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生空間設計

□春の旅路

2013.04.10

 この季節は毎年どこかしらの桜を
 見に行きます。
 吉野千本桜、高遠小彼岸桜、薄墨桜、
 海津大崎の桜等比較的近場の有名桜
 は見てしまったので、今回は地元で
 有名な桜を他の観光地と一緒に堪能
 してきました。

 早朝に到着したのは、奈良の東、山と
 渓谷に囲まれた、女人高野・室生寺。
 建築の教科書にも載っている小さくて
 美しい五重塔があります。
 他の五重塔に比べて16.1Mと小さい
 のですが、平面も小さく、屋根と屋根
 の間が広いため、また最初は階段下
 から見上げるため、上品な迫力があり
 ます。以前見たテレビの表現ですが、
 まさに森に舞い降りた天女。
 が、ここの魅力は五重塔だけでなく、
 室生川を渡り、芽生え始めた山を少し
 づつ登りながら伽藍を眺めていくと、
 俗社会から離れて体は少しづつ自然
 の中へ抱かれ、意識は自分の中へ
 と少しづつ導かれる心地良さがあり
 ます。
 
 お昼に到着したのは、吉野の手前、
 本郷の瀧桜。戦国武将の後藤又兵衛
 が落ちのび、僧侶となって一生を
 終えたという伝説から、又兵衛桜とも
 呼ばれています。樹齢300年とも言わ
 れる、幹周約3M、高さ約13Mの見事な
 1本しだれ桜。そのダイナミックな枝ぶり、
 満開の花は、見応え十分。
 が、ここの魅力は又兵衛桜だけで
 なく、山に囲まれ手前に川が蛇行し、
 護岸整備がすばらしく、背後の桃の
 花の鮮やかなピンクや、根元の石垣
 とのバランス等、その周囲の環境が
 又兵衛桜を瀧桜として見せています。
 
 夕暮れに到着したのは、あの弘法
 大使・空海が約1200年前に開いた
 高野山。山道を何度もカーブを繰り返し
 て辿り着くと、突然街が出現します。
 さすがに空海でも今の高野山の姿を
 創造出来なかったでしょう。室生寺
 とは対照的なストレートな伽藍配置。
 そのスケールに圧倒されます。
 伽藍の中心、密教の真髄を立体表現
 した根本大塔の中へ入ってぐるりと
 廻ると、大日如来を中心に展開された
 密教の世界感にドップリ。
 が、ここの魅力は大伽藍だけでは
 ありません。空海が入定し、今尚入定
 し続けているとされている奥の院。
 入り口周辺には駐車場やお土産
 販売店等が並び、賑やかな観光地
 なのですが、参道の両サイドに広がる
 おびただしい数(20万とも言われる)
 供養塔の間を歩くうちに身が引き
 締まる感覚を覚えます。敵同士
 だった、名だたる戦国武将や無名の
 庶民、白蟻までが同じ命として
 扱われています。御廟橋を渡った所
 から更に空気が一変します。
 大木で柔らかく落とされた陽光、
 流れる川による瑞々しさ、
 空海の確かな存在感。
 
 その環境全体の中で人を惹きつける
 場所が成り立つことを実感する
 春の旅路となりました。
 
室生寺 五重塔
△本郷の瀧桜「又兵衛桜」
△高野山 根本大塔 △高野山 六角経蔵