会報『白鳥』122・123合併号

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低肺運動のいま・・・東北白鳥会、会長:村上きみ子

ごあいさつ・・・営城県知事:浅野史郎

新年のごあいさつ・・・仙台市長:藤井黎

新しい年を迎えて・・・東北大学名誉教授/チエスト技術研究所所長:瀧島任

新春雑感・・・フクダライフテック南東北株式会社:木村茂

(対談)喀痰の日内変動とクロノセラピー・・・
       長岡 滋氏 (日本喀痰研究所所長)
           佐々木 孝夫氏 (鳥取大学第三丙科教授)

のこった機能を活性化させよう・・・
==残存機能の可能性をもとめて==木村 久米治

重度障害者療護施設「杏友園」に酸素配管の低肺ベツドを設置・・・
東北白鳥会とALS協会の患者会の聞き取りが行われました

呼吸不全東北地区対策協議会主催・・・
第13回講演会が開催されました

呼吸不全に関する用語の解説・・・
北海道:低肺の会会報より転載させていただきました

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低肺運動のいま

          東北白鳥会、会長:村上きみ子

 東北白鳥会を結成して十五年を経過しようとしております。

 私達の低肺運動は、体力的に社会活動が難しく、運動の進め方の手探りで、活動資金も無く、どれを取っても無いないづくしでした。

 その中で「在宅で酸素を吸いたい」と言う願いと、「低肺患者の仲間に危険を知らせ、命を守る」と言う大目的の為、役員達が我が身の病状の悪化を省みる暇も無く、ただただ心を一つにして前進して参りました。そして大勢の役員が倒れました。会員の方々には、より厳しい季節の真っ只中、呼吸困難や病状の悪化が、次々と起こっています。

 東北白鳥会の活動は、社会的に若干認められる様になって参りました。私達の心身を日夜苛み続ける、「息苦しさ」と言うものが、保健所や開業医の先生方のご理解を得ながら新聞やテレビ等、マスメディアを通して「低肺」と言う略字も知られるまでになりました。しかし、政治や行政の面からも私達が生きている間に、「低肺対策」を早急に実施して頂きたく、運動を細々と続けているところでございます。

 遅れている大きな問題点として福祉政策の基準となる障害者認定に二級の制度がないことです。現在の福祉の諸制度、これからの介護保険のすべてに身障手帳一、二級所持が査定の大きい基準となりますので生活難易度へのご御理解を頂き是非改善していただきたいです。

 姉妹会、全国各地の患者会を見ましても、当会同様に今日の縦割り行政の複雑さの中で個々に地方行政に働きかける力は既に失われてきております。肺の病気の持つ複雑さ重篤さ進行性、急激な悪化等の特殊性が、地域社会の中で声すらか細く平等に生活出来ない微弱な低肺者への配慮の無視に繋がるなのでしょうか?運動を重ねていると、戦前戦後の国力のない時代の汚点として刻の経過を待たれているような、無力感すら味わせられる場合さえあります。しかしながら、地元仙台市は全国でも政令都市中でも一歩前進しています。(別項参照)

 長崎に於いては、熱心な医療関係者により患者教育の為の「呼吸器リハビリクリニック」が実現しました。その延長線上に、安心して生活出来る医療施設としての、「低肺ホーム」を各地に欲しい、これらは、私達が、長年唱え続けた願望の一つですが、「法律がない。此れからの需要は」と言う口実で僅かに療護施設への順用と、低肺べッドで押し切られて居ります。昨年に於ける岡山の一部肺移植のは、実に喜ばしい成果でした。東北大学医学部を中心としての呼吸器専門分野で、「肺・心臓・その他臓器の移植」等、医学医療の進歩発展があり、将来に希望と期待が大きく嬉しくなります。

 最後になりますが、呼吸器の治療法について、日々献身的に研究を進めて下さる、医療関係者の方々、又、会の日常活動について、いろんな面からお手伝い、御支援を頂いているボランティアの皆様、そして、私達の苦しい運動をご理解頂き、いろんな角度から私達を支えて下さる、市民の皆様に、深く感謝を申し上げますと共に、今後共、運動の続く限りご支援の程、宜しくお願い申し上げます。

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ごあいさつ

営城県知事:浅野史郎

 新年に当たりごあいさつ申し上げます。

 皆様方にはおだやかな新年をお迎えのこととお喜び申し上げます。

 肺機能に障害をもつ皆様方の保健・福祉の向上を図ること目指して、東北白烏会が桔成されてから年目を迎えられると伺っております。

 これまでの会員の皆様の御努力に対し、深く敬意を表しますとともに、今後とも会員皆様
方の、心のよりどころとして、東北白烏会が発展を続けられますよう祈念いたします。

 さて、本県においては、これまでどんなに童い障害を持っていても当たり前の生活ができる社会を目指しし、「日本一の福祉先進県」づくりを推進して参りましたが、平成九年にその行動方針となる「みやぎの福祉・夢プラン」を策定・し、現在計画の具体化に努力しているところであります。既に在宅酸素療法を行う方々の酸棄濃縮器の使用にかかる電機料の助成など、実現しているものもありますが、今後とも呼吸器機能障害者の健康保持と生活の安定に努めて参りたいと考えておりますので、皆様方におかれましても一層のご理解と御協カをお願い甲し上げます。

 近年の在宅酸素療法を含む医療の進歩には目を見張るものがありますし、また、厚生省の調査研究班等により、肺・呼吸等に関する研究も進められており、その成果の期待するところであります。

 皆様方にとりまして、本年が希望の持てる明るい年となりますように祈念し、新年のあいさつとさせてただきまます。


新年のごあいさつ

仙台市長:藤井黎


 東北白鳥会会員ご一同様に心から新年のご挨拶を申し上げます。

 昨年は相変わらずの景気の停滞をはじめ、カレー事件等暗いニュースばかりが続いたような年でありました。しかし同時に長野オリンピックやワールドカップサッカー初出場等楽しい話題もありました。

 さて今年はどうでしょうか。私は実は今年を本市にとって本格的な福祉先進市を目指す新しいスタートの年と位置付けております。すなわち来年度からの介護保険制度の導入に先がげて、福祉のあらゆる分野においてその充実のための施策を図ろうと考えております。その中で呼吸器機能障害者の方々の、つまりは貴東北白鳥会の皆様のご要望に、段階的にではありますが応えていきたいと考えております。

 この一年が皆様にとりまして、新しい希望をもたらすものとなりますよう、心よりご祈念申し上げまして、新年のご挨拶といたします。


新しい年を迎えて

 東北大学名誉教授:        
  チエスト技術研究所所長:瀧島任

 平成十一年も明けて二月を迎え、明日は節分です。

 遅まきながら、新年を皆様とともにお祝い申し上げたいと思います。昨年に比べますと、比較的に穏やかな一年のスタートと言えますが、悪性のインフルエンザが猛威を振るい、皆様方にとっては大変に心配な年明けとなったのではないかと危惧しております。呼吸不全の患者さん方には、風邪、ましてインフルエンザは大変な脅威ですので、くれぐれも油断なく、細心の注意をはらってこれを乗り切って頂きたいと念願しております。

 新年早々、それでなくても病気で悩んでおられる患者さん方に病人が増える話をするのは大変気がひけることですが、医療従事者や行政側にも知っておいていただきたい重要な情報が有りますので、ご紹介したいと思います。

 一九九二年に、世界的に大変権威のある世界銀行が発表した疾患の動向予測によりますと、世界的な視野に立ってみた場合、一九九〇年の時点での人類にとって最も重要な、脅威となる疾患、死亡率という観点だけでなく、QOLを含めて人類に大きな負担を与えている疾患のうち十位以内のものを挙げてみますと、戦争や交通事故といったものもありますが、肺炎などの呼吸器感染、栄養失調、下痢など経済的、貧困によると思われる疾患群、また、理由は同じだと思いますが、拙悪な保健、衛生環境によると思われる結核、マラリア、麻疹などの感染症が主なものです。アフリカや中南米の貧しい国々の人々の不幸がそのまま統計に表れた感じです。 そして呼吸不全の主疾患である肺気腫など慢性閉塞性肺疾患は第十二位に上昇しております。

 ところでこれらの疾患構成が二〇二〇年、三〇年後にどうなるのかの予測を見ますと、驚くなかれ慢性閉塞性肺疾患は第五位に上昇しております。その主な原因はタバコの害であると世界銀行は警告しております。呼吸不全が人類にとって今後ますます重要な疾病になるという予測であります。

 これらの事実、予測を医療を担当する側も、あるいはそれらをサポートする行政の側にもよく認識して頂き、患者さんのケアーに取り組んでいかなければならないと痛感しております。どうか白鳥会の皆様もそれらの活動に期待し、希望をもち、そしてまた今年も病状が悪化しないよう患者さん側もご自身の  こい、元気にお過ごしいただきたといたします。

 平成十一年二月二日


新春雑感

  フクダライフテック南東北株式会社:木村茂

 東北白鳥会の皆様、新年あけましておめでとうございます。

 寒さは厳しいながらも陽光に恵まれ、元日らしい一年の幕開けとなりました。

 「俺は仕事柄、絶対風邪を引けない」などと家族に宣言して炬燵弁慶をきめこんでの迎春となりました。

 『冬来たりなば、春遠からじ』とよく元気づけられますが、古いイギリスのこの名句が、今の日本の季節や世相・経済にぴったりで、全てに上向きとなりそうなこれからに希望を持って取り組んでいきたいと思っているところです。

 どうか今年も私たち『フクダライフテック』とよろしくお付合い頂けますようお願い申し上げます。

 私たちの会社、フクダ電子グループは、日本で初めて心電計(心臓の検査器械)を開発して以来、六十年にわたり医療の分野で活動して参りました。

 在宅酸素療法(HOT)に取組みはじめたのは昭和五十八年頃からだったと記憶していますが、私が金沢市にいる当時、アメリカ製の大きく重く騒々しい酸素濃縮装置に悪戦苦闘したのがかかわりのスタートでしたその後私は、福島・仙台と転勤して参りましたが、その間当社グループは本格的に在宅医療に取組み、全国で在宅酸素療法・在宅人工呼吸療法・睡眠時無呼吸疾患療法のお手伝いを展開しています。

 私は在宅医療専門の業務に替わってから、ご家庭で酸素療養をお続けの皆様方といつも接するにつけ、気候が気になり、大安・友引の暦が気になり、非常に季節感を強く感じるようになって参りました。

 また、三年ほど前、あるラン好きの患者さんとのお付合からすっかりラン栽培にはまってしまった私ですが以来、光と温度が最大のボイントとなる様々なランに熱中するにつけ、日光の有難さを人の三倍も五倍も感じるようになってまいりました。季節・暦・陽光、社内の若い人には『ただ年取っただけ』と云われておりますが、私自身は『より人間らしくなった』と、やや弁解がましく思いこむことにし、今後も皆様とのお付合いを大切にして参りたいと思っています。

 さて、様々な在宅医療が実施されている中で、現在私どもがお世話させてもらっております在宅医療について、業者側からのご紹介をしてみたいと思います。

【在宅酸素療法】

 会員の皆様はよくご存じの通りですが、過去に比べると実施する医療機関が大きく広がってきているのが近年の特徴です。

 以前は様々な制約から、大病院や専門病院に偏っていましたが、最近はお近くの開業医の先生方もどんどん実施されるようになり、遠くの病院へ永年通院しておられた患者さんが、近くのホームドクターのところヘ転院されるというケースもよく経験するようになってきました。

 通院のご苦労や、病院の外来混雑等を考えると、患者さんの利便も多かろうと思われます。

 また、患者さんが小旅行をされるケースも相当増加して参りました。
お孫さんの結婚式・戦友の会への参加・あるいは気分転換の小旅行等々、主治医の許可がおりればたまには思い切ってお出かけになってはいかがでしょう。これには私達が重要な役割をになうことになります。

 私共フクダライフテックは全国津々浦々に事業網を展開していますので、国内であれば行き先はどこであろうとお役に立てますのでご相談ください。

 ただし航空会社や宿泊先等との事前打合せがありますので、できるだけ早めにご相談いただきたく思います

【在宅人工呼吸療法】

 以前は重度の神経系疾患や植物状態等、自分で呼吸することができない患者さんを中心に、国内でも千数百人程度の実施にとどまっていました。

 数年前、アメリカから鼻マスクで人工呼吸が可能な人工呼吸器が紹介されると、危険度も低く管理も比較的容易なことから急速に利用が広まってきました。

 在宅酸素と併用される患者さんも多く、今後お仲間が広がっていくこととなりましょう。

【睡眠時無呼吸疾患療法】

 睡眠中に呼吸が停止してしまう患者さん向けの在宅医療ですが、症例ビデオを見せていただくと四十秒も呼吸が停止し、ビデオながらハラハラしてしまいます。

 この疾患での問題は、一応睡眠中の出来事なので当の本人は問題に気付きにくく、ましてや病気とはなかなか思えないというところにあります。

 ですが夜間の眠りが浅いために日中が眠く、仕事に支障をきたしたりして社会的にも最近注目されているところです。

 もし、バスの運転手さんが自覚のないまま居眠り運転・・などと考えると空恐ろしくなります。

 原因は睡眠中気道が塞がってしまうためですが、肥満の方に多いと聞きます。

 夜、呼吸補助具を着けてお休みになるわけですが、まだ社会的認知も不十分で、当の本人も半信半疑と云うようなケースも多く見られます。

 専門医はこれから相当増えていくと云っておられますので、肥満の方は特に要注意です。

 第三の医療といわれる在宅医療は、在宅医療先進国のアメリカの例を見ても、また日本の医療の現状と方向を見ても、今後益々普及定着していくのは間違いないものと思います。

 ただし、在宅医療を給付する側である行政・医療機関側も、保守管理を受託する我々業者側も、そして在宅医療を受ける側の患者さん・ご家族にも、その取組みをまだまだ工夫改善して、この医療制度の成熟が待たれているのも事実と思われます。

 入院による医療・通院による医療と違い、在宅医療の最大の特徴は『療養の実践のほとんどを患者さん自身で決定する』というところにあります。

 ですから、患者さん自身の考え方・その日の体調や気分で療養密度が変わるという点は日頃よく目にし、気になるところの一つです。

 そういった点を含め、私たちは医療機関側と患者さん側の間に位置する立場として、在宅医療を給付する側の評価だけに偏らず、受ける側の真の恩恵を考え、やるべきことが多くあるように思っています。

 毎年お正月にはご主人と旅行を楽しまれるHさん、『敦盛草』の話になると目がキラキラしてくるKさんお話し好きで座を立つのが気の毒に思えてくるSさんいろんな方といろんなお付合をいただいています。

 どうか今年も私たちを上手にご利用いただいて、良き充実の一年をお過ごしになることを心より念願しておリます。

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★喀痰の日内変動とクロノセラピー

対談 
 長岡 滋氏 (日本喀痰研究所所長)
 佐々木 孝夫氏 (鳥取大学第三丙科教授)

 生体のリズムに合わせて薬物の血中濃度などを調節するクロノセラピーという新しい治療の考え方が注目されている。このクロノセラピーの考え方を、去痰の臨床で、どのように生かすことができるのか。
 呼吸器疾患治療でのクロノセラピー、喀痰の日内変動、さらにこのほど新しく発売予定になった1日1回投与のムコソルバンLカプセルの有用性などについて、喀痰の臨床を専門とする長岡氏とクロノセラピーに詳しい佐々木氏に対談をお願いした。


【長岡】
先生はいろいろな研究でご活躍なさっていますがクロノセラピーについても非常に造詣が深いので、まずその理念についてお話いただきたいと思います。

◇クロノセラピーは生体リズムを考えた治療法

【佐々木】
 薬は有効濃度を1日中維持しておけばよいだろうという考えが従来からあって、例えば1日3回に分けて服用することが普通の考えでした。

 ところが、同じ投与量でも投与時刻によってピーク濃度が違うことがわかってきました。なぜそのようになるかというと、一つは吸収で、消化管の運動や消化酵素の分泌が1日の中で変動していることがわかりました。特に胃漬瘍などは夜中にできやすい。胃液の分泌がそうなっているんです。そういうふうに薬の吸収も時刻によって違う。

 次は、吸収された薬が体の中に分布していくことになります。その時に多くの薬は血清タンパクと結合して移動しますが、タンパクとの結合の仕方が時刻によって違うらしいんです。それに血流も関係します。血流も時刻によって当然変わる。

 さらに、代謝、排泄が関係してきます。それらが全部、薬物の濃度を規定する因子です。それらが時刻によってみんな違う。たとえば肝臓の代謝酵素の濃度が時刻によって違う。排泄の場合でも、腎の血流量も変わります。ですから、まず薬から言うと、投与する時刻によってその後の濃度の推移が違います。

 一方、生体側の反応性も時刻によって違います。例えば喘息の場合、気道過敏性が夜中から早朝にかけて冗進します。薬は生体の受容体を通して働くのだと思いますが、受容体の反応性そのものが時刻によって変わる。

【長岡】
 おもしろいですね。いままでの考え方はどちらかというと薬物を主体に考えていたけれども、それに対して生体側のリズムを考慮に入れようということですね。

【佐々木】
 そういう意味では疾患のリズムというものがあると思います(図1)。例えば、喘息の場合に早朝に症状が悪くなるのは、完全に生体側のリズムなんです。それと合わせて、例えば生体側の反応が鈍くなる時には薬物の濃度を上げて、よけいに効かせようという考え方がクロノセラピーの基本です。

◇喀痰の喀出困難が早朝に多いのはなぜか

【長岡】
 私は痰を専門に研究していますが、最近300例近くの痰の喀出を表明する慢性呼吸器疾患者を対象にして、1日を8時間ごとに分けて、どの時間帯が最も痰が出にくいと感じるかを調べてみました。その結果、それらの症状は朝の覚醒時に最高であることが認められました(図2)。

 深夜から早朝にかけての時間帯に分泌が増加する可能性も否定できないでしょうが、就寝中はよほどのことがない限り痰は喀出されないから、下気道に痰がたまっていて、それが朝に痰の喀出回数が多いことに結びつくのではないかと思われます。

【佐々木】
 私などは今でもそう考えています。

【長岡】
 そうですね、喀出量と分泌量は違う。古くは1921年にフォン・フッスリンというドイツの学者が、そういうことを言っていますし、比較的最近では、私が恩師のように思っているダルファノ先生もそういうことを言っています。それから、喘息の専門家のワナーが、喘息患者で痰が少ないのは分泌量が少ないのではなく喀出が少ないのであって、気道に停滞している分泌物が多いということを考えなければいけないと言っています。

 去痰薬について多数の研究報告を発表しているカナダのボイドは、多数の動物実験の結果を総括して、下気道の分泌量は、午後遅くなると多少減少する傾向があるが、だいたいコンスタントであると言っています。

 夜間睡眠中は、線毛の運動や呼気(換気)運動が低下します。モデル実験によって、呼吸の運動は、咳や線毛運動以上に痰の輸送に大きな役割を演じていることが強く示唆されており、これらのことも、夜間睡眠中に痰が下気道に貯留し、朝に多量に喀出されることの理由になると思われます。

 これは先生のご専門ですが、気管支喘息患者の気管支・肺胞洗浄液中の好酸球や好中球および活性酸素は、午前4時に多くなることが報告されています。好中球は強力な分泌増加物質であるエラスターゼを放出し、活性酸素はエラスターゼ・インヒビターを阻害してエラスターゼの作用を増強させます。これらのことにより、早朝に分泌が多くなる可能性も否定できないのではないかと思います。

◇喀痰の性状変化にもリズムがあるのではないか

【佐々木】
 痰の量的な変動が時刻でどうなっているかというのが、いま先生がおっしゃった研究ですが、痰の切れやすさとか痰の内容に関してはどうでしょうか。

【長岡】
 痰の化学的成分の日内変動について最近分析し、現在総括中ですが、朝に採取した喀痰中のアルブミンや糖蛋白の濃度は、就寝前の痰よりも高い傾向が認められました。アルブミンや糖蛋白の濃度の増加は、痰のレオロジーを変化させ粘液線毛クリアランスに悪影響を及ぼすと言われています。また喀痰中のIgA(免疫グロブリンA)の濃度は夜間から明け方にかけて高くなることと、IgAの濃度は、痰の粘・弾性と相関があることが報告されています。深夜から明け方にかけて喀痰中のIgA の濃度が増加すると痰の粘・弾性があるレべルを越えて増加し、線毛による輸送に支障をきたす可能性があります。

【佐々木】
 アルブミン、IgAなり粘液なりを出す細胞自体がどういうふうに時刻で働いているかということにもなりますね。おそらく気道の分泌でも、分泌量と粘液の性状も、たぶん時刻によって違うのではないでしょうか。

◇注目されるサーファクタント分泌の日内変動

【長岡】
 そうですね、それが今後の大きな検討課題だと思っています。それと、先ほど先生が胃潰瘍についておっしゃっていましたが、分泌線に関係あるサーカディアン・リズムを調べてみると、副交感神経が働くのは夜なんですね。

【佐々木】
 そして交感神経系はその逆なんです。ですから痰なども時刻によって両方の影響を受けて当然変わっているんじゃないでしょうか。

【長岡】
 気道の分泌に対する副交感神経と交感神経の影響についての研究が最近進展していますが、サーカディアン・リズムの的確な把握は、非常に興味深いと思います。

 ムコソルバンはご存じのとおり、従来の粘液溶解性去痰薬のように痰の性状を変化させるのではなく、肺サーファクタント(肺表面活性物質)の産生を増加させることにより去痰作用を示す薬物です。サーファクタントは、痰の粘膜に対する粘着性を低下させ、上皮を覆っている気道液のゲル層の間に入り込んで線毛が運動しやすい環境を形成します。最近、線毛により輸送されやすい痰と咳により喀出されやすい痰のレオロジー的性状は異なるが、粘着性の低下はいずれにとっても好ましいということが明らかにされています。

 また、最近西欧の研究者たちによって、サーファクタントには抗酸化作用があり、分泌の増加を防止する作用があること、および、カエルの口蓋粘膜に添加すると線毛による痰の輸送速度が増加するということが発表されています。

 先に述べましたように、夜間睡眠中には呼吸運動が低下しますが、呼吸運動が低下すると、肺サーファクタントは気管支の方に移動せず、粘膜線毛クリアランスに関与しなくなるという見解が発表されています。また、コルチゾールはサーファクタント合成に関与していることを示している研究報告があり、血漿コルチゾールの濃度は夕刻より夜間にかけて低下します。これらのことは、気道におけるサーファクタントの存在が夜間睡眠中に減少し、この日内変動が痰のクリアランスに影響を及ぼすことを強く示唆しています。また痰が下気道に貯留することもサーファクタントの機能に障害を及ぼします(図3)。

 早朝にサーファクタントの産生を増加させる作用を示すムコソルバン徐放剤の大きな臨床的メリットは、これらの点にあるのではないかと思います。私たちが、早朝に痰の喀出困難を表明する慢性呼吸器疾患患者群に、二重盲検法により従来のムコソルバン錠の1日3回投与の臨床試験を実施し、効果を比較検討した結果、有意差をもって徐放剤投与群が優れた効果を示しました(図4)。

【佐々木】
 肺胞気管支洗浄をすると、いろいろな細胞があっていろいろな活躍をしているのが時刻によって違うというふうに、個々の細胞の働きはあると思いますが、全体としてコントロールしているのは、私はコルチゾールが、隅々までそして神経の分布する範囲においては、交感神経と副交感神経、この3つだと思います。

 そういう意味で、呼吸器では、この3つに関係する薬剤を使うということが基本的にあると思います。副作用を少なくするとすれば、呼吸器に関しては3つとも吸入でやれます。ところが、寝ている時に起こしてβ刺激薬あるいは抗コリン薬を投与するわけにはいきません。コルチゾールに関して言えば、吸入でやって早朝、夜中に効かせることができますがムコソルバンは吸入剤ができたとしても夜中におこすわけにいかない。そうすると、やはりロングアクティングがいい。

【長岡】
 今日の話を総合して、薬物療法をさらに進歩させるには、非常にきめ細かく生体側のリズムを観察しなければいけないことになりますね。今日はどうもありがとうございました。
       提供 帝人株式会社
  NIKKEI MEDICAL 1996年9月10日号


のこった機能を活性化させよう
   ==残存機能の可能性をもとめて==

木村 久米治

 九月十三日、仙台空港から全日航366便に酸素ボンベをのせたキャリアを引きずって長崎呼吸器リハビリクリニックに入院すべく出発した。

 名古屋で乗り換え二時間したら長崎空港に着いた。バスを乗り継いで目指すクリニックはシャレた佇まいである。ざっとご紹介します。

口診療科目:、内科、呼吸器科、リハビリテーション科、ほかに老人デイケァサービス科が付設
口べツト数: 十九床(個室十五、二人部屋二)
口建物:一階に、受付、待合室、診察室、大浴室。
    二階に、病室、待合室、食堂。
    リハビリ室は、別棟になっている。
口スタツフ:院長、看護婦九名、理学療法士四名、介護人一名、厨房五名(内管理栄養士一名)、事務員四名

 内科治療に理学療法(呼吸訓練や運動療法等)栄養指導を組み合わせた(包括的呼吸リハビリ)のパイオニア診療所として注目されている。

 九十七年開業以来、患者は、北は北海道・東北、隣の韓国からも、治療にきている。

力富直人院長に<包括的リハビリ>中心に聞きました。

【Q】
 <包括的リハビリ>と(呼吸リハビリ)と何がどう違うのでしょうか。
【A】
 慢性呼吸器疾患(肺気腫、喘息、慢性気管支炎、結核後遺症症など)では、息苦しいところから、つい安静にする時間が多くなり、その結果食欲不振、栄養の低下、筋力低下などのため、体力が衰え、回復を著しく遅らせました。医師としての反省点でもあります。入院中に経験している内に分かっていただけると思います。
【Q】
 今までは、慢性呼吸器疾患は治らないと決め付けているように思います。それでは、欝屈(うっくつ)したような気分になって、生きる夢も希望も無くなってしまいかねません。かねてから明るい展望がいくらかでも開ける医療はないものか、と思っていました。
【A】
 そうです。たとえばの話、脳血管障害になった時リハビリすれば元に戻る(ことがあるかもしれませんが)ことがなくても、四肢の機能の働きの差はハッキリしています。肺も同様てす。肺を動かす筋肉や身体を動かす上下肢で残っている機能・残存機能を維持、増進するために、運動生理学の立場から取り組まなくてはなりません。
【Q】
 在宅酸素療法で「取りあえず、日常生活ができれば」というが、患者は「不治のやまい」ときめつけられたショックは致命的です。酸素ボンベを常用している不便さ、酸素チューブをつける恥ずかしさ(人は言うだろう、盲人の白い杖、肢体不自由な人の車椅子と同じだと考えればいい)と、だが心中穏やかではありません。
【A】
 リハビリを治療の一方法と位置づけて考えてみたらどうでしょうか。つまり内科治療、理学療法、呼吸訓練や運動療法、食事、患者は医者・薬にたよりきることから自立して、自己管理などを網羅した治療の意味をこめて「包括的リハビリ」ということで、その必要性を訴えているのです。
【Q】
 その核になっている<リハビリ>について具体的にお話し願います。
【A】
 <リハビリ>期間は、短期が二週間、標準が四週から八
週間です。
 プログラムは治療内容や順序・考え方の説明にはじまり肺機能検査、運動負荷テスト、各人の状態にあわせて、横隔膜を活用した腹式呼吸、口すぼめ呼吸法、呼吸体操、器具を使った運動療法、自己肺痰法、などを組み合わせて指導します。
 呼吸体操は一日二回、各二〇分程度です。号令をかけてするのではなく、自分の体調や運動能力に合わせた形でしてもらっています。
 呼吸リハビリテーションの適応は決して重症患者のみばかりが対象ではありません。
 在宅酸素療法をうけているかどうかより、労作時呼吸困難が感じられる肺疾患患者そのものが対象と考えられます。疾患早期に始める方が良いのです。早いうちだと運動療法の効果が上がるだけでなく、喫煙の禁止、風邪の予防、十分な栄養など疾病の予防のための教育効果が上がり易いと思います。
【Q】
 入院中、クリニックの外には出ないでしまいましたが
【A】
 どれだけ運動できるか自己テストの意味でも、長崎周辺は見所がたくさんありますから、無理のないように観光を楽しんでください。ご自分の残存能力でどの程度できるかテストのつもりで、安全に気を付けながら、運動してみてください。実施にあたっては、医師とよく相談の上実施してもらえばよいと思います。
【Q】
 先日の面談で、「リハビリの本質は、自宅とじこもり状態から、できるだけ外に出て、多くの人と交わりながら前向き思考に、考えを切り替える、つまり【Q】OL<生活の質>を高めることです。」と受けとめたのですが、それに付け加えていただけたらと思いますが。
【A】
 呼吸の基本訓練は鼻から酸素を横隔膜を使って吸い、口すぼめてゆっくり吐く腹式呼吸を併用できるようになれば、この方法だけでも動脈血酸素飽和度は数%は上昇します。呼吸訓練そして呼吸体操を合わせ呼吸筋力を強める訓練、歩行訓練が必要です。それらは理学療法士が指導します。それには、体力が必要ですからカロリーを多くとることです。

 目安として通常より十%位は多めに摂りたいものです。当院では、管理栄養士が具体的に指導します。

 次に大切なことがあります。急性憎悪の予防対策です。肺炎などの菌やウィルスが口から入るのですから、瀬戸際でなんとか食い止めるように努力すをることです。「手洗いとうがい」、を徹底することです。

 このような呼吸リハビリクリニックを専門とした診療所は今のところ、全国にここ一箇所です。

 全国各地に同じような施設が設置されることと、一人でも多くのお医者さん方に<包括的リハビリ>の考え方を理解いただけるように願っています。

 さらに患者さんにはとくに望まれることは、自己管理しながら療養してほしいということです。それらについてわたしが、十分納得いくように説明します。いうならば<説明と同意>のために時間を惜しまないつもりです。

諸費用は ・・・・・・ わたしの場合(参考まで)
 *航空運賃は、仙台長崎往復 十三万千百円(二人分)
  身体障害者手帳第一種三級、 介護人付二十五%引き、
    ◆行き 仙台から名古屋を経由して長崎
    ◆帰り 長崎から大阪を経由して仙台
 *クリニックの入院経費内訳
  ・入院費(五泊六日・個室):一万八千円
  ・食費:四千五百六円
  ・一部負担:六千六百円
  ・計: 二万九千百六円

参考

@機内に酸素ボンベを携帯する時は要予約、要医師の許可
 全日空予約、相談はスカイアシストデスク、
 フリーダイヤル、O120-102-9377(年中無休 九時から五時まで)
 身障手帳第1種所持者と介護人一人は、二十五%引き、
  (健康な老人にも六十五才以上は平日シルバー割引き有)

※主治医の許可、搭乗日十四日以内の主治医診断記入と機内持ち込みの酸素ボンベの登録番号も必要です。
 乗り降りについては、懇切丁寧で大助かりでした。心配は無用です。全日空にもお礼申し上げます。

A長崎呼吸器リハビリクリニック
  〒854-10063、長崎県諌早市貝津町1694
  п寞繻ワ七-二五-二三二三
B介護人の宿泊(クリニック敷地内、一泊三千円程度)
C持ち物:湯呑み、コップ、箸、ちり紙、スリッパ、記録録用具、体操に適当なくつ、運動着、歯ブラシ、石けん、タオル、手拭、テレホンカードなど。

 『事務局から』

 眼からウロコー 行ってみて体験しなけりゃ!
 私達が生き延びるのに日々のリハビリ訓練がとても大切です。
 「長崎呼吸器リハビリクリニック」のような施設と熱意あるスタッフが東北にも全国に早急に欲しい!
 白鳥会も入院の取り次ぎ紹介、体験上のご案内をいたします。


★重度障害者療護施設「杏友園」に酸素配管の低肺ベツドを設置
             (塩釜市に移築に伴い)

◇東北白鳥会とALS協会の患者会の聞き取りが行われた

 日時:平成 10年9月8日 午前10:30分
 場所:〒983-0836仙台市宮城野区幸町4丁目6-2
 出席者:
  ・宮城県保健福祉部障害保険福祉課 係長
  ・(社)宮城県身体障害者福祉協会会長 会長 浅野信夫
     常務理事事務局長第2啓園長 佐々木一洋
  ・杏友園の元の園長
  ・(株)みちのく設計 代表取締役 田村宏治 日本建築家協会会員
                 日本医療福祉建築協会会員
  ・東京の設計事務所 1 名
  ・東北白鳥会側  村上きみ子 佐藤わか子 藤森貴雄

◇始めに 佐々木一洋氏が発言、話し合いを一蹴。
 「杏友園の運営は宮身協が一切依頼されるので、本日持参した日本ALS協会宮城県支部の委任状も宛て名が知事宛で書類は違う。今日の話し合いは持てない、これで終わり。」と一蹴されました。

◇驚愕!
 低肺ホームの設置を10年も宮城県知事宛にお願い申し上げ続けて、今度こそと期待して指定された話し合いの場所に病を押して漸くに伺ったのに、突然相手が代わっていました。
 私達は宮城県へ県民としての救済をお願い申し上げ続け、此れからも今後の救済、早急な施策を待望しています。低肺べッド等も含めて低肺問題の聞き取り調査の場を切望しています。

◇その後
 県会議員遊佐美由紀先生他の変わりないご支援のお陰でべッド数は当初の2床から5床にふえました。開園は13年4月です。場所は塩釜市の新富町、街の中で交通の至便、とても住みやすいところです。

 皆さん!期待して、お待ち下さい!


呼吸不全東北地区対策協議会主催
      第13回講演会

●日時:平成11年3月13日(土)午後3時〜5時30分
●場所:斎藤報恩会館国際会議場B1:仙台市青葉区本町二丁目20-2

1、開会のことば
           東北大学名誉教授 瀧島任 先生

2、東北地区在宅酸素療法の現況
           東北大学第一内科 菊池喜博 先生
3、一般演題

  (1)COPDを未然に防ごう ==当科における禁煙指導外来の試み==
           岩手県立北上病院第3内科 田村太志 先生

  (2)当院における在宅酸素療法の現状と問題点
           福島県原町市渡辺病院 内科 長岐雅俊 先生

  (3)開始後3,000日以上経過したHOT症例の検討 ==20年目に入った症例を中心に==
           中通総合病院 呼吸器科 草彊芳明先生

  (4)慢性呼吸不全患者における24時間酸素飽和度モニターの使用経験
           東北大学 第一内科 黒澤一 先生

  (5)在宅人工呼吸療法の経験 ==当院施行例9名のまとめ==
           津軽保健生活協同組合健生病院 内科 安田肇 先生

  (6)呼吸不全を伴わない肺機能障害例の予後
           山形県立新庄病院 内科 藤井俊司 先生

4、特別講演 ==肺気腫症の外科療法==
           座長 東北大学名誉教授 瀧島任 先生
              福岡大学医学部教授 吉田稔 先生

5閉会のことば
           平鹿総合病院 林雅人 先生

※事務局 東北大学第一内科  飛田渉・菊池喜博

※後援:チェスト(株)・帝人在宅医療東日本(株)・住友ベークライト(株)・藤沢薬品工業(株)・フクダライフテック南東北(株)・(株)大和酸器・(株)小池メディカル


★呼吸不全に関する用語の解説

北海道低肺の会の会報より転載させていただきました

 医療講演や主治医の説明とか参考書や会報などによく専門用語が出てきますが、それらの言葉が何を意味するのかが分からないため、結局自分の病気について正しく理解できない場合があります。今回はこうした用語について簡単に解説します。

◆低肺
 肺機能が低下した者の総称で、低肺機能者または単に低肺と呼ぶ。
 慢性呼吸不全という「病気」と「呼吸機能障害者」の両方を同時に表現できる言葉として患者の間で使われだし、最近は医師や学会でも使われるようになった。

◆チアノーゼ
 体内の酸素が不足して、爪や唇の色が紫色に変化する状態を言う。顔色や身体全体の色も青黒くなっている。
 チアノーゼを呈する様になると、身体を動かすことや話すことも難しくなり、放置すると臓器の機能低下や意識不明に陥るなど、かなり危険な状態。周囲のすばやい対応が生死を分ける。

◆COPD(慢性閉塞性肺疾患)
 気道の閉塞を特徴とする。症状は何れも息切れ、咳、痰を伴うが個人差が大きい。
 肺気腫、慢性気管支炎、びまん性汎細気管支炎、気管支拡張症などが含まれる。
 慢性呼吸不全では閉塞性と拘束性が混合している場合が多い。拘束性肺疾患では肺結核後遺症や肺腺維症などがある。

◆HOT(ホット)
 英語で「在宅酸素療法」という意味の 頭文字、HOTの会と呼ぶ患者会も多

◆QOL(キュー・オー・エル)
 英語で「生活の質」という意味の頭文字。

◆VC(肺活量)
 できるだけ吸い込み、ゆっくりと全部はきだした時の空気の量。息切れの強さは肺活量よりも拘束性や閉塞性の程度に左右される。

◆FVC(努力性肺活量)
 できるだけ吸い込み、できるだけ早く一気にはきだした時の空気の全量。病状によっては激しい息切れのため、肺機能の検査が出来ないこともある。

◆予測肺活量
 性別、年齢、身長の組み合わせで正常体であれば当然あると予測される肺活量。二十歳ごろが最高で年と共に低下する。
 予測肺活量の計算式:男性(27.63-0.112×年齢)×身長(cm)
           女性(21.78-0.101×年齢)×身長(cm)

◆%VC(パーセント肺活量)
 (実測肺活量/予測肺活量)×一〇〇
 正常体の予測肺活量に対し実際の肺活量測定値がどの程度の比率であるかを示す。
 八〇-一二〇%が正常値。
 八〇%以下は拘束性障害があると診断する。

◆FEV一・〇%(一秒率)
 (一秒量/実測肺活量)×一〇〇
 できるだけ吸い込み、できるだけ早く一気にはきだした最初の一秒間の空気の量を一秒量と言い、この一秒量と実測肺活量との比を一秒率という。
 七〇〜一〇〇%が正常値。
 七〇%以下は閉塞性障害(COPD)があると診断する。

◆指数(予測肺活量一秒率)
 (一秒率/予測肺活量)×一〇〇
 身障手帳の交付判定基準の中で重要な数値となる。
 呼吸器機能障害の障害程度等級表において指数三〇-四〇は四級、三〇以下は三級、二〇以下は一級となっている。
 実測肺活量が多くても指数が低いと呼 吸は苦しい。

◆動脈血ガス分圧(単位:トール)
 動脈血中の酸素ガスや炭酸ガスの量を測定し、肺機能の診断基準の一つとなる。
 単位は闘/珈または→c「一トール一でPaO2とかPaOC2であらわす。
 PO2やPCO2で示すこともある。

◆PaO2(動脈血酸素分圧)
 動脈血中に含まれる酸素ガスの量。
 室内空気で八〇-一〇〇トールが正常値。
 六〇トール以下では在宅酸素療法の適用が検討される。

◆PaCO2(動脈血炭酸ガス分圧)
 動脈血中の炭酸ガスの量。
 三五-四五トールが正常値。
 五〇トール以上では在宅酸素の適用が検討される。

◆PH(ペーハー、動脈血の酸度)
 生命が維持されるためには、体内の酸度とアルカリ度がPH七.四前後に保たれる必要があり、この値が○.一〜○.二程度どちらに傾いても健康が保てなくなる。
 動脈血に炭酸ガスが増えるとペーハーは低下する。

◆SPO2(酸素飽和度)
 ヘモグロビンの酸素化の割合を言いパーセントであらわす。
 九四%以上が正常値。
 八九%がPaO2の六〇トールに相当する。
 パルスオキシメーターの測定値は酸素飽和度のみを示し、炭酸ガスの数値は測定できない。
 動脈血ガス分圧の→o-→と酸素飽和度の%の数値を混同して覚えている場合がある。

◆Hb一へモグロビン一
 酸素は肺で赤血球の中のヘモグロビン(血色素)と結合して体内に運ばれる。
 赤血球は骨髄で造られ体内を循環して牌臓で消滅し、その寿命は一二〇日程度。
 腎臓内の酸素が不足するとホルモンの刺激で赤血球が増える。

(註)日常の自己管理には
 @肺機能検査では努力性肺活量と一秒量
 A血液検査では酸素と炭酸ガスの数値を覚えておくと便利でしょう。

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