬぼこ> 24基 (計画時)
          弾道弾迎撃N2ミサイル<あまのはばや> 24基 (完成時)
41型垂直発射システム8セル×1基(煙突状発射機/対空ミサイルまたは対潜ミサイル)
高性能40mm連装機関砲<魚鱗>×8基
90式艦対艦誘導弾 2基
武器管制 <御楯>武器システム
艦載艇 特殊潜航艇さつま 2隻
艦載機 100式空間偵察機またはMAT-03B<マットジャイロ> 4~7機

というわけで、モノが今日揃ったので明日以降製作にかかります。


 
ユリーシャ近衛隊2014年10月12日、最終更新日2014年10月13日)

特一等航宙戦闘艦ユリーシャスタとユリーシャ近衛隊(ハゥスハルルッペ)のデストリア級重巡洋艦。近衛隊はデスラー体制下の親衛隊とは異なり、忠誠心の篤い志願兵によって編成され、ユリーシャ・イスカンダルの警護のみに徹して政治や軍事行政には関与しない組織である。規模も小さく、航宙近衛艦隊は1個旅団(150隻)に過ぎない。航宙艦隊の他に儀典兵を兼ねる選抜護衛大隊1個と機動銃士連隊2個、装甲騎兵連隊1個それに特務大隊といった地上部隊も存在した。

野放図な跳梁跋扈を許したデスラー親衛隊への反省から、近衛隊は明確に国防軍の指揮下にあり、ユリーシャへの突発的かつ直接的な脅威以外では例えユリーシャ自身の命令でも兵を動かせないと定められていた(もっとも、幾度かこれに反する事態が起きている)。また親衛隊のような警察権はいっさい有せず、秘密警察としての側面はない。近衛隊の予算と人事は国防省および帝国議会に管理され、デスラー親衛隊のような暴走を許さぬよう何重もの枷がかけられている。

オールト・イスカンダ=ガミロン(イスカンダルとガミラスによる平和)を象徴するように近衛隊の要員はガミラス人だけでなくガルマン人、ザルツ人、ナタール人をはじめとする同盟民族(フダラティ:デスラー体制下の二等臣民)が多く含まれていた。ユリーシャ体制末期には地球出身の近衛士官まで存在した。これら地球人(テロン人)近衛将兵はユリーシャと地球との関わりから特別に受け入れられたものではあるが、この件も当時の地球連邦が大ガミラスの属国だったと言われる由縁となっている。

国防軍からは「寄せ集め」「綺麗な飾り」と実戦力を軽視される傾向があったが、参加したデスラー大戦末期の戦闘や白色彗星戦役では高い士気と技量を示し奮戦した。ユリーシャ近衛隊は大ガミラスが機械化人間ウラリア(ダーク・ネビュラ・エンパイア)の奇襲攻撃を受けた際にガミラス本星と運命を共にし全滅している。




近衛隊には艦艇や車両・装備は国防軍が接収した親衛隊のものが多く用いられたが、人員は親衛隊をまったく引き継いでおらず、クローン兵は一人もいない。国防軍に投降した親衛隊のクローン兵は名誉あるユリーシャ近衛隊に入隊するどころか再洗脳の上で非武装の建設労働大隊や航宙掃海隊、死亡率の高い最前線の戦闘工兵に送り込まれ、その設定寿命が尽きるまで過酷な任務を強いられることになった。投降したクローン兵たちは「ギムレーの子ども」と蔑称され、親衛隊を憎悪する国防軍士官は「クローンどもの命はガミロイドより安い」と言い放っている。ガミラス新政府が関与していたか否かは不明だが、一部のクローン兵は親衛隊を憎むガミラス人により人身売買組織に売り飛ばされている。ガミラス人はクローン兵を自分たちと同じ人間と見なすことさえ穢らわしいと考えたが、彼らにも確かに感情があり、洗脳のくびきを脱した者たちはデスラー派残党勢力に身を投じた。そして、そのことで更に新体制下のクローン兵の待遇が峻嶮になっている。

投降した元親衛隊のクローン兵を管理するあるガミラス人下士官が「どいつもこいつも同じ顔(ツラ)をしていやがる。気色悪い、こんな人間がいてたまるか」と悪態をつき、クローン兵たちの自尊心をひどく傷つけたという。

建設労働大隊に配属されたあるクローン兵がイジメ同然の理不尽な扱いに抗議すると、ガミラス兵からデスラー体制下での親衛隊の残虐行為を責め立てられ、彼が「命令に従っただけだ」と答えると、「ああ、おまえ達はギムレーの道具だったな。道具だからあんなことを平然とやれた」「だが、ギムレーはもういない。今は俺達の道具だ。道具が口答えするな!」と寄ってたかってガミラス兵に袋叩きにされた。

虐待に耐えられず逃亡を図り捕えられたある元親衛隊のクローン兵は「俺は人間だと!」と叫び、「汚らわしい!貴様はつくり物だ!」と憤慨したガミラス兵に射殺された。

ユリーシャには「親衛隊のクローン兵は戦闘や警察活動用につくられており、健全な市民社会には入れません。害のない任務を与えてやります」と報告されており、彼女もヒス首相ら新政府首脳たちも元親衛隊のクローン兵たちのことまで気を払えなかった。クローン兵の管理を任されたガミラス人たちはデスラー体制下での親衛隊の横暴を憎み切っており、クローン兵たちを人間と見なさず残忍に扱った。彼らは機械ではないのであまりに非道な扱いを受ければ忠誠の洗脳も解けてしまう。そして、彼らにはデスラー派残党勢力にしか行き場所はなかった。デスラー体制崩壊時に生き残った親衛隊のクローン兵の3分の2が新政府に投降したにもかかわらず、彼らの多くをデスラー派残党勢力に追いやりその戦力を増長させる結果となったのである。ユリーシャやヒスが事態の深刻さを知った時には手遅れになっていた。

デスラー体制崩壊時に親衛隊指揮官に率いられてデスラー派残党勢力を形成したクローン兵と、いったん新政府に投降した後、過酷な扱いを受けてデスラー派残党勢力に身を投じたクローン兵たちとは明らかな性格の違いがあったという。前者はひたすら命令に忠実に従う兵士であり、冷酷かつ無表情だが、後者は自らの意思と判断で行動する傾向があり、喜怒哀楽の感情も表に出すようになっていた。復讐心から極端に残忍になるクローン兵もいれば、逆に敵に慈悲や憐憫の感情を示す者もあり、明らかに無意味な民間人への虐殺行為を拒絶ずる部隊まで現れた。これにはデスラー派残党の親衛隊指揮官も戸惑い、彼らの再々洗脳を試みたが、ほとんどの場合効果がなかったという。

デスラー体制崩壊時に親衛隊指揮官に率いられ脱走してデスラー派残党勢力を形成したクローン兵たちはゲベレト(創始した者たち)と呼ばれ、いったんガミラス新体制に帰順し、その後、逃亡またはデスラー派残党勢力に解放されたクローン兵はノイルト(新参者たち)と呼ばれた。元からいたゲベレトは解放したノイルトの言動が自分たちと異なることから違和感を持ち「心理に欠陥がある」と考え、指揮官たちも新たに参加したノイルトの能力は心理に瑕疵がないゲベレトよりも劣ると考えていた。だが、実際の戦闘では両者に差はなく、むしろ、行動が硬直的になりがちなゲベレトよりも、臨機応変な対応ができるノイルトの方が優れた面すらあった。

クローン兵は番号(原型名と生産ナンバー)が名であり、その方が合理的と考えられたが、ノイルトは部隊内で使用する番号名とは別に仲間内で使用する個々の名を持った。画一性を好むギムレーの意向からクローン兵は髪型や服装まで統一され、外見では見分けがつかないが、ノイルトは外見の個人差を付けることを望み、各々異なる髪型や、顔に小さな刺青を入れることを好んだ。デスラー派残党の数的にはノイルトの方が圧倒的に多く、親衛隊指揮官もこの動きを放置せざる得なかった。この動きを抑えようとした指揮官に対してノイルトは「言われなくても死ぬ気で戦ってやる。だが、俺たちを人間として扱え」と言ったという。

やがて、ノイルトたちは恋人を持ち家庭をなすようにまでなり、その相手は純血ガミラス人などではなく、デスラー派残党が拠点とする辺境星系の下層民や未開人の女性たちであり、彼らもそれを好んだ。純血主義者の生前のギムレーが知れば卒倒するような話である。

小マゼラン辺境地域のデスラー派拠点惑星に潜入した地球人の戦場ジャーナリストの取材を受けたあるノイルトはゲタエ人(ガミラス人から野獣同然の未開人と蔑まれたコスモ民族)の元売春婦との間に生まれた我が子を抱き上げて「俺はつくり物かもしれないが、この子は生まれながらの自由な人間だ。この子が誇りを持って生きられる世界にするために俺は戦う」と語っている。




 


英雄の丘2014年10月9日

観光客が絶えない英雄の丘
2199年12月に宇宙戦艦ヤマトが地球に帰還すると沖田十三艦長をはじめイスカンダル航海で戦死したすべての乗組員を顕彰する追悼・慰霊施設の建立が決まり、場所は東京湾を一望できる第三新東京市台場地区(13号埋立地)が選ばれた。建設は高い優先度で着手され、ヤマト帰還一周年の2200年12月8日に落成して、同時にヤマト航空隊長だった加藤三郎の父の加藤一徹を導師にイスカンダル航海の慰霊祭が盛大に執り行われた。

英雄の丘は勝又激制作の沖田十三のモニュメントを中心に、戦死したヤマト乗組員の墓碑が並べられている。英雄の丘に隣接して家族客でにぎわう磯風公園があり、近くには宇宙船の科学館や複合娯楽施設ヤマトフロント第三新東京もある

映画やドラマでは戦後の地球の復興と繁栄とともに英雄の丘も一般市民からは顧みられなくなったかのように描写されることがあるが、まったくの作り話である。英雄の丘は現在でも第三新東京市きっての観光スポットであり、年間来場者数は900万人にのぼり、特に毎年12月8日に行われるヤマト大慰霊祭には80万人以上が参集する年間を通して人が絶えない場所である。

アクセス
第三新東京臨海線「英雄の丘」駅から2分
上野駅、新宿駅、渋谷駅、品川駅、羽田空港、横田国際空港、成田宇宙港から直通バスあり
首都圏超高速台場インターから1km
駐車場あり
年中無休

連絡先:英雄の丘管理公団 


夕暮れ時の沖田十三像
英雄の丘建立の際に問題となったのが伊東真也二尉(保安部長)をはじめビーメラ星系第四惑星での反乱に参加した乗組員の扱いであった。七色星団の戦いの際に収監区画が直撃を受け反乱参加者の大半が命を落としていた(伊東はレフタポーダで死亡、藪助冶は逃亡)。

ヤマト乗組員の一部からは伊東ら反乱参加者も危険な航海を共にした同志だったという声もあったが、国連軍司令部やヤマト計画本部は反乱参加者は戦闘従事中ではなく、収監中(伊東に至っては逃亡中)に死亡した経緯から英霊として祀ることは適当ではないと決定し、伊東と反乱参加者は英雄の丘から除外された。

この状況が変わったのは2202年にユリーシャ・イスカンダルが地球を公式訪問して英雄の丘に献花を行った際に、伊東真也の墓碑が存在しないことを訝しみ、連邦政府に苦言を呈したことによる。七色星団の戦いで運よく生き残り、逃亡中だった伊東真也はレフタポーダで行きがかりからユリーシャと行動を共にしており、彼女の命を救いその直後に銃撃を受けて死亡していた。ジェイムズ・デイル連邦大統領はこの時のことをユリーシャは恩義に感じていると考え、「善処します」と答えてしまった。謀反人を英霊と並べるなぞ非常識だとの意見もあったが、連邦大統領がガミラスの元首に「善処する」と約束してしまった以上、放置もできず、同年中に伊東真也をはじめ反乱参加者の墓碑が英雄の丘に加えられている。なお、イスカンダ ル航海での部門責任者級の幹部乗組員の戦死者は伊東だけであり、立場的にはその後の戦いでの幹部乗組員の戦死者同様に伊東の墓碑も沖田像の前面に並べられるべきだが、伊東は一般乗組員とともに沖田像の背後に祀られている。

この際に藪助冶の墓碑も英雄の丘に合祀された。周知のとおり藪助冶はUX-01の乗組員となり生きており、帰国したのは2203年のことだった。防衛軍は英雄の丘管理公団にこのことを通知し忘れており、発覚したのは藪本人が英雄の丘に参詣した数年後のことだった。反乱参加者の墓碑はあまり目立たない所にまとめられており、赤の他人はもちろん藪自身もしばらくは自分が死人扱いされていたことに気付かなかったという。 


 
特一等航宙戦闘艦<ユリーシャスタ>2014年10月5日
全長 638m
主機関 ゲシュ=タム・ドライブ
兵装 瞬間物質転送式火焔直撃砲×1門
480ミリ三連装陽電子カノン砲塔×6基(艦橋左右及び下面左右)
330ミリ三連装陽電子カノン砲塔×6基
330ミリ三連装陽電子ビーム砲塔×6基
魚雷発射管×24門(翼部)
魚雷発射管×14門(後部)
魚雷発射管×13門(艦底)
 

<ユリーシャスタ>はガミラス元首となったユリーシャ・イスカンダルの御座艦である。この艦は史上初のゲシュ=ダールバム(波動砲、別名デスラー砲)搭載艦として極秘裏に建造されていたデウスーラⅡ世の姉妹艦<ダイ・ルーア>(「大祖国」または「偉大なる国家」の意味)であり、親衛隊の秘密工廠で建造中だった。デスラー体制崩壊時にはデウスーラⅡ世の同型艦四隻が建造中だったが第二バレラス航宙工廠で建造中だった三番艦<トーテコプ>(「頭蓋骨」の意味)と四番艦<オッルドラグ>(「秩序」の意味)の二隻は第二バレラス崩壊に巻き込まれて喪失し、親衛隊秘密工廠の二番艦の<ダイ・ルーア>と五番艦の<ウィキイング>(宇宙古代史のガミラス系蛮族に由来)が生き残った。

デウスーラⅡ世級戦艦の建造は極秘だったが、国防省の情報機関アプフェアはその存在を察知していた。参謀次長ガデル・タラン率いる国防軍特殊部隊が親衛隊秘密工廠を急襲して<ダイ・ルーア>の接収に成功したが、工廠には<ウィキイング>の姿は既になかった。未成状態の<ウィキイング>はデスラー派残党に持ち出されたと考えられ、その行方は知れなかった。

<ダイ・ルーア>はこの時点で工事進捗率72%の状態で、ガミラスの国内情勢が落ち着くと工事が再開され、2201年末(西暦)に竣工した。当然のことながらユリーシャを元首に戴く新体制の方針から艦首のデスラー砲は撤去されており、代わりに新兵器の火焔直撃砲が設置された。これはガトランティスの同兵器の存在を受けて開発されたもので、瞬間物質転送機の理論を応用してエネルギーを転送する方式であり、その射程はガトランティスの火焔直撃砲の2倍に達した(ただし、超長射程では命中精度に難があったようだ)。

竣工した<ダイ・ルーア>はユリーシャ・イスカンダルの御座艦に選ばれ、<ユリーシャスタ>と改名され、近衛隊(ハゥスハルルッペ)に編入された。ガミラス新体制下で創設された近衛隊はデスラー体制下の親衛隊よりも規模がかなり小さく、ユリーシャの護衛に徹し、政治には関与しない組織である。<ユリーシャスタ>は2202年の天の川銀河大巡幸に用いられ、地球を公式訪問している。天の川銀河大巡幸の際にボラー連邦が最後の大攻勢をかけており、<ユリーシャスタ>はこの迎撃戦に投入され、火焔直撃砲でボラー艦隊を撃退し、その戦術的有効性を証明した。デスラー砲や波動砲は絶大な威力だが、対艦隊戦ではこの威力はオーバーキルであり、また射界が狭くて連射もできず使いにくい。これに対して火焔直撃砲はその発射方式から射界は全周囲自在であり、連射も可能であることから艦隊戦ではデスラー砲よりも優れていると考えられている。 

火焔直撃砲を発射するユリーシャスタ。2202年撮影。第四次ハルキウ宙域海戦にて。火焔直撃砲はボラー軍の攻撃を撃退する切り札となった。
この戦いでは国防軍の銀河方面軍がユリーシャスタと近衛艦隊を借り受け、ユリーシャ・イスカンダルは安全な後方の星系で待機していたとされていた。だが、近年発見された史料によればユリーシャは国家元首の責務としてユリーシャスタに乗艦してこの戦いに参加しており、

(ユリーシャ)「ボラー艦隊の中央を突破する。全艦集結せよ」

(ボラー艦隊司令)「ボラー砲発射隊形」

(近衛兵)「距離あと23万8千宇宙キロ」
(ユリーシャ)「火焔直撃砲用意」

(ボラー艦隊兵士)「敵あと11万宇宙キロ」「射程距離到達まであと15分」
(ボラー艦隊司令)「ボラー砲エネルギー注入用意」

(近衛兵)「火焔直撃砲発射準備完了」
(ユリーシャ)「うはは。発射

(ボラー艦隊兵士)「敵旗艦に発射反応あり」「射程距離まであと3分」
ズガーン!ボラー艦が大爆発する。
(ボラー艦隊兵士)「弾道確認できません」
(ボラー艦隊司令)「敵の射程距離は我が方の倍もある」「あれが敵の決め手か…


(ユリーシャ)「火焔直撃砲第二弾用意」
(近衛兵)「エネルギー100%」「発射準備よし!」「エネルギー移送装置正常」
(ユリーシャ)「発射!

…と、海原雄山口調で火焔直撃砲発射の指揮を取っていたことが分かった。

このボラーの敗退を見て、ゼニー合衆国はガミラスとの講和を決断した。 


宇宙戦艦ヤマトの航海2014年10月3日、最終更新日2014年10月8日)

時系列を確認しやすいよう、ここで表にまとめておくことにしました。

話数 サブタイトル 人類滅亡まであと 場所 距離(光年) 地球・ヤマト ガミラス 日付 航海日数 前回からの日数
太陽系 第1話 イスカンダルの使者 - 冥王星 冥王星沖海戦 2199年1月17日
- 地球 キリシマの帰還 2199年2月8日
第2話 我が赴くは星の海原 365日 地球 ヤマト発進 2199年2月12日 0日
第3話 木星圏脱出 364日 木星 ワープ実験・波動砲発射 浮遊大陸消滅 2199年2月13日 1日 1日
第4話 氷原の墓標 363日 土星・エンケラドゥス ゆきかぜ発見 2199年2月14日 2日 1日
第5話 死角なき罠 362日 冥王星 メ2号作戦発令 2199年2月15日 3日 1日
第6話 冥王の落日 361日 冥王星 冥王星基地前線壊滅 2199年2月16日 4日 1日
第7話 太陽圏に別れを告げて 355日 ヘリオポーズ 地球との最後の交信 2199年2月22日 10日 6日
銀河系 第8話 星に願いを 343日 シリウス
→グリーゼ581
8.6
→20.4
グリーゼ581の戦い ガミラス建国千周年祝賀会
ドメルを小マゼランの蛮族討伐に派遣
シュルツ戦死
2199年3月6日 22日 12日
第9話 時計仕掛けの虜囚 339日 2199年3月10日 26日 4日
第10話 大宇宙の墓場 325日 次元断層 次元断層を脱出
メルダが捕虜になる
EX178が味方に撃沈される
ゲールのヤマト追撃艦隊がほぼ全滅
2199年3月24日 40日 14日
第11話 いつか見た世界 323日 メルダ解放 小マゼラン外縁の戦い 2199年3月26日 42日 2日
第12話 その果てにあるもの 318日 ドメル特一等デスラー勲章授与 2199年3月31日 47日 5日
第13話 異次元の狼 317日 銀河系外縁/原始恒星系 25,000? 対次元潜航艦戦
沖田倒れる
ドメル銀河方面軍作戦司令に着任 2199年4月1日 48日 1日
銀河間空間 第14話 魔女はささやく 310日 ミレーネがゴーストリンクでヤマトに侵入
ユリーシャが岬に憑依
2199年4月8日 55日 7日
第15話 帰還限界点 298日 カレル163 カレル163の戦い オルタリアの虐殺
デスラー総統暗殺未遂事件
2199年4月20日 67日 12日
第16話 未来への選択 287日 ビーメラ4 54,000? ビーメラの反乱
ブルーコアを回収
2199年5月1日 78日 11日
第17話 記憶の森から 275日 放棄されたゲート 54,000 システム衛星を再稼働
岬に憑依したユリーシャが正体を名乗り出る
ドメル裁判(ヒスは暗殺未遂の同日と発言)
ゼーリックがバレラスを出発
2199年5月13日 90日 12日
第18話 昏き光を越えて 273日 放棄されたゲート
→バラン星
→大マゼラン外縁のゲート
54,000
→84,000
→114,000?
バランの敵中突破 観艦式のクーデター計画
ゼーリック死亡
バラン星崩壊
2199年5月15日 92日 2日
大マゼラン銀河 第19話 彼らは来た 246日 タランチュラ星雲 160,000 デスラーがバレラスに帰還
ドメルが艦隊とともにバレラスを出立
2199年6月11日 119日 27日
第20話 七色の陽のもとに 245日 七色星団 七色星団の戦い
森雪拉致
ユリーシャ覚醒
ドメル戦死 2199年6月12日 120日 1日
第21話 第十七収容所惑星 230日 レフタポーダ 伊東死亡
藪逃亡
レフタポーダの反乱
2199年6月27日 135日 15日
第22話 向かうべき星 211日 レフタポーダ
→サレザー星系エピドラ

→168,000
レフタポーダの会見
メルダが連絡士官として乗艦
ディッツ提督の反体制派成立 2199年7月16日 154日 19日
第23話 たった一人の戦争 210日 ガミラス 168,000 ガミラス帝都攻防戦
沖田再び倒れる。以後は真田が指揮。
第二バレラス崩壊
ギムレー死亡
デスラー体制瓦解
2199年7月17日 155日 1日
第24話 遥かなる約束の地 199日 イスカンダル 168,000 イスカンダル到着
コスモリバース受領
2199年7月28日 166日 11日
復路 劇場版 星巡る方舟  ?  大マゼラン外縁部    「雷鳴のゴラン・ダガーム」のガトランティス艦隊と交戦    ?  ?  ? 
第25話 終わりなき戦い 143日 バラン星
→放棄されたゲート?
84,000
→54,000
亜空間回廊の戦い
森雪重傷を負う
ディッツ提督がガミラスに帰還
ゲール死亡?
セレステラ死亡
兄タラン死亡?
デスラー死亡?
2199年9月22日 222日 56日
最終話 青い星の記憶 66日 地球 超空間リレーにより地球と交信回復
加藤と原田が結婚
コスモリバースの異常起動。森雪蘇生
沖田十三逝去
ヤマト帰還
2199年12月8日 299日 77日

日付は予告の「人類滅亡の日まで…」から計算。ガミラス側の描写はヤマト側と月日が一致するとは限らない。ガミラスの出来事の太文字は一致が確実なもの。
距離の太文字は劇中での台詞により確定の数字。その他は推測。バランは16万8千光年を二で割った数値。「?」は自信のない推測。放棄されたゲートはビーメラ星系とする発言もネットで見られるが、第17話の島の説明や16話と17話の間に12日経過していることから別の星系と考えられる。

 


過去のコラム No.51-75(2014年6月28日-2014年9月30日)

過去のコラム No.1-50(2013年9月30日-2014年6月26日)

 TOPへ
 
 TOPへ