大西水鳥の短歌

自爆テロ 母に残せし遺書なれば 他に道なし他に道あり (平成十三年九月十四日)

アフガンの月の砂漠は弾よりも 駱駝に道を譲れと祈る (平成十三年十一月三日)

寒空もムシ クサたちは共に棲み ヒトは地球を割りて争う (平成十三年十一月三日)

アフガンの方を見遣れば雁の群れ ビルの谷間を濡れし消えゆく (平成十三年十一月三日)

アメリカの日本は走狗か幇間か 憲法九条また熟読す (平成十三年十一月三日)

風たちて木の葉は落ちる 人の性とは言え今も殺し合うとは (平成十三年十一月三日)

視座として守り抜きたる半世紀 憲法曲げて艦出航す (平成十三年十一月三日)

美しき言葉少なき報道に 見ざる聞かざる吾は苗植え (平成十三年十一月三日)

アフガンの平和を願い幾たびも 聞き届けてよ獅子座流星 (平成十三年十一月十九日)

前文と第九条の隙間より 我が艦隊はアフガンに向く (平成十三年十一月二十三日)

信仰が戦もとなら伝えたし 賢治みすヾの霊魂の世界 (平成十四年一月十四日)

真夜中にオリオン添い寝の子守唄 北斗の針はアフガンを射す (平成十四年一月四日)

砂塵空Allah・Cristo話し逢へ 「兵弋無用」と我等が仏陀 (平成十五年四月二日)

刺草や イラクに「さくら」 植えようよ (平成十五年四月三日)

葱坊主 イラクのモスク 健在や (平成十五年四月三日)

生きものの永久にと祈る太陽の プロミネンスのかけらの地球 (平成十五年十一月二十四日)

真実が犠牲となりし戦なり 終わっても判らぬ事実 奥津城の中 (平成十六年一月二十日)

金のため志願してゆくイラクへと 帰還すれども残るPTSD (平成十八年八月二日)

ポケットの無き歌浮かぶ悲しさと 鳩に食ません豆の種播く (平成十九年十月十日)

ポスターの一人欠けれど九条の 輪を満たさんと張り替えし春 (平成二十年四月二十九日)

「イラク派兵は違憲」の判決 枝豆の芽に露の光りし (平成二十年五月三日)

第九聴く 第四楽章虎落笛 9条胸に千代の春明く (平成二十二年一月一日)