裂織の可能性

鈴木利子 裂織の世界 掲載:2010.1.3
    再生デザイン大賞受賞まで
2009.12.25受賞
  (読売新聞東京本社主催)
嶺岸昭子の世界
   (1928.4.21~2009.2.8)から
日高京子 2009年9月
  「作品集より」作成CD
西本和枝 裂織作品展 2009.9.12~9.30
  新潟県佐渡市
岩谷純子 革 糸 布 遊び
   -絵革 裂織 刺し子 草木染など-
2008.11.8~11.14
  埼玉県さいたま市
弘布: 伊藤弘子展 
 ○四角から:展開例 ○デザインいくつか
2009.5.7~5.19
  東京世田谷区
岡田くに子 裂織展
2009.4. 1~4.27
  長野市
KAZU SUZUKI 個展
   彼がアーティストとして伝えたいこと
2009.4. 4~4.18 京都市
  鈴木利子
成宮けい湖 二つの裂織展

2008.3.15~4.13滋賀県
2009.4. 4 ~5. 6 京都市
加藤幸子と「綾の会」
   裂織作品展示即売会
2009.2.26~3. 2  
  東京 表参道
レポート 宮本宣子
   We're Weavers 織り仲間展
2009.10.2~10. 4 
  茨城 佐倉市
レポート 山本雅子
   山鹿織りの会作品発表会を訪ねて
2009.11.10
  茨城 日立市
レポート 伊藤洋子
   「ひかりの園」で裂織体験ボランティア
2009.08.01
  神奈川 横浜市

 鈴木利子 裂織の可能性
   ―再生デザイン大賞受賞まで(読売新聞東京本社主催)

  作品説明:鈴木利子  写真:工房のろぼっけ


   おしゃれな日
 紅絹はなぜか人の心をひき
つける。表舞台に立てる日を
待っていたのか 紅がまぶしく
舞う。
  経:シルケット加工綿糸
   緯:シルケット加工綿糸

    紅絹、化繊糸
  (デザイン・縫製 澤井淑江)


      華
 北国の春はとてもまぶしい。
残り雪と隣り合わせに咲いている花々。冬の間にたくわえた力を色に変えてきそうのか。
  経:綿糸
  緯:綿糸、紅絹、裏地

 (デザイン・縫製 鈴木利子)
  

   ラストダンスは私に
 悲しみの涙がしみこんだ着物も役目を終えた。美しく染め上げた経糸に添えて、装いも新たにパーティドレスに変身させた。あなたとの楽しい思い出をつくるために。
  経:綿糸 絣染め
  緯:男物丹前、絹、着物裏地

 (デザイン・縫製 鈴木利子)
  


      大地の歌
 風化してしまう布を集め、新しい命を生み出す。私にとって裂織は、丸で焦土から命が生まれるような勇気と希望を与えてくれる。
  経:シルケット加工綿糸
  緯:男物丹前、着物裏地、
     シルケット加工綿糸

  (デザイン・縫製 鈴木利子)
  


春の足音 
 竹垣の根元にほんの少し顔をのぞかせている土。軒下のつららも水滴を落とすのに大忙しだ。見つめる私の背中も春の日差しがあたたかい。

  経:シルク糸
  緯:シルク糸、着物胴裏
白絹

  (デザイン・縫製 澤井淑江)
  
 


    絵のない絵本
 月の光に照らされて、雪の景色はやさしくそして凛としている。「むかーしむかし、あるところにな」毎晩子どもたちは次のことばをわくわくしながら待っている。色あせることない心の中の1ページ。
  経:シルケット加工綿糸
  緯:シルケット加工綿糸、
     着物胴裏、白絹

  (デザイン・縫製 澤井淑江)


   深山の湖
 悠久の時を刻み鎮まる湖面は天空の鏡。ときおりいたずらな風が波紋を残し駆け抜けてゆく。
  経:綿糸 絣染め
  緯:綿糸

 (デザイン・縫製 澤井淑江)

経:綿糸 緯:綿糸、浴衣、布団側
ハンケチ、紗の着物
(デザイン・縫製 鈴木利子)
 祭好きの父のために、母が生前仕立てた一枚の浴衣。ねじり鉢巻、しりっぱしょり。神輿の先頭を歩く父の浴衣姿は町内の名物でもあった。
 出歩けなくなってからは寝巻きとして愛用していた。父や母の思い出に、息子や娘たちの愛用品をプラスして、私の宝物はできあがった。

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 嶺岸昭子の世界(1928.4.21~2009.2.8)
   ――日高京子2009年9月作成CD-ROM 「作品集」より――
                             撮 影 高山 ゆたか

手仕事のことはじめ


中三の作品 中学校時代の作品 ろうけつ
中学三年の作品 中学時代の手刺繍 女学校時代制作のロウケツ染
を貼った屏風に帯を飾って

「小物・素材ファイル」から 
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「昭子 作品」ファイルから

ジャケットのみ
裏地接写
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「娘(京子)の為に」ファイルから
嫁入り支度として スーツ
絹 (コチニール)
嫁入り支度として スーツ
絹 (セイタカアワダチソウ)
嫁入り支度として スーツ
絹 (茜)
嫁入り支度として3ピース
絹 (紅茶とシナモン)
嫁入り支度としてスーツ 絹 
(コチニール、青の染料不明)
妊娠中の正装として 
絹 (染料不明)
コート(裏 昔の着物生地) ロングコート 絹 リバーシブルジャケット絹(裏)

「着物」ファイルから


     
 染・織が大好きだった母
                          
                                 日高京子 ( 東京 杉並区 ) 


染色から始めた母

染色は私が小学生の頃に習い始めましたが、お稽古日は、夕食や手作りおやつの準備も早朝にすませて出かけるなど、楽しみにしている様子が子ども心にもわかりました。機織は、染色から数年後に開始。麻でラグを織ったり、ウールで帯やコート地を織ったり、草木染めや藍染めに凝ったり、そして裂織へと移行しました。草木染めに夢中だった頃は、多摩川の河原にゴム長靴を履いて「セイタカアワダチソウ」を取りに行ったり、琺瑯の大鍋で糸を煮ながら茜や紅茶で染めた糸を見せてくれたことを覚えています。

 

 私が婚約した時

 草木染めの着物を仕立てた残り生地で父のネクタイを作り、パーティなどに夫婦で出かけると、父は「首まで絞められています」と言って皆さんを笑わせていました。私が婚約した時、母は猛スピードで草木染の服地をたくさん作ってくれ、気に入ったスタイルの雑誌の切り抜きを仕立て屋さんに持参して一緒にデザインを考えたのは大切な思い出です。

裂織を始めてからは、母が使う赤の色合いを気に入って下さる方が多く、「皆さんが『みねぎしレッド』と仰るのよ」と、うれしそうに話し、裂織で賞をいただいた時は、「お免状をいただくなんて、女学校以来」と笑っていました。

 

 「気になる衣」年一回の作品展が目標

母より相当若い「気になる衣」のお仲間と一緒に活動するようになってからは、健康に留意するのは勿論のこと、毎月様々な絵画展・展覧会に出向き、また雑誌の広告から包装紙まで作品のヒントになるものはみなスクラップし、試し織りも重ねて、年1回の展覧会出品を楽しい目標にして毎日を過ごしていました。それにしても一体いつ、これほど沢山の作品を作っていたのかと驚かされます。

 

沢山の方々の親身の協力に感謝

 今回制作したCD-ROMの撮影は、プロカメラマンの高山ゆたか氏の全面的なご協力をいただき、高山夫人にお買い上げいただいた裂織コートも収録しました。遺影は、飯泉美耶子さんが全国裂織協会HP(全国裂織ニュース第19号)の「裂織人を訪ねて」に掲載されたものを使用させていただきました。

母の織地の特性を素敵に生かした「デザイン・仕立て」は:斬新なデザインと手作りボタンの組合せでインパクトのある服を沢山作って下さった後藤羊子さん。本格的できちんとした仕立の新井よね子さん。生地の印象を生かすデザインと仕立の鈴木育さん。三人のセンスと腕のお蔭で、母の「生地」が「衣服」としての命を得ました。

今回の会の準備・運営・後片付けにいたるまで「気になる衣」の、池上ゆづるさん、羽嶋芳子さん、安田廣子さん、小林フク子さん、米澤召子さんに助けて頂きました。池上さんのお姉さまには、何台もの美味しいケーキを焼いて頂きました。ここにお名前を挙げていない方々を含め、皆さまに大変お世話になり、感謝の気持ちで一杯です。
ありがとうございます。

 

追記:未使用作品は「気になる衣」展へ

晩年の未使用作品は、1130日~125日「気になる衣」展(築地)と、来年の15周年展で展示する予定です。長年一緒に活動してきた「気になる衣」のお仲間から、展覧会に遺作を、とのお申し出を頂き、晩年の作品と併せ、草木染めの糸で織った着物もご覧頂きたく思っております。こちらの展覧会も、ぜひお運び頂きたく、併せてご案内致します。


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 西 本 和 枝 裂織作品展 から
   ――裂織13年 佐渡の自然をテーマに織る――

私にとって佐渡の自然は、幼いころの体験、体感にもとづいています。
 幻想」は、佐渡の海に親しんで育った記憶。 海中に射しこんだ光で海底に
  描かれた光の輪や、自分が発している水泡を感じながら創作しました。
  素材の綿は一部藍染めをして使っています。 技法は綴織ですが、作品は
  3分割して織り合わせているので、円の接続部には大変苦心しました。

 「渦潮」は、人を寄せつけないほどの険しい海の回想です。 日本海の荒波
  の中、するどく巻き上がる渦とうねる波の動きを表現したのですが、少々、
  渦の中心が優しかったような気もします。もっと大きさや、もっとえぐられる
  ように力強い表現があった方がインパクトがあったように感じています。
                                
撮影 深堀 習 09.09.12


藍の華波   03年8月
経:綿糸 緯:綿  w670×h:1890
第2回全国裂織展入選 
湖畔のやすらぎ  04年11月
経:綿糸 緯:綿 w:1400×h:1510
第33回新潟県 芸術美術展入選
幻 想   05年8月
経:綿糸 緯:綿・古綿・絹  w1500×h:1920
第3回全国裂織展 美術工芸部門佳賞 
未 躍   05年4月
経:綿糸 緯:綿  w970×h:1360

錦繍の彩り   05年10月
経:綿糸 緯:綿・絹  w1300×h:1760
第2回佐渡市展 市長賞 
 爽 風 05年11月
経:綿糸 緯:綿 w:1530×h:1920
第34回新潟県 芸術美術展入選
秋 映   06年10月
経:綿糸 緯:絹  w1420×h:1960
第3回佐渡市展 教育長賞 
 渓 谷 06年11月
経:綿糸 緯:古綿・綿・絹 w:1560×h:1900
第35回新潟県 芸術美術展入選
羽 衣   07年6月
経:綿糸 緯:綿・絹  w140×h:1780
第62回新潟県美術展 第5部門 初入選 
 渦 潮  07年10月
経:綿糸 緯:綿・絹 w:1280×h:1800
第4回佐渡市展 市長賞・第3部門無鑑査

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 革・糸・布 遊び  岩谷純子展 から
―絵革 刺し子 裂織 草木染めなど―
 
2008年11月8日~11月14日
 プラザイーストにて (埼玉県 さいたま市)

展示された120点の中から
裂織作品&裂織+異素材の興味深いもの

18点をご紹介しましょう。


                              撮影: 岩谷 拓   (サイズの単位:ミリメートル)
コート
コート
経:木綿(黄色はマリーゴールドで染めた糸
緯:下の部分と袖口は男物の紬の着物から。
ボタンは革を染めてくるみボタンに。スカーフもマリーゴールドで染めたもの。
裂織と革の大型バッグ
w:480×h:510×d:120
経:木綿 緯:黒い絹
持ち手、底の部分などは市販の革
裂織と革のポシェット
w:230×h:230×d:30
経:木綿糸柿渋染め 緯:麻、木綿、レースの
カーテン地  持ち手、かぶせは市販の革
ポシェット
w:230×h260×d:30
経:木綿柿渋染 緯:麻、レースの
カーテン地
四角形バッグ
サイズ:350の正方形
経:化繊 緯:裂糸の残りと革
裂織と革のバッグ(黄)
w:500×h:270×d:200 経:木綿 緯:絹、
ウール(ほんの少し) 持ち手とかぶせ
(革端を利用)は絵革、
左右に止め金具使用 はずしても使える
半月型バッグ
w:500×h:250×d:150
経:木綿 緯:絹 帯
持ち手、脇の飾り、かぶせは絵革
変形バッグ
w:320×h:500 経:木綿 緯:絹 持ち手と
ファスナーつけ部分は絵革 二枚の織布を合わせた形で、中に物を入れて持ったときの形がユニークです。
クッション
w:760×h:540 経:木綿 緯:裂糸の残り
を集めて。左右の飾りは絵革のボタン
鼻緒
経:化繊  緯:化繊(トリコット
のブラウスから)
タペストリー
w:360×h:1800 経:木綿 
緯:絹 とこ革をハマナスの
葉と枝で染めたもの。上部は
近くの浜で見つけた流木
タペストリー
w:360×h:850
経:木綿 緯:オレンジ・洋服地
ベージュ・和服地 
下・不要になったゴザを利用
タペストリー
w:350×h:850 経:木綿
緯:デニム 上部は流木と
革を染めたもの 房飾りは
革に穴をあけて通したもの
ストール(ウール)
w:300×h:1800
経:木綿  緯:ウール
ストール(カシミアの服地で)
w:230×h:1600
経:木綿  緯:カシミア
ストール w:100×1800
 経:絹 緯:化繊(トリコットのブラウスから)
 経:絹 緯:絹
裂織のれん
w:1250×h:800
経:木綿 柿渋染め 緯:絹、木綿
テーブルランナー
w:500×h:2600
経:木綿 緯:木綿

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伊藤弘子展 ルーフギャラリー(東京) 2009.5.7~5.19
Hiroko Ito Exhibition at Roof-gallery in Tokyo
一枚布の究極: 四角から出たまこと
 
布には藍のくるみぼたんとループがついています。 この仕組みを活用すれば
組み合わせ自由。 着る自由との出会いをお楽しみください。

There are buttons covered with cloth dyed in indigo blue and loops.
You can enjoy your own "hirofu"style with them.
Feel free how to arrange. You will find what free fashion is !



                         撮影: 佐藤公夫  PHOTO: Kimio Sato
1枚の着こなし例
One cloth
2枚
Two cloths
も一つ2枚
Another fashion for 2
3枚なら
Three cloths
4枚はたとえば
An example for 4
貫禄の5枚
Full-fashion for 5
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「弘布」 伊藤 弘子 展から: デザインいくつか
Some designs from "HIROFU"Exhibition

                           撮影: 佐藤公夫  PHOTO: Kimio Sato

ゆったりした装い
Relax
横段
Tier
大波
Swell
幾何学模様にさまざまな
ニュアンスをテイストして
アレンジした3種

Geometrical taste
縞つなぎ
Leashing stripe
菱形つなぎ
hand in hand
季節感を感じる
アレンジ1種

Signal for a season
雪解け
Thaw
大玉
Big ball


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小谷村から15年:拓かれた裂織の軌跡
岡田くに子 裂織展 2009年4月1日~4月27日
 旧長野県知事公舎 小川村郷土歴史館にて (長野市)


漂う 明けゆく 傘鉾
  「漂う」 w600×h1980
  経:麻 緯:麻・銅線・綿・絹
   2009
 「明けゆく」 w1100×h1750
  経・緯:絹・綿 2004
  第2回全国裂織展入選
   w750×h1900
 経:綿 緯:絹
綿2007
 第4回全国裂織展入選
春らんまん 想い
 「春らんまん」 w760×h198
  経:綿 緯:綿・絹 
  2008
 「中土の郷」 w580×h1100   経:絹 緯:草木染綿 
  2006
 「想 い」 w760×h1900
 経:綿 緯:綿・絹 2007
ぬくもり 凜
 「ぬくもり」 w1650×h1850
 経:絹 緯:絹、綿 2005年
 第3回全国裂織展奨励賞受賞
  「彩」 w600×h1520 
   経・緯:絹 2005年
  「凛」 w440×h1300
  経:綿、絹 緯:綿 
  2008年
雲と爽 響き
  「雲」(左)w200×h680
  「爽」(右)w200×h800 
  経:綿 緯:綿(浴衣地)
  2004年
  「響 き」 w2000×h1600 
    経・緯:絹 2006年 
    第4回全国裂織展入選
コート ジャケット ベスト
  コート 経・緯:絹 h950 
  2006年
  ジャケット  経・緯:絹
  2005年
  ベスト  経・緯:絹 
  2003年
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KAZU SUZUKI 個展 2009年4月4日~4月18日 
ギャラリーギャラリー (京都市)

カズさんの世界
 カズさんの世界
ものがたりする
 ものがたりする
おしゃべりな作品たち
おしゃべりな作品たち 
作品と語る
 作品と語る
カズさん語る 語り出す作品
 カズさん語る 語り出す作品 
<撮影:小林 伸司 (「作品と語る」は深堀 習)>

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テキスタイル アーティスト

KAZU SUZUKI が伝えたいこと

                          
          手織り工房 のろぼっけ 代表 鈴木利子 (栃木県宇都宮市)

2009年4月、京都にあるギャラリーギャラリーで KAZU SUZUKI 個展が実現しました。
真っ白な空間に、天に向かって昇る立体物の群像。私にはとうてい理解できなかった得体の知れない物体。
それらが、はるか京都の地で満開の桜に称えられながらご披露されたことを心からうれしく思い、また私自身が勇気づけられる思いでいます。

気がついたら居場所がなかった
 長男克弘( KAZU SUZUKI )が生まれ、学齢に達したときのことです。当時まだ障害児の就学受入れ先はなく、役所からは「お子さんは精神薄弱児(現在は知的障害といいますが、当時はこのような呼び方をしていました)であるため就学を猶予します」という通知が届きました。先の見えない不安。生きることも死ぬことも地獄。突然足元から崩れ落ちたような気分でした。

 彼が10才になったとき、初めて県立の精神薄弱児養護学校ができました。まだ義務化されていなかったため、交渉の末にどうにか4年生として編入させてもらうことができました。就学できた喜びも束の間、障害の重い子どもたちが多数を占める養護学校の卒業後の進路はなく、就労の見込みはまったくありませんでした。
 当時、知的障害者の生きる道は収容施設か在宅の二つの選択肢しかありませんでした。しかも収容施設に入所できる確率は低く、大半は生涯在宅を余儀なくされます。これではせっかく学校へ通って学んだことが生かされることなく、学齢期を過ぎてしまえば社会とのつながりも断絶することになるのです。いちばん憂慮すべきことはそれを支える家族との関係です。世の中に必要とされることなく、ただ自宅で年をとっていく障害をもつわが子を、疎んだり気の毒に思うことはあっても、だれが誇りにできるでしょうか。家族にとって、希望の光をどこに見出せばよいのかわからない状態でした。

作業所づくりのなかで
 息子に生きていく道筋をつけてやりたい。克弘が入学したのを機に、すでに大阪や名古屋で実績のあった知的障害者がはたらく通所作業所を、栃木県にもつくりたいと思い立ちました。県内では前例のないこと。理解を得て協力者を募ることは困難をきわめました。行政の援助も受けられず、無認可作業所として6年間実績をつみ重ね、ようやく社会福祉法人の認可を受けることができました。克弘も養護学校卒業後には毎日作業所へ通所するようになりました。しかし、作業所をつくることが本当のゴールではなかったのです。

 「克弘の人生はこのままで本当にいいのだろうか。彼は本当に幸せなのだろうか。」
と思うようになったのは、次男が社会人として自分の人生を歩きはじめたころです。それまで漠然としていた疑問が次第に心を占めるようになっていきました。克弘が克弘であることの意味。彼でなければできないことがあるのではないかと思いはじめたのです。

さをり織りとの出会い
 当時、具体的な方策があったわけではなく、あれこれと暗中模索の毎日でした。
 そんな折、「感力を引き出し育てよう」「自分を織りに表現しよう」というさをり織りに出会いました。今から約20年前です。私はこれが克弘の人生を変えるなにかのきっかけになればと、まずは自分が夢中で織りました。しかし、息子はいっこうに関心を示す気配がありません。そんな状態が続き、4年の月日が流れていました。
 もう克弘には織りは無理かもしれないとあきらめかけていたころ、彼は突然
「ボクもやる」
と織り機に向かいました。
息子が織りをやりたいと言った。そして、どんな織り方であれシャトルを手に織り機に向かって動かしている。それだけで私はうれしく思いました。もはや彼のアンバランスな織り方など気になりませんでした。むしろ、息子は自分がどんな作品をつくりだそうとも、それを母が否定せずに受け入れてくれる、その時期が来るまで待っていたのではないかと思います。

障害はプラスに転じる
kAZU写真集  彼の作品は次第に多くの方々の心を魅了するものとなっていきました。息子の生きる証を、生まれてきた意味を知ってほしい。その思いではじまった創作活動が、今度は誰かを勇気づけたり励ますものになったのです。2008年には地元で個展を開催することができました。そこで撮影された数々の作品から1冊の写真集・・・長い時間をかけてひとつひとつ織りあげるようになり、いつかは写真集をつくりたいと抱いていた夢・・・が、ありがたいことにさまざまなご縁をいただいて実現しました。
 環境さえととのえば、障害は特質としてプラスに転じる。私たちはこのことを身をもって体験できたのだと思います。


争いのない平和な世界に
 障害をもつ人の多くは人の心の動きを敏感に感じ取ります。彼らは安寧な世の中を強く望んでいるのです。
KAZU SUZUKIにとって、穏やかな生活の延長上に創作があります。生きることとつくること、人を信じること、だれでも同じように愛すること、すべてに同じ重さの価値を感じているのだと思います。そして、あきらめないかぎり人は希望を持って生きることができるということを、テキスタイルアーティストKAZU SUZUKIは、作品を通じて私たちに伝えているのだと思います。                          
                                   top


三代の着物でたっぷりタペストリーを織る
成宮けい湖 裂織展 2009年4月4日~5月6日
 白沙村荘内 懶雲洞 (京都市)
湖の詩 源氏物語
  「湖の詩」 W1220×H1350 経:エジプト綿糸(モカ茶) 緯:綿、麻(浴衣、布団皮) (第2回全国裂織展入選)

裂織教室の帰り道、いつも眺める琵琶湖。充実した想いがあふれる。
  「源氏物語」  W1660×H2050 経:絹、エジプト綿糸 緯:絹、綿(着物)(第3回全国裂織展奨励賞受賞)

裂糸の端がひらひらする裏を出そうと思い立つ。ひらひらをきれいに揃えようと熱が入って、織り続けること、一日16時間の日が続いた
湖愁 心映え
  「湖 愁」 W2200×1980

ある時湖面全体が紫に見えた。経糸を濃い赤にして、緯を紺系 統(中国の印花布)の裂糸にしてみた。思った紫になった。
「心映え」 W1900×1430  経:エジプト綿(モカ茶) 緯:絹、綿、麻(青、布団) (富嶽ビエンナーレ入選)

年に1度か2度、琵琶湖全面が赤くなるときがある。そこに行き合わせた。自然はすばらしい。人間はさらにすばらしい。
湖への祈り 蓮花さそふ風
  「湖への祈り」 W1980×H1900 経:エジプト綿―青、モカ茶 緯:セピア色になった未使用のガーゼをもらい、藍に染めてもらった。

自然に感謝し、水の大切さを子々孫々に伝えたいと願って織った。
  「蓮花さそふ風」 W2050×H2000 経:綿 緯:布団の額縁、おじいさんの丹前、胴裏(紅絹)

この作品はリバーシブル。 裂糸の端がひらひらの裏側の題名は「木洩れ日」 
春の湖 楽浪
  「春の湖」 W1930×2570 経:麻 (京展入選)

工場を閉めるから何でもあげると言われて、麻をもらう。麻はペタッとなりやすいので、裂糸にしっかりよりをかけ、表面が立体的になるように織る。
  「楽 浪」(さざなみ) W2050×H2180 経:エジプト綿モカ茶 緯:綿、シルク 

よく晴れた日の昼下がり、さざ波が楽しげにキラキラとおしゃべりを交わす。
太古の響き 暮れゆく湖
  「太古の響き」 W1250×H1600 経:綿 緯:ウール、綿 (東近江市展特選)

ウールは斜めに切って、しっかり縒りをかける。縒りをかけると、素材が変わっても耳がそろう。

 「暮れゆく湖」 W2000×2180 経:綿(ピンク、青、モカ茶) 緯:綿(男物の裏、布団。白は娘の浴衣) (富嶽ビエンナーレ入選)

裂織を習って帰るとき日が暮れる。琵琶湖が青緑色に色を深めてい
くのを眺めながら、今日一日の充足感にみたされて家路を急ぐ。
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思い出の布と遊ぶ―成宮けい湖裂織展―
2008年3月15日~4月13日
愛荘町立歴史文化博物館(滋賀県)の展示風景から(同館提供画像)

成宮作品01
「古都の橋」 H2000×W1970

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半年かけて裂き、ハサミで鋏んで玉に巻き
色別に引出しに整理した裂糸


裂糸 裂糸
裂糸 裂糸

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加藤 幸子 と 「綾の会」 (新潟県佐渡市)
佐渡物産展にて裂織作品展示即売会
2009年2月26日~3月2日 東京渋谷区
表参道新潟館ネスパス1Fイベントスペースにて


ネスパス 加藤さんとお仲間
表参道にあるネスパス 日本の裂織の草分け、佐渡の加藤幸子さん(写真右端)主宰する綾の会の佐々木マサエさん(中央)羽山ナツさん(左端)
テーブル掛け 加藤さん
加藤さん制作、市松織バリエーションのテーブル掛け 綾の会を指導しながら、1年に数回上京デパートなどの物産展にも参加してきた。
携帯用バッグ 座ぶとんカバー
携帯用バッグ 両端のひもでしばった部分をほどくと平らになり、折りたたんでしまうことができる。 日本の伝統的な染め模様を裂織で表現した加藤さんのかのこ織、座ぶとんカバー
袋物
袋ものは需要も多く、様々に工夫するのが楽しい。 小物も毎回いろいろ工夫して、お客様に楽しんでいただく
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We’re Weavers織り仲間展(第13回)2009.10.2~4
 レポ-ト:09.11.25 宮 本 宣 子
 (茨城 佐倉市) 
今回のテーマ「花織りをたのしむ」会員が花織りをデザインして タペストリー、着物、おび、洋服、マット、など和のものにこだわらず 製作した作品が会場を飾りました。
 織り仲間の拠点として発足した、手作り工房 「織りー夢」は来春創立6年目を迎えます。このご時勢、つぶれることなく 細々ですが、皆が作った作品を売る場所として、また、いろいろな講習会を 開いて、お客様に楽しんでいただいていると自負しています。 これからも、皆で知恵を出し合って、楽しい場所にしていきたいと 思っております。


花織り 帯 2点

花織り 帯とバッグ

花織りタペストリー

バッグ

洋服 花織り

洋服 右端花織り

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第9回山鹿織りの会 作品発表会 を訪ねて
 レポ-ト:09.11.10 山 本 雅 子
 (茨城 日立市)
 


筆者:前列右から二人目、左隣が会の代表松沢かねさん。
松沢さんは長野県茅野市にある博物館を退職後、、織機の本も出版。裂織の普及のため教室を開き、この会が発足したという。

 もう二年前になる、山鹿織りの会のみなさんと出会ったのは。全国裂織展京都移動展研修旅行でのこと。
 私は「私の華織・花火」のポンチョを着ていた。「私の華織」は、着物の美しい柄をつぶさずにそのまま活かして裂織のポイントにする私が工夫した織。
 それを見たみなさんがとても気に入ってくださって、前から後ろからカメラのおさめ、裂織談議に花が咲いた。
 作品展には案内状を送るという約束を楽しみにしていたら、届いたのだ。
 「手織りの布で作務衣を仕上げました」というテーマ。時刻表を調べると、新宿に出て特急に乗れば、日帰りが可能。日程をやりくりして行ってきました。丹精を込めた作品を今度は私がカメラに収めてきました。ご覧ください。
















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今年も「ひかりの園」で裂織体験ボランティア
レポ-ト:09.08.01 伊 藤 洋 子
  (神奈川 横浜市)

  体験会場スナップから


織り始めると間もなく調子をつかむ


織り始めで、裂織と出会う
仕上げまでしっかり習います 大人の参加も歓迎
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手織りの楽しさ 次の世代にも
旭区役所ロビーで裂織展08(向かって左が伊藤さん)             伊藤 洋子

5回目になる裂織体験ボランティア
 
毎年小学校の夏休み初日に、横浜の知的障害者通園施設「ひかりの園」では、地域の人たちとの交流を目的に、夏まつりが開催されます。ここでボランティアをしている会員の提案で、手織りの会「四季」は、裂織の体験会をするようになりました。
 今年は7月18日。当日は雨模様の天気でしたが、裂織りコースター作りに近所の小学生たち約30人がやってきました。
 なかに上手に織っている小学生が居たので、声をかけると、「今年で3回目なの。楽しいから織りに来ました。これはおばあちゃんへプレゼントするの」と、嬉しそうです。そういえば、この体験会は今年で5回目になっていました。

材料の準備・当日の設営・指導にもなれました
 前日までに材料の布、今回はスカーフ工場から送られてきた長い端布をほぐして幅をきりそろえ玉に巻いての緯糸つくりと、経糸の整経。当日は準備のすんだ糸たちと織り機4台、諸道具あわせて、会員の車で運びます。また当日、裂織で織って仕上げまで指導にあたるのは、会員ボランティアが全部で11人。裂織を体験して楽しむ子どもたちの顔を見、子ども時代に裂織りを体験することの意義を思うと、疲れなどふきとびます。私たちが手織りを楽しめる限り、この活動はこれからも続けていきたいと思っています。

岩瀬京子さんが 「手織りの会『四季』」 を創設
 手織りの会「四季」は、社会福祉施設を退職していた岩瀬京子先生が平成3年に、洋裁と手織りの教室を自宅に開いたのがはじまりです。銀行のロビーや旭区役所のロビー等を借りて展示会を開くなかで、中高年の方が多数入会し大所帯になったので、マンションの一室を買い専用の教室にしたのです。洋裁を学んできた私は、年を重ねても楽しめる趣味をと平成5年に入会、助手になりました。

手織りを楽しむサロンとして受け継ぐ
 しかし平成13年岩瀬先生が病に倒れ、「この教室をみんなの楽しい織り教室として続けて頂戴。続けるのが苦しくなったら何時でもやめていいのよ。」と遺言を残し、平成15年他界。助手をしていた私たちは、ご主人と話し合い、創設者の意志を受け継ぎ、手織りを楽しむ仲間たちのサロンとして土台作りに力を注ぎ、6年が経とうとしています。一時は解散の危機に直面しましたが、助言・協力して下さる方たちのおかげで、今では最盛期の人数に持ち直し、何とか続けています。「岩瀬先生が亡くなったとき、この教室もお終いになるかと思ったけれど、続けてくださり本当に良かった。織りは私の生き甲斐よ」という会員たちの声に励まされて、会の運営とともに織り技術の向上に力を尽くしています。
                                 (神奈川県横浜市 手織りの会「四季」代表)

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裂織の今 研究会
E-mail:sakiorijapan@yahoo.co.jp
URL:http://sakiorijapan.com
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