55cm双眼望遠鏡を見せてもらう

55cm双眼望遠鏡の衝撃 2014.10.19

55cm双眼と50cm単眼を比較する 2014.11.14

55cm双眼の衝撃は何度も訪れる 2015.1.24b002ani.gif

 

55cm双眼望遠鏡の衝撃  2014.10.19

KIKUTAさんのホームページによれば、55cm(!)の双眼望遠鏡を製作された方が徳島にいらっしゃるらしいので、拝見するべく連絡させていただきました。

その方はYさんと言って、徳島市にいらっしゃるそうなのですが、月がなく晴れている週末は、徳島県南部の「南阿波サンライン」で観望されているそうです。ここだと、当方の自宅からは2時間ぐらいで行けそうです。

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↑こういうところらしい。

早速、昨日行ってきました!

Yさんは20:30ごろ到着とのことだったので、持参したミザール150SS 15cmF5を出して、大急ぎでM17等、夏の星雲星団に名残を惜しみます。

程なく、ダイハツ・ハイゼットに55cm双眼一式を搭載し、Yさんが到着されました。 組み立ての様子を撮影させてもらいます!

Yさんのハイゼットは後部座席その他を取り外したフルフラットになっており、55cm双眼全てのパーツが収納されています。

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基本的にスチールのパイプを溶接した構造で、55cm鏡二枚はすでにミラーBoxに入って同じくスチールのフォーク(?)部分に載っています。当然、100kgを軽く超える重量になるので・・・・・

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ウインチを使い、このようなレールでおろします。黄色いリモコンはウインチのやつですね。

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キャスターつきのミラーBoxの上に乗っている箱に、接眼部まわりが入っています。

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接眼部を出します。ほそさんの40cm双眼などと似た方式ですね

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斜鏡は短径104mm。55cmの主鏡はF4.5なので、単眼ならOKだけど、双眼用に筒外焦点を引き出すと、少しけられてしまうそうです。

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付属のキャスターで転がしてきたミラーBoxを、ベアリングに載せ、キャスターを下げます。

このベアリングが「マワール」。分かりやすいです(笑)。

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何でも、フォークリフトなんかで運ぶ荷物を回すためのものだそうで、まあ、「プロ用」ということでしょうけど、そのネーミングといい、ピンクのカラーリングといい、いい感じの「遊び心」が感じられますね!

とは言うものの、これもスチール製の非常にガッチリとしたものです。

角パイプのトラスを組み立てます。

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このトラス、非常に剛性間のあるものなのですが、Yさんご本人の弁では仰角によるたわみの影響が気になるとのことでした。

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すいません、写真が暗すぎてよくわかりませんね(笑)

斜鏡のアームのたわみを軽減するために、補強金具が渡してあります。

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その補強金具の下のピンクのタッパーにはグリーンレーザーが入っていて、しかもこれが手元のワイヤレスリモコンでオン&オフできるという優れものです! 使わせてもらいましたけど、実用性ももちろん、単純に面白いです(笑)。本題とは別の、こういう「小技」も嬉しいですね!

 

さて、斜鏡で筒外に導かれた光は、3回目の反射でアイピースに行きます。

Yさんの作例では、天頂プリズムのハウジングに50mm(?)の斜鏡を入れ、3rdミラーとしています。またハウジングは左右干渉する部分を削り取ってあります。

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左右の像合わせは、右側の3rdミラーを、3つの白いネジでシフトすることによっておこないます。

 

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目幅の調整は、左右のクレイフォードを繰り出すことによって行います。赤い糸(?)で左右が連動しますので、動かすのは片方だけでよい、と、ここでも「嬉しい小技」が効いています!

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常用アイピースはイーソス17mm。イーソスはバレルにイモネジでしっかりとロックされており、アイピースを回すことによってヘリコイド状態になるようになっていて、ピント合わせはここで行います。

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つまり、まず目幅を合わせた後、ピントを合わせる、という順番になります。

さて、望遠鏡の設置を終わると、まずはM57を見せてもらいます。

・・・・! 明るいですね。

しかし、まだ主鏡が温度順応しておらず、星像はややボッテリ。

温度順応を待ちつつ、M27や近くの球状星団などを流していきます。網状星雲もノーフィルターは当たり前、等々、この辺はまあ、「想定内」ではありましたが・・・・

・・・・衝撃はM31で訪れました。

もともと50cmの単眼でも「M31の暗黒帯(というか腕の隙間)が2重に見えるね!」・・・・とか喜んでいたのですが、この55cm双眼の場合・・・・・

暗黒帯、3重ですよ!

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(写真を加工して当日のイメージを再現してみました ちなみに裏像です)

しかも、暗黒帯が波打っているのがはっきり分かります!

何ということでしょう! M31ってこんなになっていたんですね。こういったシーンを体験できた天文アマチュアはまだまだ少ないのではないでしょうか。これを見られたことに感謝です!

そして、「ヘールボップ彗星の最後のほうの尾が広がった状態」にはっきり見えるハッブル変光星雲や、かに星雲、片方ずつ見る(笑)二重星団、NGC253、でかすぎて最初何だかわからなかったNGC7293などなどと進み・・・

ついに冬の主役、M42が昇ってきます。

で・・・・これですよ!

 

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中心部、完全にハッブル宇宙望遠鏡の画像です!

しかも、立体感がすごい! 何重にも張っているクモの巣を通して見ているようです!

昇ったばかりの高度が低い状態なので、彩度はいまひとつで色はあまり分からなかったのですが、これが南中した状態で見ると、とんでもないことになりそうな気が・・・・!

 

しかも、さらに特筆すべきは、星雲が一周しているというか、小三ツ星の一番下の星、ι(イオータ)星まで伸びているのがわかることです!  

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この辺まで見えるんですよね! 今更ながらM42って大きいんだな・・・と・

すごいものを見てしまいました!・・・・と、この辺で本日は残念ながらタイムリミット!

最後にシブくM78を見て、

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2つの目がある人の顔のようだな・・・と思って(笑)終了しました!

しかし、55cm双眼、久々の衝撃でした。

一時期は、「寝ても覚めても双眼望遠鏡」というか、何でも双眼にしなければ気が済まないくらいに入れ込んでいたのですが、最近はそれも落ち着いてやっと、単眼でもいいかな? と思い始めたその矢先ですよ(笑)

やはり大口径双眼のメリットは計り知れないですね!

それだけに、今回、眼視観望派の究極の夢とでも言うべき、55cmもの大口径双眼望遠鏡を完成させたYさんの快挙は、観望の楽しみを新たなステージにすすめた、と言えるかもしれません。

この55cm双眼の製作計画にあたっては、まず、プロトタイプとして25cm双眼望遠鏡を製作し、諸問題を解決して、いけそうだということで自らにゴーサインを出されたそうです。

しかし、始めてみるとあまりの困難さに途中で3回くらい、やめようかな? とくじけそうになったこともあるそうなんですが、その都度それを乗り越えて、このように運用できる運びとなったことは、素晴らしいですね。

今後もちょくちょくお邪魔して、新しい世界を拝見していきたいと思います!

 

P.S .Yさんは当初55cmは単眼で運用され、その後、同焦点の55cmを買い足して双眼化されたようです。

当方も50cmを買い足して双眼化する可能性が、0.1%程度はある?(笑)

 

55cm双眼と50cm単眼を比較する 2014.11.14

再び、徳島のYさんの55cm双眼を拝見するべく、南阿波サンラインに向かいました。

今回は「テレギドラ505」当方の50cmドブソニアンも帯同しています。

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というのも、今回のテーマが、「50cmクラス、双眼と単眼の比較」だからです。

Yさんの55cmは22inchなので、厳密には558.8mm。これが104mmの斜鏡のところで2mmほどケラれているそうなので、558.8×104/106=548mm(有効径)。

さらに3回反射なので、3rdミラーの反射率を90%ととすれば、集光力は、2回反射の519.8mm相当程度となります。

当方のテレギドラ505は、2回反射で、口径505mmなので、1本あたりの集光力では、ほぼ互角。これを2本そろえて両目で見た場合との違いを検証する、という想定です。

 

南阿波サンラインへは21時ごろ到着。すでにYさんは55cm双眼をほぼ組み終わっていました。

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今回、この55cm双眼のニックネームがYさんより発表されております・・・・・

「 ツインテール 」です!

そう、「帰ってきたウルトラマン」出演のあれです。

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55cm双眼は今でこそ、フレームが黒く塗装されていますが、かつては↑のような色だったらしく、そのときに命名された模様。今回、期せずして、「ツインテールvsテレギドラ」という、名前だけで言うと怪獣対決みたいなことになっています(笑)。

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とは言うものの、今回はテレギドラの負けっぷりを評価する、一種の「出来レース」。一抹の寂しさが漂います(笑)。

さて、そんな事を言っている場合ではなく、今夜は下弦の月の出が23時30分ごろということで、あまり時間がありません。主鏡の温度順応ももどかしく、ややぼってりした星像のまま、まずは、くじら座の惑星状星雲「NGC246」(どくろ星雲)です。

アイピースは、50cm単眼が、イーソス13mm(171倍)、55cm双眼が、イーソス17mm(150倍)を使用しています。

これが、50cm単眼ですと、ああ、ここにあるね、と存在がわかるくらいですが・・・・

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(写真を眼視のイメージに加工したもの)

55cm双眼になると、あきらかにリング状の構造になっているのがはっきり見えてきます。

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こっちを見てから、単眼の方に戻ると、「 あ、そうそう、こんな感じでリング状になっているんだよね・・・ 」って見えてくるのですが、単独ではちょっと厳しいですね。あと、双眼のほうがやや倍率が低いのですが、対象が大きく見える、という効果がありますね。

続いて、前回衝撃を受けた、「 55cm双眼によるM31の三重暗黒帯 」ですが、50cm単眼ではどうやっても見えず。この辺は双眼の独壇場でしょうか。M31の伴星雲、M110の渦構造も見えるような気がしましたし・・・・かなり心眼ですけど(笑)

さて、本日のベストとさせてもらいたいのは・・・・M33!

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M33は淡いので、通常、S字状に腕が見えれば喜んでおるのですが、これは何ですか? 腕が一体何本あるのかという状態。しかも、その腕の一本一本がモコモコしていて、複雑な構造がわかります。M101のことを「回転花火星雲」とか言いますけど、こっちの方がよっぽど「回転花火」です!

ちなみに今回のM33は50cm単眼でもよく見えていました。ただ、腕のモコモコした構造の見やすさと立体感は双眼のものですね。双眼で確認してから単眼に移ると今まで見えなかったものが見えてくる現象は、どくろ星雲と同じでした・・・・これ、どういった理屈でしょうかね。脳の画像処理に「道すじ」か何かつくんでしょうか?

立体感と言えば、単眼と双眼の違いが一番明らかだったのは二重星団です。

明るい星が手前に見える立体感がすごく、一挙に情報量が4倍くらいになる印象です。思わずYさんに「 これに関しては双眼の圧勝ですね! 」と言ってしまいました。

ただ、個人的に期待していた「双眼のほうが星の色がよく見える」については、空振り。ほとんど違いがありませんでした。二重星団の星の色は、やはり屈折アポ系双眼が一番美しく見えますね。

 

しかし、双眼と単眼でほとんど見え方の変わらなかった対象もありました。

エスキモー星雲、かに星雲、うさぎ座の球状星団M79などです。

現地では「 見える見えないかの淡い対象で差が出るのかな? 輝度が高いと違いがわかりにくい? 」という話になっていたのですが、後ほどYさんが「天頂付近の背景が暗い時に違いが出やすいのでは」という見解をメールしてくださりました。そう言えばエスキモー他、高度が低い状態で無理やり見てましたので・・・

今後ますますの検証が必要ですね!

オリオンが上がってきたので、50cm単眼に、「 最終兵器 」 - Lavendura30mmプロトタイプ- を装着し「馬頭をノーフィルターでゲット」に挑戦していましたが、これもまだ高度が低くてコントラストが悪く、果たせず(55cm双眼のほうでも見えなかったようです)。この辺で、月の出を迎え、終了。

2時間あまりの短時間でしたが、今後にもいろいろなテーマが提示された貴重な時間となりました。

機材の撤収を終えてYさんと別れ、帰路についたのが25時過ぎ、予想通り室戸あたりで力尽きて爆睡。美しい朝焼けで目覚めました。

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(室戸市の「夫婦岩」付近)

 

55cm双眼の衝撃は何度も訪れる 2015.1.24

今日も南阿波サンラインに来ております。今日もYさん55cm双眼望遠鏡「ツインテール」を見せてもらうのです。

今回は、兵庫から蒼い星さん、鳴門からhiroさんも来られます。

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18時ごろ到着しましたが、もう暗くなっていました。50cmを組み立てます。

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今回、月没は9時40分ごろらしいので、月でも見ながら待つ事とします。それにしても、50cmで月を見るとまぶしいです。

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しばらくするとYさんも来られました。

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あいかわらず手際の良い組み立てで、ツインテールもどんどん形になっていきます。

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13cmEMS双眼「BLUE」とともに、兵庫から蒼い星さんご夫妻到着。淡路島経由で所要時間3時間ほどとのことでした。

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「BLUE」は昨年の双望会ではフリーストップ仕様でしたが、今回はスカイセンサー自動導入のフル装備で参戦(せっかく気合を入れたのに写真がこんなので肝心なところが写ってなくて申し訳ありません)。

hiroさんはKENKOのSE200を自作のフリーストップ経緯台でのドブソニアン仕様で。あと双眼鏡もいくつか持ってこられてました。

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さて、その他にもYさんの知り合いや、香川からの方、東京から徳島空港に赴任しておられるKさんも含めてちょっとしたスター・パーティの様相を呈してきます。「第2回四国スター・パーティ」(勝手に命名)というわけです。

快晴、気温7℃、微風、望遠鏡への結露全くなし、透明度やシーイングが今ひとつなのが残念ですが、曇ることを考えれば贅沢は言ってられません。月没を待って、本格観望が始まります。

惑星状星雲めぐり、冬の王者M42、眼視でも尾がはっきりと確認できるようになったラブジョイ彗星、日周運動でバックグラウンドの星野がゆっくりと移動する中、視野中央で微動だにしない静止衛星の観察などを経て、夜半も過ぎれば春の銀河シリーズに突入します。

 今回の衝撃はここで訪れました・・・・・

 

かみのけ座のエッジオン銀河、NGC4565です。

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(写真を眼視風に加工したもの)

中心部のバルジは立体感をもって丸くふくらみ、複数の蛇行した細かい筋で形成される暗黒帯が全体を貫いています。このイメージは写真そのもの・・・いや繊細で複雑な諧調は写真を超えているといっていいでしょう。ずっと見ていると、バルジの部分がうっすらと黄色味を帯びているようにさえ見えました。

50cm単眼では、暗黒帯が蛇行しているのはわかるのですが、ここまでは見えません。

 

さて、次に、おとめ座のソンブレロ銀河、M104ですが・・・・・・・

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(写真を眼視風に加工したもの)

何だこれ? 本当にM104か? とにかく、横に長い!

「ソンブレロ」と言われる所以である、あの短く詰まった姿がどこにもありません。むしろエッジオン銀河といったほうがふさわしい気がします。これがM104の本来のすがたなんでしょうね。

ちなみに、50cm単眼では、こんなに横長には見えませんでした。

 

ここ何回か、55cm双眼望遠鏡を見せてもらうことによって、それまで見たことのない天体の姿をいくつも見ることができました。自分がこのような機会に恵まれたこと、またその機会を与えてくださったYさんに改めて感謝したいと思います。

 

衝撃(番外編)

蒼い星さんの13cmEMS双眼望遠鏡「BLUE」+OⅢフィルターで見た、ばら星雲の全景が素晴らしかったです。ばらと言うより牡丹の花びらのように重なった星雲。あの構造があそこまで見えるとは思いませんでした。大口径双眼とはまた違った、このクラスの屈折双眼のアドヴァンテージを再認識させてくれるものでした。