会報『白鳥』150号(抜粋)

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★☆★  会報「白鳥」ついに百五十号到達  ★☆★

謹んで地域社会ヘ、訴え続けて…会長:村上きみ子

★☆★  会報百五十号発行記念ご寄稿  ☆★☆

東北厚生年金病院 院長 藤村重文

仙台循環器病センター呼吸器科部長 岡山道子

福田内科クリニック院長 福田陽一

角田市 金上病院 副院長 安藤由紀子

たむら内科クリニック院長 田村豊一

★☆★  創刊の頃  ☆★☆

心豊かな生活を、「白鳥」創刊号にあたって…東北白鳥会 宮城県仙台支部 塩崎高志

白鳥会の名前によせて…会長 村上きみ子

衝撃から呼びかけへ…会長 村上きみ子

低肺の実態を知らせたい…NHK仙台記者 黒岩史成

テレビを見て「助かった!」〜「低肺」の実態を放送…会長 村上きみ子

「低肺」に出会って…NHK仙台放送局 高井孝彰(ディレクタ−)

まだ何も始まっていない…黒岩史成

★☆★  ズームイン・ズーム(ドキュメント東北白鳥会)  ☆★☆

<<ミヤギテレビ 平成七年三月二日土曜 AM七時四十九分〜五十八分十五秒>>

全国有数の渡り鳥の飛来地・宮城県迫町の湖沼。その中でも殊に多くの野鳥が羽を休める内沼。ここに酸素ボンベを手に白鳥を観にきた一人の女性がおります。

村上きみ子さん、毎年一回、白鳥をここに見にくることが生きる目標です。

『空気をください』…「低肺」患者の訴え

『空気をください』放送をおえて…潟~ヤギテレビ放送 水本豊

福島市、念願の助成措置実現…白鳥会会長 村上きみ子

★☆★  たばこをめぐるニつの話題  ☆★☆

東北大学加齢医学研究所呼吸器腫瘍研究分野 教授 貫和敏博

(付属病院 遺伝子・呼吸器内科)

★☆★  危機管浬  ☆★☆

東北大学加齢医学研究所呼吸器再建研究分野 教授 近藤丘

★☆★  高齢者の健康と漢方薬「ボケない努力を自ら」  ☆★☆

東北大学医学部老年・呼吸器病態学講座教授 佐々木英忠

(東北大学医学部卒、ハーバード大留学、東北大医学部教授、病院副院長兼務)

★☆★  医学講演 肺の病気の話  ☆★☆

第四十二回日本呼吸器学会総会 市民公開講座
(平成14年4月16日 仙台市国際センター)

喘息の話…帝京大学医学部内科 教授 太田健

肺癌の話:肺癌の予防…弘前大学医学部老人科 教授 水島豊

肺炎の話…塩釜市立病院呼吸器内科 部長 板橋繁

結核の話…国立療養所東埼玉病院 院長 川城丈夫

★☆★  会員より  ☆★☆

情報に学ぶ…東北白烏会副会長 木村久米治

戦時下軍隊で感染しました…秋田市 黒沢耕三

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謹んで地域社会ヘ、訴え続けて  …会報「白鳥」ついに百五十号到達

東北白鳥会 会長 村上きみ子

東北白鳥会を結成して十九年、そして、会員の皆さんから愛され親しまれてきた会報「白鳥」の百五十号を発行する日を迎えました。いま静かに目を閉じると、十九年間・百五十号に至るまでの数々の懐かしい思い出が浮かんでまいります。その思い出の一こま一こまは、白鳥会が歩んできた姿そのものです。

この間穏やかな時期はすくなく、大波が押し寄せるような数々の試練があり、イライラしたり悩んだり、悔し涙を流したこともありました。しかし、皆様に温かい言葉で励まされ、苦難を乗り越えることができました。

遅れている呼吸器機能障害者の「医療と福祉の向上」を目指し、仲間の命を守るために、会員の悩みを訴え続けてきました。この間多くの方々のご支援をいただき、感謝の気持ちでいっぱいです。不思議に、過ぎ去った年月がすごい速さでよみがえり、ともに喜び・涙したことが懐かしく思い出され、胸が熱くなります。

白鳥会の活動は、昭和六十年にNHK仙台局から「低肺、呼吸不全と闘う」が放送され、大きな反響を呼び起こしました。翌年には、東北大学の滝島教授が中心となり「東北地区呼吸不全対策協議会」を結成し、私たちに温かい手をさしのべて下さいました。また、昭和六十二年には、NHKおはようジャーナルの「低肺、埋もれた元結核患者たち」が大きな話題となり、白鳥会は全国的に注目されました。私たちは会の目標に向かい正しい運動を前進させるために、厚生大臣はじめ県や市当局、関係議会などに陳情し患者の窮状を訴えっづけました。

同時に白鳥会の事業の大きな柱である、会員に「医療・健康に関する情報」を提供し、会員を啓蒙し励ますために、会報『白鳥」を発行しています。刻々と進歩している新しい医療などの情報を知りたくとも、息苦しくて講演会などには出掛けられない会員に、役に立っ情報を会報を通して提供すべく努力してきました。また、人と人との関係が希薄になっている現代社会の中で、高齢・一人暮らしなどの会員を励ましてきました。会員からも「大変に役立っている」、「会報が送られてくるのが、待ち遠しい」などと感謝の便りがたくさん届いており、この会報を通して会員・支援者などとの心の結びつきが、一層深まっていることを痛感しています。

会報の発行には大変な苦労があります。スタッフには、記者や編集の経験者がおりません。また、資金も十分とは言えません。往々にして校正する体力が皆無のときがあります。しかし、先生方から医療の情報をいただきながら、至らない点は皆様にアドバィスし補っていただくなど努力してきました。この仕事を通して、人と人が助け合うことの美しさ、目標に向かって努力することの大切さなど多くを学びました。また、この発行には赤十字共同募金会から、資金の助成を支援いただきましたが、本年度より打ち切られて困っております。

いま、記念すべき第百五十号を発行できたことに感動し、皆さんと喜びあいたいと思います。

今後は心を新たに、会員皆様のご意向を聞きながら、内容の一層の充実に努めてまいりたいと考えています。

皆様の厳しくも愛情のあるご意見と、知恵を結集し、「白鳥」を立派に育てていきたいものと考えております。

呼吸器機能障害者に二級を設けることや、在宅酸素療養者にパルスオキシメーターを貸与することなど未解決の問題について、行政当局は「医師のご意見を伺って検討したい」との考え方であります。私たちは呼吸器疾患の先生方にもお願いしながら、行政当局への陳情などを続けてまいります。

最近の半年間を振り返って見ても、宮城県議会に請願書を提出し、これを採択していただきました。引き続いて県知事・厚生労働大臣への陳情、日本呼吸器学会長へのお願い書の提出、国会議員への陳情などしてまいりました。この間にも大勢の仲間が亡くなられ、まことに寂しい気持ちでいっぱいです。

社会の変化によって、条件や環境は年とともに変わっていきます。しかし、人の命の大切なことには変わりありません。私たちの健康は厳しい状態ではありますが、障害者が不安なく、人間らしく生きていける社会を目指し活動していきます。皆様も知恵と力を貸して下さい。

今、庭の紫陽花が色々と満開ですが、特に純白の大輪は頭程の大きさで葉も濃緑で堂々としており、希望が多く沢山の方にさし上げました。華麗ともいえる花々は台風に打たれ花の重みに倒れかかっても、すぐ立ち直りしっかりと咲き誇ります。このような自然の強い生きる力、美しい姿を見ていると、心も洗われ又力が沸いてきます。

「白鳥」百五十号の発行に至るまでの年月は、河の流れのように奔流とせせらぎと、数々の出会いと『別れと、思い出とを刻みながらも未だ流れをたゆたっております。船頭は未熟なまま白髪になってしまいました。
肺は全ての病気の第一関門です。志をついで東北の地に肺の患者会を守り育てて下さる方を求めています。

皆様の胸中にも十九年間の間に様々な出来事や、時代の変遷が駆け巡っておられることと思います。どうぞ困難にめげずに生き抜いて下さい。私達も今後も「白鳥」に、より最新の知識と患者の実態の伝達誌として育成し地道に、確実に進んでゆきたいと思います。皆様の変わりない温かいご指導。ご支援を心からお願いいたします。

この十九年間、か弱い私達低肺者を支えて下さいました大勢の方々に改めて深酎申し上げます。

*白烏会では、この他に臨時号、号外、特別号等約三十冊を発行しております。

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東北厚生年金病院 院長 藤村重文

(日本学術会議会員、東北大学名誉教授)

東北白鳥会会報の第百五十号発刊を心からお祝い申し上げます。

創立以来十九年の間に「白鳥」を毎回立派な内容の会報として発刊されてきたことは、低肺機能と戦っている会員の方々に有益な多くの情報や日常の健康管理のための指針を提供し、間違いなく勇気や希望を与えてきたと確信します。

我が国の症病構造は第一次世界大戦以降、生活習慣(ライフスタイル)の変遷に高齢者人口の増加が加わることなどによって、著しく変化してきました。症病構造の変化はライフスタイルの変化や人口の高齢化に加えて社会や経済環境の変化に強く影響されていることはもちろんのことです。

我が国は今後小子化と高齢化が一層進むことは確実で、人口問題は深刻です。二○○六年をピークにして人口減少が避けられない状況で、二○五○年には平均寿命が男性八十.九歳(二○○○年七十七.六四歳)、女性八十九.三一歳(同八十四.六二歳)にまで延びると推定されています。

このような人口問題は、日常生活上身近なことで年金や医療制度などを含む社会保障制度における厳しい諸問題を提起しています。特に医療制度は我々が直接影響を被るものであり、医療を受ける側にとって平成十四年度の制度改定はこれまでになく厳しいものです。

我々もそのようなことに対して重大な関心を払い、自らも対応策を考え出して強く発信していかなければならないと思います。

国民の健康調査の一環として昭和二十三年から患者調査が行われていますが、それによって近年まで増加率の多い病気を調べてみると、最も増加率の高いものは主として癌に占められる悪性新生物です。

病気を更に詳しくみると、近年は消化器疾患、高血圧、脳血管障害、悪性新生物、糖尿病、虚血性心疾患などとともに呼吸器系疾患が多くなっています。

二○○○年のわが国の死亡状況からみた○歳の死因の死亡確率の高い順から上位四疾患でみると悪性新生物(男性三○.○二% 女性二○.二八%)心疾患(男性十四.四三% 女性十八.六○%)脳血管疾患(男性十三.二二% 女性十六.一二%)肺炎(男性十一.六八% 女性十一.四八%)でした。

こ承知のように肺炎は慢性呼吸器疾患を伴ったものにとって最も重大かつ重篤化する疾患です。

我々に密に関係した呼吸器に目を向けてみると、今日、肺癌に代表される悪性新生物と慢性閉塞性肺疾患(COPD)を含む非可逆的肺疾患などの急増が社会的にもとくに注目を集めています。これらの慢性呼吸器疾患はとくにQOL(生活の質)を阻害し、日常生活に大きく影響を与えるためです。

肺癌は高齢化が進行する二十一世紀の我が国にとっては極めて大きな社会的課題のひとつですが、高齢化社会では慢性呼吸不全をきたす慢性閉塞性呼吸器疾患の増加も同じように大きな問題となっています。

慢性閉塞性肺疾患は慢性的な気道の形態学的・機能学的障害のために咳、痰、呼吸困難などをきたす疾患群をさします。肺気種、末梢気道病変、慢性気管支炎を基本的な病態とし、医学的に厳密には肺気種と慢性気管支炎とは区別されていますが、これらはすべて難病の範疇に入ります。

厚生労働省(旧厚生省)調査による一九九九年の羅患数は、肺気種六五,○○○人、慢性気管支炎一,五五五,○○○人となっています。

慢性閉塞性肺疾患の八○〜九○%は喫煙に起因し、喫煙開始後二○〜四○年で発病するといわれていることから、実際にはその羅患数は一千万人をはるかに越えると推定されます。

ライフスタイルとしての喫煙が、如何に我が国で多くの人々の健康阻害の原因になっているかがわかります。

慢性呼吸不全の発生には、個人の病歴や大気汚染物質の増加なども原因になりますが、喫煙は最も大きな問題のひとつです。

慢性閉塞性肺疾患の管理では、疾患進行の予防、QOLの維持・改善、合併症予防と治療が大切です。
実際的には禁煙、ステロイド吸入、包括的リハビリテーションの三項目が重要視されています。
近年肺気腫病態の研究が進み、それに対する肺容量減少術や肺移植などによる外科治療も可能になりました。

呼吸不全を来す慢性肺疾患に対して多くの治療法があり、それぞれが有効ですが、その中で最も大切なことは、羅患者自身が自分自身にあったライフスタイルを作ってそれらをしっかりと守り安定した状態を維持することです。

慢性閉塞性肺疾患に対する在宅酸素療法(HOT)が一九八五年以来保険適用となり、 一九九四年四月からはパルスオキシメーターで指先において測定した酸素飽和度から酸素分圧を換算する表を用いて、医師はだれでもHOTの申請ができるようになりました。

HOTには適応と禁忌の条件があり、それらを十分に理解することと、医師による安全な管理が必要なことがあるのはいうまでもありません。

今後はHOTのさらなる普及が強く望まれます。

将来わが国は、資源やエネルギーなどに限らず、あらゆる面で循環型社会へと進むことが必要です。
高齢化社会においても再生産という観点から、寝たきりにならないためにはどうするか考える必要があると思います。

国の政策はもちろん重要ですが、個人にとっても積極的に物事を進める気構えが必要でしょう。
気力と体力は相互関係にあるわけですから、身体を動かす気力は失いたくないものです。
「白鳥」百五十号記念にあたり、お祝いを申し上げるとともに会員の皆様の今後のご健勝を心からお祈り申し上げます。

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仙台循環器病センター呼吸器科部長 岡山道子

会報「白鳥」150号発行おめでとうございます。

会員の皆様の困難な中での多年にわたる、白鳥会および会報発行の活動に対し、心からの敬意を表します。

医療、福祉をめぐる情勢はますます厳しさを増しております。

会員の皆様には、日頃から栄養、睡眠を充分とる様に心がけられ、風邪をこじらせない様にご注意下さい。また、定期的な医療機関への受診をおこたらない様にし、胸部レ線、肺機能検査、動脈血ガス分析測定(またはパルスオキシメーターによる動脈血酸素飽和度測定)をお受けになる様お薦めします。さらに十一月中にはインフルエンザの予防接種を毎年お受けになる様おすすめします。

以上の注意をしながら、適切な量の酸素を吸入しながら、日常生活の中に、上手に呼吸リハビリを取り入れ、出来るだけ息切れのない生活をお送り下さい。

疾患(慢性呼吸不全)を友として上手におつき合いをして下さい。

息切れが進行する場合は、医療機関を受診し、原因を調べてもらって下さい。場合によってはマスク型陽圧補助換気装置による在宅呼吸器療法が有効なことがあります。

皆様のご健康を切にお祈りいたします。

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福田内科クリニック院長 福田陽一

白鳥創刊百五十号 おめでとうございます。

会報の名前として、なんとうまい命名かと感心したことが昨日のことのようです。

十九年とは、早いものです。

この間、多くの会員の方との出会いと別れがあります。

会報にのせられている会員の方のお便りを読ませていただいてきましたが、いつも無力な私共の背中をたたかれているような感じがしていました。

多くの方の無念を忘れないようにということかと心している次第です。

私達、地球人としては、いきなり話が大きくなりますが、白鳥がいつまでも飛び続けられるように、きれいな空気を保っていく義務があると思います。

汚染された空気で病気をふやしたり、開発により新たな病原体を、まき散らすようなことは避けたいものです。

白鳥という美しい名前の会報が、いつまでも続くことを願い、少しでもお役にたてればと思います。

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角田市 金上病院 副院長 安藤由紀子

会の存在は重要なもの、頑張って下さい。

在宅酸素療法を行いながら外来通院していらっしゃる方や訪問診療、訪問看護を受けていらっしゃる方もいます。

内部疾患はなかなか周囲からの理解や、介護保険上の認定においても厳しいものがあります。貴会の存在は重要なものと思いますので頑張って下さい。

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たむら内科クリニック院長 田村豊一

◇わが町は電気代半額助成を実施しました…福祉の町、秋田県鷹巣町

仙台は、梅雨入りし、うっとうしい毎日のようですが、ご健勝にてお過ごしでしょうか。低肺機能の人達にとっては辛い季節でしようが頑張って下さい。

さて、この度は、丁重なお手紙を下さり、大変、恐縮しています。会報(白鳥)の百五十号発行、お慶びいたします。

十九年問におよぶ歩みは並大抵ではなかったと推察いたします。これも一重に村上会長はじめ白鳥会会員の並々ならぬご努力によるものと思います。今後も、この会がいつまでも継続されますことを心から祈念いたします。

会報に掲載する小生の文章の依頼がありましたが、開業八年目になり、マンネリの診療生活をしているので、白鳥会会員に参考になるような文章を書けるすべは何もありませんが、今年度のわが鷹巣町のHOT患者への酸素濃縮器の電気代助成の話をご紹介します。

かなり以前から、北秋中央病院(小生が以前勤務していた病院)の一部のHOT患者さんから「酸素濃縮器にかかる電気代がばかにならない。何とかならないか?」という話がありました。

勿論、私のところのHOT患者さんや他の二〜三の診療所のHOT患者さんもそのアンケート調査に協力しました。

結果は当然、「電気代が大変、行政が少しでも援助してくれれば助かる」というものでした。そこで、児玉先生と北秋中央病院のHOT患者さん達がそのアンケート調査結果を持って鷹巣町長に直談判にいきました。

鷹巣町は、全国に有名となった「福祉の町」を標榜する町です。結果は一つ返事でOKでした。議会もスムーズに通過し、今年の四月から掛かった適気代の半額援助が決まりました。

このことは、たまたま我が町が福祉に力を入れている町であるから出来たことかも知れませんが、他の市町村でも患者さんの訴えが強ければ、行政を動かすという一例であるかも知れません。

白鳥会では以前から電気代助成のことを訴え続けていますが、さらなる訴えを続けて、全国のHOT患者さん達の救いになれればと思い紹介させて頂きました。

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◇在宅酸素療法者に朗報…鷹巣町、酸素濃縮器電気料を助成

(縣北新聞、2002年4月17日より)

鷹巣町は、四月から呼吸器機能障害の在宅酸素療法者に助成金制度をス夕ートさせる。酸素濃縮器の電気料の三分の一を助成する制度で、県内初めての試み。在宅酸素療法を必要とする人の大多数が高齢者。年金生括で経溌的に苦しい立場。しかし延命のためには酸素療法が絶対不可欠。酸素濃縮器そのものは保険対象となる、電気料は自己負担。この自己負担分を経減する制度で、すでに問い合わせが舞い込むなど呼吸器障害者などの人たちの朗報となっている。

町内には肺気腫や肺結核後遺症あるいは慢性気管支炎などの疾患による呼吸器機能障害、さらに心不全などによる心臓機能障害で、在宅酸素療法を統けている人たちが多い。こうした人たちは北秋在宅酸素の会(花田栄一さん代表・会員五十人)を組織して、互いに連携をとりながら生活している。

呼吸器あるいは心臓障害を持つ人たちの多くは高齢者。年金生活で経済的な余裕のない人たち。ところが、酸素濃縮器のリース料は保険対象となるが、電気料は自己負担この使用料が相当な額にのぽる。

酸素濃縮器の機種や酸素濃度はその掛かりつけの医師の指示で行われているため、電気料も格差があるが、平均して月額三千円から六千円前後。

これが生括を圧迫している要因となっている。

このため北秋在宅酸素の会では、一昨年八月に電気料を助成するよう町に要望していた。町としても他市町村に煎例がないこともあって検討してきたが、三月議会で百三十三万二千円が予算化され、四月から導入の運びとなったもの。

町では「在宅酸素療法者酸素濃縮器の利用助成事業の実施要綱を定めてス夕ートさせた。同制度を受けようとする者は、在宅酸素療法者酸素濃縮器利用助成申請書を町長に提出する。審査の結果、資格があると認めた時に決定通知書を送付する。

支給期間は申請のあった翌月から、手当てを受ける事由がなくなった月までとしている。

助成金は、酸素濃縮器が稼働した一ヵ月当たりの推定電気料金の二分の一相当額。酸素濃縮器の機種や酸素濃度で使用料が異なるが、月額三千円から六千円前後。その半分を助成することになる。

毎年四月五日と十月五日の二回、それぞれ前月までの分を支給することにしている。現在の該当者は三十六人。生活様式の変化などから増える傾向にあるといい、受け付けは随時行って行く考えである。

すでに広報で新制度の紹介を含めながら周知徹底を図っているが、町福祉保健サーピス課には問い合わせが舞い込んでいるという。問い合わせもさることながら、「助かる」という新制度への感謝も奇せられているそうだ。

近藤文廣福祉保健サーピス課長は「電気料の一部を助成することにより当該障害者の健康維持の一助になっていただければ」と語っていた。

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心豊かな生活を、「白鳥」創刊号にあたって…東北白鳥会 宮城県仙台支部 塩崎高志

待望久しかった創刊号の発行を見ましたのは、会員各位の熱意と、各位の御支援によるもので、厚く御礼申し上げます。特に県、市当局の関係機関、衛生・民生局、各医療、身障福祉関係の皆様には励ましの言葉まで頂き有難うございました。

一昨年二月に名古屋の先輩グループによって、NHKテレビ放映があり、全国の低肺機能者(慢性呼吸不全患者)が、始めて結核後遺症の実体を知りました。これによって、その後各地で続々とグループが結成されて行きました。

当地仙台でも、いろいろ紆余曲折はありましたが、発起人の万の純粋な精神と、たゆみない運動持続により、ここに立派な会報が出ることになりました。私も長期間闘病生活を経験してきた一人ですが、同じ境遇の人がこんなに多いことを知り、共に励まし合って生き抜こうと協力を決心しました。

◆私達には多くの問題があります。

低肺者の医療と生活。会員相互の相談活動の強化等々。これらを解決するには、実状を広く社会に訴え、行政の対応を求める運動をすすめて行かなければならないと考えます。

ここで皆さんにうれしいお報らせがあります。私たち慢性呼吸不全患者の急性増悪時の受入れシステムとしての集中治療室(IRCU)が六月末仙台鶴ケ谷第二病院にオ−プンすることになりました。東北白鳥会仙台支部が、仙台市議会に再三請願陳情してきたのが、やっと市議会の御理解を得て実施されることになったのです。

このことと会報第一号発行とは、私達の第一目標を達成したことであり、大きな喜ひですが、この力をさらに結集して、新しい目標に向って運動を開始する予定でおります。思いつくことを次にかかげたいと存じますのでどうか会員の皆さんの御協力をお願いします。

◆切実な要望事項

一、私達のグル−プを障害者の団体として認め、県・市の社保協加盟実現ヘ。

一、低肺機能者の実態調査。

一、独居重度低肺者収容の中間施設の設置。

一、自宅療養者ヘの保健婦さんの巡回訪問。

一、保健所による呼吸器教室開催。

その他低肺機能者及び家族の願いが実現されるように、市、県政を対象に幅広く行動を開始する予定でおります。また中央ヘの交渉については、連絡協議会に加盟して、先輩グループの方達と行動を共にしたいと考えます。

在宅酸素療法の健保適用も先輩グル−プの働きによるものと聞いております。私たちみんなが力を合せ大きな力を発揮すれば、大きな成果が得られるのです。みんなで考え、話し合い、努力いたしましょう。

最後に会員の美しい友愛と相互扶助によって、心豊かな生活が楽しみ合えるよう祈ってやみません。

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白鳥会の名前によせて…会長 村上きみ子

宮城県の伊豆沼内沼は、釧路湿原(一九八○加入)に続いて本州では初めて六十年五月、ラムサール条約に加入しました。

ラムサール条約とは、「特に水鳥の生息として国際的に重要な湿地に関する条約」(昭和四六年)で、特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地及びその動植物の保全を促進することを目的としています。

宮城県北にある伊豆沼水面に群れ遊び、又、はなれて漂う白鳥の婆を、現実に目のあたりに、幾人の低肺仲間が見られることか、遠くにあって恋うるとも。

寒い季節に

広い自然に点在し群れる

白く美しい白鳥ヘの

想いを込めて

北ヘの便りと

遠くヘの想いとを

東北白鳥会の名は、白鳥の品格ある雄姿、若山牧水の詩、伊豆沼ヘの探鳥、…を夢見ながら、いろいろな想いで名づけました。

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衝撃から呼びかけへ…村上きみ子

NHKの土曜リボ−卜を見て衝撃を受けました。(二年前から不調は正しくコレだったのです。)

二月六日、結核予防会の太田先生をたずねて、息苦しいと訴えました。

先生はすぐ、宮城野病院を紹介して下さり、即日、観察室に入れられて醗素を吸いました。

長年一人で暮らし、ホ−ムドクターを持たないでいた私が、五十八年二月にひいた悪性の風邪(肺炎)との戦いは大変苦しいものでした。

半日程であっという間に苦しくなり、寒けと呼吸困難と全身の異常さにうずくまりながら、このまま死んでしまうのではないか……と怯えました。

それから一年間は風邪をひきっ放しのような状態で頭も痛く、めまいもひどく、どうしても治りません。職場の上司に、何度も呼ばれて「健康管理が悪い!」と往意されました。

歯をくいしばって出勤しましたが、仕事上のミスもふえて、一日出勤しているだけがやっとです。フラフラで帰宅し倒れるように寝てしまう毎日でした。

NHKの土曜リボ−卜の一回目を見て、名古屋の低肺機能グル−プの河合代表に連絡をとり、二回目の放映を見て、東京のもみじ会、喜望園の江川様に連絡、教えを乞いました。

とりわけ名古屋からは沢山の貰料と数本のビデオテ−プ等をいただき資料をつぶさに読むにつれ、有難い中にも低肺の危険性をヒシと感じました。 仙台にも会を作ろう……私はまだ歩けるし、バスにも乗れる。電話も、友人にも会いに行ける助けて下さいと依頼にも行ける、寝たきりの人や、表立って訴えられない人に代って、まだ身体の自由のきくうちに社会の皆さんに訴えなければ、何十年も忍び耐えたうえに又、新たに覆い被さる低肺の苦しみを世に叫ばなければ、死んでも死に切れない!と心の底から思いました。

自宅に酸素ボンベを備えつけ、昼間の勤務で喘ぐ身体に夜だけ酸素を補給しながら、低肺の貫料、実態のアンケートをもって、市会議員の先生や新聞、放送の関係者の万々に、実情を訴えました。

またかつての療養時代の旧い友達にも、励まし合う仲間づくりを呼びかけましたが、なかなか進みませんでした。

でも、だんだんと理解と協力して下さる万々が増え、昨年の十二月にはNHK仙台から『低肺」結核後遺症と闘う、が放映されここに会報を出すことが出来ました。うれしい限りです。(会報ー号より)

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低肺の実態を知らせたい…NHK仙台記者 黒岩 史成

父は、戦後間もなく結核を患ったことがあると、母から聞いた覚えがあります。父はガンで死んてだので、つい最近まで忘れていました。私がその遠い昔の記憶を思い出すきっかけは、一本の電話でした。

「東北白鳥会」の村上きみ子さんから、電話があったのは、確か六十年の春だったと思います。仙台で開かれた集中治療医学会についての二ュ−スを見た村上さんが、ニュ−スを書いた私に、間い合せてきたのです。それが、私が「低肺」に苦しむ人たちとのはじめての出合いでした。

村上さんはその後、「低肺」患者の実態を少しでも知ってほしいと、何度も私の働く放送局に足を運び、熱心に、患者の実状や医療制度の不備を説き、福祉対策の必要も訴えました。記憶の彼万に遠ざかったはずの父の病いが、実はまだ多くの人たちを苦しめていることを、はじめて知ったのです。

私が「低肺」という障害の深刻な現状に心を動かされ、十分のレボー卜番組を放送するまでに、それから半年あまりの時を必要としましたがその間、村上さんの熱意は変りませんでした。それは、恐らく、死に向き合ってきた人たちだけが持続できる生ヘのやまれぬ執着であろうと思います。

死の恐怖がいったん遠のき、伝染病ゆえにしいたげられた心のキズをひっそりと癒やしてきた人たちが、やすらかな老後を迎えることもできず、再び、いつ訪れるかも知れない死の不安にさいなまされる。

誰もが幸福を追い求める権利を認められているこの時代に、到底見すごすことのできない問題です。

「空の青、水の青にも染まずただよふ」白鳥のように、一人一人は、孤独で無援で、命はかない「低肺」患者たちが、力を合せて、生命の限り生き続けてゆこう、というのが、村上さん達の「東北白鳥会」です。

「東北白鳥会」の人たちの願いが少しでも叶うように、「報道」の立場から、「低肺」という忘れられた病気に光をあててゆくことが、私のつとめです。(会報一号より)

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テレビを見て「助かった!」〜「低肺」の実態を放送

昭和六十年十二月十八日NHK仙台放送局から、東北では初めて「低肺、結核後遺症と闘う」が十分間放映されました。淡々とした黒岩記者のコメン卜が終るか終らないうちに「今、テレビでみたが」と旧い療友からの電話で初まり、「私も思いあたる節がある」、「資料がほしい」といった電話、便りが舞い込みました。

「うちの主人の症状が思いあたるので、もしかしたら…」と間い合せがあり、「苦しいので布団によりかかっていて眠れない」ということで、早速正月休みの明けた六日に仙台社会保険病院の福田先生に連格をとって入院されました。あとで聞いたのですが、入院のときは車椅子で運ばれる途中に昏睡状態に陥り、「O2は三○Torrまで低下しており、もう一日おそかったら危なかった」ということで「あのときもしテレビを見ていなかったら、今頃うちの主人は……、ほんとに感潮しきれない気持ちです」と云われました。(会報一号より、村上)

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「低肺」に出会って…NHK仙台放送局 高井孝彰(ディレクタ−)

私が初めて「低肺」という言葉を知ったのは昨年の十一月、記者の黒岩史成さんから、ニュ−スワイドの□ーカルの1O分間の番組でやらないかというさそいを受けた時であった。それから約半年の間、患者の方方の取材や関係貰料を調べていくうちに、ある一つの思いで胸がいっぱいになった。

それは「低肺」患者の人たちが何と苦しい生活をしているのだろうかということである。

苦しいというのは経済的にも精神的にもという意味である。

一般的に日本人は中流意識が定着していると言われる中で、満足な暮らしもできず、また、自分が低肺患者であることすら言えないで静かに死を見つめている姿に、私は何とも言えないやるせない気持ちになった。

このやるせなさを番組で伝えよう、そして私達が及ばずながら何かできることはないかを考えてみよう。これが私の素直な気持ちでした。

在宅酸素療法が健保適用で受けられる病院が東北において非常に少ないということもさることながら、東北に患者がどのくらいいるのかということすらわかっていないことを、このままにしておいていいのだろうか。そして自分が低肺であることを様々な理由で人に言えないでいる、患者たちがいることをこのままにしいていいのだろうか。十分間というう限られた時間で言いたかったことである。

今回、東北白鳥会が正式に発足したことは喜ばしいことだと思います。

低肺患者の相対的向上のために困難を乗り越えて突き進んで下さい。私たちもできることがあればどんどん取り組んでいきたいと思っています。

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まだ何も始まっていない…黒岩史成(NHK仙台記者)

孤独をしいられてきた人が、自らの孤独を断ち切るように死ななければならない。

もしそんなことがあるとすれば、私たちの社会はやはりこのままにしておくわけにはいきません。

私が「低肺」の患者たちの救済を求める必死の活動を取材して、二年半の月日がたちました。その間に「低肺」についての一般の理解はわずかに進み、県や市、医師会、大学などが動き始め、たしかに、取材を始めた時に切望しながらも実現は思いもよらなかったいくつかの暖かな手がさしのべられようとしています。しかし、その間に、まだ死ななくてもよかった患者たちが、一人また一人と何一つ救済されることなく命を断ったのも、また厳粛な事実です。

人の命に軽重などあるはずもありませんが、私がこの問題を取材してきた中で、最も心が痛んだのは、仙台市内のアパートで暮らしていた一人の老女の死でした。岩手県出身の彼女が東京の裕福な家庭に嫁ぎながら不幸への道を歩き始めたのは、結核におそわれてからです。仙台の厚生病院で手術療養した彼女は離婚。退院後も実家にも帰ることなく仙台市内のアパートを転々としました。そして「電気をかけられている」ような痛みと呼吸困難の後遺症にいつからか苦しめられるようになり、冬を間近かにしたある日、アパートの物置で、首をつって自殺したのです。「低肺」の症状がはっきりとみられながら、彼女をその苦しみから救う何の手だても、この社会はとれなかったのです。それどころかこの社会は、彼女の死から何かを得ることをさえしなかったのです。そして「彼女の死」は、くりかえされてきたし、いまもまだ、くりかえされています。ですから、あえて「まだ何も始まっていない。」と云いたいのです。では、何から始めるべきか。「彼女」のように、孤独をしいられてきた人が、自らの孤独を断ち切るように死ぬことを、一日も早くなくすことだと、私には思えます。それは、つまり「低肺」という障害が、死の危険を学んだ障害であることを、患者自身がよく知り、医師や看護婦はもちろん、国や市町村や地域の人たちがよく知り、社会が認知することです。結核という国民病の治療の結果としていま、大勢の人たちが、疎外と死に直面しているということを、誰にも認知させることです。そこからようやく、福祉国家といわれるこの国の中で「低肺」という置き去りにされてきた障害者たちの、社会生活そのものが始まるのだと、私には思えます。ですから、くりかえして云います。

本当に、まだ何も始まっていないのです。

始める努力を、国も市町村も地域の人たちも、医師や看護婦も、患者自身も、つまり、私たちの生きているこの社会そのものが、いま始めなければならないのです。

※彼女は東京の超一流の・お店に勤務していた麗人で結婚後、仙台厚生病院の一等室に入院されていましたが、往時は病気の重い方は殆どが離婚されました。その後、転変の後一人暮らしを続けられました。

同時代に厚生病院に入院してた者として皆で心からお悼み申し上げました。(会報四号より)

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『空気をください』…「低肺」患者の訴え

今朝のズームイン。ズームは、酸素ボンベがないと生活できない、呼吸することが苦しい患者の生活、その訴え、切なる思いをお伝えします。<< 中略 >>

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村上さんは若い時に患った肺結核の後遺症で、十二年前から濃縮酸素が欠かせない生活になりました。村上さんの病名は慢性呼吸不全。「低肺」とも呼ばれていて文字どおり肺の機能が低下していて、私たちのような呼吸をすることができません。村上さんの場合は片方の肺しか機能していないのです。

このような在宅で酸素を吸っている患者は、全国で四〜五万人いるといわれます。

私たちなら気軽にできる掃除や一寸した買い物も「取り込む酸素の量」が少ない村上さんにとっては、とても辛い仕事になってしまいます。お茶碗を洗ったりお米を研ぐことが精一杯の家事です。

仕事に就くことができず、食費や生活費は兄姉から、家事はヘルパーさんの助けをかりています。

低肺の苦しさを村上さんはこんな風に語ってくれました。

『胸を掻きむしり布団の中を転げまわるような苦しさがあっても、頑張って上半身起き上がり息苦しさに耐えてても、そのことを表現しても判ってくださる方は少ない。いつも死の影におびえていると同じなんです』

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*福田陽一医師 〔福田内科クリニック院長〕

「安静にした状態でも、呼吸の状態としてはフルにマラソンを走っていると同じ状態だと考えていただいて、酸素が足りませんと、まあひとつは一番大事な臓器である脳とか心臓とかそういうところに血液の酸素量が減りますので、脳の機能の点でも多少の問題ができますし、心臓に対しては大変に負担が掛かると…」

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現在低肺患者にとって最善の治療法が在宅酸素療法です。入院はしなくても良く、普通の日常生活を送りながら濃縮した酸素を補う方法です。村上さんもこの在宅酸素療法で病気の進行するのを防いでおります。

それでは在宅酸索療法をしないと患者はどうなるのでしようか。

在宅酸素療法を受けた場合、五年后の生存率は六○%、受けない場合は四○%と二○%の差が出ています。 << 画面に解説図 >>

ところが在宅酸素療法は、月に一万円から三万円の費用が掛かります。体力的に定職に就けない患者にとってはかなりの負担となってしまいます。

こうしたことから、村上さんは十一年前、低肺患者の会東北白鳥会を結成して医療費を無料にする運動を始めました。その努力の甲斐があって宮城県は障害者手帳三級以上の人の医療費を無料にしました。

=====<<吐く息の白い早朝の宮城野公園でインタビュー>>

水本記者…

その村上さんに今朝は来ていただいております。

村上さん 三級以上の方は無料になりましたね」

村上…

ありがとうございました。

これが障害者手帳です。<< 画面に村上の障害者手帳大写し >>

宮城県は三級以上の方が無料になっているんですが、低肺患者三級以上の方が無料で酸素を吸える県というのは限られているんです。<< 画面に全国府県地図が色分けして出る >>

平成六年十月現在でこのオレンジの部分の十八県が無料になっていますが、残る三分の二の県はお金を払わなければ、低肺患者は酸素を吸うことができないんです。

水本記者…

そこで私はその中のひとつの県、福島県の低肺患者を訪ねてきました。

=====<<低肺患者を訪ねて>>

水本記者…

酸素療法というのを受けて受けていらっしゃるんですか。

Aさん…

いいえ 受けていません。

水本記者…

…それは、どうして受けられないのですか。

Aさん…

経済的負担の大きいんで、なかなか今の状態ではうけるような経済状態ではないので…。

パートで働いても続かないんですよね。体カ的にきついしですし…。

金の切れ目が命の切れ目というか…、そうですよネ…。

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水本記者…

お金がなくなることが、すなわち死に結びつく患者がいる中で、福島県は医療受を無料にするつもりがあるのでしようか。お話を伺いました。

=====<< 福島県庁で >>福島県障害福祉課長

予算が伴うことになりますと、ある程度検討しなければならないという行政的な課題もありますのでねえ。今すぐということは、ちょっと難しいと思うんですね。

正直甲し上げますとして、この内部障害者の中でも、呼吸機能障書者の皆さんの状況については、こちらの方も把握していないんですね。

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水本記者…

福島県ではまだ状況すら把握できていないというのです。

では国は医療受についてどう考えているのでしょうか。

=====<< 厚生省で >>厚生省更生課

国がやる部門は、まあ国としての医療保険制度で、あとは県の独自の判断でやっていただくということにしておりますので、そういう意味では、特にこの部門を上乗せ的にやるべきだとか、この部門はやるべきではないとか、そういった指導は特段やっていません。

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水本記者…

つまり国は今の医療制度で、今の状態で十分役割を果たしているといっているんです。

でもですね、現状としては、たまたま自分の生まれた県が無料で、峠を越えた隣の県が有料という状態が続いている訳なんです!。

村上さんが率いる「東北白鳥会」というのは、いつ絶えるともわからない命だけに、年に一度やって来る白鳥を来年も観ることができるようにという気持ちから付けたものだとのことです。

=====<< 再び宮城野公園から >>

水本記者…

村上さん。自分の県はお金を払わなくともいいのに、どうして全国のまだお金を払わなければならない県に向かって、そこまで動いているんですか。

村上…

私どもの病気の苦しみは、本人でないととても判らないものです。

こんなに苦しむ人達の、生命のもとの酸素代がお金がかかるので、私たちが動けるうちにも、なんとか同じ仲間を助けていただきたい。

それが人間として生きる道だと思います…。

水本記者…

…実際ですね、私たちは吸うことができる酸素を、吸うことができずに亡くなって逝く方が沢山いるんです。

患者の大半が六十代の方です。この方々はどんどん病気が進んで行って声を上げずに、国に伝わらないうちに亡くなってゆくことが充分考えられるんです。

=====<< 東京ズームイン・朝の建物前路上ファーストシーンにマイクタッチ >>

福留キャスター…

あの…、こういう本当に困っていらっしゃる皆さんのことを、本気になって国が吸い上げることをしないと。お役所の時間で審議審議で、またハンコがいっぱい要ることに、すべての命を預けることはできませんのでねえ。皆さん!、こうして番組に取り上げたのを、いい機会にですね、是非こういう皆さんのために国や県の皆さんが腰を上げて戴きたい!。

水本記者…

一日も早く動いてもらいたいです。

福留キャスター…

いろいろご苦労様でした。

-----【編集注記】

福島県の低肺対策は、この報道後急速に進展しました。

平成9年4月福島県、内部障害者の3級医療費助成を実現

平成9年4月郡山市、電気代一部助成実現

平成14年4月福島市、低肺者にもタクシー券を交付

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『空気をください』放送をおえて…潟~ヤギテレビ放送 水本豊

=====平成七年三月二日。仙台市・榴ヶ岡

朝七時を迎えようという時、ゆっくりとした足どりで村上さんが姿を現した。

空は青く澄んでいて、白い雲も目に色濃く残る朝。空気はとっても冷たくて、落ち着かぬ気持ちを抑えようとして踏んばるはずの私の足も、寒さでジンジンとしている。

村上さんは、いつもの表情でボンベを手にゆっくりと私の前に来て頭を下げた。『眠れなくてね。つらいわ。』と言いながら、それでも来てくれた。

実は私もあまり眠れなかった。

私が初めて村上さんに会ったのは、今年の二月末。私がリポーターをしている、「ズームイン!朝!」の取材で村上さんと、そして白鳥会を知った。

低肺患者の方々の会・白鳥会を取り上げようと決めたのが、ディレクターの相原明子。

以前から放送する気持ちが強かった相原ディレクターから、白鳥会について話しを聞いた時には、ただただ驚くばかりであった。「低肺」という言葉も、私にとっては初めて耳にするものだったのである。

と、同時に私の頭をもたげて来たのは、果して低肺患者の現状を、どれだけ的確に伝えることが出来るか。という思いだった。

◆呼吸することがどれくらいつらいのか。

◆低肺患者に対する医療の現状は・・・。

◆県・国に対してどんな姿勢でインタビューすればよいのか・・・等々。

しかし、常に気になっていたのは、バランスであった。

白鳥会のスタンスは? 国や県の立場はどうか? 私の姿勢は? 視聴者の視点は?

そのような様々なことが交錯するなか放送当日を迎えたのであった。

=====本番五分前。

私の頭には、今日までの取材の数々が頭に蘇ってきた。

ワープロに向かう村上さんの姿。

白鳥会の皆さんとの伊豆沼でのロケ。

バスの中での談笑・・・等々。

数え上げたらきりがない。

=====本番十秒前。

グッと胸が苦しくなってきた。それまでの思いが堪えられなくなったのだ。

=====本番突入。

少し感情的になってきた。横で村上さんが、懸命に息をしながら、私のインタビューに答えているのである。

「何かを言い忘れてはいないか。何か忘れていないかo落ち着け、落ち着け。」私は胸の中で念仏のように唱えていた。

=====本番終了。

冷たい風邪のなか、ボーッと、空を見て思わず「あー」と言ってしまった。

感情に走りすぎだった。そんな気持ちからだった。

=====いま、放送から半年近く経つが、その思いは変わらない。

感情は、事の重大さ〜「低肺患者の置かれている状況」〜を伝える手段であったのか。

少なくとも今回の場合は“違う”、と感じた。

今回の放送では、低肺患者の置かれている状況をきちんと伝えることに徹するべきであった。

私のリポートは、白鳥会の皆さんへの感謝の気持ちと、そして、「がんばって下さい」というエールでもあったような気がする。

もしかすると、“白鳥会の皆さん”が私のリポートの対象であったような気がする。

しかし、今回の放送の対象は、全国の視聴者であった。そうあるべきであった。

ただし映像、構成は全国の視聴者に目を向けていた、これだけは間違いない。

私の気持ちだけが内側〜白鳥会〜へ向いていた。

三月二日のリポートは、私にとってはまだまだ納得のいくものではなかった。

それでも、ひとつだけ大きなものをつかんだ気がする。それは、事実の重みを知る大切さ〜これが私の仕事では大切な要素であることを身に染みて感じている。

私は今回、低肺患者の実情を伝えることが出来なかったが、本当に事実を知っている皆さん−−白鳥会の皆さんには是非がんばってもらいたいと思っています。

真実の重みは、白鳥会のはばたきを妨げないとものと、信じています。 終

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※水本様にはご報道半年後の十月なってから、原稿をお願い申し上げましたにもかかわらず快くご承諾頂きました。本当に有り難うございました。

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福島市、念願の助成措置実現…白鳥会会長 村上きみ子

福島支部の幕田裕子さんから、低肺患者の長い間の願いであった「タクシーの利用料金の助成」が、平成十四年度から実現しました、という嬉しい知らせが、届きました。幕田さんは「タクシーの利用料金の助成」「酸素濃縮器の電気代の補助」などについて取り組んできましたが、昨年十二月の市議会において、加藤勝一議員が代表質問の中で取り上げられ、市当局から次のような回答を引き出していただきました。

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(質)自らの歩行も困難な呼吸機能障害者の方々は、在宅での酸素療法の進歩により、長期の入院を余儀なくされていた状態から、状況が許されれば在宅でも十分人並みの生活を送ることができるようになった。

ただ、在宅での生活に欠かすことができないのは、在宅酸素療法が可能な酸素濃縮器の存在で、月々の維持費の負担も多く、生活を圧迫する場合も少なくなく、在宅における酸素濃縮器への助成と、通院及び社会参加のためのタクシ−券などの助成について伺う。

(答)呼吸機能障害者については、現在本市には百三十九名の重度の呼吸機能障害者がおられ、在宅で生活に不安がなく、自立と社会参加の促進がはかられることは、「ノーマライゼーション」理念の実現に向け、大変重要と考えている。重度の呼吸機能障害者に対する酸素濃縮器への助成については、その施策実現のため貴重なご提言であり、他市の実施状況を調査研究しながら検討してまいる。タクシーの利用料金の助成については、必要性は十分認識しており、早期実現に向け努力してまいる。

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この度「タクシーの利用料金の助成」について実現しました。ご支援下さいました皆様方に心から感謝申し上げます。なお「酸素濃縮器の電気代の補助」についてもヘ実現するよう、訴え続けていきたいと考えています。

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たばこをめぐるニつの話題

東北大学加齢医学研究所呼吸器腫瘍研究分野 教授 貫和敏博

(付属病院 遺伝子・呼吸器内科)

【その一】たばこは感情に訴えないとやめられない

東北大学加齢医学研究所は医学部の北側にあるレンガ張りの建物です。この研究所に赴任して九年になります。感心するのは創建時の人々の植栽に関する配慮です。四季折々、素晴らしい彩りと香りです。

皆さんが加齢研を訪れると驚かれることがあるでしょう。

この素晴らしい研究所の前庭で、若い研究員がたばこを吸っているのです。がんを研究している研究所の優秀な若手研究員が、たばこを吸うことに何の矛盾も感じない。

呼吸腫傷という臨床研究分野の責任者として、その前を歩くたびに胸が痛みます。そしてタバコの本当の恐ろしさは、この点にあるのだと考えます。米国の厚生省機構の一部であるFDA(Food and Drug Administration)では、たばこを習慣性のある嗜好品として規制しようとしています。すなわち、頭では、理屈では分かっていても、神経細胞がニコチンをほしがるようになり、やめられない理由はここにあるのです。

タバコは多くの臓器に害がありますが、肺に関して直接的には肺がんや肺気腫を発症します。
家庭酸素療法を受ける皆様方のうちの何人かは、たばこによる肺気腫が原因でしょう。それは頭ではたばこはやめようと思いながら、体がやめさせてくれない。その結果、慢性に肺の細胞が活性化され、肺が破壊される状況が起こってしまったのです。

ではなぜ、私たち臨床医はたばこをやめられるのでしょう。

私も学生時代から三十歳で自治医科大学呼吸器内科シニアレジデントになるまではたばこを吸っていました。

自治医科大学で大勢の患者さんの本当の苦しみを知りました。これは感情的なエモーショナルな動機付けとなります。動物でもそばで次々仲間が殺されるのは体で理解できる。
たばこの害に対する感情(emotion)に根付いた動機づけが強い契機となって、医者はたばこをやめられるのです(それでも五%程度はまだ吸っていますが)。

大学や病院にいると、もうひとつ心の痛む状況があります。

それはそうした施設の事務官が、たばこをやめられない問題です。

東北大学医学部付属病院は四月より全館禁煙となりました。

しかし、加齢研はそうではありませんから事務官もたばこを吸っています。多くの病院の事務官もそうでしょう。

これも悲しいことです。たばこが原因で多くの患者が訪れる病院にいながら、その原因がやめられない。

また「学問の府」といわれる天下の東北大学に奉職しながら、健康を害すると十分にわかっているたばこが止められない。

まさに、頭ではたばこは止められないという事実を絵に描いたような現実です。

たばこの問題はさらに複雑な、医療だけではカバーできない面があるのはもちろんです。

新大陸からもたらされたたばこは、明治新国家となって一八七六年から「たばこ税」の源泉となりました。すなわち国家が金のために国民に害を与えているという構造になっています。政治家の勇断がなければ、官僚では手に負えない問題であるのです。

【その二】テ−ラーメード医療

「たばこが何が悪い。毎日多く吸っていても別段何も起こらない。」

「おじいさんは死ぬまでおいしそうにたばこを吸っていた。肺の病気になどならなかった。」 よくある議論です。皆さんはどう考えますか?

少し話題は変わりますが、テーラーメード医療という言葉は聞かれることがあるでしょう。二十世紀後半の分子生物学の進歩は駕くべきもので、あっという間に私たちの全遺伝子を解読してしまいました。

そして二十一世紀はその成果をどう応用しようとするのかが「バイオ産業」などとして話題になります。

テーラーメード医療はそのひとつです。従来のように、薬は皆同じように効くのではないという考え方です。

服用した薬によっては、その代謝のされ方で、つらい副作用が出る人がいたり、別の種類の薬の方が合う人がいる。

これは身体の中の酸素や、薬が結合する蛋白質の違いによるものですから、その元になる関連遺伝子の情報が分かれば、不要な副作用を与えたり、合わない薬を長く飲まなくとも、遺伝子レベルで薬の選択ができるかもしれないことになります。「高等薬剤師さん」と言えるでしよう。こうしたその人にあった注文仕立ての医療を受けられるようになるという夢がテーラーメード医療には入っています。

話をたばこの問題に戻しましょう。

もう皆さんはうすうす想像されているかもしれません。

そうです。テーラーメード医療を裏からみれば、ある人がたばこを吸ったら、とんでもない肺の病気になるのは、遺伝子が規定しているということなのです。薬を服用してもほとんど副作用がなくてケロッと病気が治る人もいるように、たばこの害もほとんどない人がいるのは事実です。

しかし一方で、遺伝子の組み合わせによっては、たばこの害が表面に出てしまう人も多くいらっしゃるのです。

だから肺気腫の患者さんの兄弟に肺気腫の人が多いかもしれない。ことに自身が肺気腫で、ご子息がたばこを吸うという人は、下手をするとご子息がテーラーメードで肺気腫になるかもしれないわけです。私は肺気瞳の患者さんには「ご子息や孫にたばこは親の仇と思って吸うなと言いなさい」と指導します。残念ながら現段階で、どの遺伝子が原因ということまではわかっていません。

しかし患者さんのご兄弟やご子息たちは警戒警報が出てるのと同じだと理解していただきたい。本当に台風や津波が来るかはわからない。しかし危ういことに近づいてはいけません。これはたばこを吸って肺がんになった身内がいる場合にも言えることです。

一九七二年以降、たばこには有害表示がついています。

「健康のため吸い過ぎには注意しましょう」。しかしこれでは何のことか漠然としてわからない。

私は「身内にたばこが原因で病気の人がいるなら、たばこはやめましょう」とすべきだと思います。

テーラーメードで肺の病気を作られてしまわないために。

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危機管浬

東北大学加齢医学研究所呼吸器再建研究分野 教授 近藤丘

アメリカで発生した同時多発テロは記憶にまだ新しいところですが、大きな事故や災害、国際紛争などが身近に起こる度に、しょっちゅう登場する言葉として「危機管理」があります。この言葉はすでにごく一般的な言葉として定着しています。しかし、このような概念をそもそも持っているアメリカと違い、日本ではその言葉ができたものの、その実態は以前とは何も変わらないのが実情のように思います。

ついこの前の三月には、ある大手の銀行の合併に際してコンピュターシステムがうまく働かないことによる大混乱がありましたが他社との競争においてもっと厳しい世界にあるはずの企業においてさえ、全く「危機管理」がなされていなかったのだ、とつくづくあきれてしまいました。

「危機管理」とは、勿論最近の有事法制などの出現のきっかけともなった国籍不明船の領海侵犯といった国レベルのものから、身近かな我が家の火災・防犯などに至るまで、いたるところで考えうるものです。もちろん、個人個人のレベルでは、危機管理といったマニュアルをすべてにおいて備えているわけではなく、漫然とした考えや暗黙の了解といった形でそれぞれの心のなかにあるものも多いと思います。

しかし、私たちが働いている仕事場(病院)は、事故や誤認、勘違いなどといったことも含め、さらには何事も予定通りに物事が進むとは限らない、いってみれば先の見通しがつきにくく、危険に囲まれた環境であるといえます。

高度の医療を行う病院であればあるほど、また巨大になればなるほど、その傾向が強くなるといってよいでしょう。病院の機能が高度で複雑なものになれば、それに伴ってそこで働く人間の機能の細分化がより強く求められます。ひとりの人間の能力はそれほど多くの種類の仕事をこなせるほど高くはありません。病院といえば医師と看護婦(最近は看護師と呼ぶようになりました)、薬剤師、給食、事務員などという単純な職種構成をイメージしますが、高度の医療の発達にもかかわらず、日本の病院ではこのスタイルが全く進歩してこなかったといえます。

医療を行う場として、勿論、もっとも重要な職種は医師でありますが、医師がより良い医療を行うことを可能とするためには、その他のスタッフとの連携プレーが極めて重要になります。看護師、薬剤師、事務員も十把ひとからげの職種ではなく、それぞれの中でも機能の細分化がやっと日本でも認められ、かつ機能するようになってきました。従来のお題目ばかりの「危機管理」が、ようやく実際に機能するものになりつつあると感じます。

ひとりの人間ができる仕事の量は、ある一つのものに限ればトレーニングでかなり向上させることは可能でしょうが、多くの種類の仕事を全てにおいて同時に完璧にこなすことにはかなりの無理があります。従来の病院の問題の少なくとも一部は、こういう負担を取り除くことで減らしていくことができるものと思います。

たまたま自分の働く環境が病院ですので、このようなお話しをしましたが、このことは社会全体に当てはまることではないでしようか!

社会の仕組みは病院以上に高度に複雑化してきています。

そういった中で従来は考えもしなかったような職種が新たに生まれてきていますが、それはとりもなおさず社会の「危機管理」体制の自然な構築に役立っていると思うのです。

このような自然な世の中の流れをうまく機能させているのがアメリカであろうと思います。むしろ、最初は仕組みに囚われず、自然の流れにまかせつつ、それでは不都合が生じてきた場合に特定の個人や国家などに不利益が生じないような合理的な仕組みを考えていく、というスタイルと言えるでしょう。

しかし、日本はこういう考え方とは根本的に異なります。

まず仕組みありき、というところでしょうか、おおげさかもしれませんが、決まりや仕組みが絶対的なものであると言っても過言ではないところがあります。これは規制という有名な言葉の源になる考え方であり、どちらかと言うと今となっては社会の自然な動きを阻害するものの代名詞のようになってしまっています。もちろん必要な規制は歴然として存在することは否定できませんが、今は、経済的なことも含めて社会の大きな変革が求められている状況であり、これまでの金科玉条を潔く捨て去ることが最も要求されているように感じます。

これも大きな意味で「危機管理」といえるのではないでしょうか。まさに「危機」であり、その危機に柔軟に対応できずに悶絶している、というところでしょうか!

社会福祉などもそうですが、これまでの社会制度を現状に合わせてこまめに修正していく、という作業がこの国では難しいのです。話しが少しわき道にそれたかもしれませんが、全く健康な人は色々な意味で余力をもって生活しています。

ちょっと怪我をしても回復には問題ありませんし、出血したって押さえればすぐに止まります。しかし、病院に入院している人、通院してしている人は、個人個人で、程度の差はあれ、その余力を何かの面で損なっている人が大部分です。したがってそこの余力が不足しているところに問題が起きたときに、問題が重大化するわけです。

呼吸機能に障害のある人は、もちろん呼吸機能の余力が極端に減っているわけですが、実は呼吸によって体中のエネルギーがまかなわれているわけですから、この状態が長期間に及ぶと心臓や腎臓など他の臓器の余力も低下してきます。

呼吸は健康時には何等意識せずにおこなっている行為であり、その機能が低下してきてしばらくは体の方が慣れてくるために、相当の余力が無くなってからでないと異常に気がつかないのです。そういうのがほとんどです。

つまり、気がついた時には他の臓器の機能も損なうような状況になっていることが多いわけです。したがって、何か起きてからではなく、普段意識しないものに対する普段からの「危機管理」がもっとも大切なわけです。

しかし、残念ながら未経験のことに対する備えというのは個人個人のレベルでは難しい、というよりも考えもしないというのが現実でしょう。そのような人達に強く訴えることができるのは何よりも経験者であります。

現在何も感ぜずに平穏に過ごしている人たちに、呼吸機能の重大さを訴えるのは医師よりも何よりも、それを身をもって経験されている呼吸不全の方達であろうと思っています。

東北白鳥会も、もうすぐその活動を開始して二十年になろうとしているということですが、この会が呼吸機能障害者の方達のためばかりではなく、今後は社会の健康面において、「危機管理」のために大きな存在意義として発展させることを心から期待したいと思っています。

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高齢者の健康と漢方薬「ボケない努力を自ら」

東北大学医学部老年・呼吸器病態学講座教授 佐々木英忠

(東北大学医学部卒、ハーバード大留学、東北大医学部教授、病院副院長兼務)

お年寄りの健康について、漢方の話を交えながら話をしていきたいと思います。六十五才以上の方がお年寄りと決められていますが、その内の一○%、約二百万人が要介護老人です。

百年前から「肺炎は老人の友」と言われていて、お年寄りは肺炎で死ぬのが当たり前と言われていました。私たちも介護老人の方を診ていますと、しょっちゅう肺炎を起こして亡くなっています。どうも肺炎を起こす人は、口の中の感覚器官が落ちているようです。口の中にたまる雑菌混じりの唾液をゴクンと飲み込む嚥下反射が悪いのです。もし器官に入ったら、せきとして出さなければならないのですが、せき反射も落ちている。何回も雑菌を誤飲して、いつか調子の悪い時に肺炎に至るということです。

★唐辛子で誤飲を防ぐ

そういう人は頭のドーバミンという物質が少なく、脳血管障害も起こりやすい。予防の一つとして高血圧の為の薬で嚥下反射、せき反射を普通にできます。ドーバミンを増やす薬は、すでにパーキンソン病に使われており、それを使うと肺炎の発生を五分の一に減らすことができます。

肺炎に直接関係ない薬で肺炎を減らす事ができるわけです。

実はカプサイシンという物質を口の中に入れれば嘩下反射が、たちどころに良くなります。この「カプサイシン」は唐辛子のもとです。

毎日辛いものを食べる簡単な介護の方法で、嚥下反射も正常に保ち、誤飲を防ぎ、肺炎にかからなくてすむわけです。

ここで漢方薬も効果があることが分かってきました。

半夏厚朴湯は、喉の違和感をなくすのに使われていましたがこれを使うと嚥下反射と咳反射を、元に戻すことができます。

今までの話が要介護老人だけの話かというと上ハ十五才以上になると、脳ドックで約半分はなんらかの脳血管障害があるという一致した報告があります。そういえば、妙に怒りっぽくなり、目をつむるとフラッときたりする。身に覚えがありますね。真部皮質に脳血管障害がある人は、二年以内に三十%の人が肺炎を起こします。六十五才以上の人は自分にも起こる、割りと身近な問題です。

肺炎は夜つくられます。何故かというと、脳血管障害がある人は、夜ぐっすり眠ると嚥下反射が落ちて、誤飲が起きます。よく眠れないと訴える人には睡眠薬を出しますが、強い睡眠薬は頭のドーバミンを抑え.嚥下反射が落ちて誤飲がある。強い睡眠薬を使う方は、使わない人より三倍肺炎を起こしやすいんです。

では口の雑菌を、きれいにすればいいのではないかということになります。

実は歯ブラシで口の中をこすると、嚥下反射が良くなってくるんです。口を刺激すると刺激がちゃんと脳にいって、反射として返ってきます。それを二年間にわたってケアをしたグループは、肺炎の発生率を四十%抑えることができました。

特筆すべきことは、全国の老人福祉施設などの調査で、お年寄りが一度肺炎になりますと、八十%は抗性物質を使っても必ず死亡しました。二十%しか救命できなかったんです。

ところが口腔ケアでは、肺炎の死亡率を半分に減らすことができます。現在の抗性物質より、口腔ケアという毎日の介護のほうが、はるかに優れているんです。

また、食事のキーワードとしては、ビタミンB12と葉酸を取る。 ビタミンB12は肉より魚に大量に含まれています。

葉酸は野菜です。宮城県女川町の漁村の人たちは、魚とコンブを大量に食べています。そういう人たちは、脳梗塞や肺炎を起こしにくい。脳梗塞を防ぐ食事が大切です。

もう一つの問題が、アルツハイマ−痴呆症です。

アルセプトという薬は二、三ヵ月飲み続けると、認知機能が三十点満点で二、三点改善します。でも半年もたてば一点になる。ほとんど効かないと言っていいですが、ここでまた漢方薬が役にたちます。

私どもが開発したカミウンタン湯はもとは気分が優れないときに使うものですが、アルセプトと同じくらい認知機能が改善しまして、半年後も大丈夫なんです。

日本人は統計上、九十才から百才くらいになると、全員がアルツハイマーになると示されています。

★人より早くぼけないためにはどうするか。

薬や他力本願ではなく、自分で積極的に努力することです。

例えば、退職後もぼおっとしないで、ちょっと働いたりする。

筋肉だって自分で力を入れないとつきません。頭も同じです。また、お年寄りの場合は、精神的な落ち込みが非常に大きな問題です。落ち込んでいる人は、そうでない人の三倍風邪を引きやすいのです。免疫が落ちていて、インフルエンザワクチンを打っても効果がないのです。ここで漢方薬ですが、女性の心気症に使われる女神散は、男性の鬱も元に戻すことができます。もう年だからなんて言わずに、今生きているということは極めて選ばれた人です。どうぞ、長生きして下さい。平均寿命は、日本が世界に誇れる客観的な数字です。

これは文化のバロメ−ターなんです。

河北新報社主催 “漢方市民公開講座”より

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喘息の話…帝京大学医学部内科 教授 太田健

◆瑞息とは、どんな病気か?

患者の症状をみると、空気を通るところが狭く呼吸が十分に出来ない。これは煙草などの汚染物質の刺激で気道が狭くなるものと考えられる。

患者は、この息苦しい状態を次のように訴える。

・肺の動きが制限され、苦しい感じ。

・首を縛られて、苦しい感じ。

・酸素が足りないため、顔を水に突っこんだ感じ。

○これを医療サイドから見ると

患者は寝ているよりも起き上がり、少し前かがみの状態に座ると楽になると言われている。患者には炎症が起こっている。端息の患者を検査すると、約四分の三の患者にアレルギーが見られる。この一番の原因は「ダニ」と言われている。「ダニ」は生きているものだけでなく、その死骸や糞・尿もアレルギーの原因になっている。従って、ゴミの中のダニの数が減ると、患者の「ゼイゼイ」が無くなる。ダニは湿度が高く・温度が適度であると生存する。

○ダニを駆除するには、環境整備が必要となる。

・湿度を低くする。

・温度を非常に高くするか、低くする。

・掃除をしっかりとする。

・ジュータンなどは出来るだけ使わない。

・ペットを飼わない方が良い。

ある統計によると、ペットを飼っている人の五一%に瑞息が発見されているが、ペットを飼っていない人では四%しか端息が発見されていない。これは環境の中にダニが増えたことが一番の原因と考えられる。

ダニが五○匹を越えるとアレルギーの抗体が出て、二○○匹を越えると端息の症状が出ると言われ、このようなダニの増加は「アルミサッシュ、ジュータン」の使用などの住宅環境の変化が大きな原因と考えられる。端息は小児に多く発症するが、七○才を過ぎた高齢者にも発症する人がいる。

◆どんな治療をしているか?

現在は端息で苦しいときの治療の他に、症状のある患者には日頃から気道を広げるなどの薬物治療を行っている。ステロイドは怖い薬と思っている人が多いが医師の指導で適正に使用すれば、害は少なく良い効果が得られる。

最近は、端息で苦しい患者が、走れるようになった例もあるし、また遊ぶことも出来なかった子供が外で遊べるようになった例もある。

端息は環境の中から刺激を受けて発症するが、体質の問題もあり研究が続けられている。早期に医師の正しい診断を受け、適正な治療を行えば怖い病気ではない。医師は

・瑞息と診断したときは、発症を抑える薬を投与する。

・症状があらわれたときは、それを良くする薬を投与する。

早期な診断、治療を怠ると病気は悪化してしまう。現在でも、年間約五千人程の人が亡くなっている。

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肺癌の話:肺癌の予防…弘前大学医学部老人科 教授 水島豊

◆死亡原因の変化

昭和二五年頃は、結核が死亡原因の第一位で、若い人が多かった。しかし一九五一年代になると、脳卒中で亡くなる人が一位となり、一九八一年代からは「がん」悪性新生物が第一位となった。そして一九九九年には、二九○万人ががんで亡くなっている。

がんの中では胃がんが第一位である。

一九九三年では

・男性では、肺癌・胃癌・肝癌・大腸癌。

・女性では、胃癌・肺癌・大腸癌・子宮癌の順位。

最近二○年間で死亡した人は、胃癌・子宮癌は減少しているが、肺癌・大腸癌・肝癌は増加している。

国際的にみると、欧米諸国よりも日本が癌による死亡数は少ない。しかし、男性の肺癌による死亡数は日本が多い。女性では肺癌による死亡数は日本が少ないが、胃癌は日本が多い。

◆癌はどうしてできるのか?

癌は遺伝子の異常によって出来る。癌遺伝子が活性化して、癌細胞が増殖する。

 

肺癌の種類と特徴

外伝型による特徴

偏平上皮癌

腺癌(女性に多い)

小細胞癌

大細胞癌(転移しゃすい)

 

発生部位による特徴

肺門部型肺癌

(症状が出やすいが、発見しにくい)

 

 

肺野抹梢型肺癌

(症状が出にくいが、発見しやすい。女性に多い)

◆肺癌の診断法

・画像診断、X線診断、胸部CT、CT写真

・熔疲、細胞診検査

・気管支鏡検査、経皮肝生検

・腫癌マーカー

◆肺癌の外科的治療成績は悪い。

・一期…胃癌(九○%)、大腸癌(九○%)、肺癌(七五%)、食道癌(六五%)

・二期…大腸癌(七五%)、肺癌(五○〜七五%)、食道癌(二○%)

◆肺癌予防の基本

一次予防

(癌になることを防止)

発癌物質を避ける。

 

発癌を抑制する可能性のある物質(結核予防薬など)を積極的にとる。 (免疫性を高める)

二次予防

(癌になっても癌で死亡することを防止)

肺癌の検診を積極的に受けて、治療する。

(注)肺癌は一次予防、胃癌・子宮癌・乳癌は二次予防に重点を置いている。

◆煙草と肺癌の関係

煙草の喫煙本数が多い程、肺癌で死亡する危険性が高い。

喫煙年齢が低い程、肺癌で死亡する危険性が高い。

統計によると、一九才未満で喫煙した人の肺癌による死亡率は五.七人であるのに対し、三五才以上で喫煙した人の死亡率は一.四人と低い。また、同じ本数を吸った場合ても、若いうちに煙草を吸った人の方が、年取ってから吸い始めた人よりも肺癌の発生数が多く若い人ほど発癌の危険性が高いと考えられる。

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肺炎の話…塩釜市立病院呼吸器内科部長 板橋繁

肺炎は重症の病気である。肺炎はバイ菌により起こる。肺炎には、ウイルス性肺炎と細菌性肺炎がある。また、感染の場所によって院内肺炎と市内肺炎に分けられる。

院内肺炎は、病院に入院中に起こる肺炎で、院内の菌は多くの抗性物質が使われても生き延びている菌で耐性菌が多く、市内肺炎よりも治療が難しい。

◆肺炎の症状

・咳

・痰

・発熱

・胸痛

・呼吸困難

・食欲不振

・見当識障害

・元気がない

◆肺炎の検査

・血液検査により、白血球の増多

・CRP(蛋白)上昇

・胸部X線撮影

・CT検査

・喀痰検査(肺炎の原因菌を調べる)

◆誤嚥性肺炎は脳の障害

嚥下反射、咳反射が原因といわれている。

予防措置としては、

・ゆっくり、少しずつ食べる。

・食事に集中する。(他の事をしながら食べない)

・全部食べなくてもよい。 (無理して急がない)

・とろみのついた食事にする。

・深いコップは避け、浅いコップを使う。

・横を向いて飲み込まない。

・食後には座っている。(二時間程は座っている。食後に直ぐ横にならない)

・歯磨きをする(口腔内発生を避ける)

耐性菌(抗性薬が効かない菌)

MRSA

黄色ブドウ球菌。

定着。

 

MPSA感染症

異物の存在。

抗菌薬で他の菌がいなくなってしまう状況。

接触感染。

 

この対策

抗MPSA薬。

MRSAを作らない。

感染経路を絶つ。

肺炎で亡くなる人の九○%は、六五才以上の高齢者と言われている。高齢者は肺炎を軽視しないで、注意する必要がある。

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結核の話…国立療養所東埼玉病院 病院長 川城丈夫

結核は世界で最大の死亡者を出している、感染症であります。

結核患者の平均在院日数は、現在は約一○○日程度で、その後は通院となっている。日本が戦後の状態から、患者数も死亡者数も大幅に減少したことは世界的にも大変評価されている。

しかし、先進国の中では死亡率が高く、もっと下げなければならない。また、発展途上国は更に高く今後世界的に対応していく必要がある。

◆日本の結核の問題

結核罹患率を見ると、結核患者数は減少しているが、菌を出している患者数は減少していない。

日本では、医療・行政などの結核に対する認識が低いこと(症状が出てから治療が始まるまでの期間が長い)及び高齢者に結核患者が増加している(以前は若い人に患者が多かったが、現在は高齢者に多い)ことの問題がある。

結核は発病危険集団に集中して出ている。例えば工事現場や住所不定者などに多く発病している。

結核は基礎的疾病を持っている人に多い。

例えば、糖尿病・腎臓病・悪性腫癌・ステロイド使用(こうげん病等)・人口透析治療中の人など。

これらの合併症のない結核だけの患者は減少している。

◆これからの、結核対策

○よりきめ細かい個別対応が必要

早期発見

寝たきりの高齢者

高齢者の施設

社会的な弱者

医療機関、 など。

 

治療貫徹

確実な治療

短期に治療を行う

服薬を確認する、 など。

高齢者対策

早期発見

検診の実施

日頃の受診サービス、 など。

発病予防

六五才以上の者についての検査

疑いのある人への投薬、 など。

 

飛沫感染

空気感染対策

空気中の飛沫(菌)を吸い込んで感染する危険がある。空気を吸い込むときの感染であり、肺に症状がでてくることが多い。つまり肺結核の症状となる。

このような飛沫感染・空気感染により菌が人って発病する人は

・一〜二年で発病する人が約一○%

・数年後に免疫が落ちたときに発病する人が約一○%

・感染しても発病しない人が約八○%

と言われている。

○発見の状況

症状が出てから、発見される人が多い。症状が出て医療機関に出向き発見となる。検診で発見される例は少ない。 

咳…「ごほん」と咳が出たら、すぐに検査を受けることが大切である。特に長引く風邪(薬を飲んでもなかなか治らない)に注意が必要である。

痰の検査から発見することは、非常に難しいと考えられる。痰の検査で、菌がなかったと言われたが別の検査では菌が発見された。或いはその逆の例もある。

○結核の治療対策

・初回治療の不成功は、五〜一○%程度。

・再度の治療での不成功は、二○〜二五%程度。

このことから、早期にキチンと治療を行うことが大切である。治療の不成功の原因には、不規則服薬や自己中断などが考えられる。結核は他の病気と違いキチンと整理した指針が、厚生省から示されておりこれに従って対処すれば問題がない。

・多剤耐性結核

これは、不適切な治療によってつくられるものである。初回の治療が非常に大切となる。

・酸素療法

呼吸不全になって、在宅酸素療法を行っている患者が多いが、結核の後遺症の患者の割合は減少してきている。医師の指導のもと早期に発見し、治療を行うことが何より大切で特に長引く風邪には注意が必要である。しかし、結核は過去の病気ではない。

◆肺がん

・煙草を吸う夫の場合は…一.九倍

・煙草を吸わない夫の場合は…一.○一倍

夫が煙草を吸うと妻も肺がんの危険が約二倍と高くなる。

○煙草の害

・間接喫煙(副流煙)はより怖い。何故か?

副流煙には煙草の三大有害物質と言われる、ニコチンを二倍。タールを二.五倍。 一酸化炭素を
四.七倍。も含んでいる。

・煙草と酒を一緒に飲むと、特に害が大きい。

一日に二五本以上吸うと、吸わない人の三.五四倍肺がんの危険性が大きい。特に食道がんになる恐れがある。肝がんも増えている。慢性肝炎から肝がんに進む可能性が高い。

・煙草に関係のない、がんの死亡率は減少している。

(注)アメリ力の肺がん対策は

・一次予防(煙草、食の改善)に重点を置いている。

・煙草は、広告を全面禁止。自動販売機を禁止。健康に有害なことを明記。

・日本では、「吸いすぎると健康を害する恐れがあります」と警告を記載しているだけ。

・野菜や果物を、一度に五種類以上(黄緑色野菜)食べることを勧めている。

これらを実行すれば、肺がんが二○%、大腸がんが九○%減少するだろうと見ている。

日本でも一次予防として禁煙、二次予防として検診を実施すると、肺がんは現在の半分程度に減少すると考えられる。

しかし、肺がん予防の基本は、健康の自己責任(禁煙、野菜や果物を食べる、検診を受ける等)をもって生きることである。

※日本呼吸器学会総会の最終日に「肺の病気」について、著名な先生方から、市民にも分かりやすく講演が行われました。その内容をまとめたものです。(事務局 大友)

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情報に学ぶ

東北白烏会副会長 木村久米治

医療は患者に効率よく行われているとばかり思っていたが、どうもそうでないらしい。

朝日新聞五月二十八日十三面“私の視点”欄に経済学者「宇澤弘文」さんが「廃止すべき診療報酬制度」と題した記事にはびっくりしてしまった。読むほどに思いあたる部分が出てくるのである。その概要を紹介する。

よい医療をしようとすると、その病院は経営困難になる。その主な原因は診療報酬制度にある。と断定するのである。過剰ないしは無駄な投薬、検査が一般化し、その結果国民医療費が増大を招くだけでなく、医師の職業的倫理の維持、専門的能力の発展に大きな障害になってきた。診療報酬点数表では、医師、看護師などの技術料が極端に低い。日本の医師の技術料はアメリカの医師の二割程度である。しかもその労働条件は比較にならない程過酷だ。その反面、投薬、検査に対する報酬は極めて高く、その結果日本の国際水準の二倍あるいはそれを超える。今度の改定は、これまでの改定のなかでも特にその弊害が顕著である。

これでは日本の医療の全般的な崩壊は必至なものとなりつつある。よって現行の診療報酬制度自体の廃止である。これを改善するには、

一、医療資源が効果的に配分すれば良いが、社会的に的確に判断する機関を設置する。

二、決して厚生官僚が行政的観点から行うものであってならない。ましてやもうかっているかなどという市場的基準によって 左右されてはならない。

三、財源については、広く一般の方々の意見を聞いて、慎重に決めるべきである。病院や学校に対する相続財産の遺贈は、非課税とすることが望ましい。

次は私たちの医療に直接役立つ包括的リハビリについての情報である。

朝日新聞四月十八日発行三十面に「変わるリハビリ」東北大学大学院教授上月正博さんの貴重な論説である。十八日は「肺気瞳」、二十五日は「包括的呼吸リハビリ」、五月二日は「呼吸理学法」、九日「運動療法」、十六日「酸素療法」、二十三日「生活指導」、三十日「肺容量減少手術と肺移植」と一種一回、計七回にわたる実践に裏打ちされた貴重な力作である。

最後は日本経済新聞五月六日の記事で「在宅医療サービス多彩」五段ぶち抜きの医療とITが合体した機器の情報である。

テイジン

自宅で血液透析出来る機器 ・睡眠中無呼吸向け医療機器

京セラ

心電図 家から送信

セコム

在宅医療に対応したカルテ

日本コーリン

自宅で動脈硬化の検査用装置を開発中

帝人とフクダ電子

インターネットを利用した在宅医療支援事業を開始

これらの機器が患者の手に一日も早く届くように願うこと切である。

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戦時下軍隊で感染しました

秋田市 黒沢耕三

私の発病のもとは昭和十七年、海軍の徴用工として入った製油所で結核患者が多くいてそこで感染したと思われます。

その後間もなく海軍航空隊に入隊を命じられた。その時呼吸音が荒いといわれて八紘寮に入所した。そこは骨と皮ばかりの兵が五十人位居た。

間もなく迎えに来られて原隊復帰、「お前らは消耗品だ、療養などとんでもない」とどやされ、毎日猛訓練だった。やがて二航艦隊配属となり策敵空輸潜水艦狩りなど作戦参加、遂にグラマン戦闘機に撃たれ墜落漂流、小さな引き揚げ船に助けられやっと博多港に上陸。

帰郷後すぐ人工気胸三年、その後安定したように思われていたところ、湿性肋膜炎となり安静。その間原隊(千葉県館山市)に何回となく問い合わせをしたが返事なく、そのうち腸結核となりやっとストレプトマイシン・パスなどを服用。体力はだんだん落ち咳・痰も出るようになり、呼吸も苦しくなり、こんな苦しい日々が毎日続くなら戦死でもした方がよいと思うようになった。

亡国病と言われた結核患者を、国ではなぜ放り離なしにして来たかと無念の思いです。当時の医者は咳止めの熱さまし、去痰剤しか出してくれず、微熱が続いてもそんなのはほっといてもよいとの事でした。

ところが白鳥会に入会して送られて来た呼吸リハビリテーンョン入門の本や会報を見て、あまりにも地方の医者は呼吸器病や気管支炎などに対して、知識が不足と初めて知りびっくりしました。幸いにも白鳥会のおかげで高名な医師を紹介して頂き、酸素も手帳も手配して頂き感謝しております。

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