そばの杖

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最終更新日:2003年11月20日
作成日:2003年11月8日


DATA

 

所在地:
北九州市小倉北区中井5丁目14-12

設計:丸谷 博男
種類:飲食店
竣工:2003.11
構造:木造
階数:地上2階

電話:093-582-5514
営業時間:午前11時〜午後9時
定休日:第二・第四水曜日
交通:JR小倉駅または戸畑駅から西鉄バス井堀バス停下車 徒歩2分
駐車場:あり

周辺地図


ページ作成者:Atsushi

「そばの杖」は、2003年11月に開店したそば屋(うどんもメニューにある)だが移転する前の店から店主と親交があった。そのおかげで、 店主に図面を見せてもらったり、建築家との打ち合わせをのぞかせてもらったり、意見を求められたり、第三者ながら新築までの経緯を 見せていただいて勉強の機会を与えてもらった、思い入れの強い建築であった。設計は、住宅設計に定評のある建築家、丸谷博男氏。 蕎麦打ちにこだわりとプライドを持った店主だけに店にもこだわりが強く、完成までに長い月日を要したが、完成した建物に満足している 様子だった。実際に訪れて素敵な建物だったが、店主の満足する姿こそが建築作品の本当の成功だと思う。

店主が、「立派過ぎる建物が完成して、蕎麦会席の店のような外観で、敷居が高そうに感じられている。」なんて、贅沢な悩みをもらして いたが、値段も決して高くなく、さりげなさが素敵な建物なのでオススメしたい。

外観は方形(ホウギョウ)屋根が特徴で、蕎麦屋というより建築家による温かな小住宅といった印象。住宅地で、周辺には空地が多く、 建物のすきまから屋根が見えたり目立っていた。店内から道路を眺めていると、足を止めたり車の速度を落としながら、中の様子を気に している通行人が多かったのも、新しくできたこの建物に関心を寄せられている証拠だろう。大きな看板が無くても、建物だけで充分に 人目を引くことができる―これは、商業施設としては理想的なのかもしれない。

プレオープンに招かれて訪れたのだが、外構がまだ工事中だった。この土地は造園業を営む店主の父の土地だったので、その植木を 活かしながらの庭が設計されたそうである。また、建物の前には水盤を配置する計画があったのだが、実施段階で中止になったらしい。 水盤が無くても充分魅力的だとは思っていたが、水盤への建物の写りこみを心のどこかで期待していたので、少し残念に思えた。

玄関を入ると、麺打ち台と階段があり、2階は従業員の控室となっている。階段脇をまっすぐ行けばトイレなので、左へ曲がって客席へと 着くことになる。麺打ち台とレジカウンターの配置で店主は大いに悩んでいたが、結局、入ってすぐの目立つところに麺打ち台を配して、 レジカウンターは奥に。もちろん麺は店主による手打ちで、メニューによると蕎麦は出雲・耶馬溪産のニ八蕎麦で、10割蕎麦は要予約。

店主が店内を見渡せるように厨房は中心に配置。「本当はカウンター席のみにしたかった。」と店主は言うが、家族連れやグループでも 楽しめるようにと、テーブル席や座敷席も用意することになった。また、客席の周りは全て開口部となっていて、建具には木製サッシの ペアガラスが用いられている。この木サッシは丸谷氏がよく使う建具らしいのだが、軽く動かせるような工夫も施されているらしい。さらに 床にはOMソーラーかと思われる、空調機らしきものが埋め込まれていたが、これは確認し忘れてしまっていた。
一階の周縁部を吹き抜けとして、主に厨房の上だけに2階が乗るような形になっている。カウンターに通し柱が出ているのは、そのため。 設計段階で気にしていたようだが、この柱によって不便が生じることも無かったし、それほど気にはならなかった。
あらゆるところに、店主の蕎麦に対するこだわりや、設計者の工夫が施されていることに感心してしまう。理想的な施主だと私は思った。

お座敷は、つくるか否か店主が迷っていた部分でもあった。しかし、「将来的に、蕎麦打ち教室も開けるようなスペースが欲しい。」という 施主の願いもあって、実現に至ったようである。茶室にする案もあったが、結果的には板張りの部屋に落ち着いたようだ。

男性トイレと女性トイレには、それぞれ擦りガラスのスリット窓と雪見障子窓、種類の異なる窓が設けられていた。天井には、半透明の ボード、その上に蛍光灯があるので天井照明の効果をもたらしていた。(右:階段上から見た写真)
厨房を除く至るところに木材が使われており、木造住宅のような(質感でも、雰囲気的にも)温かみのある作品に仕上がっていた。


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