会報『白鳥』132

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新年にあたり
東北白鳥会会長 村上きみ子

ごあいさつ
宮城県知事 浅野史郎

新年のごあいさつ
仙台市長 藤井黎

新年を迎えて
仙台市医師会 会長 千田典男

新年のごあいさつ
福島県立医科大学第二内科 教授:柏川禮司

東北白烏会運営の支援者増強をめざして
熊谷よしお(前仙台市議会議員)

西暦二千年の新年にあたって
帝人株式会社在宅医療東日本(株) 取締役仙台営業所長 菅原重光

第十三回呼吸不全東北地区対策協議会
開会のことば
東北大学名誉教授 瀧島 任 先生

【特別講演】 肺気腫症の外科療法
福岡大学医学部教授 吉田 稔先生

仙台市長への陳情書提出

東北初の看護ステーション開所
(福島新報)

低肺患者らへの訪問介護、仙台市単独で「回数」上乗せ
(河北新報)

政令市会議に出席して
神奈川もみじ会より

【寄稿】 呼吸器教室十ケ年を顧みて

【人生脚本】 自分を生きる

低肺者の嘆き

【会員からのお便り1】

【会員からのお便り2】

表彰状を受領いたしました

編集後記

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新年にあたり

東北白鳥会会長 村上きみ子

  新年あけましておめでとうございます。
  二十世紀最後の年を皆様如何お迎えになられたでしょうか。

 昨年は関係の皆様の多大なご理解とご支援をいただき、東北白鳥会を恙無く運営できたことに対し、心から感謝申し上げます。

 さて、私たち呼吸機能障害患者は、年々高齢化がすすみ、体力の衰えが目立ち苦しんでいます。これら肺機能の弱い者の救済は、緊急に必要になっております。私たちは多くの方々の心温まるご支援を支えに、「仲間の命を救いたい」を合言葉に活動を続けて参りました。

 日本経済の不況、世界経済変化の大きな波等による行財政改革、また福祉面では医療保険、年金制度の改定等厳しい環境にあります。こうした中で、四月から介護保険が始まります。介護支援の査定で、呼吸機能障害者が生活実態とかけはなれた不利益とならないよう、充実した素晴らしい福祉が実現することを希望してやみません。

 東北白鳥会も発足以来十七年を迎えました。皆様方の御協力により、私たちの運動も前進することができました。しかし呼吸機能障害者は、感染症や心不全等によって急激に症状が悪化します。この頃感じますことは、入会される方が余りにも症状が重くなってから入会されるということです。酸素を吸いはじめる以前に、一寸息切れの段階で入会された方が長生きできます。近頃、若い新手なお医者さんにも数人入会していただきました。これも今までの白鳥会の活動が評価されたことと喜んでおります。これからも皆様方の温かい励ましとご支援をお願いいたします。

 終わりに、皆様方のますますのご発展とご多幸を心からお祈りし、平成十二年新春のご挨拶とさせていただきます。

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ごあいさつ

宮城県知事 浅野史郎

 新年明けましておめでとうございます。
 皆様には希望に満ちた新年をお迎えのこととお喜び申し上げます。
 今年は西暦二千年、新たな世紀への橋渡しとなる節目の年でもあります。

 私は今日まで、県民一人ひとりの夢や希望を大切にし、その夢や希望をかなえることのできる自立した地域社会の実現を目指し、福祉先進県づくり、県土基盤の整備、産業の振興、国際化への対応、そして透明で公正な県政運営に取り組んでまいりました。

 新しい年を迎え、本年は、行財政改革の具体化を図りながらも、新しい総合針画の策 や地方分権の推進、NPOなどの多様な主体との連携を図りながら、二十一世紀を見据えた地域づくりに取り組み、新しい時代の要請にこたえる県政を進めてまいります。

 東北白鳥会が、肺機能に障害をもつ皆様方の保健・福祉の向上を図るために結成され、十七年目を迎えられたと伺っておりますが、県といたしましては、今後とも呼吸器機能障害者の健康保持と、生活の安定に努めて参りたいと考えておりますので、本年もより一層お力添えを賜りますようお願いいたします。

 年頭にあたり、皆様のご健勝とご多幸、東北白鳥会の益々のご発展を心からお祈り申
上げ、ごあいさつといたします。

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新年のごあいさつ

仙台市長 藤井黎

新年明けましておめでとうございます。

全国低肺機能者グループ、東北白鳥会も発足十七年目を迎え、さまざまな活動を続けておられますこと、これもひとえに会員皆様の結束と地道な努力の産物と、心より敬意を表します。

今年は介護保険制度の導入という大きな動きのある中、それにあわせて国民の福祉需要に対応するための各種施策の見直しが行われます。

本市といたしましても、「仙台市障害者保健福祉計画」に基づき、障害者が主体的に地域社会に参加し、自立した生活を安心して送ることができる各種福祉施策の充実に努めてまいりますので、皆様の一層のご理解とご協力をお願いいたします。

年頭に当たり、東北白鳥会の皆様のご健勝とご多幸を、心からお祈り申し上げ、挨拶といたします。

平成十二年一月一日

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新年を迎えて

仙台市医師会 会長 千田典男

新年、明けましておめでとうございます。

昨年末は、Y2K問題(コンピュータの二千年問題)が懸念されましたが、大きな混乱もなく、穏やかな新年を迎えられましたこと、心よりお喜び申し上げます。

今年は西暦二千年、二十世紀最後の年で、二十一世紀はまさに目前に迫ってまいりました。この百年を振り返って見ますと、二つの世界大戦に代表される戦争の世紀でありました。急速に進化した工業化・大都市化の世紀であり、その結果生じた市民生活の歪みと、その歪みを補うための社会制度の発達した世紀でもあったと思われます。

一方、最近の医療界に目を転じてみますと、昨年二月には、臓器提供を前提とした日本初の脳死判定が実施され、今後の移植医療に大きな第一歩が踏み出されたところであり、他方、日本人の平均寿命は、女性八十四才、男性七十六才と世界最長寿でありながらも、高齢化の進展に伴ない国民医療費は年々増加傾向を示し、国は社会保障費の削減策を強化しようとしております。医療関係団体の一致協力により、所詮日本型参照価格制度の白紙撤回や老人の薬剤二重負担の解消など、明るいニュースもありましたが、深刻な雇用不安とも相俟って、医療情勢は厳しい環境の中にあります。

こうした中で、本年四月よりいよいよ介護保険がスタートします。仙台医師会では、一昨年より仙台市と協力して、鋭意準備を進めて参りましたが、将来ゆるぎない制度として位置づける為に、その最初の都市である今年はきわめて重要な年と言えましょう。

さて、二十一世紀は知恵の時代とも言われております。永年低肺機能者の皆様の自助グループとして、地道な活動を続けてこられた東北白鳥会が、来るべき新世紀に向けて、この一年着実な前進を目指して、知恵を出し合い励ましあって活動されますよう祈念いたします。

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新年のごあいさつ

福島県立医科大学第二内科 教授:柏川禮司

 新年おめでとうございます。

 白鳥会の皆様には、新年を迎えられて、新治療法の開発、介護保険の実施、福祉制度の整備等、希望に胸をふくらませておられることと思います。

 福島の医大付属病院内に平成十一年十月から呼吸器科が開設されました。気管支喘息、肺線維症、肺気腫など低肺機能の患者さんは、今まで第二内科が中心となって診ておりましたが、これからは、呼吸器科が中心となって診ることになります。

 呼吸器科の外来は毎日行われています。
 専門医による正しい治療と指導を受けられることを希望いたします。

  平成十二年一月七日

二伸

 拝啓 暖かい正月で、息切れも少ないことかと存じますが、いかがお過ごしでしょうか。
体調が良くないなかを、会のためのご尽力ご苦労様でございます。

 さて、別紙新年の挨拶の中でも書きましたが、私共の福島県立医科大学内に昨年(平成十一年)十月から呼吸器科が新設され棟方充教授が就任され、診療がはじまっております。
 私は今年(平成十二年)三月で現職を退任することになります。そこで貴会の福島地区での活動の責任者を棟方教授にお願いしたいと考えております。よろしくお願い申し上げます。

敬具

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東北白烏会運営の支援者増強をめざして

熊谷よしお

 西暦二〇〇〇年が静かに幕開けしました。静かに、と言いますのはことさらの天変地異もないかわりに、際立っての景気回復等希望的な状況も見えない意味でであります。とは言え新年を迎えるとやはり身が引き締まり、新しい目標を掲げたくなるものです。

 しかし年頭に当たっての決意や誓い等は、応々にして三日間程度のものとなりがちですが、それもつまりは身の程知らぬ大それた決意や目標であるためのようです。

 そこで、今年は大言壮語なしでの地道な活動の継続を目標としたいと思います。そして地道な活動のひとつとして、東北白鳥会への手伝いを考えております。

 今日までの東北白鳥会が、会員さん自ら苦しい身体と闘いながら、会報発行やリハビリ講習会、様々なチャリティ行事の実施等を通して、患者さん仲間での相互扶助を貫いて来られ、社会的にもその活動と存在が一定の評価を得るようになってまいりましたことは、驚くべき努力の成果であり、心底敬意を表するものでございます。

 しかし、近年は会員さんの高齢化や病状悪化等で、会の運営も極端に一部の役員の負うところとなっているように見受けております。そして、それももはや限度に達しているとさえ思えるのです。

 従って、これからは患者さん会員以外の支援者による事務局態勢の確立が必要に思えてなりません。

 会の運営方針は、患者さん・会員の求める方向であるベきは当然ですが、事務作業や対外折衝等を、白鳥会を理解し支援する人達・ボランティアが担う態勢がぜひ必要と思います。その実現に向けて取り組みを開始しなければと思うのです。

 東北白鳥会の存在は決して一過性のものではなく、NPOとしても、むしろ今後こそさらに、市井の患者さん仲間に重宝されるはずの団体であると思うからでございます。

 会歌にありますように、胸ふくらませて希望を抱き続けていただきたいと存じます。

(前仙台市議会議員)

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西暦二千年の新年にあたって

帝人株式会社在宅医療東日本(株)  取締役仙台営業所長 菅原重光

 あけましておめでとうございます。
 東北白鳥会の皆様には、穏やかで良いお正月を迎えられたことと存じます。

昨年は、コンピューターの誤差、安全宣言させていただきましたが、年末に向けては濃縮装置やボンベシステムのの大量購入と備蓄、停電時の対応に備えてのマニュアル作成や体制作り、電力会社とのホットライン構築など、その作業に精力的に取組み、準備万端整えました。さらに、念には念を入れての気持ちから、大晦日には所員全員が事務所に泊り込み、万一に備えておりました。

 遠くニュージーランドでは日本より4時間早く新年を迎えましたが、何もトラブルはない模様であるとテレビニュースで伝えられ、一瞬安堵しながらも、日本ではまだわからぬと心準備は継続しておりました。いよいよ年明けのカウントダウンが始まり、胸の鼓動も高まりながら、最後の一秒には破裂するかと思うほど息苦しく感じたのも束の間、何事もなく新年を迎えることが出来ました。

喜び感傷に浸る間もなくその後すぐに、各地提携先との連絡や東北電力との交信を済ませ、停電地域が一箇所も無いことや大きな異常もないと確認でき、胸を撫で下ろした頃ようやく新年の夜明けを迎えました。このように当社がきめ細かい準備作業を全社的に整えることができましたのも、五年前の阪神大震災でのかつてない経験を踏まえ、全社的なマニュアルが完成していたからです。我田引水のようで恐縮ですが、当時の帝人の対応ぶりは実に評判高く、新聞、雑誌などマスコミでも大きく取り上げられ、喝采を得て厚生大臣表彰まで頂いたりしたことは、皆様のご記憶に大きく残っていることと存じます。

 在宅医療の推進が厚生省から明らかにされて以来、在宅医療を受けられ方々が増加しておりますが、そこには経験豊富な医療スタッフも、安全無比なハイテク機器も完璧に揃っているわけでもなく、施設医療とは格段に違う不安感があります。私どもはその不安感があります。私どもはその不安の軽減と安心をお届けするために、これまでいろいろと手段を講じて参りましたが、今後とも一層の努力を惜しまない所存でございます。

 どうか本年もお健やかに安心してお暮らしいただきますよう祈念いたします。

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第十三回呼吸不全東北地区対策協議会

開会のことば

東北大学名誉教授 瀧島 任 先生

 今日の第十三回呼吸不全東北地区対策協議会の講演会に、ご出席いただきましてありがとうございます。

 この会は、毎年ご出席の皆様には特別ご説明する必要はありませんが、呼吸不全、特に「在宅酸素療法を東北地区にどのように定着させていくか」・「どういう問題がこの在宅酸素療法にあるのか」というようなことを医学サイドだけでなく、患者さんも含めて皆で考えていこうという趣旨で作った会で、今回で第十三回を迎えました。

 後ほど東北大学の菊池先生からご紹介がありますが、東北地区でHOT実施中の患者さんがどの位いるのかという調査を毎年しています。その結果を見ると、大体毎年10%位ずつ増えています。もうそろそろ頭うちかなあと思っておりましたら、今年も10%ほど増えており、五千人を超す患者さんが東北地区で在宅酸素療法を受けているという結果が出ています。どの位まで、患者さんの数が増加するのか私もよくわかりませんが、アメリカ並みとすると、もっともっと患者さんが増えると思われます。

 先程の幹事会でご意見を伺いましたら、当然のような話ですが、在宅酸素療法に関心を持つ施設の増加が患者数の増加につながるとのことでした。ですから東北地区でこの在宅酸素療法に関心を持って患者さんに酸素を投与して頂く施設或いは先生方が一人でも増えるということが、患者さんが増える、或いは酸素吸入療法を必要としていながら受けられていない患者さん、受けることができない患者さんの数を減らすという、この会の目的にそったことになるのではないかと思っています。東北白鳥会という呼吸不全の患者さんの会(先程も会長の村上さんが小冊子を皆さんにお配りしていました)の会報に挨拶文を書きました。その中にWHOと世界銀行がお金を出してやった仕事を紹介しました。どのくらい医療費がかかるかという調査であります。その内容はサイエンスとかネイチャーに掲載され、非常に権威の高い内容です。主として行ったのがハーバード大学の教授たちで、その報告を見てみますと、一九九〇年(今年は一九九九年ですから約十年前)と二〇二〇年とでCOPD(慢性閉塞性疾患)の影響を予測し比較しています。その結果は約十年前にはCOPDは人類に最も影響を与える疾患のうち第十二位でした。ところが二〇二〇年には第五位に上がる。第一位は虚血性心疾患、第二位が脳血管障害なんですけれども、第五位にCOPDが上がってくると予測しています。その最大の理由は煙草であるとしています。先進国ではどんどん喫煙人口は減少していますが、世界的に見ると煙草を吸う人たちがこれからますます増えていく。そういうことを見越して、予測した結論です。別の見方をすると、十年前のデータではCOPDによる死亡例が他に分類されていたというものも多いことから、二〇二〇年には第三位になるとの予測も同じ報告書の中に出ています。

 ちょっと変な話ですが、JTという会社が、アメリカの煙草会社を買収したというニュースがありました。大変残念な話で、なぜ、日本の言ってみれば国営の煙草会社がこれから煙草を止めなきゃいけないという時代にアメリカの煙草会社を買おうとするのか。ヨーロッパでの販売拡張というようなことが書いてありましたけれども、センスを疑う話であります。誠に嘆かわしいことが日本で行われていると言わざるを得ないと思っています。

 今日は九州の福岡大学の吉田教授から肺気腫の外科療法についてお話いただく事になっておりますけれども、外科の先生方に見てもらうような病態にまでしないようにするにはどうするか。或いは在宅酸素療法が必要な病態にまで持っていかないような予防的な措置ということが呼吸不全の患者さんには絶対必要だろうと思います。そういう意味から言いましても呼吸不全の患者さんの数がこれからますます増える可能性があります。そういう事態を迎えて、東北地区だけの会ではありますが、この会の存在意義はますます強くなると考えています。

 是非この会を通じて呼吸不全の患者さんも在宅酸素療法のみならずその周辺の問題点をきちっとご理解いただきますように、そして活発な発表と活発なご討論をお願い申しあげ、開会の挨拶とさせていただきます。どうもありがとうございました。 

【第13回呼吸不全東北地区対策協議会・目次】

(1)開会のことば

東北大学名誉教授
瀧島 任

(2)東北地区在宅酸素療法の現況

東北大学第一内科
菊地喜博

(3)COPDを未然に防ごう・当課における禁煙指導外来の試み

岩手県立北上病院第三丙科
田村太志

(4)当院に於ける在宅酸素療法の現状と問題点

福島県原町市渡辺病院内科
長岐雅俊

(5)開始後三千日以上経過したHOT症例の検討
      …20年目に入った症例を中心に

中通総合病院呼吸器科
草*芳明

(6)慢性呼吸不全患者における24時間酸素飽和度
   …モニターの使用経験

東北大学第一内科
黒澤 一

(7)在宅人工呼吸療法の経験
     …当院施行例九名のまとめ

津軽保健生活協同組合健生病院内科
安田 肇

(8)呼吸不全を伴わない肺機能障害例の予後

山形県立新庄病院内科
藤井俊司

(9)特別講演〔肺気腫の外科療法〕

福岡大学医学部教授
吉田 稔

(10)閉会のことば

平鹿総合病院
林 雅人

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【特別講演】 

肺気腫症の外科療法

福岡大学医学部教授 吉田 稔先生
(呼吸不全東北地区対策協議会・ニューズレター第一五号より)

 先程、瀧島先生に紹介して頂きましたが、今年で三年目になります肺気腫症シンボジウムを主宰していまして、今年も十一月に計画しております。

 私は内科医でありながら、本日は外科療法というタイトルで話をするんですが、もちろん内科的な治療を話してから、後ほど外科療法の方に焦点をしぼっていきます。

 肺気腫症に対する外科療法が始まって、多くの患者さんが私の所に紹介されて来るわけですが、いくつかの問題を抱えています。まず第一に、診断が違っていると言っては言い過ぎかも知れませんが、確かに息切れはありますが、本当の肺気腫症ではないのに紹介されてくる場合があります。そこで専門の先生方の前で釈迦に説法とも思いますが、肺気腫症の診断とその位置付けについてイントロダクションさせて頂きたいと思います。

 次に、この肺気腫症の外科療法を考える時、内科的治療でコントロールできる症例がたくさんあるということです。東北大学も非常に熱心にやっておられるので同じようなことをご経験と思います。

例えば私が十人の患者さんの紹介を受けますと、肺気腫症でないと思われるのが二、三人、内科的治療が十分なされていないのが四、五人、残りの三、四人を検査入院して、その中の半分といいますか、一・五人位が外科療法の適応になるかなという程度です。外科療法適応以外の症例の中でも、いろいろと検討をしてみますといくつかの事例が出て参りますので、その点もお話したいと思います。

 さらに外科療法の実施によって肺気腫症の主症状である息切れがどうして改善するかということになりますが、その前にどういう機能的な改善があるのか、効果があるのかということについて触れた後、ではなぜ呼吸困難の改善につながるのかということに私見を述べさせて頂こうと思います。これについては、東北地区では飛田先生を始め、全国的にもたくさん検討されています。ここでは、外科療法が肺循環に対して改善の効果があるのか、あるとすればどのようなメカニズムなのかということについても、私共が少し持ってます症例を含めてお話したいと思います。

 先生方ご承知のATSが出した慢性閉塞性肺疾患のシェーマでは、肺気腫症、慢性気管支炎、喘息の輪があります。この話はもう三十五年位前から同じような話が何回も出ていますが、その中の慢性の気道閉塞がある症例を慢性閉塞性肺疾患(COPD)といっている訳です。これについてはまだ議論がたくさんありますが、臨床的には息切れがあって、閉塞性障害がある症例ということになります。したがって、肺気腫症の中には喘息の要素をもっているのも当然出てきます。

肺気腫症は、肺胞の破壊と断裂を伴った終末細気管支以下の気腔の拡大を伴って起こる病理学的診断名なんです。これを臨床的に診断するということに関してはいろいろと議論が有りますが、形態的変化を伴ったもので息切れがあったら、肺気腫を疑うということになります。肺気腫の典型的なものでは、形態的な病理的変化が見られ、肺血管床の減少から透過性亢進が起こってきます。側面の胸写では、最大呼気をさせた際に胸骨後のスペースが見られます。このスペースは健常人の場合には見られず、肺が過膨脹し残気量が著しく増加した場合として認められるものです。これは、カエノスキーという方が発表されたものを東北大学の中村教授が昭和七、八年頃に紹介したもので、私はこれを非常に参考にしています。

 最近のCT画像では、気腫性病変をコントラストの違いで表現でき、広がりの程度がわかるという意味では役立つと思います。どの程度のものがどこにあるのかということで、非常に有力な方法ではないかと思います。このような形態的変化を反映する画像診断がCTまで含めて見つかり、閉塞性障害があり、肺の過膨脹があり、肺コンプライアンスが上がることでの肺弾性異常があり、そして肺胞毛細血管床の破壊を反映するガス交換障害としてのCO肺拡散能力の異常、これらが揃った場合に臨床的に肺気腫症と診断していいと思われます。

 45症例のCT画像と肺機能のデータとを比べてみました。残気率で55%前後、一秒率も55%以下を一つの診断基準としています。これらを比較すると、CO肺拡散能力とCT所見の程度がかなり相関するということがわかり、形態的な変化が機能的データにある程度反映する指標ということが明らかになりました。私はこのような疾患としての症状があって、画像が揃って、機能的データが揃った場合、肺気腫症という言葉を使っています。

 先程、外科療法の適応の前に十分な内科的治療が必要であるとのべましたが、一九九五年のATSのCOPDガイドラインが発表されています。気管支を広げるとか、炎症を押さえるとか、喀痰の排泄を促すなどで、これは分かりやすく言いますと、呼吸困難をとり気道閉塞を寛解させるということです。これらの治療に用いられる薬剤についての詳細な説明は割愛しますが、まずβ2や抗コリン剤で気道を広げます。この抗コリン剤が現在、欧米・日本でファーストチョイスになっています。この前、福地先生や私共がとった統計の結果も、この抗コリン剤をCOPDに対しては殆どレギュラーユースに近い状態で80%〜90%以上の症例に使用されているとの結果です。この根拠としては、COPDはβ受容体が少なくなるとか、加齢によってβ受容体が減少するために抗コリン剤がいいなどと言われますが、β2も結構使われています。特に頓用では70%くらい、さらにレギュラーユースでも40%近く使用されています。中、軽症では抗コリン剤が使用されているということです。この抗コリン剤についてまとめてみると、一秒量が増える、運動量が増える、呼吸困難が減る、それから肺活量が増える等の効果が報告されています。

 さらに肺気腫症を含めてCOPD治療の必須となっている経口テオフィリンも調査結果を見ますと80%〜90%の症例に使用されています。また、ステロイドについては、経口投与の他に吸入ステロイドも使用されています。

 呼吸機能が悪化してくると労作時め呼吸困難がすすんで、肺の過膨脹や喘鳴が強くなり、やがて亡くなってしまいます。このように症状が進んだ状態では酸素療法の適応にもなります。しかしながら、このような内科的治療がしっかりされていないのに外科療法の適用ではないかということで紹介されてくるひとがあります。一秒量に代表される閉塞性障害は、必ずしも不可逆性ではなく、しっかりとした治療を行えばかなり可逆性の要素を持っているところがあります。

 実際に外科療法の適応ということで紹介されてきた患者さんは、一日40本の喫煙暦があり、強い呼吸困難と胃潰瘍を合併していました。X線像は典型的な肺気腫症を示し、側面を見ると、それほど強くないが心後腔の開大が認められる。入院後とりあえず一カ月程治療したところ、八百ml程度であった一秒量が拡張剤による治療によって千四百〜千五百mlほどに回復しました。こうなると外科的適応からはもう完全に外れてしまいます。VCはもちろん問題ない。こういったケースが結構あるんです。

 一年位前に教室の石橋君が、胸部疾患学会の三〇〇ぐらいの評議員施設に肺気腫症の治療に関するアンケートを行いました。回答率は約80%です。肺気腫症についての治療を見ると、経口テオフィリンが70%、吸入抗コリンが85%、といった結果になりましたが、喘鳴を伴う場合には必ずプラスされるものとして、その代表的なものが吸入ステロイドです。これは約一年近く前の話ですので、現在はこれらの比率が変わってきていると思いますが、少なくとも先程言いました、吸入抗コリン、経口テオフィリンそれからβ2の使用というのが多いということです。

 黒川先生もよくお話をされますが、これらの治療を行ってもなお息切れが十分に取れない患者さんに対する外科的な療法がいつ頃からあったのかということを調べてみますと、大体一九〇五年頃の論文がございます。それらは過膨脹樽状胸郭をいかに小さくするか、あるいは下がった横隔膜を上げようといった手術です。ただでさえ腹直筋の緊張がきつく無理な呼吸をしているのに、このような手術を行っていました。結果はすべて失敗です。一九五九年にBrantiganという外科医でありながら解剖学者が、解剖の時、胸を開けると膨らんだ肺が出てくるものですから、それが出ないくらいに悪いところをとって縮めて押し込んだらいいのではないかと考えたわけです。この時既に「容積縮小」という言葉を使っているんです。夕-ゲットエリアの悪い所を切除して押し込もうと。しかしながらその当時にきちんとした機能的適応が充分であるわけではないし、術後管理がいいわけではないので、非常に死亡率が高くてその後行われることはありませんでした。ただし、局所的な巨大ブラの手術はずっと続いています。そして、一九九一年になって、現在はカリフォルニアのアーバインのメディカルセンターにおられます、臭出身の若林先生がCO2レーザーを用いて、後にはYAGレーザーを使っていますが肺気腫症の手術を行いました。その結果を、呼吸困難や一秒量が改善すると「Lancet」に発表されたものですから、一気に流行ってアメリカで非常に多くの手術がされだしました。その後、肺移植で有名なCooperが「それでは悪い所を取ろう」ということで胸骨縦断で真ん中から開けて肺の上方の気腫性の強いところを切除しました。それで、「肺容積縮小手術」という言葉を使ったんですが、この「容積縮小」という言葉は、既にもう論文の中に書いています。

 内科的治療を行っても呼吸困難が改善しない中等症以上の肺気腫症であって、CTをはじめ、換気/血流シンチグラムの結果、不均等な気腫性病変を有する症例について、その夕ーゲットエリアを切除するという外科的療法がかなり普遍的になりました。内科的治療で良くなる症例もかなりありますし、あくまて待機手術であって、今すぐに実施しなければならないという緊急性の手術ではありません。また、日本でも術後死亡率が5%程度の危険率ですので、患者さんがこれをよく理解した上で、強く望むということが必要です。

 外科療法の禁忌事項は、まず喫煙です。煙草が肺気腫症の発症要因であり、促進因子ですからこれはいけません。さらに、非常に高齢の方、いろんな臓器に悪性腫瘍があるといった方には適応にならない。肺高血圧症については、外国人のほうが、一般的に日本人より肺高血圧の程度が強いようです。酸素吸入の効果については後ほど肺循環のところでお話しますけれど、酸素吸入によって低酸素性の肺血管彎縮がとれる症例は適応であると思われますが、反対にこれに反応しない肺高血圧症はやはりよくないだろうと思います。

 適応を検討した70〜80症例のうち、33例が不適応となりました。このうち19例は内科的治療によって自覚症状の改善、機能的改善が認められました。それ以外には、気腫性病変がびまん性で切除の夕-ゲットエリアが明確でない症例。さらには、術後の苦しい患者さんを見たためか、理由ははっきりしませんが、途中で嫌だって帰った人がやっぱり何人かいらっしゃいます。一般的に手術症例のほうが、非手術症例に比ベて閉塞性障害や過膨脹が強く、CO肺拡散能力の低下も大きく、肺コンプライアンスも高いといったように病状が強い。逆に言いますと、非手術症例では内科的治療によって管理可能になったものがかなりあります。

 両肺切除の一例を紹介しますと、手術前後比較しますと、透過性の亢進が少なくなった、横隔膜の上昇が認められます。大体同じ部位のCTを比較してみますと術後気腫性病変の減少が認められます。また、術前後での換気シンチと血流シンチを比較してみますと、かなり換気シンチは均等に近くなり、血流シンチで見る肺上部の血流も改善され、手術としての成功が認められます。約十カ月後の呼吸機能を見ると、肺活量は二千三百mlであったものが、三千mlになり、一秒量は五百mlから三カ月ぐらいまでは上昇しますが、その後また減少します。ほかの先生方のデータもほぼ同様だと思います。ボックス法で測定した残気量とへリウム希釈法で測定した残気量の差であります、とらえこみ肺内気量と残気量が減少します。これらから明らかなように、肺の過膨脹の程度はかなり軽くなっていますが、コンプライアンスを測るとあまり変化はありません。また、血液ガスの値もまたそんなに変わっておりませんが、一秒量が改善することから息切れ自体は非常に改善しています。

 われわれが六カ月後の検討をした42症例をもとに外科療法の適応ということを考えてみると、一秒量が八〇〇ml±三〇〇ml。全肺気量は一二〇±二〇%、DCGOは約60%程度でこの程度のものが外科的に見ると一番心配ないのではと考えています。さらに視覚的評価のCTビジュアルスコアは56%ということで中等症から重症に入るところぐらいの症例が平均的なものになっています。

 データ上では肺活量も有意に改善しmlまでおよそ三〇〇mlも増加しています。諸外国の報告事例のデータも同様です。代表的なものを見ると、Cooperが報告しているものでも一秒量の術前が六〇〇〜八〇〇mlくらいの患者さんが適用となります。術後の一秒量はおよそ一二〇〇ml程度と術前に比較して全体でみると二〇〇〜三〇〇ml程度有意に改善しますが、その後また低下に転じています。ここが問題となります。一例ですが、こういう荒っぽい事は言ってはいけませんが、回診の時、患者さんに「1一秒量が四〇〇mlも増えたからあと五年はあなたは儲かったね"というようなことを言うことがあります。肺気腫症の患者さの場合、一秒量の低下は年間80mlですので、四00mlの増加は約五年分に相当する、あくまでもその効果が持続するといった前提になりますが、残念ながら必ずしもそのような結果にはならないこともあるのが現実です。

 残気率を見ると術前が60%程度であったものが50%台にまで減少します。およそ五〇〇〇mlあった残気量が、三〇〇〇〜四〇〇〇ml程度に減少します。また、とらえこみ肺内気量を見ると、術前に一九〇〇ml程度であったものが術後に一四○○〜一五〇〇mlに減少し、これが過膨脹の是正につながってくるというわけです。

 さらにコンプライアンスについても一部の改善しない症例も認められますが、一般的には改善傾向にあります。DLCDはあまり変化がありません。

 このように、手術によって一秒量が改善し過膨脹が是正されます。また、血液ガスも若干改善されます。手術によって切除すべき気腫性病変は、上肺野に多い傾向にあります。これらの機能的な改善によって、では呼吸困難がよくなるということで、呼吸困難度を見ますと、一段階以上良くなったのが67%ありました。この呼吸困難の改善については東北大学の黒川先生が初めに紹介されましたが、気腫性病変の切除によって肺気量が減少し、横隔膜が上がってきて動きが良くなるということです。実際に手術を受けた患者さんに一年程度の経過の後に再入院して頂いて検査をしますと、術前には非常に硬かった腹直筋が柔らかくなって動きが良くなっています。一番の問題は、労作時の息切れに関する問題ですが、一般的に肺気腫症において労作時の過換気による呼気レベルの上昇という動的な過膨脹が起こって、結果として呼吸困難に繋がっていると考えられます。それが手術によって横隔膜の動きが改善し、動的過膨脹の程度も軽くなります。そういうことで動的過膨脹時の呼気レベルを見てみると、20回呼吸、40回呼吸、60回呼吸のいずれの場合でもレベルが低下し、いわゆる過膨脹が改善されているということが分かりました。また、動肺コンプライアンスを見ますと、同様に改善していることがわかります。

 このように労作時の息切れも改善してくると、自力歩行が可能となり、ここ二、三年の結果をまとめてみますと、六分間歩行距離が大体三〇〇米程度で、およそ五〇〜一〇〇米増加しています。歩行距離の改善はこの程度ですが、同じ距離を歩くのに息切れが減ってくるという効果も当然あると思います。最大酸素摂取量も増え、統計上は改善が認められますしかしながら、息切れという問題はケースバイケースで人によって違い、非常に良く改善を訴える人と、上記のような指標の数字は改善が認められるのに、改善を訴えない方がおりますが、術後に最大酸素摂取量が増加し、運動負荷時間が延長するようであります。これらの事を見ていくと、どうも動的過膨脹がなくなるというのがこの手術の一番の改善ポイントであるというのが私共の考えです。

 最後にこのような動的過膨脹を取るということが肺循環にどのように影響するのか、呼吸機能の改善が肺循環動態にどのように影響するかを考えてみました。いくつかの論文がありますが、ワトラーはCOPDでは運動時の頻呼吸によって動的過膨脹が起こり、その結果として肺動脈圧が上昇し、血圧も上がる、さらに右房圧も上がり、その結果として循環系にも悪影響があると言っています。さらに過膨脹に加えて気道閉塞があると、通常運動に伴って増加する心拍出量が抑制されるということをスチュワートが言っています。そういうことで、過膨脹に焦点を絞って、肺循環動態にどのような影響」後に変化があるかをみています。実験のプロトコールとしては、室内気の呼吸後百%の酸素吸入による低酸素性肺血管彎縮がある場合の肺動脈圧の低下の程度を見ます。その程度によって機能的な血管彎縮の程度がわかります。次に動的過膨脹の評価のために、深呼吸を40回します。そうすると当然呼気レベルといいますかFRCレベルが上昇します。対象となった36症例を見ると、術前の安静時の肺動脈圧が24〜25トールあり、これに酸素吸入を行うと5トール程度低下します。再び動的過膨脹を行うと元のレベルぐらいまで上昇し、酸素吸入による効果が消えるぐらいの影響が出てくるということです。術後の効果として、まず過膨」、「過換気時の動的過膨脹時の呼気レベルに変化が現れるか?」、といった観点で見ると、1、2の除外症例がありますが、大体同じ様な傾向で改善することがわかりました。安静時の肺動脈圧が非常に減った人では心拍数の増加が認められました。さらにこの安静時の肺動脈圧と血管抵抗を見ますと明らかに抵抗が減った人が、この肺動脈圧も減少しています。従いまして、この手術によって過膨脹が改善し、肺循環系に対する影響が減少すると考えられます。

 過膨脹が起こっても健常者の場合には影響ありませんが、動的過膨脹があると肺動脈圧、ならびに血管抵抗も上昇すると考えられます。中等症・重症の肺気腫症があった場合に過膨脹がある。これを手術として取ると過膨脹があった時の肺胞内圧の上昇と胸腔内圧の上昇と、心臓周囲圧の上昇が抑えられることになります。これに伴って肺血管床の圧迫が取れ、次いで胸腔内圧の上昇が取れ、静脈還流の増加が起こる。さらに心臓周囲圧も減少することで心臓の拡張制限が改善される。このようなメカニズムで呼吸困難も改善するものと考えられます。

 以上の事をまとめてみますと、中等症以上の肺気腫症があって肺コンプライアンスの悪化した明確な夕-ゲットとなる気腫性病変がある症例で、肺容積縮小手術を実施すると、肺弾性収縮力、一秒量が改善し、さらに残気量が減少し、動的な過膨脹の軽減に繋がると考えられます。この肺過膨脹の軽減は横隔膜の動きを良くするため、横隔膜の仕事量が減少することで運動耐容能が増加し、息切れの改善に繋がると思われます。肺容積縮小手術の実施に関する全国アンケートを行いました。全国の二百施設のうち70%の回答を得ています。対象施設の60%位以上で既に実施しているか、あるいは準備していると回答しています。しかしながら、十例以上の経験を持っている施設はまだ少数です。東北でも東北大学以外ではそれほど多くの症例を持っていないと思われますが、九州でも同様です。要するに外科療法の適応は、充分慎重にされるべきで、重症症例に対して抗コリン、キサンチンなどによる内科的治療が充分行われている施設で、さらにリハビリテーションの充実など、これらのことが充分に配慮されている施設で始めて外科的療法が行われるのが良いのではないかと考えています。

 今日は分かったような話ばかりしましたが、実はまだ分かっていない部分がたくさんあります。今年の呼吸器学会でのシンポジウムで、やはりメカニズムがまだ分かっていないという事と、長期予後についてのディスカッションを予定しています。この肺容積縮小手術のシンポジウムは既に四回目になります。今年は東北大学の菊池先生からは運動耐容能に及ぼす影響と、黒川先生からは外科の立場からの長期予後についてご発表願います。肺循環についても先程分かったような事を言いましたが、まだいろんな見方が当然ありますので、信州大学の久保先生にお願いしています。呼吸困難についても少しまとめた事が分かればいいなと思っています。学会に参加されましたら是非このシンポジウムに立ち寄って頂きたいと思います。ご静聴ありがとうございました。

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呼吸器教室十ケ年を顧みて

副会長・築館支部長:林 昭男

 昭和六十三年十一月六日、地方における呼吸機能障害により日々を苦悩に満ち家族と共に希望もなく、救いを求めるにも方法も手段も判らない療友方に、地域の核として共に明るい生活の気力を起こし、仲間意識をもって励まし合う組織が誕生した。

 そして只管地域の療友方のため、それまで宮城県では「誰かがやるだろう」と手をつけぬまま隣県を始め、積極的に取り組まれた他県に大きく水をあけられた。「療友と家族のための日々の対策法」となる「呼吸管理教室」に真っ向から取り組んで、県立瀬峰病院馬場健児院長先生・栗原保健所長のご指導と主催による、「地域医療従事者」たる医師会傘下の医師・保健婦・看護婦・助産婦等々を参集「低肺の予備知識と施行の心構え」の学習会が大々的に開催するに至った。このことについては、機関紙「白鳥」六十八・七十一号(平成五年十一月十五日・同六年三月十五日号にて詳細を述べているので参考にされたい。

 この時は、「呼吸管理教室五ケ年を顧みて」として、プログラムの組み立て・内容等の反省を行政側と協議しつつ受講者が、「いまどんな問題を抱えて悩んでいるのか」・「それらをどうして欲しいのか」を検討して次回への取組み課題とした。

 さて、あれから更に五年の月日が苦闘のなかで経過して行った。

「呼吸管理教室」は毎年開催すべく栗原保健所の担当スタツフと知恵と工夫を出しあって僚友の期待に答えるべく努力を続けたが、

  ○腹式呼吸法をマスターする。
  ○排痰を上手にする。
  ○専門医師の講話。

も続けている内にマンネリ化し、加えて参集する会場を従来の栗原保健所会議室から九町一村の持ち回りを加えて見るが期待するほどの効果は得られず、その会場町村だけの僚友の参加に終わり、行き詰まりを感じ、新たな検討が迫られた。

 平成八年十月二日 平成八年度の呼吸管理教室を開催するに当たり、新しい企画として、従来のパターンの一部を変えて、会場を地区内の温泉地にして

 ○福祉制度について事務所職員に要点を説明してもらう
 ○腹筋の強化を図る一助としてのカラオケ教室を開催
 ○在宅酸素機器の仕組と取り扱い等の体験
 ○「冬にむけての健康管理」の講話
 ○温泉入浴

 のプログラムで実施したところ、一時期数名を割った参加が三倍になり、取りわけ温泉入浴は好評であった。元の佐藤千秋村長も参加されて、PRにつとめ、病気に対する理解と会場利用を協調されたことも、主催者として大変心強くまた有り難いことであった。

 この大好評に力を得て、翌平成九年度も十月九日、十年度九月三十日と花山村温湯温泉にて盛況裡に教室は終始した。 この頃には本部の主催する「呼吸リハビリ」が長崎大学医療短期大学理学療法科助教授千住秀明先生の来仙を記して開催されていた。

本部からは何回となく参加を呼びかけられたが、地方からの参加には不安があり、残念ながら見送らざるをえなかった。

平成十年度呼吸管理教室は、当支部の開設と呼吸教室の施行十週年を記念して参加者の体験からの教室への希望が寄せられ次回への課題と、参加者自身の体験そして明るい抱負が話されたことに、収穫があり、事業実施への励みとなったことは嬉しい結末であった。

記念写真の一人一人の笑顔が、それぞれの収穫を現しているようであった。

 平成十年度は早々と教室のプログラム作りに行政側と協議に入り、一方では前年度の懸案事項であった「リハビリ」について、指導者捜しに取り組むことになった。

 帝人在宅医療東日本(株)仙台営業所の菅原重光所長さんと準備会以来十年の間呼吸教室に毎年「医療器具」と社員を派遣してのご協力を今年もとご相談申し上げている話題の中で、何と「リハビリ」についても社員の「理学療法士」を派遣して頂けるとのことで、願ってもないこと日程の調整にと早速保健所と協議することになった。

 これらを村上会長に報告するうち、このプログラムに長崎の「リハビリクリニック」体験の木村久米治さんの体験発表をと推薦され、今年の教室の「目玉」が、意外にトントンと進んだのには、この上ない喜びであり、日頃「東北白鳥会」への深い理解と厚いご支援の賜物と有り難く感謝申し上げる次第である。

 こうして平成十一年度の呼吸管理教室はそのネームの如く「さわやかに」開催、帝人の「高良 勝理学療法士」の指導による「リハビリ体操」  「木村さん」の体験記等綿密な資料とビデオによる解説参加された会員に、今日からの日々の過ごし方に力を与えられたと信じ、今年のプログラムの設定もまずまずの効果があった保健所担当とも喜びあいました。

<<10周年記念写真>>
<<さわやか呼吸教室>>

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仙台市長への陳情書提出

 (平成11年12月16日)
出席者
紹介議員:仙台市議会議員鈴木雄司先生
市障害福祉課:課長、主幹、主事
東北白鳥会:村上会長、小川監事、永井会員
半沢支部長、佐々木会員、渡会会員

1、介護保険制度の開始に向けて低肺患者への対応を従前どおりにご配慮頂きたい。

◆課長が今判る範囲でという形で答弁…
  ・具体的には介護保険制度の適用を受けてしまう。というのは介護保険が優先(加入する事になるので、保険給付が優先になる)するからで、40歳から64歳までの障害制度としてのホームヘルプが受けられなくなります。今受けている人は一定期間を定めて、現状ぐらいの保障はする。自己負担は低所得の障害者ば三%を維持する。いろいろ矛盾をかかえてのスタートなので、将来見直しが必要とは思う。
 ・現在どのようなサービスを受けているのか、又、どのようなサービスが必要なのか聞かせて欲しい。

◇村上会長から…
 ・きれいな空気の中で、少ない肺胞を大事にしていかなければならないた、め掃除機の汚れた空気だけでも悪化するので掃除も出来ない。日常的な仕事(役所への提出書類など)もいろいろある。通院や買い物のサポートも必要だし、銀行や郵便局にも行かなければならない。しかし、今のへルパー制度では、仕事の内容は限られており、時間も少なくて、掃除ど料理ぐらいで終わってしまう。

◇佐々木会員から…
 ・自分は一人暮らしなので、無理してでも時間をかけて動いているが、介護認定では、自立という事になり、酷しいことである。買い物に出かけても重くなると持ち帰れないので、牛乳が欲しくても今日は諦めるとかとなってしまう。

2、パルスオキシメーターの貸与をお願い申し上げます。

◇村上会長から…
 ・必要性を説明。仙台市独自でも先取りしてお願いしたいと陳情。

◆課長から…
  ・日常生活用具として13大都市で国に要望、他の13市と協力して交付出来るように努力する。

3、電動べットを貸与下さい。

 ・リサイクルで可能かどうか、又、補装具として給付できるかどうかもっと検討して欲しい。

4、在宅患者への相談と励まし事業に助成金支給

◆課長から…
  ・どういう事業をするからどういう助成が必要か、という具体的事項をあげて助成申請するという形をとってもらえれば役所としても対応できる。過去に医学講演会に少額ではあるが助成した例もあるので、申請して下さい。

5、その他について

◇村上会長から…
  ・在宅酸素療法の査定が厳しすぎるので、何とかならないか。全国で8万人が在宅酸素療法を受けているが、費用は入院の10分の1で済みます。患者は体調の良い時に病院に行きますので、検査結果は状態の良い時の数字です。それで判定されてしまうと受けられなくなってしまいます。それと、酸素を外した状態で検査をする病院があるので、患者には大変苦しいので止めるように指導して頂きたい。

◆課長から…
  ・支払基金での査定は専門的になるし、市として口出し出来るものではない。

6、仙萩園への入所申し込みについて

◆課長・担当主幹・担当者から…
  ・次のような説明があった。
  ・仙萩園への入所希望申し込みを受け付けているが、低肺べットは合併症の1名の他には申し込みが出ていない。2月に入所調整会議を開いて決定するので早く申し込んで欲しい。

◇村上会長…
 ・施設を見てからと考えていたし、受け付けが始まっているのは知らなかった。本日始めて承った。
 ・他の障害者は従来から待機という形をとっていたからすぐ出されたと思う。低肺べットは初めてなので、病院や先生方にも周知されていないのではないか。
  ・県や市の医師会に施設の概要(案内書)と手続きの説明書を送って欲しい。市としても広く呼吸器の開業医の先生にも知らせていただきたい。
  ・厳冬に患者会のみに広報を命ぜられても息が苦しくて電話すら掛けえないのが実情です。それでも会としてはも早速会員に周知させいので、必要部数を用意して欲しい。

以下略

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東北初の看護ステーション開所

天神訪問看護ステーション、披露式て開設祝う

(福島民報)

会津若松市に昨年末、開設された呼吸器系専門「会津天神訪問看護ステーション」の披露式は十八日、同市のワシントンホテルで催された。  
在宅酸素療法を持つ帝人在宅医療東日本をバックに、慢性呼吸不全の患者に同療法を普及しようと開設した。関係者ら約五十人が出席。同社の在宅医療事業部門の内藤敏雄部門長が「自宅で安心して療養できる地域密着型の訪問看護ステーションを築くよう、スタッフが一丸となって取り組みたい」とあいさつ、菅家一郎市長らが祝辞を述べた。
 同ステーション所長の小桧山ミネ子さんが、スタッフと施設を紹介し業務の説明を行った。出席者は、県内でも初めてといわれる呼吸器系専門の訪問看護ステーションに大きな期待を寄せていた。

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介護保険料一割負担でも私達には莫大です
無収入・低年金で電気代にさえ苦しんでいます。

低肺患者らへの訪問介護、市単独で「回数」上乗せ

河北新報平成12年(2000年)2月1日(火曜日)

 仙台市は三十一日までに、低肺患者など呼吸器機能障害者向けの訪問介護(ホームヘルプ)サービスを、介護保険のホームヘルプサービスとは別枠で、平成十二年度から制度化するための検討作業を始めた。四月の介護保険制度施行後も、現行のサービス水準を維持するのが狙いで、市の単独事業としてサービス回数を上乗せする。

 介護保険が始まると、現在は障害者施策として実施されているサービスのうち、筋委縮性側索硬化症(ALS)など十五種の「特定疾病」に該当する四十〜六十四歳の障害者に対するホームヘルプや訪問入浴などは、介護保険のサービスに組み込まれる。介護保険の枠内だけでは、サービス量が不足するケースも出ると懸念されている。

 厚生省は「特定疾病の十五種のうち、介護保険のホームヘルプよりも濃密なホームヘルプが必要だと認められる全身性障害者、聴覚、視覚、知的障害者については、独自の施策を考えている」(障害保健福祉部)としているが、現時点で呼吸器機能障害者については具体的な施策を示していない。

 仙台市健康福祉局は「呼吸器機能障害者に関しても、介護保険のホームヘルプだけでは回数が不足する可能性がある。サービス水準を低下させないために対応する必要がある」としている。今後、厚生省の施策との調整を急く方針で、全身性障害者らについては、国の制度を見極めた上で決める。

 介護保険制度では六十五歳以上の人のほか、障害者でも四十〜六十四歳で医療保険に加入していれば、保険料を払い、サービスを受けることになる。介護保険のサービスを利用する場合は、市町村に要介護(要支援)認定を申請し、「要介護(1〜5の五段階)」または「要支援」と認定される必要がある。

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政令市会議に出席して

拝啓 長かった暑い夏も過ぎしのぎやすい季節となりましたが益々の御清祥をお慶び申し上げます。

さて先月二十五日の協議会ては何かとお世話になり、且つ色々とご教導を賜り有り難うございまし、た厚く御礼申し上げます。

全体会議の桔果についての報告が大変運れましたことを深くお詫び申し上げます。村上様も内部障害者部会の結果はご承知の事と思いますので細部は省略しますが、全体会議に報告された各部会の協議結果は全て採択されました。私はこの種の会議は初めてで、しかも勉強もしなかったのでどういう流れでどのように処理されるのか分からずに出席しましたので、無駄な時間を取らせたり、失礼な発言もあり、ご迷惑をかけたと反省しております。それにしても各部会から出される問題の多さに驚きました。それだけ障害者の持つ悩みは計り知れないものがあり、国の福祉政策の在り方を考えさせられました。

村上様から頂いた会報「白鳥」を見て、村上様のご努力とその成果の大きさに驚きました。我が「神奈川もみじ」会も、もう少し頑張らなくてはという思いで一杯です。今後ともご指導の程宜しくお願い申し上げます。これからの季節は私達にとっては厳しいものですがお互い健康に留意しましょう。今後とも宜しくお願い申し上げます。

              敬具

   十月五日
神奈川もみじ会 S.K

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【人生脚本】  自分を生きる

山形県支部 Y.S

 息苦しさとその不安の中で白鳥会に出会い、仙台での講演会や勉強会に出常させて頂くようになってもう十年の年月を経ました。

 その中で教えていただきましたことを村上会長さんにすすめられて「白鳥」百号に「呼吸器リハビリとの出会い」、百七号に「長埼呼吸器リハビリクリニック見聞録」、百十四号に「同 そ-の二」と掲載させていただきました。皆様お読みいただいた方もいらっしゃると存じます。

 又、宮城県内での催し事にも、出来るだけいろいろと出席ずるように努力いたしました。その中でも仙台での長崎医大の千住秀明先生の呼吸器リハビリの御指導を受け、腹式呼吸のその先に 呼吸器障害者の私達に明るいゆとりのある、『人生』のあることを学ばさせて頂きました。

 山形から宮城県や長崎まで出向いていろいろと勉強させていただける、この仙台での恩恵を自分が一人じめにしておるようだなあ……と会長さんにもらします。

 息苦しい日々のなかで、呼吸器リハビリに目を向けてから五年になります。長崎呼吸器リハビリセンターで訓練を受けまして早や二年と年月が流れてゆきました。

 この度、肺機能の検査を受けましたところ千六百ccと言わ自分の耳を疑いました。この事を電話の折、会長さんにお話しいたしましたら、「誰もが肺活量が年毎少なく減っておるのになぁ、貴方のリハビリ訓練の記録のようなもの書いて皆に知らせていただけませんか」と感心されました。

 私の手元にある肺活量の記録から
     六年十一月  千五百cc
     九年 九月  千二百五十cc 三十九.二%
          十月  千三百cc   三十二.八%
     十一年五月  千六百cc   四十七 %
 これでも一気に二階への階段も上ると息苦しくなり呼吸困難になることもあります。

 夜中息苦しさが強くなり、日曜の夜電話して病院へ、診察即入院酸素吸入 百日間の入院生活、退院時看護婦さんよリパンフレットを頂き腹式呼吸の練習を二回位受けたであろうか、 退院後は散歩して、 体力の回復を考えておりました。而し百メートル歩くにも息切れして立ち止まりつつ、なかなか進歩はありませんでした。

 復式呼吸の有効なるを会報白鳥誌を通して学び 機会を求めて、「呼吸器リハビリへの道」を購入いたしました。

 息切れに腹式呼吸は大切なことだと体感するに二年の月日は流れたように思われます。

「運動療法」 この事を知ったのは遠刈田温泉での理学療法士会主催の第一回の講習会に白鳥会の数人が主催者の好意により参加させて頂いた時でありました。又その機会に千住秀明助教授と知り合い、長崎県諌早市の呼吸器リハビリクリニックに五十日入院する幸運に恵まれ、色々と学ばせていただきました。自分の中に こんなにすばらしい体力が未だ残されて在ることを知り驚きました。

 肺の機能の回復は望めませんが、筋肉は幾才になっても訓練によって回復が可能なのでした。

 運動療法の中で出合った問題点

 以前から何十年も、胸の病には安静が第一、と療養生活を長年励み、社会に復帰してからも静かに身体をいたわることを一番と考えて身体を庇い、休みました。時間を見出して運動に励むなどとは考えることもありませんでした、。又、呼吸リハビリ訓練の成果などと教えて下さる方には一人も遭遇致しませんでした。

 手も足も背筋もいっぱいに伸ばしますと何十年も動かしていない身体なの筋肉痛との戦いがあります。時には息の止まるような痛みにおそわれました。不安なときもありました。

 二年開の毎日の努力の賜物か今では自由に手を足を伸ばして心地良さを感じられるよになりました。

 時として体の不調に出合います。一本調子で「べスト」の状態に保持することはむづかしいことです。少々の事で身体の自由を失ってしまいます。致し方ありません。回復を待ちます。そして障害者なのだとしみじみ思います。

 どの地でもお医者さんと理学士の先生の協カプレイの中で呼吸器のリハビリが進められたらと強く感じています。

 各人の背負う荷物はそれぞれに違います。家庭環境、通院出来る病院、そのスタッフ、病歴、残存能力それらを考慮しながら手近に出来るリハビリ訓練の基本を教えてほしい。

 低肺者は厳しい一人旅なのです。

 長崎呼吸器リハビリセンターでは、お医者さん、理学士の先生、看護婦さん達で週一回ミーティングが開かれておりました。その光景が強烈な思い出として目に浮かんで参ります。

 呼吸器リハビリは治療でなく残されている肺機能を上手に生かして用いる日々の営みなのです。それには自分の状態を良く知り身と心とを受容し支持してゆく事は不可欠と思います。確かな人生プランを画いて希望に生きる重要性を強く意識しております

 私は十八才で肺結核発病、病床十年余の闘病生活後社会復帰して一家を営む。六十才を越したところで、再び療養の身となりました。これからの人生は、ゆとりある自分の生活設計を画いて、生きたく心より祈り願っております。キャンバスに自分を画き 又新しくキャンバスを開いて自分を画く、更にもう一枚めくって喜びと感謝の自分を画き続ける。そう生きたく心より願い祈ります。

 それにはリハビリ訓練は不可欠なのであります。

<<リハビリ訓練スナップ>> 
その1:一斉に並んで、ハイ吸って吐いてぇ…
 
その2:よく覚えて、指導者にならなくては… 
その3:総婦長さんも、全員最後まで熱心に…

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低肺者の嘆き

栃木県 H.T
(「もみじ会会報」より転載)

 私は昭和12年(22才)に肺炎を患って以来、当時おきまりの肺浸潤、人工気胸、左右肋膜炎、左膿胸の道をたどり昭和39年に肋膜掻爬胸郭成形手術をして、昭和41年にようやく就職出来る身となりました。

 昭和62年12月(72才)に書いた原稿からその一部を投稿します。

 私は、呼吸器の病気で長い間の療養の後、左肺を成形手術をした為、現在の肺活量は健康人の24%(880CC)しかありません。従って、重い荷物は持てないし、階段の昇降も無理、無論急な駆け出しなど出来よう筈がありません。冷たい空気を吸うと呼吸が苦しくなる。

 炭酸ガスの排出がうまく出来ないので、頭痛がするし、疲れると眼底に痛みを覚え、湿度の高い日には呼吸困難を感じまず。 柿の血管が高度に損傷されているため、血液の循環が悪く心臓に負担がかかるので、何事によらず、真っ先に呼吸のことを意識してしまい、日常生活の動作が著しく制限されてしまいます。

 お客様が来ても長話の付き合いとか、煙草でもふかされるとその場にいたたまれない。階段を上る時はジグザグにゆっくりとか、何段目まで上ったら息を整えるとか、出来れば後ろ向きに上ればもっと楽だなどと生きる為にいつも呼吸のことを考え身体をいたわることを考えている。

 こんな内部障害者の事情を健康人が理解出来ないのは無理
もないと思う。

 右手を動かさずに仕事をし、目をつぶって歩く、そうすれば健康人も外部障害者がいかに不自由で気の毒なのかおよそ察しがつく。しかし、片肺で呼吸してみることは出来ない相談であるが故に内部障害者は同情や思いやりを拒絶されてきている。

 起居を共にする家族にすら分かってもらえぬ有様だ。低肺者の事情を詳らかにしないと分かってもらえないと思うので、まず呼吸機能のことから記してみます。

 肺は、血液が体内から生理活動で発生した炭酸ガスを集めて、吸い込んだ空気中の酸素と交換し、炭酸ガスは吐く息として体外に出し、酸素を持った血液は心臓によって体内に配給されます。このガス交換機能が悪くなることを呼吸不全といいます。

 肋膜炎や胸郭成形手術によって起きた肺機能低下は、病気が治っても元に戻らず、慢性の呼吸不全になってしまいます。

 人は運動するとガス交換機能を高める為に呼吸や心拍数を早くします。相撲を取り終った力士が、耐え切れない程の荒々しい息づかいで太鼓腹を波打たせているのを見れば良く分かると思います。

 これが低肺者の場合には横になっていた人が起き上がっただけで心臓がドキドキしたり、息がハアハアします。

 こういう苦しい状態を長く続けていると、心臓に負担がかかり、その結果肺動脈の血圧が上がり右心室が肥大して血液を送り出す力が弱ってきます(肺性心)。

 いつか暫く前に、中年の片肺女性がボストンマラソン大会に出場する希望のもとに皇居前で練習をやり、新聞紙上を写真入りで賑わしましたが、無知がもたらす悲劇で自ら墓穴を掘るようになってしまった。

 心臓だけが悪いのではなく、原因の肺機能が良くならない限り、ガンの移転した人や心筋梗塞にかかった人と同様治癒は不可能だそうで、私なども、肺活量880CC(予測肺活量3270CC)一秒量783CCで健常者の1/4の能力しかありません。十分注意はしていても、急な用事で人並みに十四、五段の階段を上るや、一息入れる間もあらばこそ、たちまち呼吸困難となり、目は眩み、天井は回転し、千尋の谷底へ落ちるような感覚に疎み失禁してしまう。

 私は心臓部(私の場合右肋膜癒着と左成形手術の為右側にかたより心臓が骨を圧迫している)に刃物を突き刺された様な痛みがある。圧迫された胸郭の為胸腔がいくら圧迫をかけて空気を吸っても少しも広がらず、力士やボクサーのような波打つ呼吸をすることが出来ない。吐き出す息が誠にわずかな為、胸苦しさに血も凍るような、意識の底を流れるような不安感に襲われる時もあります。

 これらはガス交換能力以上の動き方をした為、酸素欠乏と炭酸ガスの貯留状態となって心臓に負担をかけた場合に起きる現象で、長く続けると心臓が弱り死亡する危険な状態です。

 だから日常的に一度に酸素を沢山使わないような動き方を工夫している。激怒したり、激しい口論などとんでもない。

 血が逆流するなどという前に、脈拍が高揚し、呼吸が弾み物も言えなくなってしまう。 誰にも分かってもらえないこの苦しみ、世間では物ぐさ者の泣き言ぐらいにしか聞いてくれない。運動だって普通はしないよりした方が良いのに、私の場合はしないよりした方がもっと悪いのです。

 片足の人は立ったままズボンを穿くことが出来ない。片手の人は帯を締めることが出来ない。ところが私の場合は苦しいことを我慢すれば一応は出来るのです。でも出来るということは「やっても良い」 「やっても生命の安全を脅かされない」ということではないのです。呼吸不全の程度によっては、「やれても」 「やらない方が良い」場合があるのです。私たちにはパラリンピックはありません。

 ですから身体障害者といっても、一見して分かる目足手などの外部障害者と内部障害者(呼吸器、心臓、腎臓など)とは本質的に異なり、この点が社会から理解されにくいところです。

 医師は外科手術を開発して私たちを救ってくれました。結核が不治といわれた時代は過去のものとなりましたが、低肺機能という新しい障害を生む結果となり、善意と熱意に満ちて最善を尽くして下されても、生きていて良かったというような救われ方ではないのです。死と真正面から対決している日常は、平素健康な方々には想像もして頂けないと思うのです。

 人は喜びを求めて生きるといわれます、現在の自分に出来る仕事を見つけてすることは、毎日の生活を楽しく明るくしてくれます。

 しかし、人の為に、生きる為に働くということは体力の無い私には勇気のいることです。身体が悪いと兎角引っ込み思案になるし、やって悪いことが沢山出てきます。

 生きる苦行の果てに辿り着いたのが「仏法」。これを心の支えに生きる力を得る為に、朝夕の勤行唱題を実行し、人生の日に日を重ねて今日に至りました。信心したからといって、空き腹に飯を食ったように、失った肺活量が俄に増加するという具合にはいきません。仏法は道理ですから。

 孔子は「死生命アリ富貴ハ天二在り」と云い、教養や知性がなくとも長者になる者もあり、幾度か死地に赴きながら、72才の今日まで身体障害者の故をもって冷や飯を食わされながら生きてきた者もある。

 人から「これから余生ですね」と言われるけれど浅学非才の為に人生の落伍者となったのだ。学ぶことは無限にあり、今は図書館通いの毎日です。

 「菊作り花見る時は陰の人」(吉川英治)、人はそれぞれに命の器を持って生きているという、妙法をたもった私の器は差し詰めガラスの器でも丁寧に磨くならば十分使用に耐えられる。やがては破損するにしても、その時顧みて満足の人生でありたいと思うのです。

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【会員からのお便り】

 拝啓、昨日は電話でいろいろご教示頂きありがとうございました。

 早速ですが、インターネットで貴会を知り入会したく昨日入会金と年会費を振込みしました。ご確認下さい。

 私、平成七年三月から在宅酸素をしながら仕事をしてきました。一時は九州や東京なども酸素ボンベを持っていれば泊まりの出張もできました。しかし、昨年インフルエンザを患ってから急に呼吸の状態が悪くなり、酸素の量が一・五から二リッターに増えましたが、仕事はほとんど休むことなく息苦しさだけ我慢すればなんとかできました。

 ところが今年七月、あまりの息苦しさに病院に行ったところ肺炎になっていてすぐ入院しました。二週間ぐらいで肺炎は治ったので急いで退院し、残してあった仕事の処理に追われる毎日でした。暑さと問題の多い仕事のストレスで夜眠れない日も続き、八月二六日に再入院となりました。九月末には退院しましたが、もう仕事に戻れる状態ではなく、自宅で悶々としている毎日です。

 こんなに苦しい日々が続くのなら、何も出来ないのなら生きている価値がないのではないか……。どうしてもそんな答えしか出てこず、鬱状態に落ち込み余計に自分を苦しめているのです。

 いろいろやってみました。写経、日記つけなどなど、そして同じ病気で苦しんでいる人との交流ができないものかと思って、一度も触ったことがないパソコンを買い、やっとイン夕-ネットで貴会を見つけました。

 昨日、電話でしばらくお話をし心強くなりました。離れていますが、私で協力できることがあればさせて頂きますのでお知らせ下さい。 敬具

【病歴】・平成六年十一月、京大病院にて、両肺巨大のう庖切除手術(平成七年二月退院)
    ・在宅酸素療法を始める(○・五〜一g)
    ・インフルエンザで急激に悪化。この後から酸素(一・五〜二gになる)
    ・現在は二〜二・五gです。
以上です。

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【会員からのお便り】   リハビリを覚えたけれど

暑い暑いと喜んで居た気候も、アッと言う間に寒さの訪れ、毎日冬物の重ね着と言う始末でございます。

いつも種々とお送り頂きながら、何のお便り又会費もお送りしてない事を心苦しく思いながら、筆不精と怠け者の為申し訳ないと思いつつ御無沙汰致してすみません。

今度の千住先生直伝の呼吸リハビリ、私にとっては又とないお教えを頂き心から御礼申し上げます。

気仙沼でも調べたら大部慢性患者も多い事とは思いますが糖尿患者は組合やら勉強会やら慣行して居りますが胸部患者には何の声がけもありません。

私も一昨年保健婦さんにその事を話しましたがそうですねとの返事だけでした。職に就いて居る保健婦さん又は看護婦さん医師とその道の人達が話して大きく聞かして頂いたら気仙沼にも講師先生をお招き出来るか、又病院側ももう少し重大視してもらへるのでは等と思う事もありますが、私達みたいな老人の一人二人がどうにも出来る問題ではないと思ったりして居ります。でも此の頃酸素ボンベの姿が見かけるようになりました。何となく誰、医者でどんな病状か知りませんが嬉しいように見かけて居ります。

今度の千住先生の呼吸リハビリは私も大いに勉強して居りまが、もう少し近かったら仙台までもと残念に思いました。酸素を使いながら全国をお世話下さって居られる御様子を読むと本当に頭の下がる思いが致します。私も三十年以上ともなりましょうか、去年から種々の後遺症が出て風邪を引く度に体力が衰えて居るので全くがっくりして居ります。入退院をくり返して居りますの今年の冬をどうして暮らせるか命のちぢむような気持ちでございますが頂いたパンフレットを勉強に笛ふき運動等種々慣行して居ります。

体の調子がもう少しがっしり普通になれたら嬉しいのですが、体自体がどうしてもなよなよしていつまでも人院状態の体で力が入らず今の所呼吸の苦しさも夜:蒔頃から少しある位で此処と言って苦しいところもありません。

歩く事、少し仕事、台所、家事、そんなものですが、何とかして今年の冬は風邪から逃れたいものと種々民間療法や漢方等慣行して居りますがどうなる事かと思っております。医者は入院した時は酸素はしますが、なかなかしっかりした体力の力が出て来ませんので困って居ります。

乱筆にて長い事ペンも執らないので読む事も辛いと思いますが宜しく御判読下さいませ。会費二千円同封致します。局が遠いのでなかなか思うようにならず深くお詫び申し上げます。益々の御活躍とご健康をお祈りもうしあげます。

                   H.K

 きみ子様
此の頃寒くなったので呼吸の調子はやっぱり乱れております

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表彰状を受領いたしました。

会長村上きみ子様

拝啓
 去る十月二十九日の県社会福祉大会に於いて、宮城県身体障害者会長浅野信夫さんからの「表彰状」を頂き有り難うございました。たいしたご協力も申し上げていないのに過分な表彰。これは、村上会長さんのご尽力の賜物と深く感謝申し上げます。古川市役所の車での送迎がありましたので何とか出席することができました。当日会場で、村上会長さんにお目にかかれるかもしれないと思い探しました。

 浅野会長さんにもお口にかかりたいと深しましたが、別室だったようでお会いできませんでした。帰ってから奥さんの処へ電話しました。第一報は村上会長さんへかけたのでしたがお留守で残念でした

 小生も猶七十九才。よくぞここまで比較的元気に過ごしてきたものと恩っています。低肺運動参加がよかったのではないかと感謝しています。これから外は寒くなります。

 今後のご活躍のためにも自重自愛ご健勝であらせられますよう祈念申し上げます。

敬具

 平成十一年十一月五日
古川市 T.K (東北白鳥会副会長)

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編集後記

◆西暦二干年を迎えるコンピュター誤作動の恐れで皆さんも十二月中はいろいろとご心配だったと思いますが、電力関係も幸い何事もなく無事に済みました。今後思わぬ大災害が各地に発生した時にこの度の準備が少しならずお役に立つと思います。

◆今年は介護保険の制度上に矛盾が多いことがはっきりと浮き立って、障害者(特に六十五才以上の障害者)は適用規準も費用負担面も非常に厳しいことが判りました。その改善には地域社会の理解と支援・内科医師の意見が重要で、地域毎に皆様の団結が必要です。

◆今冬はインフルエンザが猛威を振るい、ワクチンも不足がちでどこの病院も患者さんで一杯。咳込む人の多い待合室は低肺者には恐怖です。一月は比較的暖く喜んでおりましたのに、二月に入り連日冷たい風雪で私達には通院も、日常生活も大変な日々でした。

◆心細い日々に、花柳雅好先生ご一門の舞初の会チャリティが開催され古典芸能の優美で華麗な美しい踊りにお招き頂きました。心温まるお励ましの一日でした。多額の支援金を頂きました。後日宮沢寒山先生のチャリティ演奏会と共に詳細をご報告さぜていただきます。

◆四月からはいよいよ介護保険が始まりますが、私たちは外見では解りにくい病気ですので一人一人が苦しみを声にして行政にお願いしましょう。会報の発行も遅れがちでボランティアの皆様に頑張って頂いておりますが、皆様の周りでお手伝い頂ける方がおられましたなら遠方の方でも是非お知らせ下さい。お願い申し上げます。

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